徒然なる恋の話

焔 はる

文字の大きさ
上 下
84 / 617
三夜【淡き水光】

3-25

しおりを挟む
「あ、おかえり」

ワイングラスを両手で包むようにして、椎娜がふにゃっと笑う。

「・・・ずいぶん楽しそうだね」

ニコニコしている椎娜の頬に右手の甲で触れ、包むように手の平で撫でた。

ほんのり赤みが差している分、頬はやはり少し熱くて、

「・・・桜太の手、冷たくてキモチいい・・・」

目を閉じた椎娜は、擦り寄せるようにそのまま、俺の手の平に頬を埋めた。

「・・・反対の手・・・」

「ん・・・?」

もう片方、左手も寄越せと椎娜が右手を差し出した。

求められるまま左手を出すと、手を掴み、同じように自分の頬を左右から包んだ。

「・・・桜太の手、キモチいい・・・好き・・・」

あ~~~~ほんとにもう・・・・・・。

計算じゃないからタチが悪い・・・。

・・・・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

腹も満たされたし、「今は、いや」って言ってたからには、後でならいいよ、ってことだよね、きっと。


・・・てか、もう限界。




「・・・椎娜、帰ろ」




店の入口で岐津さんと言葉を交わし、椎娜も笑顔で礼を言う。




・・・それすら待ちきれない程、俺は早く2人きりになりたかった。

余裕なんて皆無で、エレベーターの扉が閉まると同時に椎娜の手を引いて腕に抱きとめ、唇を重ねた。

「んっ・・・ん、ぅ・・・」

薄いワンピースの布地越しに、椎娜の熱い体温と鼓動が伝わり、俺に身体を預けながら、胸に手を着いてギュッと握る。

頭の後ろを支え、背伸びをするように上を向かせ、背中の中心をゆっくり撫で下ろして、柔らかなお尻を揉みしだいた。

「・・・ぅ、ん・・・ふぁ・・・ゃ、・・・ぁ・・・」

鼻にかかった甘い声が脳を麻痺させるように頭に響いて、背を伝い、腰へと降りる。

唇を割り、舌を入れ、熱い吐息に腹の奥が疼くのを感じながら小さく柔らかい舌を追い捕まえれば、蕩けるように熱くて、絡めとって啜り上げた。

「ふ・・・ぅ・・・んっ・・・ぉ、ぅた、ぁ・・・」


エレベーターが停止し、扉が開いて冷たい外気が流れ込む。


俺は椎娜の肩を抱いて、車を停めた駐車場とは反対の方向へと足を向けた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

初めてなら、本気で喘がせてあげる

ヘロディア
恋愛
美しい彼女の初めてを奪うことになった主人公。 初めての体験に喘いでいく彼女をみて興奮が抑えられず…

これ以上ヤったら●っちゃう!

ヘロディア
恋愛
彼氏が変態である主人公。 いつも自分の部屋に呼んで戯れていたが、とうとう彼の部屋に呼ばれてしまい…

RUBBER LADY 屈辱の性奴隷調教

RUBBER LADY
ファンタジー
RUBBER LADYが活躍するストーリーの続編です

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

処理中です...