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前編
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「さぁ、話してもらおうかしら」
「……何から話せばいいのでしょうか」
「それは貴方が一番分かっていることでしょう?」
笑顔のフィリア姉上が怖い。笑顔なのに怖い。せめてデリスもいてくれたら気持ちが楽だったのに、姉上と二人きりはキツイってぇ……。
俺は情けなく手に脂汗をかき、額から冷や汗を流しながらユリウスを養子に迎えた経緯を話すことになった。フィリア姉上に隠し事ができるわけないし、どうせ家の力で調査もされてバレるだろうから、精霊の件もダール家とのことも全部ぶっちゃけた。段々真顔になっていくフィリア姉上を見て、俺の人生もここまでかと思ったのはここだけの話だ。
「水の精霊王に愛された神子、ね。その子を巡ってダール家と交渉したと」
「はい。あ、その交渉ついでに遠戚の方々には私を嵌めようとした報いを受けていただきましたけど、それは問題ないですよね?」
「あぁ。あれ、貴方の手引きだったのね。別にいいわよ。かわいい猫と侮った彼らが悪いんだもの」
「猫って、まさか私のことですか?」
「えぇ。かわいいかわいい猫でも、猛獣の血を継いでいる。現に彼らは狩られてしまったじゃない」
褒められてるんだか、貶されてるんだか……。相変わらず関わりづらい人だな。
「それで、その新しい息子は今後どうするつもりなの?まさかパトリー家を継がせるわけじゃないでしょうね」
「……本人が望むのであれば、そのつもりです」
「レイラ。いくら貴方でも、爵位を持つ貴族としての役割を知らないわけじゃないでしょう。慈善活動としてなら彼を引き取った時点でノブレス・オブリージュは十分よ。せっかく陛下からいただいた爵位の血筋をいきなり途絶えさせるつもり?」
フィリア姉上は、暗にこの際贅沢は言わないからさっさとどこぞの身分の良い令嬢と結婚しろと言っているのだろう。再三パーティの招待状を送ってきていたのも、俺の結婚相手を見つけるため。どこぞの王子様のようだ。
「ライアー家の子なら養子にしても、成長した時に両親の爵位から継ぐはずだった爵位とライアーの名前を返せばいいだけだったのよ。あの子のために財産も全て凍結してあるのだから。けれど、貴方が迎えた子は違う。いくら精霊王と契約していると言っても孤児。どこかの貴族の落とし子という可能性は?」
「……ありません。出生届には姓のない両親の名前が記録されています。あの子の両親を知る孤児院のシスターも、彼らは普通の平民だったと」
「それなら、やっぱり貴方がさっさと所帯を持った方が簡単ね」
そう言うと、フィリア姉上は机の上に五枚の写真を並べた。そして有無を言わさぬ口調で冷たく言い放った。
「選びなさい。今ここで、貴方の妻を」
俺は並べられた写真に視線を落とした。どの女性も、とても魅力的だと思う。恐らく身分も良いはずだ。だけどやっぱり、俺は彼女たちの誰かが妻になると考えてみると、嫌悪感しか感じられなかった。
「それはできません。私は、生涯結婚しないと決めているので」
「それは認められないことくらい分かっているでしょう。何をそんなに意地になっているの」
「意地になっているのは姉上じゃないですか。私はもうパトリック家の者ではありません。いくら分家で格下といえども、他の家の次期当主に侯爵家当主が命令されるいわれはないはずです」
「……言うようになったじゃない、レイラ」
「お褒めいただき、光栄です」
「はぁ……まったく」
フィリア姉上はため息をはくと、額に手を当ててぐったりとソファの背もたれにもたれかかった。厳しい令嬢教育を受けている姉上のそんな姿はこれまで見たことがない。それほどまでに姉上にとっては大問題なのだろう。少しだけ、申し訳ない気持ちになったが、こればっかりはどうしようもない。
「申し訳ありません、姉上。どうしても無理なのです」
「何が無理なのよ。どの子も見目は私には劣るけれど……下手すれば貴方にも劣るけれど、性格も教養も十分釣り合うような子たちよ。……もしかして、貴方の方が男としてアッチの問題があるとかないわよね」
「淑女がそのようなはしたないことを口にしないでください!」
令嬢にあるまじきとんでもないことを言い出す姉上は、相当キているらしい。けれど流石に俺の名誉は守らせてくれ。俺はちゃんと男として機能する。
「とにかく、私は女性と結婚するつもりはないので!というか過去に色々あって生理的に無理なので!」
もうこの手の話は俺も聞きたくない。この場凌ぎだということは分かっていたが、逃げるが勝ちだ。後のことは知らん!
俺はさっさと部屋を出ようと立ちあがって扉へと歩き出そうとした。
「……待ちなさい」
しかし、背中にかけられた一言で足を止めざるをえなくなる。素直に逃がしてくれないのがフィリア姉上だよな、知ってた。でも俺も決めたんだ。今日はもう逃げる。
「なんですか。もう結婚の話はしませんよ」
「貴方、今、女性と結婚するつもりはないって言ったわよね」
「え?」
何故かさっきよりも生き生きしている声に嫌な予感がして振り返ると、生き返るところか元気になりすぎてギラギラしている目と目が合ってしまった。
「女性と、結婚する気がないのよね?」
「え、えぇ……」
なんだなんだ?その一言のどこに姉上が元気になる要素があったんだ⁉むしろ瀕死になる台詞だろ。
「なら、男性とはどうなの?」
「……は?」
俺は思わず惚けた声を漏らした。そして無意識に眉をひそめていた。男と、結婚?フィリア姉上は何をとち狂ったことを言っているんだ。
「私は精神的な理由で女性と結婚できないだけで、恋愛対象も性的対象も女性です。同性愛者ではありません。むしろ私は異性愛者ですので男性と結婚するなんて絶対考えられません」
「人間、恋愛対象も性的対象も食べ物の好みが変わるように変わるものよ。身近な男性で想像してみなさい。そうね……この子と結婚する未来は考えられる?」
フィリア姉上は、一枚の写真を手に取って俺に見せてきた。その女性は柔らかい笑みを浮かべて写真に納まっている。普通の男なら結婚したいと思う理想のタイプだろう。だけど、俺は言われるままに想像しただけで吐きそうになってしまった。
「……ぅぇっ」
前世で俺を捨てた婚約者が、この女性のような人だった。優しい笑顔の裏で、俺を嘲笑っていたと知ったときの絶望感が思い出された。他の記憶は年々薄れていっているというのに、魂に刻まれたトラウマはそうはいかないらしい。
「……生理的に無理と言ったのは本当のようね」
思わず口に手をあてている俺の顔を見て、フィリア姉上は納得したようだ。恐らく、俺の顔色は真っ青を通り越して真っ白だ。おえっ……。
「じゃあ、身近な男性を思い浮かべて。その人と結婚する未来は?未来を一緒に過ごしていることを想像してもいい」
身近な男性って言われてもそうはいない。俺は吐き気と頭痛に悩まされながらも必死に頭を回転させて考えた。
カーディアスとユリウスは子どもだし息子だから論外。ザラドは女に絶望してる仲間だけど、カーディアスに関すること以外で特に関わりもないから無し。デリスは……。
「…………」
デリスは、これまでずっと側にいてくれたから、簡単にこれからも一緒にいることを想像できた。今までと同じように、優しい笑みで俺を見ている。結婚……デリスと?もう家族みたいなものなのに、そんなことする必要性が感じられない。……あれ、なんで結婚って考えたんだっけ。
「……どうやら、その彼と結婚することに関しては嫌悪感がないようね」
「うぇっ⁉い、いや!そうではなく!」
「さっきと全然態度が違うわよ?顔色を悪くするどころか、無駄に気色良くしちゃって……。誰を想像したか分からなくもないけど、これで貴方にまだ結婚の選択肢が残されたことに安心したわ」
え、俺、マジで男と結婚するの?これ、デリスだから大丈夫だっただけの可能性もあるんだけど。いや、特別な関係とかではなく、単純に一緒にいた時間の長さ的な感じのね。
「い、いや、姉上……。これはデリスだったからという可能性も」
「あらやっぱりデリスだったのね。想像上の夫は」
「おっ……⁉ な、なんで俺が妻なんですか⁉」
恐らく他に突っ込むべきところがあったはずだが、俺としては一番大事なところがそこだった。なんでデリスが夫で俺が妻⁉
「だって貴方、男と結婚するなら女役だろうなって雰囲気だもの。私には分かるわ」
「なにが分かるっていうんですか……納得できませんよ」
「じゃあデリスを掘れるの?」
「ですからはしたないこと言わないでください!」
まさか令嬢の口から掘るなんて言葉が出るとは思ってなかったよ……。
「まぁそれは置いておいて。今度は男もいける男性をピックアップしておくわ。誰もが夫にと望む男性と、一応、可愛らしい男性も」
「結構です!それに、どちらにしろ子どもはできないでしょう⁉同性間での子づくりを可能にする魔術式は貴族に許可されていないじゃないですか!」
なにが悲しくて結局子どもはできないのに無理して男と結婚しないといけないんだ!
そう心の中では憤慨した俺だったが、王都の新聞にも目を通すべきだったことを痛烈に思い知らされるとは思わなかった。
「あら。その魔術式が改良されて成功確率がほぼ百パーセントになったことは知らないの?母体の安全も確保されるようになって、去年から貴族にも開放されているわよ」
…………詰んだ。
「……何から話せばいいのでしょうか」
「それは貴方が一番分かっていることでしょう?」
笑顔のフィリア姉上が怖い。笑顔なのに怖い。せめてデリスもいてくれたら気持ちが楽だったのに、姉上と二人きりはキツイってぇ……。
俺は情けなく手に脂汗をかき、額から冷や汗を流しながらユリウスを養子に迎えた経緯を話すことになった。フィリア姉上に隠し事ができるわけないし、どうせ家の力で調査もされてバレるだろうから、精霊の件もダール家とのことも全部ぶっちゃけた。段々真顔になっていくフィリア姉上を見て、俺の人生もここまでかと思ったのはここだけの話だ。
「水の精霊王に愛された神子、ね。その子を巡ってダール家と交渉したと」
「はい。あ、その交渉ついでに遠戚の方々には私を嵌めようとした報いを受けていただきましたけど、それは問題ないですよね?」
「あぁ。あれ、貴方の手引きだったのね。別にいいわよ。かわいい猫と侮った彼らが悪いんだもの」
「猫って、まさか私のことですか?」
「えぇ。かわいいかわいい猫でも、猛獣の血を継いでいる。現に彼らは狩られてしまったじゃない」
褒められてるんだか、貶されてるんだか……。相変わらず関わりづらい人だな。
「それで、その新しい息子は今後どうするつもりなの?まさかパトリー家を継がせるわけじゃないでしょうね」
「……本人が望むのであれば、そのつもりです」
「レイラ。いくら貴方でも、爵位を持つ貴族としての役割を知らないわけじゃないでしょう。慈善活動としてなら彼を引き取った時点でノブレス・オブリージュは十分よ。せっかく陛下からいただいた爵位の血筋をいきなり途絶えさせるつもり?」
フィリア姉上は、暗にこの際贅沢は言わないからさっさとどこぞの身分の良い令嬢と結婚しろと言っているのだろう。再三パーティの招待状を送ってきていたのも、俺の結婚相手を見つけるため。どこぞの王子様のようだ。
「ライアー家の子なら養子にしても、成長した時に両親の爵位から継ぐはずだった爵位とライアーの名前を返せばいいだけだったのよ。あの子のために財産も全て凍結してあるのだから。けれど、貴方が迎えた子は違う。いくら精霊王と契約していると言っても孤児。どこかの貴族の落とし子という可能性は?」
「……ありません。出生届には姓のない両親の名前が記録されています。あの子の両親を知る孤児院のシスターも、彼らは普通の平民だったと」
「それなら、やっぱり貴方がさっさと所帯を持った方が簡単ね」
そう言うと、フィリア姉上は机の上に五枚の写真を並べた。そして有無を言わさぬ口調で冷たく言い放った。
「選びなさい。今ここで、貴方の妻を」
俺は並べられた写真に視線を落とした。どの女性も、とても魅力的だと思う。恐らく身分も良いはずだ。だけどやっぱり、俺は彼女たちの誰かが妻になると考えてみると、嫌悪感しか感じられなかった。
「それはできません。私は、生涯結婚しないと決めているので」
「それは認められないことくらい分かっているでしょう。何をそんなに意地になっているの」
「意地になっているのは姉上じゃないですか。私はもうパトリック家の者ではありません。いくら分家で格下といえども、他の家の次期当主に侯爵家当主が命令されるいわれはないはずです」
「……言うようになったじゃない、レイラ」
「お褒めいただき、光栄です」
「はぁ……まったく」
フィリア姉上はため息をはくと、額に手を当ててぐったりとソファの背もたれにもたれかかった。厳しい令嬢教育を受けている姉上のそんな姿はこれまで見たことがない。それほどまでに姉上にとっては大問題なのだろう。少しだけ、申し訳ない気持ちになったが、こればっかりはどうしようもない。
「申し訳ありません、姉上。どうしても無理なのです」
「何が無理なのよ。どの子も見目は私には劣るけれど……下手すれば貴方にも劣るけれど、性格も教養も十分釣り合うような子たちよ。……もしかして、貴方の方が男としてアッチの問題があるとかないわよね」
「淑女がそのようなはしたないことを口にしないでください!」
令嬢にあるまじきとんでもないことを言い出す姉上は、相当キているらしい。けれど流石に俺の名誉は守らせてくれ。俺はちゃんと男として機能する。
「とにかく、私は女性と結婚するつもりはないので!というか過去に色々あって生理的に無理なので!」
もうこの手の話は俺も聞きたくない。この場凌ぎだということは分かっていたが、逃げるが勝ちだ。後のことは知らん!
俺はさっさと部屋を出ようと立ちあがって扉へと歩き出そうとした。
「……待ちなさい」
しかし、背中にかけられた一言で足を止めざるをえなくなる。素直に逃がしてくれないのがフィリア姉上だよな、知ってた。でも俺も決めたんだ。今日はもう逃げる。
「なんですか。もう結婚の話はしませんよ」
「貴方、今、女性と結婚するつもりはないって言ったわよね」
「え?」
何故かさっきよりも生き生きしている声に嫌な予感がして振り返ると、生き返るところか元気になりすぎてギラギラしている目と目が合ってしまった。
「女性と、結婚する気がないのよね?」
「え、えぇ……」
なんだなんだ?その一言のどこに姉上が元気になる要素があったんだ⁉むしろ瀕死になる台詞だろ。
「なら、男性とはどうなの?」
「……は?」
俺は思わず惚けた声を漏らした。そして無意識に眉をひそめていた。男と、結婚?フィリア姉上は何をとち狂ったことを言っているんだ。
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「人間、恋愛対象も性的対象も食べ物の好みが変わるように変わるものよ。身近な男性で想像してみなさい。そうね……この子と結婚する未来は考えられる?」
フィリア姉上は、一枚の写真を手に取って俺に見せてきた。その女性は柔らかい笑みを浮かべて写真に納まっている。普通の男なら結婚したいと思う理想のタイプだろう。だけど、俺は言われるままに想像しただけで吐きそうになってしまった。
「……ぅぇっ」
前世で俺を捨てた婚約者が、この女性のような人だった。優しい笑顔の裏で、俺を嘲笑っていたと知ったときの絶望感が思い出された。他の記憶は年々薄れていっているというのに、魂に刻まれたトラウマはそうはいかないらしい。
「……生理的に無理と言ったのは本当のようね」
思わず口に手をあてている俺の顔を見て、フィリア姉上は納得したようだ。恐らく、俺の顔色は真っ青を通り越して真っ白だ。おえっ……。
「じゃあ、身近な男性を思い浮かべて。その人と結婚する未来は?未来を一緒に過ごしていることを想像してもいい」
身近な男性って言われてもそうはいない。俺は吐き気と頭痛に悩まされながらも必死に頭を回転させて考えた。
カーディアスとユリウスは子どもだし息子だから論外。ザラドは女に絶望してる仲間だけど、カーディアスに関すること以外で特に関わりもないから無し。デリスは……。
「…………」
デリスは、これまでずっと側にいてくれたから、簡単にこれからも一緒にいることを想像できた。今までと同じように、優しい笑みで俺を見ている。結婚……デリスと?もう家族みたいなものなのに、そんなことする必要性が感じられない。……あれ、なんで結婚って考えたんだっけ。
「……どうやら、その彼と結婚することに関しては嫌悪感がないようね」
「うぇっ⁉い、いや!そうではなく!」
「さっきと全然態度が違うわよ?顔色を悪くするどころか、無駄に気色良くしちゃって……。誰を想像したか分からなくもないけど、これで貴方にまだ結婚の選択肢が残されたことに安心したわ」
え、俺、マジで男と結婚するの?これ、デリスだから大丈夫だっただけの可能性もあるんだけど。いや、特別な関係とかではなく、単純に一緒にいた時間の長さ的な感じのね。
「い、いや、姉上……。これはデリスだったからという可能性も」
「あらやっぱりデリスだったのね。想像上の夫は」
「おっ……⁉ な、なんで俺が妻なんですか⁉」
恐らく他に突っ込むべきところがあったはずだが、俺としては一番大事なところがそこだった。なんでデリスが夫で俺が妻⁉
「だって貴方、男と結婚するなら女役だろうなって雰囲気だもの。私には分かるわ」
「なにが分かるっていうんですか……納得できませんよ」
「じゃあデリスを掘れるの?」
「ですからはしたないこと言わないでください!」
まさか令嬢の口から掘るなんて言葉が出るとは思ってなかったよ……。
「まぁそれは置いておいて。今度は男もいける男性をピックアップしておくわ。誰もが夫にと望む男性と、一応、可愛らしい男性も」
「結構です!それに、どちらにしろ子どもはできないでしょう⁉同性間での子づくりを可能にする魔術式は貴族に許可されていないじゃないですか!」
なにが悲しくて結局子どもはできないのに無理して男と結婚しないといけないんだ!
そう心の中では憤慨した俺だったが、王都の新聞にも目を通すべきだったことを痛烈に思い知らされるとは思わなかった。
「あら。その魔術式が改良されて成功確率がほぼ百パーセントになったことは知らないの?母体の安全も確保されるようになって、去年から貴族にも開放されているわよ」
…………詰んだ。
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