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24 夜の宿で ※ 口淫

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 王都までの道中は、警備の簡便さと護衛の動きやすさを考えて街で宿泊するという予定に従った。

 泊まる所はどこでも、大して変わりはない。
 私とブレーで一部屋。
 それ以外はどうでも良い。

 ただ、規模が違えど集落に立ち寄る度に、グリョン・ロをありったけ買い漁っている。
 普及しているだけあって、どこででも売っているから、最高だ。

 『隠蔽』の魔法をかけて宿を抜け出し、朝市に向かうと「別嬪さん、これからの季節は葉が肉厚になって美味しいよ」と野菜売りに言われた。

 別嬪は女性に使う言葉だろう、私は男だ。
 言わないが。
 さらに申し訳ないが、粘液をこそげ取った葉は干し野菜にする予定だ。

 旬で美味しいのは認めるが、毎食グリョン・ロを食べないと腐らせてしまう程の量を買っている。
 食用に品種改良された野菜は美味しいけれど、毎食同じものでは飽きる。
 蔦の汁で暮らした三日間で、食生活の貧しさは心の貧しさに繋がると痛感しているのだ。

 というわけでグリョン・ロの他にも、美味しそうな野菜を見つけたら大量に買い込んでいる。

 王都に到着するまでに干し野菜にしてしまおうと、移動時の馬車の外側に吊るしているので、屋根から草が生えたように見える。

 距離は離してあるが、もちろん香水瓶も外側に吊るしてある。
 侍従たちの私物だからこそ、割れていないか時折確認しているとも。

 馬車の外に野菜を干すのは見栄えが悪い?
 中に干したら乾きが悪い、客車内も狭くなるではないか。
 干さなければ萎れて悪くなってしまう。
 魔法で干し野菜にすると一番早いけれど、人種族の国の中では魔法を使わない方が良いのだろう?

 丸洗いしてから私に近付いてこない侍従たちが困った顔をしているが、聞いても返事は得られない。
 護衛たちも困っている。

 結局、ブレーが反対しなかったので、馬車の外に野菜をぶら下げたまま、移動は続けられた。

 移動時の昼食は侍従たちが用意しているが、私は人種族の料理が体に合わない、と自作の保存食を齧っている。
 なぜか、ブレーも一緒になって干し肉を齧っている。

 断った手前、彼らの目の前で料理をしない方が良い、とブレーからの助言だ。
 悪意ではなく、本当に食べられないと信じてもらうためには、ここまで気遣いが必要なのか。

 さすがブレー、私の自慢の恋人。



 夕方にたどり着いた街で宿に泊まった。
 事前に連絡がされているのか、宿泊先は貸切にされた宿ばかりだ。

 採算がとれているのか心配になる。
 酒場でもそうだったけれど、何人も客が入らないと赤字にならないか?

 二階建ての木造の宿はまだ新しくて木の匂いがした。
 室内は丁寧に掃除されていて、部屋には虫除けも焚きこまれていた。

「我々は一階におりますので、御用があれば声をおかけください」
「ああ」

 四人の護衛は、しっかりと護衛役を務めてくれている。
 職務への真摯な態度が素晴らしい。

 彼らの手を煩わせないように、宿をとった後は、出歩かないようにしている。
 朝市には行くけれど。

 燃えてしまった寝巻きの代わりを買いたいのに、着いてこようとするのだ。
 これが終わったら、王都で寝巻きを買う事にしよう。
 それまでは旅装で構わない。
 少し寝づらいけれど、二人きりの旅をしていた時のように、起きたら全裸や下着姿では、すぐに動けない。



 本当に、グリョン・ロとの出会いは、素晴らしかった。
 今が旬であるなんて、最高だ。
 この旅の間、毎晩、私は幸せに浸る事ができている。
 人種族用の短くて狭い寝台も悪くない。
 寒くなっていく季節も、ブレーの側なら喜びしかない。

「ん、んんぅ」

 鼻で息を吸いながら、口の中の熱を舐める。
 呼吸を止めて、頬をしぼるように力を入れると、口内粘膜で固い熱を包み込めた。

「……っうぅっ」
「んー、んんっ」

 出してくれないかな、と期待しながら見上げたブレーは、目をぎらぎらと滾らせながら私を見ていた。
 いつも見下ろすばかりだから、下から恋人の腹部や胸板の凹凸を見上げると、胸がときめく。

 赤くうねる固い肌には汗が滲み、ブレーが快感に耐えている事を教えてくれる。

「うっ」

 一息で鼻が肌に触れるまで頭を振って、途端に金気臭さが鼻の奥を痛めつける。
 ブレーの香りだ。
 焦げたような匂いが、汗ばんだ下生えから立ち上り、たまらない気持ちになる。

 ごわついて固い毛が鼻先をくすぐる。
 里を出る前は、こんな事が気持ち良いなんて知らなかった。

 ああ、好きだ。
 ブレー、好きだよ。

「……っう……ぅっ……っっ」
「ふー、ぅーっ、……ーふぅ」

 ブレーのそけい部に両手を添えて、喉を突かないように気をつけつつ、頭を前後に動かす。
 指の触れている腹部に力が入って震えている。
 私よりも熱い肌が、ひくひくと揺れる。

 喉の深い部分をブレーの陰茎に押し当てると、びくびくと震え、腰に力が入る。

 潤滑液があれば、毎晩のように戯れで、私がブレーに触れる事を許してくれる。
 眠るまでブレーに抱きついて、固く引き締まった背中を撫でさせてくれる。
 自分達の配分ではない旅だけれど、悪くない。

 鼻から息を吐いて、ぎゅう、と口の中を締める。

「う゛うっ」
「っっ」

 びゅるり、と口の中に注がれる熱と、暴れる陰茎に負けないように、口内を締めたままじゅるじゅる音を立てて吸う。

「あ、ぉおっ」
「っづう゛っ」
「っぐ、お、すまんっ」

 不意に頭を抱えられた。
 喉の奥をぐぬりと突かれて、突然の吐き気に耐える。
 わざとではなく、快感で反射的に私の頭を押さえたのは分かっているので、返事の代わりに喉の奥に出された精液を飲み込んだ。

 つん、と鼻の奥が痛む。
 金気と焦げの匂いが喉の奥へと流れ込む。

 私の中にブレーが染み込んでいく。
 私はブレーに染められている。

 金気臭いエルフなんて、私くらいのものではないだろうか。
 それがとても誇らしい。

 陰茎を拭き取るように、舐めながら顔を離すと、汗だくのブレーの顔がすぐ側にあった。

「ん、っ」
「エレン」

 ちゅう、と唇を覆われて、焦る。
 今、私はブレーの精液を飲んだばかりだ。
 味が、するだろ?

「ぶれー」
「エレン、すきだ」
「っう、あ、え、うんっ」

 溶けかけた頭では「わたしもすき♡」と返事がしたいのに、うまく言葉に出せなかった。
 意地っ張りな自分が口惜しい。

「かわいいな、エレン」
「わたしがかわいい?」
「おう、かわいい、とってもかわいい、舐めるのすきか?」
「すき、おいしい」
「そうか、おう、今度はわしが舐めてやろうな」
「ひゃわぁ」

 遮音結界があって良かった。
 だって、声が出てしまう。

「ひぁ、いや、あぁっ」

 じゅっぽじゅっぽと卑猥な音が聞こえるのが恥ずかしくて気持ちよくて、力の入らない首を振る。

 ブレーのすぼめた口の中に私の陰茎が飲み込まれて、再び姿を現す。
 気持ちいい。

 同時にブレーの固い指が、私の尻の穴をぐるりと広げる。
 腹側にある気持ちよくなれる膨らみを優しく押して、びくびくと震える私を見つめる目が熱く燃えている。

 かわいいなぁ、と言われているようで、体が熱くなる。
 ブレーが好きだ。

 私に優しくしてくれて、とっても素敵で、努力家で、愛おしくて、なんでもできてしまって。

「あ、だめ、もうや、ああっ」

 ここか?、と目で聞いてきたブレーが尻の穴に二本目の指をゆっくりと広げ入れて、膨らみをぐいぐいと押した。

「ああ゛ぁ、だめ、それやぁっっ」

 目の前が明滅する。
 達してる。
 気持ちいい。

 私はやっぱり、ブレーに直接触られてないと、だめみたいだ。

「ぶれー」

 ゆらゆらと揺れるしせんの先にいるブレーはとってもすてきで、赤くて、固くて、たくましくて、ブレーのブレーがこんにちは、と元気にあいさつしてくれていた。

 
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