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こんな気持ち
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私は一生忘れないだろう…。
花嫁にとって幸せなはずの結婚初夜に
〝私は君を愛するつもりはない。結婚はしたが、伯爵家のため愛のない結婚をしただけだ。私から愛されたいとも思うな。〟
と言われたことを。
私を傷つけておきながら、今更信頼してもらえるようになりたいだなんて、虫のいい話をしているこの結婚詐欺師のような男に、その言葉をそのままお返しすることにした。
「私は今後、伯爵様を愛するつもりはありませんし、私から愛されたいとも思わないで下さい。」
伯爵様は、深く傷ついたような表情をしている。
でも頭の中がお花畑のエレノアは、結婚初夜にそのセリフを言われてもっと傷ついたんだから!!
「………こんな気持ちになるのだな。」
「私は伯爵様のお母様のように、愛されなかったからと執着するつもりはありませんからご安心ください。
去るものを追うこともしませんから、大丈夫ですわ。」
「…エレノア、私は君が許してくれるまで何度でも謝りに来る。
今日は失礼する。忙しいのに悪かった。」
本当に忙しいの!1人で生きていく為には金儲けしないといけないんだから。
その後、しょっちゅう伯爵様が私を訪ねて来るようになる。
忙しい私は、正直面倒になっていた。
「エレノア、今日も君に謝りに来た…。
君を傷つけてしまって申し訳なかった。私が君に言った言葉は、いかに相手を傷つける言葉なのか、今更だが気付いた。
もう、君を傷つけるようなことは言わないように気を付ける。許して欲しい。」
「分かりました。」
「………え?」
「分かりました。」
「許してくれるのか…?」
「許しますが、伯爵様が言ったことを忘れるつもりはありませんし、前のように戻れるとは思わないで下さい。」
「………。」
「お互い愛は望まず、干渉も執着もしないということでお願いします。
伯爵様はそんな結婚生活を望んでいたのでしょうから、問題はありませんよね?」
「許してくれると言っても、それは……。
エレノア、せめて夫婦として、もう少し時間を共有させて欲しい。」
「時間を共有?」
眉間にシワが寄りそうだ。
「一緒の時間を過ごさせて欲しい。私はエレノアに歩み寄りたい。」
この人は何を言っているのだろう?
「許すと言いましたが、それは私達には必要ないことかと思いますわ。」
「お願いだ!このままではダメな気がするのだ。同じ邸に住んでいるのに、顔も合わせない・話もしないなんておかしい。」
家庭内別居だからね。
「伯爵様はお飾りの妻である私に、何を求めているのです?」
「私はお飾りだとは思っていない!!
エレノア、私はこんな夫婦生活を望んでいないのだ。」
私も貴方との夫婦生活は望んでおりませんが…。
「…せめて食事くらいは一緒に食べてくれないか?
お願いだ!」
「食事ですか…?」
また面倒なことを。私はぼっち飯を楽しんでいるのに。
「エレノア…、お願いだ。
信頼されたいなんて我儘は言わないし、愛して欲しいとも言わない。ただ、少しでいいから私を見て欲しい。
食事の時くらいは一緒に過ごさせて欲しいのだ。」
伯爵様が跪いている。
私は鬼嫁であって女王様ではないからね。鞭も持ってませんから!
「伯爵様、立ってください。」
「エレノアが許してくれるまでは立てない!」
私、仕事したいのだけど…。
ハァー、しょうがない。
「では、週に一度くらいなら…。」
「ダメだ!せめて週に二度にしてくれ!」
はあ?我儘になってない?
「お願いだ!」
ああ、もう!
「分かりました。そのかわり、余りに忙しい時は無理ですから。」
「本当か…?エレノアありがとう。」
週に2回、夕飯を一緒に食べることになった鬼嫁。
伯爵様の粘り勝ちだ…。
一緒にご飯を食べると言っても、私は無理に話をするわけではないから、淡々と食べることにした。
伯爵様が時々話しかけて来た時に、質問に答えたりする程度。
一緒に食事をするようになってから、仕事中に訪ねて来ることはなくなったから良かったとは思う。
私としては最低限の会話だが、伯爵様からしたら、会話してもらえるだけ少しはマシになったと思っているようで、ぎこちなかった表情が少しだけ和らいだように見えた。
花嫁にとって幸せなはずの結婚初夜に
〝私は君を愛するつもりはない。結婚はしたが、伯爵家のため愛のない結婚をしただけだ。私から愛されたいとも思うな。〟
と言われたことを。
私を傷つけておきながら、今更信頼してもらえるようになりたいだなんて、虫のいい話をしているこの結婚詐欺師のような男に、その言葉をそのままお返しすることにした。
「私は今後、伯爵様を愛するつもりはありませんし、私から愛されたいとも思わないで下さい。」
伯爵様は、深く傷ついたような表情をしている。
でも頭の中がお花畑のエレノアは、結婚初夜にそのセリフを言われてもっと傷ついたんだから!!
「………こんな気持ちになるのだな。」
「私は伯爵様のお母様のように、愛されなかったからと執着するつもりはありませんからご安心ください。
去るものを追うこともしませんから、大丈夫ですわ。」
「…エレノア、私は君が許してくれるまで何度でも謝りに来る。
今日は失礼する。忙しいのに悪かった。」
本当に忙しいの!1人で生きていく為には金儲けしないといけないんだから。
その後、しょっちゅう伯爵様が私を訪ねて来るようになる。
忙しい私は、正直面倒になっていた。
「エレノア、今日も君に謝りに来た…。
君を傷つけてしまって申し訳なかった。私が君に言った言葉は、いかに相手を傷つける言葉なのか、今更だが気付いた。
もう、君を傷つけるようなことは言わないように気を付ける。許して欲しい。」
「分かりました。」
「………え?」
「分かりました。」
「許してくれるのか…?」
「許しますが、伯爵様が言ったことを忘れるつもりはありませんし、前のように戻れるとは思わないで下さい。」
「………。」
「お互い愛は望まず、干渉も執着もしないということでお願いします。
伯爵様はそんな結婚生活を望んでいたのでしょうから、問題はありませんよね?」
「許してくれると言っても、それは……。
エレノア、せめて夫婦として、もう少し時間を共有させて欲しい。」
「時間を共有?」
眉間にシワが寄りそうだ。
「一緒の時間を過ごさせて欲しい。私はエレノアに歩み寄りたい。」
この人は何を言っているのだろう?
「許すと言いましたが、それは私達には必要ないことかと思いますわ。」
「お願いだ!このままではダメな気がするのだ。同じ邸に住んでいるのに、顔も合わせない・話もしないなんておかしい。」
家庭内別居だからね。
「伯爵様はお飾りの妻である私に、何を求めているのです?」
「私はお飾りだとは思っていない!!
エレノア、私はこんな夫婦生活を望んでいないのだ。」
私も貴方との夫婦生活は望んでおりませんが…。
「…せめて食事くらいは一緒に食べてくれないか?
お願いだ!」
「食事ですか…?」
また面倒なことを。私はぼっち飯を楽しんでいるのに。
「エレノア…、お願いだ。
信頼されたいなんて我儘は言わないし、愛して欲しいとも言わない。ただ、少しでいいから私を見て欲しい。
食事の時くらいは一緒に過ごさせて欲しいのだ。」
伯爵様が跪いている。
私は鬼嫁であって女王様ではないからね。鞭も持ってませんから!
「伯爵様、立ってください。」
「エレノアが許してくれるまでは立てない!」
私、仕事したいのだけど…。
ハァー、しょうがない。
「では、週に一度くらいなら…。」
「ダメだ!せめて週に二度にしてくれ!」
はあ?我儘になってない?
「お願いだ!」
ああ、もう!
「分かりました。そのかわり、余りに忙しい時は無理ですから。」
「本当か…?エレノアありがとう。」
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一緒に食事をするようになってから、仕事中に訪ねて来ることはなくなったから良かったとは思う。
私としては最低限の会話だが、伯爵様からしたら、会話してもらえるだけ少しはマシになったと思っているようで、ぎこちなかった表情が少しだけ和らいだように見えた。
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