徒然なる恋の話

焔 はる

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十二夜【時を超える花言葉】

12-20

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岐津さんは自身のお店の席を押さえてくれていた。

以前と同じく個室に案内され、美味しいお酒とメインディッシュの牛ステーキに舌鼓を打ち、いい感じにホロ酔いの椎娜を連れて帰宅中。


助手席からは楽しそうな鼻歌。


「椎娜、ご機嫌だね」


「え?うん・・・楽しい、ふふ」


楽しそうな、嬉しそうな笑みを見てるだけで、こんなやり取りは何度しても飽きもせずに楽しい。


信号は止まれ。


俺は・・・ 


「椎娜」


左手に触れ、それは合図のように椎娜が身体を近づけ、顔を寄せた。


信号待ちの僅か数秒、頬から首筋に手を滑らせて、熱い口内で舌を絡め、その熱は身体を駆ける。


ーーー抱きたい。


それは抗いようのない本能だ。


手放さないのが執着で、それもなんでそこまで?と思うほどだけど、それがもし、時を超えて今があるせいだとしたら、それはやはり、俺が椎娜を求めるのも、愛したいのも”宿命”で”運命”で、幸福なことだ。


「・・・桜太・・・帰ったら、する・・・?」


「・・・・・・俺はいつでも椎娜を抱きたいよ。」


「ばか・・・」


視線を絡ませ、再び重なる唇。


また逢う日を楽しみに。


そんなの・・・本当にその通りだよ。


毎日、毎分、毎秒、椎娜がいることで俺は楽しくて嬉しくて幸せなんだ。
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