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010 ビネガーの使い道
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蓋つきの透明の瓶をたっぷりのお湯が沸いた鍋に落とす。
ここで雑菌が入ってしまったら元も子もないのよね。
しっかり煮沸消毒したのを乾かしながら、今度は果実の方の作業へ。
とはいっても、こっちは実を綺麗に洗ってからしっかりと水分を拭きとるだけなんだけどねー。
だからほとんど作業というものはやることがない。
この二つが乾いたら、あとは瓶に氷砂糖と果実を交互に入れてビネガーを注ぐだけ。
「ミレイヌ様、まさかこれだけですか?」
さすがにほぼ作業のなさにシェナも驚いていたけど、別にこれといって見せ場ないのよねー。
「うん。これだけ。あとは蓋をして、毎日二回くらい上下逆さまにして混ぜて一週間もすれば飲み頃よ」
「奥様、これは飲み物なのですか!」
今度はシェフたちから声が上がった。
ああそうね。
こっちではビネガーは料理には使うけど飲むって発想はなかったはず。
「ええ。これは果実酢と言って、甘くて美味しいのよ」
「「ほー」」
「でも一週間ぐらいしないと飲めないし、あとはお水とかで割らないと少し濃いかな」
これをかき混ぜるのが楽しいのよね。
だんだんと氷砂糖が溶けて果実からビネガーに色が移っていく様がなんとも綺麗なのだ。
「一週間後、みんなで飲みましょう」
そう声をかけると、歓声が上がった。
みんな見たこともないものに興味を示せるってある意味すごいわよね。
普通は見たことも聞いたこともないモノって嫌煙されがちなのに。
そこは料理人って感じなのかしら。
「さて、果実酢の仕込みも出来たしスープ飲みましょう」
「火を止めてから時間が経ってしまいましたが、もう一度温めますか?」
「んーーー」
別にこのスープはすごく熱い方が美味しいわけでもない。
しかも私が火を止めたのは、野菜が溶けすぎてしまうのと、味がしみこむ用だったのよね。
そう考えると、もう一度温め直す必要性もないかな。
「このままで充分だと思うわ。少し飲んでみて、もっと熱い方がいいと思う人は火を入れればいいし」
「ミレイヌ様が作ったものを食べる日がくるなんて……」
「それ、絶対いい意味じゃあないわよねシェナ」
「気のせいです」
「もーーー」
私の口元をこっそり指さすシェナに膨れて見せているうちに、料理長が私たちの分を取り分けてくれていた。
「ああ、みんなも良かったらどうぞ? 味は少し薄いかもしれないけど、不味くはないはずだから」
ここにケチャップを入れたらもう少し味は濃くなるのだけど、この世界にはないのよね。
ああそうだわ。
今度市場に行ってトマトみたいなこの実を買い占めてケチャップ作ろう。そうしよう。
あれは何つけても美味しいのよねー。
マヨネーズも作りたいけど、ダイエットの天敵すぎるものなぁ。
ううう。なんで私白豚なんだろう。
食べたいものたくさんあるのにぃ。
「ミレイヌ様、変な顔していないであっちで座らせていただいて食べましょう。さすがにお腹がすきました」
「そうね。私もペコペコだわ」
作っている最中にお腹が鳴らなくて良かったと思うほど、お腹がすいていた。
立ったまま食べ始めたシェフたちを横目に、私たちは用意してもらった椅子に腰かけスープを食べることにした。
ここで雑菌が入ってしまったら元も子もないのよね。
しっかり煮沸消毒したのを乾かしながら、今度は果実の方の作業へ。
とはいっても、こっちは実を綺麗に洗ってからしっかりと水分を拭きとるだけなんだけどねー。
だからほとんど作業というものはやることがない。
この二つが乾いたら、あとは瓶に氷砂糖と果実を交互に入れてビネガーを注ぐだけ。
「ミレイヌ様、まさかこれだけですか?」
さすがにほぼ作業のなさにシェナも驚いていたけど、別にこれといって見せ場ないのよねー。
「うん。これだけ。あとは蓋をして、毎日二回くらい上下逆さまにして混ぜて一週間もすれば飲み頃よ」
「奥様、これは飲み物なのですか!」
今度はシェフたちから声が上がった。
ああそうね。
こっちではビネガーは料理には使うけど飲むって発想はなかったはず。
「ええ。これは果実酢と言って、甘くて美味しいのよ」
「「ほー」」
「でも一週間ぐらいしないと飲めないし、あとはお水とかで割らないと少し濃いかな」
これをかき混ぜるのが楽しいのよね。
だんだんと氷砂糖が溶けて果実からビネガーに色が移っていく様がなんとも綺麗なのだ。
「一週間後、みんなで飲みましょう」
そう声をかけると、歓声が上がった。
みんな見たこともないものに興味を示せるってある意味すごいわよね。
普通は見たことも聞いたこともないモノって嫌煙されがちなのに。
そこは料理人って感じなのかしら。
「さて、果実酢の仕込みも出来たしスープ飲みましょう」
「火を止めてから時間が経ってしまいましたが、もう一度温めますか?」
「んーーー」
別にこのスープはすごく熱い方が美味しいわけでもない。
しかも私が火を止めたのは、野菜が溶けすぎてしまうのと、味がしみこむ用だったのよね。
そう考えると、もう一度温め直す必要性もないかな。
「このままで充分だと思うわ。少し飲んでみて、もっと熱い方がいいと思う人は火を入れればいいし」
「ミレイヌ様が作ったものを食べる日がくるなんて……」
「それ、絶対いい意味じゃあないわよねシェナ」
「気のせいです」
「もーーー」
私の口元をこっそり指さすシェナに膨れて見せているうちに、料理長が私たちの分を取り分けてくれていた。
「ああ、みんなも良かったらどうぞ? 味は少し薄いかもしれないけど、不味くはないはずだから」
ここにケチャップを入れたらもう少し味は濃くなるのだけど、この世界にはないのよね。
ああそうだわ。
今度市場に行ってトマトみたいなこの実を買い占めてケチャップ作ろう。そうしよう。
あれは何つけても美味しいのよねー。
マヨネーズも作りたいけど、ダイエットの天敵すぎるものなぁ。
ううう。なんで私白豚なんだろう。
食べたいものたくさんあるのにぃ。
「ミレイヌ様、変な顔していないであっちで座らせていただいて食べましょう。さすがにお腹がすきました」
「そうね。私もペコペコだわ」
作っている最中にお腹が鳴らなくて良かったと思うほど、お腹がすいていた。
立ったまま食べ始めたシェフたちを横目に、私たちは用意してもらった椅子に腰かけスープを食べることにした。
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