【完】悪女と呼ばれた悪役令息〜身代わりの花嫁〜

輝石玲

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46話 兄上の想い人 (アズ)

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私がカメリアの部屋から出ると、パタパタと駆ける音が聞こえた
いや、正確には違うが
聴き慣れた足音の主は、リージュだった

「アズ兄様!姉様は……」
「目を覚ましましたよ。ただ、まだ安静中なのであまり騒がないように」

強く頷いたリージュは慌しくカメリアの部屋に入った
騒がないようにと言った側から…
………まぁ、私も人の事を言えないだろうけど

それよりも今は集中しなければならない
グドに聞いた魔法の根源
私は真っ直ぐハルジオン兄上の執務室に向かった


執務室に近づくと、声が聞こえた
兄上と…女性の声?
恐る恐る扉をノックした

「兄上、少し宜しいでしょうか」
「アズ?あぁ、入れ」

扉を開けた先に居たのは、いつも通り書類と睨めっこしている兄上
それから……

「あ!アズ様だ!まだちゃんとご挨拶してませんでしたよね!私はローズ、ハル様によると聖女らしいです!」
「え、あ、はぁ…。私はアスフォデル・フォー・ラディクス。以後、お見知り置きを。聖女様」

銀の髪を高く2つに結った少女
彼女が…聖女?
確かに銀髪も青い瞳も神秘的ではあるが、それを全て台無しにしてしまう『教養の無さ』
私は彼女に愛称で呼ぶ事を許可していない
いくら聖女で王家と同等と言えど、流石に礼が無さすぎる
しかも、宝石や細かなレースがふんだんに使われたドレス
まるでパーティー用のドレスだ
あまりにも場違い過ぎる
何故兄上はこのようなものを許したのだろうか

「『聖女様』なんて堅苦しいですよ~。ローズって気軽に呼んで欲しいです!」
「いえ、それには及びません。失礼ですが兄上と話がしたいので一時退室して頂けませんか?」
「私がいてはお邪魔ですか?」

困り眉と上目遣いで問い掛けるその姿
どうにも受け付けられない

だから、邪魔だから消えろって言ってるんだ!
って叫びたい

「申し訳ありませんが、兄上以外の耳に入れたく無いのですよ」
「はぁい……。じゃあ私はお部屋に戻りますね」

子供のように拗ねた聖女
まだカメリアの方が聖女と言われて納得出来る


「なんなんです?あれ」
「俺に聞くな……」

兄上もあのお子様に手を焼いているようだ
まぁだろうな

なんて、こういう風に話すのも久しぶりか
それも長くは続かないが


「それで、俺に話とは?」
「……姉上の護衛騎士が、姉上に毒を持った人物を特定しました」
「っ!」

明らかに反応している
書類ばかり見ていた兄上はようやくこちらを見た

「……兄上、本当に以前話していた『復讐』をしようとしているのですか?兄上の苦手な魔法まで使って」
「……ローズに魔法を教えて欲しいと伝えたら喜んで教えてくれた。ただ、あの一度きりしか使えないが。だがそれは俺にとって都合が良い…筈だった」

否定も悪びれもせずに事の経緯を説明した
兄上が恨んでいるのは本当にカメリアなのか?
まだ二人が入れ替わる前のアイリスの方では無いのだろうか
…いや、兄上は入れ替わりに気付いていないんだった

「兄上…姉上とカメリア様は瓜二つだと聞いています。2人を間違えている、という事はあり得ないのでしょうか?」

遠回しにいつの『アイリス』かを聞いた

「それだけは無い!あいつが…アイリスが居なければ、カメリアは死ななかったんだっ……!」


…………え?
まさか、『アイリス』の所為で失った想い人は……


「カメリア様のこと、だったんですか?兄上が想っている人と言うのは……!」
「だったらなんだ………。あと少しでようやく殺せると思ったのだが。随分と優秀だな、その護衛騎士は」
「まぁ、私も彼に少しばかりご教授願いましたから。魔法では無く、魔力操作であれば私では到底叶わない方です」

兄上は絶句している
憎くて仕方ないと思っている相手に優秀な者がいるのだから
これ以上の手出しは兄上の方が危なくなると分かってくれればいいのだが……

……余計に、姉上の正体を兄上に知られてはならないと思った
もし知られたら、彼に過度なストレスがかかることが起きるだろう
それだけは避けたい
また、会ったばかりの時のような状況を、他の誰でもない私が作る訳には………
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