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新しい生活
要らない贈り物
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仕事中に面会に来る夫に嫌気がした私は、仕事が忙しいことを理由に断ることにした。
「バーネット伯爵夫人。ご主人が面会に来られています。」
いつもの若い近衛騎士だった。
「申し訳ありませんが、仕事が忙しいので会えないということをお伝え頂けませんか?」
「伝えることは出来ますが、稀に何時間でもお待ちになると言われるお方がいます。そう言った場合はどう致しましょうか?」
確かに、あのお方なら言い出す可能性があるわ…。
「今日は一日お会い出来ないとお伝え頂けますか?」
「畏まりました。」
その後、近衛騎士から呼ばれることはなかったから、バーネット様は帰ってくれたのだと思う。
後日、バーネット様が何度も面会に来られたようだが、忙しいと言って面会を拒否し続けていた。
実際に仕事は忙しかったし、しょっちゅう面会をする必要はないと判断したのだ。
しかし、あの男は屈することなく、色々な手段を使って私に接触してくる。
ある日、仕事が終わり寮に帰って来た時のことであった。
「バーネット夫人。先程ご主人が面会に来られましたので、部屋でお待ちになって頂いております。」
「主人が来たのですか?」
「ええ。ご家族は部屋に通してよい決まりになっておりますので、夫人の部屋でお待ちになって頂いております。」
まさか寮にまで直接訪ねてくるなんて。
伯爵という身分のバーネット様が中で待ちたいと言ったら、寮の使用人達は断れないだろうし…。
気持ちを落ち着かせて自分の部屋に入ると、私の部屋のソファーに座るバーネット様がいた。
「リア、仕事が忙しくて会えないみたいだから、寮に直接会いに来てしまったよ。」
嬉しそうに立ち上がったかと思うと、すぐに私の所まで来て抱きしめるバーネット様。
お茶を運んで来たメイドがいるのを知っていてワザとやっているわね…。私が拒絶出来ないのを知りながら、この男は!
「バーネット様。お恥ずかしいですわ。ほどほどになさいませ。」
さり気なく、至って自然な感じにバーネット様の胸を押し返すが、バーネット様の腕の力が更に強くなるのが分かった。
何を考えて…?
「リア…、久しぶりに会えたのだからこれくらいは許して欲しい。」
バーネット様は、愛してるよ…と囁いた後、そのまま私の頭や額、頬、そして唇にキスを落とす。
メイドはさっとお茶をテーブルに並べると、すぐに部屋から退出してしまった。
私達夫婦に気を遣ってくれたのね…。私にとっては余計な気遣いだけど。
「バーネット様、そろそろ離して下さい。」
部屋に2人きりになったので、ハッキリと拒否するのだが全く無意味だった。
「やっと2人きりになれたのに、離すわけないだろう。」
「……っ。…んっ。」
今度は深く口付けられてしまう。
呼吸が苦しくなり、唇が離れた時には息切れしてしまった。
「リア…、寝室はあのドアの先?」
リビングとダイニングを兼ねた、今私達がいる部屋の隣、あのドアを開けるとベッドルームがある。
まさか…。
「そこまで嫌がらなくてもいいだろう?そんな顔されたら流石に私もショックだ。
リアが可愛くて、つい揶揄ってしまったな。悪かった。座ろうか。」
手を引かれてソファーに並んで座らせられる。
この男は何をしに来たのよ…。
「実はリアに渡したいものがあって来たんだ。」
そう言うと、ポケットの中から小さな小箱を出すバーネット様。
「新しい結婚指輪を持って来たんだよ。
夫婦としてまたやり直したいから、新しい結婚指輪を贈りたいと思ってね。」
「指輪…?そう言ったものは私には必要ありませんわ。」
「そんなことを言わないでくれ。
ほら着けてやろう!」
私の言うことなど、全く聞く耳も持たないのね。
新しい指輪は、私の左手の薬指に吸い付くようにピッタリだった。
まるで、お前を離さないとでも言うように…。
「バーネット伯爵夫人。ご主人が面会に来られています。」
いつもの若い近衛騎士だった。
「申し訳ありませんが、仕事が忙しいので会えないということをお伝え頂けませんか?」
「伝えることは出来ますが、稀に何時間でもお待ちになると言われるお方がいます。そう言った場合はどう致しましょうか?」
確かに、あのお方なら言い出す可能性があるわ…。
「今日は一日お会い出来ないとお伝え頂けますか?」
「畏まりました。」
その後、近衛騎士から呼ばれることはなかったから、バーネット様は帰ってくれたのだと思う。
後日、バーネット様が何度も面会に来られたようだが、忙しいと言って面会を拒否し続けていた。
実際に仕事は忙しかったし、しょっちゅう面会をする必要はないと判断したのだ。
しかし、あの男は屈することなく、色々な手段を使って私に接触してくる。
ある日、仕事が終わり寮に帰って来た時のことであった。
「バーネット夫人。先程ご主人が面会に来られましたので、部屋でお待ちになって頂いております。」
「主人が来たのですか?」
「ええ。ご家族は部屋に通してよい決まりになっておりますので、夫人の部屋でお待ちになって頂いております。」
まさか寮にまで直接訪ねてくるなんて。
伯爵という身分のバーネット様が中で待ちたいと言ったら、寮の使用人達は断れないだろうし…。
気持ちを落ち着かせて自分の部屋に入ると、私の部屋のソファーに座るバーネット様がいた。
「リア、仕事が忙しくて会えないみたいだから、寮に直接会いに来てしまったよ。」
嬉しそうに立ち上がったかと思うと、すぐに私の所まで来て抱きしめるバーネット様。
お茶を運んで来たメイドがいるのを知っていてワザとやっているわね…。私が拒絶出来ないのを知りながら、この男は!
「バーネット様。お恥ずかしいですわ。ほどほどになさいませ。」
さり気なく、至って自然な感じにバーネット様の胸を押し返すが、バーネット様の腕の力が更に強くなるのが分かった。
何を考えて…?
「リア…、久しぶりに会えたのだからこれくらいは許して欲しい。」
バーネット様は、愛してるよ…と囁いた後、そのまま私の頭や額、頬、そして唇にキスを落とす。
メイドはさっとお茶をテーブルに並べると、すぐに部屋から退出してしまった。
私達夫婦に気を遣ってくれたのね…。私にとっては余計な気遣いだけど。
「バーネット様、そろそろ離して下さい。」
部屋に2人きりになったので、ハッキリと拒否するのだが全く無意味だった。
「やっと2人きりになれたのに、離すわけないだろう。」
「……っ。…んっ。」
今度は深く口付けられてしまう。
呼吸が苦しくなり、唇が離れた時には息切れしてしまった。
「リア…、寝室はあのドアの先?」
リビングとダイニングを兼ねた、今私達がいる部屋の隣、あのドアを開けるとベッドルームがある。
まさか…。
「そこまで嫌がらなくてもいいだろう?そんな顔されたら流石に私もショックだ。
リアが可愛くて、つい揶揄ってしまったな。悪かった。座ろうか。」
手を引かれてソファーに並んで座らせられる。
この男は何をしに来たのよ…。
「実はリアに渡したいものがあって来たんだ。」
そう言うと、ポケットの中から小さな小箱を出すバーネット様。
「新しい結婚指輪を持って来たんだよ。
夫婦としてまたやり直したいから、新しい結婚指輪を贈りたいと思ってね。」
「指輪…?そう言ったものは私には必要ありませんわ。」
「そんなことを言わないでくれ。
ほら着けてやろう!」
私の言うことなど、全く聞く耳も持たないのね。
新しい指輪は、私の左手の薬指に吸い付くようにピッタリだった。
まるで、お前を離さないとでも言うように…。
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