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25 もうずっと前から ※ 寝バック
しおりを挟むせまい寝台の上にうつ伏せで転がる。
火照った体に伝わる冷たい敷布の感触に、少しだけ溶けていた意識が戻ってくる。
「明日に響かんよう、ゆっくりしような」
「……うん、……ぁ、あぁっ」
足を押されて左右に開かれ、尻の穴にブレーのブレーがちゅうと口づけした。
指二本ではほぐし足りないので、痛みがあるのではないかと不安になる。
強引に入れられる事はないと知っていても、怖いものは怖い。
「んっ、……ぁ……あ……ん、ぁあ」
ちゅく、ちゅ、と何度も何度も繰り返されて感じるわずかな圧。
少しだけ押し広げられて元に戻る尻の穴のもどかしさに、腰が揺れた。
冷静になっていたはずの頭の中が、再び白くなる。
入れて、入れてよ、入れてくれ。
そう、素直に言えたらいいのに。
言えない。
くちゅ、ちゅく、と音をたてながらゆるゆると尻の穴をこねられ、軽く押されて待ち遠しさに口を開くのに、離れていってしまう熱。
「気持ちいいなあ、腰が動いとるぞ」
「っう、……ぁあっ」
陰茎が敷布に擦れて気持ちいい。
つぽ、くぷ、ちゅく、と音を立てて、ブレーの訪れを待つ尻の穴の感覚に、頭がくらくらしてくる。
「……エレン、どうされたい?」
背後から、ふーぅ、と深い呼吸が聞こえる。
腰をするりと指先で撫でられて、ぞくぞくと痺れるような快感が走る。
私はブレーが欲しくておかしくなりそうなのに、ブレーは余裕があるのか?
そんなのいやだ。
でも。
「っ……、……むり」
ほしい。
ブレーの固くて熱くて太いのに、ぎちぎちに満たされて、ごりごりこすられて、おくにたねをそそがれて、めちゃくちゃにされたい。
でも、言えない。
「いってくれんのか、エレン?」
やさしい問いかけと共に、ぺしり、と手をおくようにやわらかく尻をはたかれた。
さいそくするように。
ぬるりとせんたんで穴をこねられた。
いたみなんてない。
がまんしなくていいんだぞ、と告げるように。
あまえていいんだよ、とおしえるように。
ぎゅう、としまるしりのあながせつない。
なにもはいってないから。
しりにおかれたぶれーのてがあつい。
やさしくなでられているのに、じんじんしびれる。
せんたんとゆびさきであなをくにくにとゆらされる。
ああ、がまん、できない。
「……ぁ、……いれて、ほしいっ」
「すなおになれてえらいなぁ」
よしよしとしりをなでられて、りょうてでさゆうにひろげられた。
「んん゛っ、あ、……あぁああ゛あ゛っっっっ」
ぐり、とおしあてられたねつが、ぐぽ、とせんたんのこぶが、わたしをひろげて、きもちよくて、すごいすきで。
ぶれーをしりのなかでだきしめながら、わたしはめのまえがまっしろになるのをかんじた。
まだいれられただけなのに、きもちいい、どうして。
ゆっくりと私の上でブレーが腰を振る。
ばちん、べちん、と固い肌が私の尻にぶつかる。
「ぅお、っお゛ぅう゛っ、ぎもちいいっ、ぶれー、ぶれぇっ」
「ぅっ……っ……ふうっ」
激流に逆らう術は持たないから、必死に敷布を握りしめた。
逃げ場がない体は、どこもかしこも敏感になってしまって、ゆっくりと一突きされるごとに目の前が揺れて達している気がする。
勢いはないのに、遠慮なく体重をかけて押しつぶされる腹側の場所で達しているのか、体重と揺れで擦られる陰茎で達しているのか。
うつ伏せの体勢で、呼吸のために顔は横に向けたけれど、自分がなにを口走っているのかもよく分からない。
ブレーは私の腰の両側に手をついて、腕立て伏せをするように腰を振る。
私は押しつぶされて、品のない獣の鳴き声のような声しか出せなくなっているのに、ブレーの興奮は冷めないようだ。
「ん゛ぁあ゛っ、……ぁあ゛っ……ぁあ゛ぁっ」
「かわいいなぁエレン、もっと感じてくれ、なあ?」
びたん、と尻に固くて熱い肌が叩きつけられて、再び達した。
気持ちよくて、気持ちよくて、頷けない。
もっと?
もう、達しているのに。
一体いつから私は、こんなに、気持ちよくなれるようになったのか。
旅して、なにかが変わったのか。
これ、じゅんかつえき、のせい?
「ぶれぇぎもぢぃ、……もっとぃやぁああ゛っ……」
ごり、と先端で押しつぶされる尻の中が気持ちいい。
ぐっちゃぐちゃと音が聞こえること、自分の声がいやなのに止められない。
ブレーの体重で押し潰されて、こすれる陰茎が気もちいい。
べたん、と汗だくのブレーが叩きつけれられる尻がきもちいい。
これ以上なんてむり。
この上があるなんて、むり。
「いやじゃなかろう、いつももっと、とねだってくれるだろう?」
「……ぇ、もっと?」
「おう、だいすきしてやろうなぁ?」
ずるりと引き抜かれて、ぱくぱくと尻の穴が悲鳴をあげた。
抜かないで、行かないでと。
はなさないで、はなれないでっ。
仰向けに転がされたしんだいの上で、どろりと欲でにごったブレーのしせんが、私をつらぬく。
あらしの日の空みたいに黒くておもい。
伸ばされたかたいうでが、わたしをだきしめてくれる。
しあわせが、むねのおくからふっとうするようにわき上がる。
「……だいす……き」
これ、だいすき。
そうだ。
こうやってだきしめられるのが好きで、ブレーにしがみついて、だいすき、って言って。
だからこの体位は、だいすき、ってブレーが決めた。
わたしがだいすきな体位、だから。
わたしが、大好きして、ってねだるから。
ぱちぱち、ともえさかる火花がちるように。
ブレーにだきしめられて、がくがくとゆさぶられる自分が見えた。
かいらくにおぼれて、うわごとみたいに泣くわたしがいた。
すき、すき、いく、もうだめ、もっとして、こわい、きもちいい、ぶれぇ、すき。
……思い、だしたく、なかった。
かもしれない。
「エレン、すきだ」
「わたしもすき……あ゛あ゛あ゛あぁぁあっっ!」
腰を固い手で抱えられて、ずぶずぶとさびしい穴を埋めるように根元まで貫かれながら。
私は、もうずっと前から、ブレーに抱かれながら達する事ができていた、と知った。
◆
翌朝。
私は、嵐に遭遇した、けれど忘れていなかった。
私は、人種族も呆れるほどに繁殖行為でもたらされる快感を極めていた。
あんな、あんなの、なんで。
私は、なにを、いったいなにをぉ。
なんて真似をっ。
恥ずかしくてたまらない。
朝に弱いブレーが眠っているのを良い事に、思い出した恥ずかしい自分の姿を何度も脳裏で繰り返す。
ブレーに好き好き言いながら、自分で腰を振って。
いくいく、ってどこに行くんだ私は、人種族の言葉が自然に出るほど毒されている事に呆れる。
だいすきして、って普通に抱きしめてくれではいけなかったのか。
悲鳴あげて嬉し泣きしながら達し続けるとか、私の体はどうなってる。
つまり……記憶が飛んで、思い出せないほど気持ちよかった事を思い出した、わけだ。
うおぉおぉぉぉぉぉおおおぉぉぉ。
なんだこれは、思い出せば思い出すだけ、恥ずかしい。
私は一体いつからこんな淫乱に!?
今すぐ森に帰って引きこもりたい。
けれど、ブレーの側を離れると考えただけで、全身に冷や汗が浮く。
まずい。
ぞっとする。
心臓が凍って、粉々に砕けそうな感覚がして、息が詰まる。
目の前が真っ暗になる。
大叔母は、こんな苦しみに耐えていたのか。
これでは日常生活すら送れない、動けなくなるわけだ。
私はブレーがいないと、生きていけない。
いつの間に、ここまで依存してしまったのか。
待て、これはそもそも依存なのか?
さすがに両親には聞けない。
恋人と離れると思ったら死にそうになる、なんて冗談でも言えない。
心配して突貫してくる姿しか想像できない。
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