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「いいですか、ユリス様」
「なんだ。クソ野郎」
「この際、クソ野郎呼びには目を瞑りましょう」
上から目線でそんなことを言うアロンを、じっと睨み上げてやる。しかしそれを無視して、アロンは俺の前に膝を付く。
「俺は責任をとりたくはないです。手柄は欲しいですが、責任押し付けられるのはごめんです」
「正真正銘のクソ野郎だな」
こいつは何でそんなに堂々と嫌な宣言ができるのか。メンタルどうなってんだよ。そんなのみんな本心ではちょっとくらい思っている。だが普通は口には出さない。遠慮なく堂々と宣言できるアロンは、ある意味すごい奴なのかもしれない。
ちょっとだけ感心していると、アロンがふっと眉尻を下げる。困ったように笑う彼は、俺の両肩を掴んで真正面から顔を覗き込んでくる。
「いいですか? 俺が責任とらなきゃいけなくなるようなことはしないでくださいね? 約束できますか」
「うんうん。任せておけ」
「本当に大丈夫ですか?」
大丈夫と元気に宣言すれば、アロンが「本当に?」と胡乱気な視線を向けてくる。俺だって湖を見に行きたいだけである。特に余計なことをする予定はないから安心してほしい。
「じゃあ明日行ってみますか」
そう言って立ち上がるアロンに、俺は待ったをかける。
「今から行く」
「いくらなんでもそれは。今からちょっと危なくないか俺が見てきます」
「アロンだけずるい! 俺も行きたいぃ」
「いやですから。明日連れて行ってあげますって。俺らもそんなしょっちゅう足を運ぶ場所ではないので。ちゃんと道が歩けるか確認しないといけないんですよ」
「むむ!」
それなら仕方ないか?
たしかに手入れの行き届いていない森らしいしな。足場は悪そうだ。
「わかった。アロン、気を付けてね」
「はい。任せておいてくださいよ」
にこやかに手を振ったアロンは、そのまま確認のために部屋を出て行く。彼の背中を見送ったブルース兄様が「おまえ、なんでそんなに水が好きなんだ」と呆れたように息を吐いた。
だって楽しいだろ。俺は夏になったらプールやら海やら行きまくるタイプの人間だ。雪が降ったら全力で遊びに行くし、なんなら雨の中走り回るのも好きだったりする。
「兄様も一緒に行く?」
「あ?」
ガラの悪い返事をした兄様は、しばし考え込むように口を噤む。やがて深くため息をついたブルース兄様は、「そうだな。おまえは目を離すとなにをするかわからんからな」となぜか俺をディスってきた。
「じゃあ明日の朝、みんなここに集合ね」
「勝手に人の部屋を集合場所にするんじゃない」
※※※
ブルース兄様をお誘いしたのに、オーガス兄様だけお誘いしないのはちょっとどうかと思う。
ちなみにティアンにも声をかけたところ、「僕、朝は勉強が。でも一日くらい大丈夫ですかね?」と忙しいアピールをしつつも同行を了承していた。
そうしてオーガス兄様の部屋を訪れた俺は、湖探検ツアーのお誘いをしてみた。
「みんなで行くの?」
「ブルース兄様も行くって。なんだかんだ言ってブルース兄様も湖好きなんだよ」
「そうなの?」
意外だな、と呟くオーガス兄様は、しきりにニックを気にしている。
「僕忙しいんだよね、仕事あるし。でも弟たちが行くのに長男である僕が行かないのもなぁ。なんか仲間外れされているみたいでなぁ」
なんか急に忙しいアピールをし出す兄様。なんでみんな忙しいアピールしてくんの?
挙動不審なオーガス兄様は、ちらちらとわざとらしくニックを見ている。それに気が付いたニックが、なんとも言えない顔で軽く咳払いをする。
「……たまの息抜きくらいよろしいのでは?」
「! そう思う? じゃあ僕も一緒に行こうかな」
なにこの謎のやり取り。
明らかに行きたいアピールするオーガス兄様と、それに忖度して口添えするニック。
「オーガス兄様って面倒くさいね」
思わずぽつりと呟けば、ティアンが「こら」と注意してくる。だって面倒くさいだろ。素直に行きたいって言えばいいのに。
「じゃあニックも来てね。おやつ持って行ってみんなで食べよう」
「この寒空の下ですか?」
嫌ですよ、と眉を顰めるニックには遊び心が足りないと思う。横ではティアンも「僕も嫌です」とニックに賛同し始める。
まぁいいさ。俺ひとりでもおやつ食べるもんね。気分はさながらピクニックである。明日がとても楽しみだ。
「なんだ。クソ野郎」
「この際、クソ野郎呼びには目を瞑りましょう」
上から目線でそんなことを言うアロンを、じっと睨み上げてやる。しかしそれを無視して、アロンは俺の前に膝を付く。
「俺は責任をとりたくはないです。手柄は欲しいですが、責任押し付けられるのはごめんです」
「正真正銘のクソ野郎だな」
こいつは何でそんなに堂々と嫌な宣言ができるのか。メンタルどうなってんだよ。そんなのみんな本心ではちょっとくらい思っている。だが普通は口には出さない。遠慮なく堂々と宣言できるアロンは、ある意味すごい奴なのかもしれない。
ちょっとだけ感心していると、アロンがふっと眉尻を下げる。困ったように笑う彼は、俺の両肩を掴んで真正面から顔を覗き込んでくる。
「いいですか? 俺が責任とらなきゃいけなくなるようなことはしないでくださいね? 約束できますか」
「うんうん。任せておけ」
「本当に大丈夫ですか?」
大丈夫と元気に宣言すれば、アロンが「本当に?」と胡乱気な視線を向けてくる。俺だって湖を見に行きたいだけである。特に余計なことをする予定はないから安心してほしい。
「じゃあ明日行ってみますか」
そう言って立ち上がるアロンに、俺は待ったをかける。
「今から行く」
「いくらなんでもそれは。今からちょっと危なくないか俺が見てきます」
「アロンだけずるい! 俺も行きたいぃ」
「いやですから。明日連れて行ってあげますって。俺らもそんなしょっちゅう足を運ぶ場所ではないので。ちゃんと道が歩けるか確認しないといけないんですよ」
「むむ!」
それなら仕方ないか?
たしかに手入れの行き届いていない森らしいしな。足場は悪そうだ。
「わかった。アロン、気を付けてね」
「はい。任せておいてくださいよ」
にこやかに手を振ったアロンは、そのまま確認のために部屋を出て行く。彼の背中を見送ったブルース兄様が「おまえ、なんでそんなに水が好きなんだ」と呆れたように息を吐いた。
だって楽しいだろ。俺は夏になったらプールやら海やら行きまくるタイプの人間だ。雪が降ったら全力で遊びに行くし、なんなら雨の中走り回るのも好きだったりする。
「兄様も一緒に行く?」
「あ?」
ガラの悪い返事をした兄様は、しばし考え込むように口を噤む。やがて深くため息をついたブルース兄様は、「そうだな。おまえは目を離すとなにをするかわからんからな」となぜか俺をディスってきた。
「じゃあ明日の朝、みんなここに集合ね」
「勝手に人の部屋を集合場所にするんじゃない」
※※※
ブルース兄様をお誘いしたのに、オーガス兄様だけお誘いしないのはちょっとどうかと思う。
ちなみにティアンにも声をかけたところ、「僕、朝は勉強が。でも一日くらい大丈夫ですかね?」と忙しいアピールをしつつも同行を了承していた。
そうしてオーガス兄様の部屋を訪れた俺は、湖探検ツアーのお誘いをしてみた。
「みんなで行くの?」
「ブルース兄様も行くって。なんだかんだ言ってブルース兄様も湖好きなんだよ」
「そうなの?」
意外だな、と呟くオーガス兄様は、しきりにニックを気にしている。
「僕忙しいんだよね、仕事あるし。でも弟たちが行くのに長男である僕が行かないのもなぁ。なんか仲間外れされているみたいでなぁ」
なんか急に忙しいアピールをし出す兄様。なんでみんな忙しいアピールしてくんの?
挙動不審なオーガス兄様は、ちらちらとわざとらしくニックを見ている。それに気が付いたニックが、なんとも言えない顔で軽く咳払いをする。
「……たまの息抜きくらいよろしいのでは?」
「! そう思う? じゃあ僕も一緒に行こうかな」
なにこの謎のやり取り。
明らかに行きたいアピールするオーガス兄様と、それに忖度して口添えするニック。
「オーガス兄様って面倒くさいね」
思わずぽつりと呟けば、ティアンが「こら」と注意してくる。だって面倒くさいだろ。素直に行きたいって言えばいいのに。
「じゃあニックも来てね。おやつ持って行ってみんなで食べよう」
「この寒空の下ですか?」
嫌ですよ、と眉を顰めるニックには遊び心が足りないと思う。横ではティアンも「僕も嫌です」とニックに賛同し始める。
まぁいいさ。俺ひとりでもおやつ食べるもんね。気分はさながらピクニックである。明日がとても楽しみだ。
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