君を愛するつもりはないと言われた私は、鬼嫁になることにした

せいめ

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謝罪と反撃

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 伯爵様は謝罪に来たようだ。

 真顔で話す姿を見ると、嘘はついてはいないとは思うが…。
 もうすでに貴方には、私の中で結婚詐欺師の称号を与えているの。そんなことを言われても信用出来ない。

 今の私は鬼嫁。前のエレノアとは違うのだ…。

「伯爵様、私達に夫婦としての時間はありましたか?
 …ありませんよね?夫婦として始まる前に、伯爵様自身がそれを拒否したようなものなのですから。
 始まってもいないのに、何をやり直すと言うのです?」

「……っ!あの言葉がそこまでの意味を持つなんて知らなかったのだ。私はそんなつもりで言ったわけでもない。
 私は愛というものをよく知らないし、私の母は父の愛を求めて執着して精神を病んでいた。あれを見て、エレノアまで私に執着するようになったらと考えたら、怖くなってしまった。だからあの言葉を言ったんだ。
 エレノアは母とは全く違うのにな…。本当に申し訳なかった。」

 そういえば、『アラン・ロジャースに関する報告書』に書いてあったな。
 亡くなったお母さんは、前伯爵に相手にされてなくて精神を病んでいたと。前伯爵も愛人の家に住んでいて、家族を顧みることはしなかったから、この伯爵様は寂しい幼少期を過ごしたって。
 両親から愛情をもらえなかったから、愛情がどんなものなのか分からないのかもしれないし、普通の夫婦がどんな感じなのかも分からないのだろう。

 しかし…、だからと言って結婚初夜にあんな事を言っていい理由にはならない。
 婚約期間中に、正直に話してくれれば良かったのだ。

 あの時の頭の中がお花畑のエレノアだったら、孤独なアラン様の為に、私が愛を教えて差し上げますなんて言っていたかもしれないが…。
 おばちゃんの記憶が戻った今の私に言われても、気持ちが冷めきっているから、同情はしてもただそれだけだ。

「伯爵様のお母様のことは、お気の毒だとは思います。しかし、なぜその事情を結婚する前に話してくれなかったのです?
 何も知らない私に、突然あのような事を言ってきて私は傷つきましたし、結婚詐欺にあったような気分になりました。
 今も旦那様がこうやって謝っているのは、金蔓の私がいなくなられたら困るからと、必死に謝っているようにしか見えないのです。
 正直に言うならば、私は旦那様に騙されたと思っていますし、信用出来ません。信用出来ない人の謝罪を受け入れることは難しいのです。」

「君を傷付けたことは申し訳なく思う。本当に後悔しているんだ…。
 私を信用出来ないのは仕方がないよな…。でも、今のままではいたくない。君から信頼してもらえるようになりたいんだ。」

「私はそんなことは望んでおりませんわ。今更、伯爵様の何を信頼しろと言うのです?
 私は今後、伯爵様を愛するつもりはありませんし、私から愛されたいとも思わないで下さい。」

 鬼嫁はあの日の反撃をした。



 
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