徒然なる恋の話

焔 はる

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三夜【淡き水光】

3-24

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「・・・桜太、お酒美味しい?」

「ん?うん、飲んでみる?」

普段椎娜は日本酒は飲まないけど、上品でフルーティなこれなら飲めるかもしれない、とお猪口を椎娜に手渡し、半分くらい注いでやる。

椎娜は、恐る恐る、唇をつけるくらいだけ・・・

「・・・あ・・・飲みやすい・・・」

目を見開いて、「全然くぅ~!ってならない」といって、残りを一気に飲み干した。

「ちょ、椎娜、飲みやすくても日本酒だから・・・」

「食べながらだし、美味しいから大丈夫だよ~」

・・・・・・心配すぎる。

大丈夫だよ、という人間で、大丈夫なやつはまずいない。

美味しいから大丈夫の定義とは・・・



終始楽しそうに、嬉しそうに食事をして、最後のデザートは、ビターなチョコレートのジェラート。

それも食べ終えた頃・・・

「椎娜?大丈夫か?」

「大丈夫だよ~」

・・・なかなかいい具合に回ってるな。

少し顔が赤らんで、目がトロンとしている。

お酒は好きだけど強くないんだな・・・。

スパークリングワインをグラスで2杯、日本酒をお猪口で2杯。

絡み酒ではなく、とりあえず楽しそうにしている。

俺は、トイレに行くついでに会計を済ませて、岐津さんに挨拶をする。

「岐津さん、今日は本当にありがとうございました。出して頂いた料理も彼女がとても喜んでくれて・・・」

「それならよかった、喜んでもらえるのが何より嬉しいよ。にしてもお前・・・ほどほどにしとけよ」

岐津さんは、自分の首筋とうなじを、トン、トンと指で差した。

「・・・さぁ、なんのことだか・・・」

俺の言葉に苦笑して、

「まぁ、大事にしな」

また来いよ、と俺の胸を小突いた。

俺は再度礼を言い、椎娜を迎えに席に戻った。


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