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10.言うべきか、言わざるべきか
10-2
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「ってなことが、あってさ~」
マナトはおれの部屋で、
エマに耳打ちされた内容を真剣に聞いていた。
父さんと母さんは、
タイムカプセル発見記念の飲み会へ行っている。
「なるほどな……。で?」
「……で? って?」
「リキは、どうしたいんだ?
エマに、正体をばらしたいのか?
それとも、隠したいのか?」
ズバリ直球。
そうなんだよな、おれ、それで悩んでたんだ。
「エマはさ……、なんか、
『エスパー』ってことをウリにして、
アイドルやりたいみたいなんだよ。
『エスパーガール』で、目立ちたいって」
「ほうほう、いいな。
リッキーも、アイドルになるか?
『エスパーボーイ』」
「黙ってろ、ノワール」
ノワールのくちばしを指でこつんっとすると、
マナトは「それで?」と続きをうながした。
「おれはさ、逆に『エスパー』なんてことをばらすなんて、
信じられないワケ。
絶対いやだ。
『仲間』以外には、ヒミツは隠し通したい」
「……考えが、エマとは真逆なワケか」
「そう。
だから、迷ってる。
もちろん、エマが『仲間』になってくれたら、うれしいよ。
うれしいけど……。
でも、おれはエスパーであることを、世間にばらしたくない。
エマから、世間にバレていったら困るんだ」
「そっか……。うーん、どうすっかなぁ」
マナトは腕を組み、宙を見上げた。
おれも、どうすればいいかわかんねー。
しばらく沈黙が部屋を支配した。
「『言うべきか、言わざるべきか、それが問題だ』じゃな。
まあ、なんじゃ。
そんなの、もうほうっておけばいいじゃろ」
くしくしっと足で器用にほほをかきながら、ノワールが言った。
「……ほうっておく?」
そんな選択肢、アリか?
というまなざしでノワールを見るも、
ノワールは必死に毛づくろいをしていて、
こっちに気づいているのかどうかわからない。
「ノワールの言う通りかもな。
縁があるなら、また会えるだろ。
そしたら、その時また考えればいい」
マナトもノワールの首のあたりを、
こしこしと手でこすってあげだした。
ぽろぽろとフケのようなものが舞う。
おい、キタネーぞ。
「……そんなもんか?」
「魔法使いは、『縁』と『偶然』を大切にする。
……偶然、オマエにおれの念話がとどいたみたいにな」
「……じゃ、そうする」
「おう」
こうして、ジュエルドラゴンとエスパーがからんだ
タイムカプセル騒動は、幕を閉じたのだった。
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