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ただいま
143話 周知のこと
しおりを挟む――3か月後
桜が綺麗に咲く季節がやってくる。
私は無事2年生に進級した。
新学期初日、今日から私の新しいクラスとなる2年3組の教室。
その扉の前で私は深呼吸を繰り返しながら緊張した面持ちで立っていると、ふいに後ろから声を掛けられる。
「ねぇあんた、そこ邪魔なんだけど」
「あ、ごめんなさい!」
入り口の扉を塞いでしまっていた私は慌てて声の主に謝罪をしながら振り返る。
「げ、あんた……」
振り返った私の頭上からは、何だかとても嫌そうな声が聞こえてきて、私は「え?」と顔を上げた。
するとそこにはどこか見覚えのある、懐かしい人物が立っていて。
「……え……えぇ? 先輩? えっと確か……月岡佑樹先輩!」
胸元につけられた名札をチラリと見ながら私はその人の名前を呼んだ。
その人は去年の秋、まだ私がクラスに馴染めなかった頃に何度かお世話になった1学年上の先輩で、階段から落ちかけた私を偶然にも助けてくれた人だった。
「え?どうして先輩が2年の教室に?」
「どうしてって……見りゃ分かるだろ。ここが今日から俺のクラスだからだよ」
「えぇ?!どうしてですか? だって先輩は先輩のはずじゃ……」
「るっせーな。留年したからに決まってんだろ」
「えぇ~留年?!」
「バカ、大声だすな」
恥ずかしそうに周りをキョロキョロ見ながら月岡先輩は慌てた様子で私の口を塞ぐ。
「ご、ごめんなさい。でも、どうして留年なんて?」
「単位が足りなかったんだよ。去年9月に事故にあって、今までずっと入院してたからな」
「えぇ……そうだったんですか。それは大変でしたね……」
「哀れんだ目で見るな。むかつく。それよりあんたは? その後どうだったんだよ。まだいじめられてるのか?」
「あ、そのせつは色々とお世話になりまして――」
私が先輩に近況を報告しようとした丁度その時、後ろから声を掛けられ振り返る。
そこには安藤さんと石川さんの姿があった。
「ちょ、ちょっと葵葉?! そのイケメン誰?!」
「あ、安藤さん。おはようございます」
「あれ、こいつ、お前のこと階段から突き落と――」
先輩が言いかけた言葉を何となく察して、今度は私が先輩の口を両手で塞いだ。
「どうしたの、葵葉?」
「いえ、何でも」
突然の私の行動に驚いた顔の二人に軽く咳払いしてみせながら、私は先輩と安藤さん達お互いの自己紹介をした。
「えっと、お二人にご紹介しますね。こちらは月岡佑樹先輩って言って、前に何度かお世話になった方なんです。で先輩、こちらは安藤さんと石川さん。今日から先輩のクラスメイトになる方達ですよ」
「ど、どうも。私達この子の友達で安藤可奈子って言います」
「私は石川咲良です。宜しく~」
二人が月岡先輩に向けて自己紹介している内容を聞きながら、私は不意に自分の顔がかぁと赤くなるのを感じた。
安藤さんが口にした“友達”の言葉が嬉しくて。
そんな私の姿を見ながら、先輩は何かを察したようのに「ふ~ん」と溢しながら私達を交互に見比べていた。
「なるほどね。案外楽しそうじゃん、今のあんた。良かったな」
そしてそれだけ言い残すと先輩は、私の頭をポンと一度叩きながら、教室へと入って行った。
桜が綺麗に咲く季節がやってくる。
私は無事2年生に進級した。
新学期初日、今日から私の新しいクラスとなる2年3組の教室。
その扉の前で私は深呼吸を繰り返しながら緊張した面持ちで立っていると、ふいに後ろから声を掛けられる。
「ねぇあんた、そこ邪魔なんだけど」
「あ、ごめんなさい!」
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振り返った私の頭上からは、何だかとても嫌そうな声が聞こえてきて、私は「え?」と顔を上げた。
するとそこにはどこか見覚えのある、懐かしい人物が立っていて。
「……え……えぇ? 先輩? えっと確か……月岡佑樹先輩!」
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「え?どうして先輩が2年の教室に?」
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「るっせーな。留年したからに決まってんだろ」
「えぇ~留年?!」
「バカ、大声だすな」
恥ずかしそうに周りをキョロキョロ見ながら月岡先輩は慌てた様子で私の口を塞ぐ。
「ご、ごめんなさい。でも、どうして留年なんて?」
「単位が足りなかったんだよ。去年9月に事故にあって、今までずっと入院してたからな」
「えぇ……そうだったんですか。それは大変でしたね……」
「哀れんだ目で見るな。むかつく。それよりあんたは? その後どうだったんだよ。まだいじめられてるのか?」
「あ、そのせつは色々とお世話になりまして――」
私が先輩に近況を報告しようとした丁度その時、後ろから声を掛けられ振り返る。
そこには安藤さんと石川さんの姿があった。
「ちょ、ちょっと葵葉?! そのイケメン誰?!」
「あ、安藤さん。おはようございます」
「あれ、こいつ、お前のこと階段から突き落と――」
先輩が言いかけた言葉を何となく察して、今度は私が先輩の口を両手で塞いだ。
「どうしたの、葵葉?」
「いえ、何でも」
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そんな私の姿を見ながら、先輩は何かを察したようのに「ふ~ん」と溢しながら私達を交互に見比べていた。
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