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エビリアスチキルコンダラスとシャケリーベトポス?

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「よしっ!じゃあアンディ行ってきます!」

朝日が昇るか昇らないかの早朝。ケイトはスカイとの約束の日を迎えていた。話を持ちかけてたったの数日でフィールドワークにまで持ち込んだのだが、それでも待ち侘びていた朝だった。まだ寝ぼけまなこのアンドルーのおでこにキスをして颯爽と玄関を後にする。木の実を採るのに使われていた網を事前に手に入れていて、川や海でも使えるように少し網目を広げたり、編んである紐を太くして強度を上げたりしておいた。獲った魚をその場で食べられるかもしれないと火おこしグッツもしっかりと背中のリュックに入れてある。

ケイトはかつての人生の記憶を持っている。それでもプライバシー保護なのか、何か条件があるのかわからないが、相対あいたいしてきた人物の詳細は分からないのだ。顔はおろか、名前もわからない。全く記憶にない訳ではないのだが、顔の部分や特徴的と思われる部分がぼやけているような感じだ。関係性は多少分かるにしてもうまく思い出せない。だが生活の知恵やそれ以外の知識はそっくりそのまま覚えている。料理だって今までできていたレベルまでは問題なく、似たような調味料や材料は判別できるし、その上、毒の有無などは本能的に分かる。だから二度目の人生でも今の人生でも食べるのには苦労しない。ただ食べられるからと言ってそれが美味しいとは限らない。二度目の人生では生活に困る事はまあなかったが、食事は最低限の味だった。それに引き換え、このガータで過ごすケイトの人生では、食事も生活も出会う人々も住む土地の環境さえも全てに恵まれている。調味料の類もほとんど馴染みがあるし、野菜や果物に関してもそうだ。サイズや用途が若干違う事はあっても、それはそれでとても美味しいものなのだ。戦乱の世でもない、実績のある王室を中心としたこの国は不文律ふぶんりつでもあるのか、諸外国に侵攻されたりと言うような物騒な事もない様子。一年近く色々な事を試しているが、基本的にこの国の中で全て収まっている。夫となったアンディは国政のトップに近い位置にいるが、その様子を見る限りでも何か近隣と問題を抱えている訳でもなさそうだった。ほんのたまに近隣国にいる王族の親戚が訪ねてくる事はあるものの、基本的に城内でまったりとして気が済んだら帰っていく。その間に他の王族が決まりきったレセプションやパーティーをするでもなく、気が向いたらポカポカ陽気の中、窓際や中庭のガゼボでうとうとと日向ぼっこをしているだけのようなのだ。それでも目配せでお互いにとても通じ合っていて、人とはまた違ったコミュニケーションがこの世界でもあるのだろうと見かける度に思うのだった。時折あの大きなもふもふの間に挟まれてお昼寝したい欲に駆られるが、相手は王族・・・。伝説のケイトと言う立場を以てしても、夫の立場に影響を与えてしまう可能性すらある。と毎度冷静になって自分を抑えている。その点、アンディは幼馴染の王様が四六時中じゃれつくからもふもふし放題・・・。特に何の問題もないガータの暮らしでただ唯一のマイナスの気持ちかもしれない。これは夫への愛情からの嫉妬なのか、もふもふし放題な事に対する嫉妬なのか、実際よくわからないのだ。ただその光景はとても幸せな空気に満ちていて、見ていてほっこりするのも確か。マイペースと言えど、一国を担う王の立場。また種族の特性からも家族に頼る事もあまりない。とは言え、人でもこのような立場なら家族よりも側近、の可能性は大いにあるのかもしれない。ただし、今までの人生で王族や貴族の経験はないから創作物や噂がソースではあるのだけれど。二度目の人生で無理やり領主の愛人にされそうになった事はあった。それでも愛人だったから、その立場になったとて、気持ちはわからなかっただろう。

それはそうと、朝も早くから鼻息を荒くして、大きいリュックを背に向かうは診療所。とりあえずはそこに集合してスカイと一緒にその日の天候に応じて海に行くか川に行くか決める事にしていた。

コンコン・・・

ノックが終わるか終わらないか、のところで診療所のドアがガチャリと開き、スカイが飛び出てきてケイトに抱きつく。先生の事は好きではあったし、これまでも沢山お話はしてきたものの、それでも突然の距離感にケイトは戸惑った。それをいち早く感じ取ったスカイは一旦離れるもまたぎゅうっとケイトを抱きしめる。

「先生。おはようございます。どうしたんですか??」
「ケイトさん、おはよう!今日は先生と患者ではないの。私はオフでケイトさんと出かけるのよ。だから先生って呼ぶのもやめて、スカイって呼んでちょうだい。私もケイトって呼んでもいいかしら?」
「ふふ。わかりました。では私の事もどうぞケイトとお呼びください。スカイ。」

ふっとスカイの目に涙が浮かんだ気がしたが、それは差し込む朝日が目に入ってしまったのかもしれないとケイトは深く受け止めなかった。もしくは朝早いからあくびをしてその上で目が潤んでいるのだろうと。その後すぐに今日は天気がいいからまずは川に行ってみようと言い出したスカイに手を引かれて向かった馬車に乗るとそんな事はすっかり忘れてしまった。

普段の移動には馭者ぎょしゃがついてケイトは後ろの客車に乗るだけだった。今日はスカイが馭者席に座り、道中の手綱を握るようだった。ところがやはりケイトもスカイも立場上、2人だけでの外出は許されず、用心棒代わりのカイが馬で同行する事になっていた。本来はアンドルーが行こうと調整をしていたものの、やはり王様の側近である以上、それは難しかったようで信頼のおけるカイにその役目が回ってきたと言う訳だ。

「スカイ先生。もし良ければ私が馬車を駆りますが、本当にご自身で?」
「ええ、今日は私のお休みでもあるし、目一杯楽しみたいの。大丈夫よ。私はこの職に就くまでは結構馬車にも乗っていたし、任せてちょうだい。ケイトはここね、私の隣に座って。普段こんな所座らないでしょ?」
「ええ!わあすごい。私も馬車を駆れるようになりたいものだわ。まあまずは乗馬からかしら・・・。なかなかアンディの合格点をもらえないのよね。」
「アンドルー様はケイト様に乗馬を教えるのを本当に楽しみにされているから、もしかしたらわざとだったりして・・・。」

スカイがそれはあり得ると吹き出して笑うとでしょう?とカイが軽口を重ねて、3人の小旅行が始まった。とは言っても、かつてトイレ砂用の鉱石を採掘する現場を見に行った時よりは近場だから馬車でゆっくり進んだとて、小一時間で着くような場所だった。城下町とは反対方向、城の裏手には林からの森が連なっていて、そこには大小様々な川が流れているのだ。その全ては飲用できる清浄な水で、場所によっては効能があるものさえあった。じっくりと探せばもしかすると自然に湧き出している炭酸泉や温泉も発見できるのかもしれない。

あまり揺れないように道を選んで進んでくれてはいるが、それでも時折ガタンと揺れる荷馬車の新鮮さに気を取られているうちに今日の目的地に辿り着いた。

そこは川幅が10mくらいあろうか。水量はそう多くもないが、靴を脱いで入ってみた川は膝くらいの深さがある所もあった。ヤマメやあゆのような川魚を想像して川に入ったものの、時折見える群れはクラゲのような透明な生き物だ。川や海は今までもガータで何度も見てはいるものの、それでもこんなに近づいては見ていなかった。動くものがあったから魚だろうと思っていたが、姿形すがたかたちは若干知るものとは違う様子である。ただわかる。これに毒はなく、食べられる。そして魚の一種だ。あまり素早い訳でもなさそうだが、さすがに手掴みは難しいかもしれない。馬車の荷台から用意していた網とバケツを持ってくると早速その透明な魚らしきものに照準を合わせる。

パシャッツ!

最初の網にしては上出来だろう。ワクワクしながらケイトは網の中を見ると、細長いタイプのものと少し平べったいタイプが2種類獲れている。そのまま網に入れたままだとその網目からぷるんと抜け出てしまいそうだったから、川の水を張ったバケツに恐る恐る移した後、河辺にいたスカイとカイに見せに行った。

「わあ!」

バケツの中を見た2人は笑顔になる。ただ、今までにこれを食べた事のあるスカイと全くそんな気を持った事がなかったカイとでは思う所が違う。感嘆の後の言葉が美味しそうと可愛い、だったのがわかりやすい所だろう。

「スカイ。これを食べた事があるの?」
「ええ。細長い方はあるわ。平たいのはちゃんと食べた事はないけれど食べられるわよ。」
「え!これを食べるんですか?」
「え、カイ。今日の事アンディにどう聞いてきてるの?」
「えっと、ケイト様とスカイ先生が水辺に行くからその警護を、と。」
「あ、詳細は何も知らされていなかったのね。私が前回ロロやキースと砂の開発をしていたでしょう。あれはもう軌道に乗ったから、知っての通り2人に任せてるの。今度は陛下に食事のバリエーションが増やせないかとアンディが内々に打診されたのよ。まだどうなるかは分からないけれど、今回は全く手付かずの魚に目をつけたって訳。王族の種族である猫族が人と同じものを全部食べられる訳ではないから、今回スカイ先生にお手伝いいただいてるのよ。大体でも形になれば公にするんだけれど、まだそれを試している段階でね。いずれカイにはまたお手伝いいただく事もあるだろうし、先に現場を知ってもらいたいってのもあって、今回私からアンディにお願いしたの。」
「そうだったんですか。ケイト様のお願いだったと聞いて納得しました。それでも昨日までどうにか自分が行けないかと画策していましたがね、アンドルー様は・・・。」
「アンドルー様は本当にケイトに首ったけだこと。まあこれだけ可愛いんじゃしょうがないか。」

そう言ってケイトの頬にキスをするスカイを見て、カイがギョッとする。その様にもすぐに気がつき、ニヤリと笑うものだからより一層カイの背中には冷たい何かがツーッと流れる気がしたのだ。それにまたケイトが全く動じていない。と言う事は、アンドルー様のように会う度にこのようなやり取りをしているのかもしれない。とりあえずこれ以上微妙な様子を目撃するのは心臓に悪いから、魚に興味を移す事にした。

持ってきた2個のバケツがいっぱいになる頃、ケイトのお腹がぐうっと鳴ったのをきっかけに3人はランチを摂る事にした。朝早く起きてケイトが自家製ジャムを塗ったジャムサンドを用意していたので、それをつまみながらこの後の事を話し合う。

獲ってきた魚はスカイの助言で茹でと焼きの二つの調理法を試す事になった。とりあえず持参した火おこしキットで火を起こす。そして鍋に川の水を汲み、湯を沸かす。これらの知識はケイトの最初の人生における経験が大きく役立ち、いとも簡単にやってのける事ができた。どうやらこの魚類から血が出る事はなく、生臭さもない。ツルツルしている部分が多いので、しっかり掴んでいないと落としてしまうが、注意点はその位なもので、想定していた魚よりもずっとずっと扱いやすい。この様子だと腐敗速度にも差はありそうだが、とりあえず輸送をするならばある程度冷やす必要はあるだろう。その話を出した時に、初めて城内に氷庫ひょうこと呼ばれる場所がある事を知った。年中通して過ごしやすい気温のガータでは冷たいものを食べて涼を得なければやりすごせないような日々はほぼない。ただ、何代か前の姫君が嫁いだ先が雪国で、その国から毎年新雪と氷塊が贈られてくるのだという。今はほんのたまに熱が出た時にスカイが使う位で後はうまく使いこなせていないようだった。その氷庫の氷と雪はそれなりの量がある上に毎年補充されるとなれば、それをそのまま魚の輸送に活かす事もできるだろう。足りないようなら交渉をしてみる事だってできるかもしれない。ガータまでの輸送を考えると、その輸送手段に関しても今後話を聞いてみたい位だ。そう考えを広げていると、かつて嗅いだ事のある美味しい、香ばしい香りが鼻腔をくすぐり、ケイトは瞬時に意識を戻す。

「スカイ!これはあとどの位で食べられるかしら?すごくいい香りがしているわ。もう食べられる?」
「そうね、あと少し焦げ目をつけた方が美味しいかもしれないわ。あ、茹でている方はもう食べられそうね。茹で汁をスープにして飲む国もあるらしいから、それも味見してみたら?調味料もある程度持ってきたから、色々試してみるのもいいわね。」
「・・・本当にこれを食べるんですか?」
「あら、カイ。まだ疑ってるのね。でもまあそれは仕方ないわよ。ガータの人々や王族は基本的に魚や肉は口にしないから驚くわよね。私たちが先に食べるから、もし食べたくなったら言ってちょうだい。」
「わ、わかりました。」
「あ、でも香りや見た目はどう?それは純粋なガータの人の感想になると思うの。もし今回この魚が食材としてうまく使えたら、城下でお店を出そうとも思っているのよ。」
「ケイト様、食事処までお考えなんですか??確かに普段ご馳走になるお食事は絶品ですもんね。そうなんですか。そうですね。正直見た目は微妙です。慣れもあるとは思うので、次に見たら同じ印象は受けないかもしれません。香りは新しいですが、美味しそうです。だからこの形でなくて、例えば小さく切るとかすれば抵抗はないかと思います。」
「なるほど。かなり重要な意見だわ。だって同じガータ国民のはずのスカイはそのままかぶりついてるからね・・・。この反応は普通じゃないって事を知るのはとても重要だわ。」

スカイが多少変わっている事は薄々勘付いてはいたが、今日の様子を見る限り多少、と言うレベルではないのかもしれない。恐らく魚に対しての反応はカイが正しくて、本能的にそれを問題ないとジャッジできるケイトとて、あんな風にかぶりつくには少し勇気がいった。とは言え、先駆者がいればそれに続く者の気分は楽なもので、差し出された串焼きを疑う事なくパクりと行けるのは幸せな事だ。

「美味しい!エビだ!え!美味しいいいいい!」
「えび?あぁ、これの名前は確か・・・エビリアスチキルコンダラスだったから、呼びやすくそれでいいのかも。つまりケイトはこの味を知っているのね?」
「ええ、私が前に過ごした人生で食べた事があるものに味がすごく似ているの。でも確かこれは私の知る猫族にはあまり良いものではなかった気がする。人は大好物なんだけどね。そして見た目はもっとこういかつかったわ。味は好きだったんだけど、見た目は怖かったの。殻と呼ばれる表皮のような硬いもので覆われていてね。大きいものだとそれをお皿にしたりしていた位。」
「ケイトは本当によく知っているのね。そう、このエビリアスチキルコンダラスは人族には問題ないのだけれど、猫族には与えない方がいいと思うわ。微量は問題ないけれど、成分があまりよろしくない。味は嫌いではないだろうから、気をつけた方がいいわ。これは人族向けにした方がいいでしょう。つまりカイは食べられるから、気になるなら少しかじってみたら?」

確かに先ほどから立ち上る香りはとても美味しそうで、いぶかしげだったカイも美味しそうなものを食べてみたいという好奇心には勝てない領域に達していた。恐る恐る手を伸ばし、ひとかけらだけ手に載せてもらう。クンクンと匂いを嗅ぐと、やはり最上級にいい香りしかしない。野菜や果物に火を通した時とはまた全く違う美味しそうな香りだ。思い切って口に放り込むとその芳醇な香りと今まで噛んだ事のない不思議な食感に目を丸くする。

「スカイ、見て見て。多分カイもエビの虜だわ!」
「本当ね。あの表情で不味いなんて言ったら笑っちゃう。」
「・・・お、美味しいです。エビリアスチキルコンダラス・・・。」
「カイ、あなたその名前をフルで覚えている事の方に私は今は驚いているかもしれないけれど、でもそうでしょう?美味しかったでしょう?」
「はい・・・。何故今まで食べた事がなかったのか見当がつきませんよ。何でだろう。こんなに美味しいのに。」
「そうね。実際のところ、そんなに深い意味はないと思うわ。この国は特に大きく手を加えなくても農作物は美味しくできるし、果物だってたわわに実る。それを食べていてお腹いっぱいになるのであれば、あえて他のものを探す必要もない、ただそれだけだと思う。近隣諸国では他にも肉を食べたりもするけれど、それはやはりその土地で食べ物を必要とする生き物に対して、食べ物が足りないからだったりもするし。あとは種族によってどの食べ物の方が体に合うかって言う相性みたいなものもあるの。例えばそうね・・・、王族の方々は猫族よね。彼らはネギ類は食べられない。ニンニクもそうなんだけれど、食べられないと言うよりは食べたらダメね。実はこれは犬族もそう。でも人族は大丈夫よね。逆に体に合った食べ物と言うのもあってね。実は猫族は肉食だから、今のメインの菜食でもいいけれど、それよりも魚や肉の方が体の組成的には合っているのよ。まあ好き嫌いもあるから何とも言えないところはあるけど、基本的なところはそうね。栄養素って概念はカイも知っているでしょう?長寿に効くとか、美しくなるって言っていいと言われるものだけを食べたってダメなの。結局はバランス。今は基本的に卵から摂っている特定の栄養素が実はこの魚からも摂れる。ケイトがやろうとしている事はそのバランスをより安定的なものにできる。そう聞くとそんなに構える内容でもないでしょう?」
「確かに・・・。同じ言葉を喋って、同じものを食べているから同じなのかと思っていましたけど、よく考えたら、そもそも種族は違うし、体の作りも違いますもんね。食べたらいけないものまであったんだ。確かに俺には尻尾ないもんな・・・。そっか。勉強になりました。」
「ははは、そうね。カイには尻尾があっても可愛い気がするけれど、現時点ではないわね。」
「付け尻尾・・・それもいいかもしれないわね・・・。まあそれは置いておいて。食べ物に関して今はいいけれど、もしいつか今食べているものが突然採れなくなったりしたら、バリエーションがあった方がすぐに対応できるじゃない?まあでもそんなに深刻な話じゃなくて、純粋に美味しいから。無理強いはしないけれど、食べられるものが増えるのは幸せじゃない?ケイトはそう思ったから、陛下の気が向いているうちに何か新しい事ができないかなって。種族の体質の違いをうまく取り込めるようにスカイに、一般的な人族は純粋にどう感じるかを知りたかったからカイにも来てもらって協力してもらっているのよ。本当に今日は2人ともありがとね!」

そう話しながらもケイトの目線は鍋に釘付けだった。焼いたエビリアスチキルコンダラスとはまた違った香りで、不思議だ。それでも先ほどの味を思えば、これも美味しいに違いないと一同はよだれを垂らす勢いだった。

「スカイ。これは何と呼ばれているの?私の中では鮭・・・サーモンに近い感じがするわ。」
「これはシャケリーベトポス。身がオレンジがかってるから、丸く切って器に入れておいたらゼリーと思われそうな見た目よね。」
「ゼリーと思って食べちゃうとなかなか大変ね・・・。でもやっぱり思っているのと似ている気がする。もう食べて見てもいいかしら?」
「ええ。食べてみましょう。とりあえずただ茹でただけのものね。カイはどうする?とりあえず見てる?」
「食べても大丈夫なんですよね・・・?だったら少し欲しいです。」
「大丈夫だけど、じゃあ安心させるために私が先に食べるから。ん!いいわね。ぷりぷりしてて美味しい。味はそうね、比較的あっさりしているかもしれない。さっき食べたエビリアスチキルコンダラスの方が元々の味は濃い気がする。でもこの方が猫族にはいいかもしれない。うん、ちゃんと食べたのは久しぶりだけどいいわね。ケイトもカイも試してみて。ケイトはスープも味をみてみて。その上で少し味付けまでしてみない?」
「あ~~~、これ鮭だぁ!美味しい!これも何て調理しやすい形になってくれているの。エビ同様に鮭もこんな見た目じゃなかったのよ。生々しい話なんだけれど、この世界の食べられるお魚には内臓とかってないの?この見た目だと何だか生物というよりも、水の中に生える作物のような感覚だわ。私が知る魚は結構調理するまでに技術が必要だったのよ。その技術が未熟だと生臭くなっちゃったり、味を落としたりして難しい食材だったのよね。でもこれって網で捕まえて、鍋に入れただけよね・・・?」
「そうよ。どうなっているのか正確に説明はできないのだけれど、切らずとも熱を加えるとサイコロ状にバラバラになるのがこのシャケリーベトポスの特徴ね。そして皮を剥いたり、何かを切り落としたりとかはなく、全部食べられるわ。ただまあバラバラになっちゃうからエビリアスチキルコンダラスのように串に刺して焼くのはちょっと難しいかも。でも焼いてももちろん美味しいわよ。その場合はフライパンとかで焼けば問題ないし。確か持ってきていたような・・・。あ!あるじゃない!カイ、一つか二つシャケリーベトポスを獲ってきて。それを今度はオリーブオイルで焼いてみましょう。」

はあい、と言って網を持ったカイがバシャバシャと川に入っていく。こんなに適当に入って獲れるのだろうかとケイトは思ったりもしたが、それは杞憂だった。カイはものの数分で網に5つほどのシャケリーベトポスを獲って嬉しそうに帰ってきた。

「わぁ!大漁だわ!」
「タイリョウ?」
「あ、これは使われない言葉なのね。昔使っていた言葉でね、魚を獲りにいく事を漁と呼んだの。たっくさん獲れた時は大漁って言ったのよ。船で漁に出る仕事もあってね、それに従事する人は漁師って言うんだけど、その人たちが大漁旗って旗を掲げて港に入ってくるとね、港で待つ家族はわあ今日は大漁だったんだって喜んだり。そう言う世界もあるのよ。もしかしたら、知らない外国ではあったりするかもしれないわね。いつか行ってみるのもいいかもしれない。」
「スカイ先生も沢山の事を知っておいでですが、ケイト様の知識も素晴らしいですよね。毎回聞いて驚きます。この国では船に乗る事も稀ですし、それを生業にするのは本当に限られた海辺の人々のみですしねえ。面白いです。」
「お待たせしました!シャケリーベトポスのオリーブオイルソテーが出来上がりましたよお!」
「わぁ!!」

スカイが手際よくオリーブオイルで焼いたシャケリーベトポスは茹でたものとまた違った美味しさで、カリッと焼けた部分は香ばしく、中はふんわりだ。フライパンで焼いたものも、ある一定の温度になるとパラっとほぐれるようでサイコロ状になっていた。最初は恐る恐るだったカイはもう全く疑う事もなく、パクパクとシャケリーベトポスをつまんでいる。そうするとまたジュッと小気味よい音が聞こえてきた。

「スカイ?まだシャケリーベトポスを焼くの?」
「まあまあ楽しみに待っていなさいな。」

そう言いながら、薄切りにしたジャガイモを先ほどシャケリーベトポスを焼いたフライパンに入れていく。するとどこから手に入れてきたのか青々としたパセリをちぎって同じように入れていく。ジューっという音がパチパチと言う音に変わり始めた頃、焼いたシャケリーベトポスをよそっていたお皿に出来立てのパセリポテトが追加された。

「これはもう・・・疑う余地、全くもってありません・・・!美味しいに決まってますよ!シャケリーベトポスの風味がそもそも美味しいパセリポテトに絡んで美味しい!!!」
「カイがすっかり虜になったわね。これはアンディから召し上げるのも手だわ・・・。この感じだとトイレ砂のように事業に出来そうだし、そうなるとまた仲間を集めなきゃ。」
「私はケイト様のお望みとあらば、いつでも使いっ走りになりますよ!アンドルー様にも恩はありますが、ここは仕方ないです!」
「ふふふ、カイったら。美味しいもの目当てだってのはバレてるのよ。スカイはどうかしら。味に間違いない事は確認できたから、この後ちゃんとした事業にしていこうと思うの。もし興味があってお手伝いいただけるなら、アンディ経由で正式に依頼させていただきます。」
「私もカイと同じかもしれないわ。美味しいものが食べられるなら喜んでお手伝いするわよ。お役に立てるなら是非お手伝いしたいわ。」
「嬉しい!そうなると・・・。今日は一旦片付けて、帰りましょうか。あ、バケツに水を張った状態で持って帰ってどの位持つものかのか試してみたいのだけれど、どうかしら。」
「馬車が揺れるから、溢れない程度となると、エビリアスチキルコンダラスとシャケリーベトポスそれぞれ2、3個くらいかしら。じゃあ、カイ。もう一度適当に捕まえて来てくれる?私は馬車の準備をしてくるわ。ケイトはここの片付けをお願いできる?」

ケイトとカイは元気よく返事をしてそれぞれ割り振られた仕事に取り組んだ。そろそろ陽が傾き始める頃だ。ここから城までは近いものだが、それでもここガータの夜は冷え込む。建物の中にでもいればそう気になるものではないが、夜に外に出るには外套がいとうが必要だ。使いっ走りのように扱われているカイでさえ、実質No.2とも言えるし、スカイも王族のお抱え医師。ケイトは言わずもがな。つまり新しい事業の為とは言えど、川で濡れた体が夜闇に冷えて風邪を引きました、とは言えない立場なのだ。ケイトが風邪を引こうものならアンドルーが仕事にならないし、そうなると王様が困ってしまう。スカイが寝込めば王族の健康が脅かされる。カイが倒れては、アンドルーの仕事が回らなくなる。みんな誰かの為に元気でいる必要があった。

一行の到着をどう感じ取ったのか、城に着くとアンドルーが荷捌き場で待っていた。馬車を停めると近寄ってきて、笑顔でケイトを出迎える。王様がちょうどお昼寝に入っている時間だから、手空きだったようだ。

「おや、ケイト。ケイトからいい香りがするね。」
「え?そっか、さっきまで河原で色々と料理をして試食していたから。スカイはとっても料理が上手だし、カイは掴まえるのがとっても上手。2人ともすごく助けてくれて、とても良い調査ができたわ。早速これを事業に格上げしたいの。スカイもカイもお手伝いしてくれるって言ってるわ。」
「いい結果が出たようで良かったよ。スカイ先生に関しては一度陛下にもお伺いを立てた上で、診療に支障のない程度でのお手伝いを依頼する事になると思う。実際はロロやキースのような専任を改めて探す必要があるかな。カイは私の部下だからダメだよ。それはいくらケイトのお願いでも聞けないな。カイがいなくなったら、私の仕事を押し付けられる部下がいなくなってしまって、ケイトと過ごす時間が少なくなってしまうんだよ。わかってね。」
「そっか。それなら仕方ないわね。カイは諦めるわ。スカイの事はよろしくね。」

ケイト様にあっさり捨てられたぁと嘘泣きをするカイをアンドルーが締め上げそうになり、それをケイトが止めに入る。ケイトが現れるまでも関係が悪かったわけではないが、アンドルーとカイの関係は分かりやすく軟化した。仕事一筋だったアンドルーに必要だった隙が生まれて、肩の力が抜けたような、その少し和らいだ雰囲気に皆ほだされた。

カイがバケツをケイトの研究室に運んでくると、アンドルーがそれを繁々しげしげと覗き込む。水の中でふよふよと動くそれは不思議なもので、あまり普段見かける事のない生態だった。動くものが好きな王様なら、水の中とは言えど、ちょいちょいと手を出してしまうだろう。もしかすると観賞用に城内に置いても綺麗かもしれないな、とも考えるほどに、透明でありながら、薄く色のついた二つの水生生物すいせいせいぶつはとても目を惹いた。

「アンディ、この名前知ってる?」
「確かこのピンク色がエビリアスチキルコンダラスで、オレンジがかっている少し大きめのものがシャケリーベトポスかな。」
「さっすが!すごいわ、旦那様。」
「とは言っても現物をこんなに近くで見るのは初めてだよ。食べられる事は書物で知っていたけれど、あまり馴染みがないからね。これが城の裏手の川にいるのかい?」
「ええ、結構な量いるわね。川はまだ他にもあるし、他の川の様子も確認してどれくらい獲れるものなのかも確認してみたいところ。美味しいからって乱獲したら二度と食べられなくなってしまうし、適量を探っていく必要があるわ。それと同時に人為的に増やす事ができるのであれば、それは安定供給にも繋がるから助かるのよね・・・。せっかくだからアンディも食べてみる?一つくらいなら食べても平気よ。後の個体はちょっと何日持つかを試してみたいから置いておきたいんだけど。」
「じゃあ今日の夕飯にお願いしようかな。楽しみにしてるよ。そろそろ陛下が起き出す頃だから、カイを連れて一旦戻るね。」

名残惜しそうなカイの首根っこを掴んでひきづりながら、ケイトを抱き寄せておでこにキスをする。また後でね、と言う甘い囁きに警戒したカイがコホンと咳払いをする。王様起きちゃいますよ、と声をかけるカイに先に行けと手で合図するともう一度ケイトを抱きしめて頭を撫でる。このままでは本当にまた王様が暴れ始めてしまうので、今度はカイが失礼します、と言ってアンドルーを引きづるようにして、笑いながら部屋から出て行った。遠くからアンドルーがカイを怒り、それにやんやと応戦するカイの声が響いていた。

起き出した王様はアンドルーとカイの2人から普段しないいい香りがする事に気がついた。なるほど、ケイトはまた面白い事をしてくれているな、とニヤリとすると、何も触れずにただ、アンドルーに期待しているぞ、とだけ告げた。

*****

あらかた片付けの済んだケイトとスカイはケイトの研究室でお茶を飲んでいた。昨日ケイトが焼いたローズマリーのクッキーをつまみながら、これからの事について話し合う。

「スカイ。誰かこの事業にうってつけの人はいないかしら?さっきアンドルーが言っていたようにやはり専任の人員を雇う必要があるのよね。」
「前回の人員はどうやって集めたの?ロロとキースは?」
「2人はアンディが城の使用人見習いだった彼らを引き抜いてきてくれたの。私の性格に合いそうで、年齢も近く、城下でのコミュニケーションに長けていて、私の理想を実現できるスキルを兼ね備えた人材、と言う事で。」
「あぁ・・・。そうなの。じゃあ今回もアンドルー様にお任せした方がいいと思うわ。確実な人選が期待できるわよ。ケイトは事業の中身を詰めていく方がいいんじゃないかしら。」
「確かに。アンディの人を見る目は素晴らしかったわ。感嘆の域だった。そうね、慣れない事に手を出すんじゃなくて、今私ができる事をやるべきね!ありがとう、スカイ。危ないところだったわ。」
「そんなに大変な事態ではないけれど、多分その方が上手くいくと思うから。ただそれだけよ。そうね。だから調理法について考えてみない?今日は焼く、茹でるに挑戦したから、次は蒸したり、何かに混ぜてみたり?」
「そうね・・・。今少し悩んでいるのが、食材として開発を進めるべきなのか、料理として実現させるべきなのか、だったりするの。陛下への試食は私が作るのでいいのだけれど、基本的に専属コックのクロワさんが作る事になるじゃない。そうなると、料理でお出しするよりも、素材として提供した方がクロワさんがやりやすいんじゃないかと思って。もちろん何品かは料理としてお出しするつもりだけど、素材も一緒にお出しして、これを料理するとこうなるんですよって形が提案としては上手く収まると思うのよ・・・。」
「さすがね・・・。ただ美味しいって食べてるだけじゃないのね。恐れ入ったわ・・・。陛下への提案に関してはその素材としての提案がいいと思うわ。ケイトがクロワさんの座を狙っているなら別だけれど、そうではないし。いずれは街で食事処をって言ってたじゃない?そっちはその先のメニューを考える必要があるけれど、まずは素材として確立できればその後はどうにでもなるんじゃないかしらね。」
「そうよね!そうね・・・。じゃあどうしようかしら・・・。川から帰ってきてそろそろ3時間くらいかしら。今のところ、どちらも特に変化はなさそう。常温の汲み水で傷む事はないのかしら。とは言ってもやはり、出来れば捕獲してからその日のうちに加工したいのよね。そうすれば傷む事は避けられるし。新しい食材を使い始めて、保管が悪くて食中毒を起こしたりしたら、せっかくの機会を台無しにしてしまうもの。あ、氷庫ひょうこ!そこにはどうやったら入れるの?」
「氷庫は城の地下にあるんだけれど、鍵がかかっているから必要な時に鍵を借りにいくのよ。鍵は執事室にあるわ。今からだともう遅いから、後でアンドルー様に聞いてみたら?」
「そうね、暗くて寒くてってそれはまずいわ。わかった。後でアンディに聞いておいてみる。加工の種類なんだけど、焼き目を付けた素焼きとオリーブオイルで焼いたもの、それに茹でたものとそのスープ、蒸したもの、とかどうかしら?味を付けなければどの種族にも共通して使える素材になると思うの。」
「この短時間で・・・。焼きを2種類、茹でとスープで1種類、蒸しで1種類ね。陛下を優先するなら、取り急ぎシャケリーベトポスで試作を始めた方が建設的でしょうね。」
「確かに・・・。そうね。エビはとりあえず手に入った時に考える位にしてとりあえずはシャケリーベトポスを優先しましょう。じゃあ当面の方針は立ったわ。4種類で味無し、材料はシャケリーベトポス、1次目標は陛下の試食でOKをもらう事。よし。後でアンディに話しておくわ。スカイのお手伝いに関してはさっき言ったからそのうち正式に話が通ると思うから、その時はよろしくね。もちろんそれまでにも来てくれて構わないから!いつでも来てね!1日お手伝いいただいただけでこんなに助けてもらっちゃった。どうお礼をしたらいいかしら・・・。何か私にしてほしい事とかあったら言ってみて。何でもいいわよ!」

じゃあ、と言ったスカイはアンディがケイトにするようにぎゅっと抱きしめて髪にキスをした。ケイトは少したじろいだものの、そのまま受け入れて優しくぎゅっと抱きしめ返す。

「スカイ、どうしたの?」
「ケイトと一緒にいると何だか甘えたくなるの。不思議ね。これからもこうやってたまに抱きしめてくれない?」
「いつも凛としてるスカイ先生は実は甘えん坊だったのね。どうぞ、いつでも甘えてくれていいのよ。私でよかったらいつでもスカイを甘やかすわ。」
「ありがとう。すごく安心する。」
「疲れちゃったのかしら。スカイ。変な人ね。よしよし。」

ケイトの方にすりすりと頭を擦り付けるスカイはとても安心した甘えた表情でいつもの様子とはまるで違った。純粋にケイトに甘えたくて、甘える事が至高と言った様子だった。外はすっかり暗くなり始めていて、廊下には使用人が付けたランプが灯ってゆらゆらと周囲を照らしている。アンドルーにお使いを頼まれたカイはまたしてもこの瞬間に立ち会ってしまって、明らかに態度が違うスカイに少しの違和感と焦燥を覚えた。

スカイ先生はケイト様の事を気に入っている、その程度の感情なのだろうか?
それとも2人は以前からの知り合い・・・?

知識量から考えると、スカイがケイトと同じような出自の謎や秘密があっても大きく驚きはしない。であれば、この2人は一体・・・。ただケイトは誰に対しても優しい。甘えるような人がいれば、できる限り受け入れるだろう。アンドルーが止めない限り、老若男女も種族も問わずに、何も疑わずに受け入れそうだ。だからこの引っかかりはスカイのものだろう。事件が起こるような予感ではないが、身近な懸念として、ケイト命とも言えるアンドルーが嫉妬でもして機嫌を損ねるとカイの仕事にわかりやすく影響が出る。その事も避けたかったし、何よりカイ自身もケイトを尊敬できる人として大好きだった。だからこそ、この違和感が少し気になったのだ。スカイがケイトを好きなのは確かだろう。でもアンドルーのものとも自分のものとも違う気がする。それはしっくりくる表現が難しいが、何かを当てはめるのであればそれは執念のような、マイナスではないけれど、ただのキラキラした好きの感情ではない、そんな気がするのだ。

「カイ?どうかした?アンドルーのお使い?」
「あ、はい。今日はほんの少しだけアンドルー様の帰りが遅くなるそうです。加えて、スカイ先生の件を陛下に確認しているところです。陛下発信の事業でもありますし、近日中に承認が下りるかと思います。この2点をお伝えに参りました。」

わかった、ありがとう、とにっこり笑うケイトの肩越しに笑うスカイの表情はやはり少し怖い気がして、カイは小さくたじろぐ。立場上、色々な人や種族と関わるし、様々な経験もしている。それでも何だかこのスカイの妙な気配には慣れない。普段は何でもないのに、ふとした瞬間に驚くように気配を変えるのだ。ただそれはケイトに関わる時のみで、恐らくそれ以外ではない。早々に執務室に戻ろうとするとケイトがクッキーの包みを握らせてくれた。時折渡してくれる手作りのお菓子は甘いものが苦手なカイも食べられる程に味のバランスが良く、今日のローズマリーのクッキーも香りを活かしていて甘さは控えめだ。城の廊下を歩きながら改めて違和感について考えるも、決定的な理由はわからないまま、クッキーの美味しさに意識を持って行かれてしまって、何とも言えない懸念はまた心の引き出しにそっと仕舞われた。
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