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⑬色の正体
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まず視界に飛び込んできたのは青色。その色の正体が何なのか、青には理解できなかった。
「にゃ……?」
先程までの物がほとんどない部屋とは反対で、この部屋は物で溢れかえっていた。物と言うよりは、青。もっと正確に言うならば『水の戦士ブルー』で溢れていた。
壁一面にブルーの写真が貼られている。大きなポスターも所々にある。机の上にはケースに入った小さなフィギュアが何体も。ぬいぐるみなんてものもある。
もしかして、これはブルーのグッズというやつなのだろうか。青は今まで自分のグッズが売られているところを見たことがなかったけれど、おそらくこの部屋を埋めつくしている物たちがそうだ。
まさか、青がブルーのグッズを見たことがなかったのは怜央が買い占めていたから……なーんて。
……有り得ない、よな?
壁に貼られている写真はブロマイドだけではなく怜央が撮ったものもいくつかありそうだった。いつの間に撮ったのだろう。
無数の自分に見られているようで落ち着かない。しかも自分は今猫の姿とはいえ不法侵入という犯罪中なわけで、それをヒーローである自分に見られているなど落ち着けるはずがない。
他の部屋よりはまだ何かしら出てきそうだが、ブルーに溢れたこの部屋にはやはり佐藤怜央自身の情報は無いような気がする。
それでも、こうして足を踏み入れたからには何かしら掴みたい。
……だが、そもそも青は何を知りたいのだろうか。
鶴見が考えた作戦だからではなくて、青は少しだけ怜央に興味があった。本当に青のことを好きなのか。それもあの手紙にあるような意味で。もしそうでないならどうしてそう思わせようとするのか。
結局のところ、初めて遭遇した自分のファンという存在が嬉しいのだ。壁一面に自分の写真を貼られるのはたしかに怖いけれど、その情熱が嬉しくないわけではない。
……ただ、その好きの意味がもう少し違ったら良かったのに。
そうしたら、友達くらいにはなれたかもしれないし、弟子にしてやったかもしれないのに。
――ガタッ
「にゃっ!」
突然の物音に尻尾の毛が逆立つ。自分は今驚いているらしい、とどこか客観的に考える。
振り返るとそこには当然、部屋の主が立っていた。
――佐藤怜央。
少なくともこの部屋の主は本当に佐藤怜央だった、という収穫はあったわけだが。
「にゃ……?」
先程までの物がほとんどない部屋とは反対で、この部屋は物で溢れかえっていた。物と言うよりは、青。もっと正確に言うならば『水の戦士ブルー』で溢れていた。
壁一面にブルーの写真が貼られている。大きなポスターも所々にある。机の上にはケースに入った小さなフィギュアが何体も。ぬいぐるみなんてものもある。
もしかして、これはブルーのグッズというやつなのだろうか。青は今まで自分のグッズが売られているところを見たことがなかったけれど、おそらくこの部屋を埋めつくしている物たちがそうだ。
まさか、青がブルーのグッズを見たことがなかったのは怜央が買い占めていたから……なーんて。
……有り得ない、よな?
壁に貼られている写真はブロマイドだけではなく怜央が撮ったものもいくつかありそうだった。いつの間に撮ったのだろう。
無数の自分に見られているようで落ち着かない。しかも自分は今猫の姿とはいえ不法侵入という犯罪中なわけで、それをヒーローである自分に見られているなど落ち着けるはずがない。
他の部屋よりはまだ何かしら出てきそうだが、ブルーに溢れたこの部屋にはやはり佐藤怜央自身の情報は無いような気がする。
それでも、こうして足を踏み入れたからには何かしら掴みたい。
……だが、そもそも青は何を知りたいのだろうか。
鶴見が考えた作戦だからではなくて、青は少しだけ怜央に興味があった。本当に青のことを好きなのか。それもあの手紙にあるような意味で。もしそうでないならどうしてそう思わせようとするのか。
結局のところ、初めて遭遇した自分のファンという存在が嬉しいのだ。壁一面に自分の写真を貼られるのはたしかに怖いけれど、その情熱が嬉しくないわけではない。
……ただ、その好きの意味がもう少し違ったら良かったのに。
そうしたら、友達くらいにはなれたかもしれないし、弟子にしてやったかもしれないのに。
――ガタッ
「にゃっ!」
突然の物音に尻尾の毛が逆立つ。自分は今驚いているらしい、とどこか客観的に考える。
振り返るとそこには当然、部屋の主が立っていた。
――佐藤怜央。
少なくともこの部屋の主は本当に佐藤怜央だった、という収穫はあったわけだが。
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