まだ20歳の未亡人なので、この後は好きに生きてもいいですか?

せいめ

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新しい生活

貴方ばかり狡い

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 バーネット様は私の夫だと周りから認められたことで、私の職場にしょっちゅう面会にくるようになる。
 家族は面会の許可が下りるので、それを上手く利用したのだ。


「バーネット様。今日はどうなさいましたか?」


 仕事中にご主人が面会に来ていますと言われた私は、応接室に来ている。
 仕事が忙しいから、面会にくるのは少し控えて欲しいと話したはずなのに。

「リア…。私は愛する妻の顔を見たいと思って来ているだけだ。
 正式に夫婦に戻れたのだから、早く伯爵家の邸に引っ越して来て欲しい。いつなら大丈夫だろうか?
 私としては、出来るだけ早く君と一緒に住みたいと思っている。」


 面会に訪れたバーネット様は、全く悪びれる様子もなく和かな表情をしている。
 この顔に騙されて、過去にこの男に憧れていた令嬢が沢山いたことを思いだす。


「仕事が忙しいのでそれは出来ませんわ。」

「夫婦なのだから一緒に住むべきだろう。一緒に住むのが難しいくらい忙しい仕事なのか?そこまで無理に働く必要はない。すぐに退職を願い出るべきだ。」
 

 やはり辞めるようにと言って来たわね…


「バーネット様。私はこの仕事に誇りを持ってやっておりますわ。
 それなのに、貴方様はこの仕事を否定されるのですのね。」

「否定をしている訳ではないが、夫婦が一緒に居られないような仕事を、君がやる必要はないと言っているのだ。」

「騎士の妻は気の毒ですわね…。
 夫が長期の遠征で家を空け、夫婦が一緒にいる時間が少なくても、ひたすら耐えなくてはいけないのですから。
 騎士の夫が遠征先で自由に女遊びをしたとしても、妻の方は文句も言わずに我慢しなくてはいけないのですから。
 本当に不公平ですわ!」

「リア、それとこれとは違う!」

「そうでしょうか?騎士という仕事ならば何でも許されるのに、王妃殿下の侍女という仕事の私は、何も許されないと言っているように聞こえますわよ。
 私は貴方が忙しいことや、長期で家を空けることに対して何も文句はいいませんでした。騎士が遠征先で愛人を囲ったり、娼館に行くということを知っても何も言いませんでしたわ。」

「私は婚約期間中に君を裏切ったことは認めるが、結婚してからは何もしていない。
 それだけは信じてくれ。」


 先程とは違った必死な表情だわ…。


「ふふっ!婚約期間中、沢山私を裏切っておきながら信じてくれとおっしゃるのですか?
 どうやって貴方を信じろというのです?
 前にもいいましたが、私だって恋がしたかった。もっと自由に生きたかった。
 貴方ばかり狡い…。」


 私を縛り付けるだけのこの男に我慢ならなかった。


「……っ!私が愛しているのは君だけだと言っている。愛人なんて持ったこともない。
 騎士団は辞めるから、前のように辛い思いはさせない。これからの私を見て欲しい。」

「貴方を見ていると、使用人とまぐわっていたあの日を思い出して辛いのだと、私は何度も言いましたわ。
 私は貴方が騎士団で働くことに口は出しませんでしたし、仕事中に押しかけて邪魔をすることもしませんでした。勿論これからも騎士団で働くことに対してや、遠征先で女遊びをしようが、使用人とまぐわおうが私は文句を言うつもりはありません。
 その代わり、バーネット様も私の仕事を少しは理解してくださいませ。
 忙しいので、これで失礼致します。」

「リア…!待ってくれ!」

 
 もう前のように良き妻を演じる気力が湧かなかった。
 そんな私は、バーネット様を突き放すような事を沢山言っていた。

 いい加減に私を嫌いになって欲しかった。そうすれば、離縁に応じてくれると考えたから…。

 でも…、私が突き話すような態度をとることで、バーネット様は更に私に執着するようになってしまったのかもしれない。


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