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11.エマの家出
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あのタイムカプセル探しは、六月のはじめにテレビで放送された。
他のエスパーが何か探す企画では、的外れな場所を探したり、
こじつけじゃない?
みたいな展開になったりと、ツッコミどころがたくさんある。
探す時間は何時間単位だ。
でも、エマは、短時間……、ほんの五分ほどで場所を特定してみせた。
しかも、その場所を掘ったら、すぐにタイムカプセルも見つかったのだ。
間延びしがちなテレビの、あまりにもさっくりした展開に、
その日のSNSはおおいに盛り上がった。
たいていは、
「エマの宣伝じゃない? テレビのヤラセでしょ」だったな。
あとは、「エマかわいい! 推すわ」、
「キモイ、ブサイク」、「エスパーすげえ」、
「純粋にエスパーを信じてるヤツは何人いるんだろうな……」
などなど。
テレビ局も動画サイトに
タイムカプセル探しのダイジェスト動画を上げて、
その再生回数は日を追うごとに多くなっていった。
今では、検証してみた動画とか、
エマの能力に関する考察動画とか……。
いろんな派生動画もアップされている。
そんなこんなで、放送日から一週間もしたら、
エマはすっかり有名人になってしまったのだった。
★★★
今日も、テレビにはエマが映っている。
いろんなテレビ局からひっぱりだこみたいだ。
おれはそれを見つつ、なんだか複雑な気持ちになった。
エスパーであることをおおやけにしてるエマ。
人々から尊敬や、あこがれのまなざしを受けることもあるだろうが……。
多くはエマを疑い、批判的なことが多い。
「超能力が本業で、アイドル活動が副業でしょ?」
「違います! アイドルが本業です!」
テレビの司会者の発言とエマのツッコミに、スタジオが笑いに包まれる。
「ただいま~」
お、父さんが帰ってきたな。
「おかえりなさい。今日は早かったのね」
「ああ。ちょっと、リキヤに相談があって……」
玄関からそんな声が聞こえる。
相談? なんだろう?
父さんはおれの座っているリビングのソファーのとなりにすわり、
声のボリュームをおとして、こっそりとこう言った。
「姫野エマちゃんって知ってるだろ?
これは、まだマスコミには気づかれていない、
ナイショのことなんだけど……。
実は、その子が、今朝から行方不明なんだ」
「えっ⁉」
行方不明⁉ でも、テレビには出てるけど……。
おれの視線がちょうど流れていたテレビ番組にいっているのを見て、
「ああ、これは録画だな。あらかじめ撮っておいたやつ」
と父さんは教えてくれた。
「とにかく、今朝のテレビ収録にはこなかった。
アイドルたちと共同生活をしているマンションから、
突然いなくなったんだ」
なるほど、それは心配だな。
「ということで、リキヤ、どうにかして探せないか」
「わかった、やってみる」
おれはポケットからスマホをとりだすと、念写をはじめた。
くそ、こういう時の、三分は長いな。
「あっ!」
父さんの声に目を開けて、スマホを見てみる。
すると、そこには豪華な食事を前に、座っているエマの姿があった。
「えっ、何ここ。高級レストラン?」
父さんの発言に、思わず脱力する。
よかった、縄でしばられたエマ、みたいな画像じゃなくて……。
「まあ、いきなり人気になって、疲れちゃったんじゃない?
で、家出してみた、って感じ?」
「あ~……。そうかぁ。
でも……、無事でよかった」
ほっと息をついた父さんは、
「ありがとな、リキヤ。
あとは、マネージャーと本人の問題だな……」
と言いながら去っていった。
おれはスマホの画像をじいっと見つめる。
エマはこんなに豪華な食事を前にしているのに……。
なんだか、うかない顔だ。
家出の罪悪感なんだろうか?
「まあ……、おれには関係ないか」
他のエスパーが何か探す企画では、的外れな場所を探したり、
こじつけじゃない?
みたいな展開になったりと、ツッコミどころがたくさんある。
探す時間は何時間単位だ。
でも、エマは、短時間……、ほんの五分ほどで場所を特定してみせた。
しかも、その場所を掘ったら、すぐにタイムカプセルも見つかったのだ。
間延びしがちなテレビの、あまりにもさっくりした展開に、
その日のSNSはおおいに盛り上がった。
たいていは、
「エマの宣伝じゃない? テレビのヤラセでしょ」だったな。
あとは、「エマかわいい! 推すわ」、
「キモイ、ブサイク」、「エスパーすげえ」、
「純粋にエスパーを信じてるヤツは何人いるんだろうな……」
などなど。
テレビ局も動画サイトに
タイムカプセル探しのダイジェスト動画を上げて、
その再生回数は日を追うごとに多くなっていった。
今では、検証してみた動画とか、
エマの能力に関する考察動画とか……。
いろんな派生動画もアップされている。
そんなこんなで、放送日から一週間もしたら、
エマはすっかり有名人になってしまったのだった。
★★★
今日も、テレビにはエマが映っている。
いろんなテレビ局からひっぱりだこみたいだ。
おれはそれを見つつ、なんだか複雑な気持ちになった。
エスパーであることをおおやけにしてるエマ。
人々から尊敬や、あこがれのまなざしを受けることもあるだろうが……。
多くはエマを疑い、批判的なことが多い。
「超能力が本業で、アイドル活動が副業でしょ?」
「違います! アイドルが本業です!」
テレビの司会者の発言とエマのツッコミに、スタジオが笑いに包まれる。
「ただいま~」
お、父さんが帰ってきたな。
「おかえりなさい。今日は早かったのね」
「ああ。ちょっと、リキヤに相談があって……」
玄関からそんな声が聞こえる。
相談? なんだろう?
父さんはおれの座っているリビングのソファーのとなりにすわり、
声のボリュームをおとして、こっそりとこう言った。
「姫野エマちゃんって知ってるだろ?
これは、まだマスコミには気づかれていない、
ナイショのことなんだけど……。
実は、その子が、今朝から行方不明なんだ」
「えっ⁉」
行方不明⁉ でも、テレビには出てるけど……。
おれの視線がちょうど流れていたテレビ番組にいっているのを見て、
「ああ、これは録画だな。あらかじめ撮っておいたやつ」
と父さんは教えてくれた。
「とにかく、今朝のテレビ収録にはこなかった。
アイドルたちと共同生活をしているマンションから、
突然いなくなったんだ」
なるほど、それは心配だな。
「ということで、リキヤ、どうにかして探せないか」
「わかった、やってみる」
おれはポケットからスマホをとりだすと、念写をはじめた。
くそ、こういう時の、三分は長いな。
「あっ!」
父さんの声に目を開けて、スマホを見てみる。
すると、そこには豪華な食事を前に、座っているエマの姿があった。
「えっ、何ここ。高級レストラン?」
父さんの発言に、思わず脱力する。
よかった、縄でしばられたエマ、みたいな画像じゃなくて……。
「まあ、いきなり人気になって、疲れちゃったんじゃない?
で、家出してみた、って感じ?」
「あ~……。そうかぁ。
でも……、無事でよかった」
ほっと息をついた父さんは、
「ありがとな、リキヤ。
あとは、マネージャーと本人の問題だな……」
と言いながら去っていった。
おれはスマホの画像をじいっと見つめる。
エマはこんなに豪華な食事を前にしているのに……。
なんだか、うかない顔だ。
家出の罪悪感なんだろうか?
「まあ……、おれには関係ないか」
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