君を愛するつもりはないと言われた私は、鬼嫁になることにした

せいめ

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お金の問題

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 伯爵様は責任を取らなくてはいけないと私が話すと、一瞬だがアブス子爵令嬢の口角が上がった。

 この女、喜んでいる!!ふふっ。ならば、お約束のあの質問をしてみようかしら?

「アブス子爵令嬢は、この旦那様が好きなのかしら?」

 ずっと好きだった相手に嫌いなんて言えないわよね?責任を取ってもらう予定でいるんだろうから…。

「……わ、私は好きというか、その…、憧れてはいましたわ。」

 不合格!!控え目な表現で面白くない。
 今回はブラボーはナシね。

「アナタ、御令嬢が憧れていると話していますわよ。」

「私は何とも思っていない!私の妻はエレノアだけだ!
 アブス子爵令嬢、私は君には何の気持ちもないんだ!申し訳ない。」

 はっきり振ってしまった…。もっと言葉を選んで話そうよー。この伯爵様って、本当に口下手なんだよね。アブス子爵令嬢、ご愁傷様でした。
 でも、やることやっちゃったからね。伯爵様の気持ちなんて今更関係ないのよ。

「ロジャース伯爵!!うちの娘の純潔を奪っておいて、それは無責任ですわ!」

 ぷっ!おばちゃんならそう言ってくると思ったわ。

 優しい鬼嫁が、話をまとめてあげる…。

「アナタ!アブス子爵夫人の言う通りですわよ。
 たとえアナタがアブス子爵令嬢を好きでなくても、興味がなくても、愛せなくても…、責任は取らないといけないのですわ。」

「…っ!私には第二夫人は要らない!エレノアだけなんだ。」

 このバカ詐欺師が!
 アンタがそんなことを口にするから、アブス子爵令嬢の顔色が徐々に悪くなってきているじゃないの。

「旦那様、私を裏切っておきながら、まだそんなことを言っているのですか?
 私は離縁しますので、正妻としてアブス子爵令嬢をお迎えして下さいね。」

「…離縁はしない!」

「ロジャース伯爵夫人、伯爵様は離縁はしないと言っているのですから、どうか離縁はなさらないで下さいませ。うちの娘は第二夫人で我慢させますから!」

 始めは私が小娘だからとあんな態度だったくせに、急に下手に出てきた…。金蔓小娘を逃してなるものかって考えているに違いない。
 やはり、私の稼ぎにたかる気でいたのね。

 アブス子爵家はきっと…、既成事実を作ってさえしまえば、伯爵様にベタ惚れの小娘なら、伯爵様への愛と名誉を守るために、第二夫人を我慢して受け入れるだろうと考えていたんだろうな…。

 甘いよ、アブス!!
 ここはハッキリと言ってやろうか。
 
「いいえ。私は旦那様を愛していませんので、潔く身を引きますわ。
 不貞行為の慰謝料はお願いしますわね。旦那様からとアブス子爵家からそれぞれ払って頂きます。払えないなら裁判しても構いませんわ。
 それと結婚するにあたっての持参金ですが、私はこの家に2億ユールの持参金を入れましたのよ。
 この家は財政難ですから、最低でも1億ユールの持参金をお持ちすることをおすすめしますわ。」

 私としてはあえて裁判に持ち込んで、アブス子爵令嬢と伯爵様の名誉を傷つけたいくらいだわ。
 
 ちなみに持参金2億なんて、王族に嫁げるレベルの大金なのだ。伯爵家への持参金なら、普通なら5千万ユールくらいが相場だと聞いている。
 頭の中がお花畑だったエレノアは、貧乏で借金に苦しむ伯爵様のために、両親に頼み込んでこの高額な持参金を用意してもらった。大金持ちだから、両親は何の問題もなく用意してくれたけど。
 あの時のエレノアは、頭の中に蝶々まで飛んでいたようだ。お花畑エレノアのバカやろーって思うし、エレノア父母も簡単に大金を用意するなよと言いたい。

 第二夫人になって、私の稼ぎにたかる気でいるような子爵家に、その金額を払うのはかなりキツイだろうね…。ふふっ!

「そ、そんな大金は用意出来ませんわ!!」

「子爵夫人。持参金の用意が出来ない嫁が、嫁ぎ先でどんな扱いを受けるのかは分かっていらっしゃるでしょう?
 この伯爵家では、2億ユールの持参金を用意した私ですらこの扱いなのです。
 その金額が用意出来ないなら、今から旦那様と子爵家の皆様でいくらなら折り合いがつくのかを話し合ってくださいませ。
 私への慰謝料と、持参金の額と両方ですわよ。誠意を見せて下さることを期待しておりますわ。
 結婚も離縁もお金の問題なのですから、よろしくお願いしますわね!」

 おばちゃんになるとお金に関してはシビアになるのだ!

「エレノア…、私は君を裏切りたくてこんなことをしたわけではないのだ。
 信じてくれ…。私は君と離縁したくないんだ。慰謝料なら払う。だから…許してくれ。」

 ソファーに座る私の前で跪き、必死に謝る伯爵様。子爵家御一行様は驚いて絶句している。

 これで、私がこの家のボスだって分かったでしょ?


「伯爵様。私には跪かなくて結構ですから、そちらで顔色を悪くしているアブス子爵令嬢に、さっさと跪いてプロポーズでもしてあげて下さい。君を愛することはないが、責任を取って結婚してあげるとでも言えばいいかと思いますわ。
 それでは、あとは皆様で話し合いをしてくださいませ。私は失礼しますわ!ご機嫌よう…。」

 自分の言いたいことだけを一方的に話すのが、おばちゃんは得意なの!
 非常識なことをしているのは分かっているけど、気にせずに応接室から出て行くことにした。

 私は可哀想な被害者ですからね!


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