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第10章 Freedom国、経済の中心へ!

97話 学校の実態

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 やはり、貴族達のあこぎな商売が開始されたのである。学校経営に不満があるのなら、退学してもらってくれてもいいとまで宣言したのだった。

 子供は、友達と別れたくないと言い、親は学費と子供の板挟みになり頭を悩ます事になったのだ。親は子供を説得したのだが、7歳になったばかりの子供にとって家庭事情が詳しくわかるわけでもなく、親としてもこのまま学校に通わせてあげたいが、今なら学校をやめても入学金と一か月の分の月謝で済む形になり、被害をおさえることが出来た。

 しかし、親からしたら無理をしてでも、学校に通わしたい気持ちもあったのである。このまま卒業すれば教育が身につき、子供の将来が安定するとおもっていた。子供の親達は、周りに相談することもなく、結論をズルズルと引き延ばしてしまっていた。

「がははは!ワシの思った通りよ!親の心は子供には弱いからなあ!」

「グンダス様、あなたも悪い人ですね。ひっひっひ!」

「何を言うか!貴族の頃はこんな微々たる金じゃなかったわ!これも、あのケンジのせいだわい!忌々しい!」

「まあまあ、グンダス様。これが今月の上りでございます」

 商人は、学校経営の一部をグンダスに渡したのだった。

「これから、どうするか分かっておるな?」

「分かっておりますよ!半年後また値上げをして協力を集います」

「そうだ!そのころになると、もう退学と言う選択肢はできなくなるはずだ!」

「分かっております。で、学費を払えない人間は借金奴隷にしてしまえば、十分に元が取れますわい!」

 ここに恐ろしい計画があったのである。この私立の学校は充分な教育を受けさせることが出来ると謳い、ケンジの学校では2年間のカリキュラムだったが、私立の学校は倍の4年とあったのである。

 そして、学費が払えないかった場合、入学証明書の裏に小さく4年間の学費を絶対に払うと記載されていたのである。これは不条理に思うが、学校側の意見で入学したくとも入学できなかった子供がいると書いてあった。

 つまり、貴方の子供が途中で学校をやめるのなら、その子供を入学させず他の子供を入学させるべきだったと主張する為であった。

 元貴族のグンダスと商人は、初めから子供の教育などどうでもよく、あくまでも商売として考えていたのだった。
 学校としての教師や教材は用意してあるものの、授業内容はスカスカで4年もかけてやる内容ではなかった。学校内では子供と教師だけで、親が入ることが出来ないようになっていた。出来ないようになっていたが、子供の両親は日々の仕事で忙しく、平日に学校に足を運ぶことが出来ないと言った方がよかった。

 両親は、子供に日頃の授業の事を聞いたが、子供達は文字の書き取りや算数の事を答えていたので、授業はちゃんとできていると安心はしていた。




 子供が寝た後、夫婦は学費の足しになるように寝る間も惜しんで働いていたのである。

「ねえ、あなた?このまま4年間大丈夫?」

「大丈夫も何も頑張らないとな」

「たしかに、教育は受けられているけど、生活費がギリギリなのよね……」

「ぎりぎりなら大丈夫だろ?」

「まあ、そうなんだけど……やっぱり国営の学校が出来るまで待ってたほうが良かったんじゃ……」

「今更そんな事を言ってもしょうがないだろ?」

「まあ、そうなんだけどさ」

「ここはもっと、ポジティブに考えた方がいいんじゃないか?」

「確かにそうよね?ジャックが11歳になった時には、文字の読み書きや計算が出来ているはずなんだものね」

「ああ!ジャックが大人になったら、どんな未来が待っているのかなあ?本当に楽しみだ」

 学校に通わした親は、子供の将来を楽しみにして、夜遅くまで仕事を頑張っていた。



 そして、フリーの町では順調に、学校事業や色んなことが進んでいた。ギルドの覆面調査を行ったが、やはり3ヶ月では気が緩むことは無く、普通に経営をしていたようだった。

 フリーの町は、ケンジ達の子供が授かった事により毎日が活気づき、毎日が祭典のような雰囲気になっていた。テンペの町の元住人達は、ケンジの屋敷に自分の畑で取れた野菜などを交替で送り届けていたのだった。
 
「ケンジ様!マイ様の妊娠おめでとうございます!」

「なんだ?今日はおやっさんが来たのか?」

「明日は、裏の爺様が来る予定だよ」

「いそがしいだろ?そんな毎日交代で来てくれなくてもいいんだぞ?」

「いやいや、ケンジ様にはテンペの町の恩もあるからよ!みんなお祝いがしたいんだよ?」

「まあ、それは分かるしありがたいよ。本当にありがとな」

「いやいや。みんなが受けた恩はこんなもんじゃないさ!」

 ケンジは、テンペの町でいたような感じで、今でも気軽に付き合っていた。そして、こうして屋敷に招き入れ雑談をするようなかんじだった。

「しかし、ケンジ様よう……聞いているかと思うが、他の町に出来ている学校の噂知っているか?」

「いや?なんのことだ?」

「知らないのかい?」

「まあ、俺達には関係の無いことだからな?どんな商売しようが、俺達には手が出せないだろ?」

「確かにそうか……」

「何かあったのか?」

「いやな、知り合いから聞いたんだが、元帝国領の町の話なんだが、学校経営が上手く行ってないらしいよ」

「まあ、確かに学校事業はFreedomを上げてやっているような事だから、一商人が手を出すと上手く行かない事もあるだろうさ」

「なるほどなあ。俺達はフリーの町で良かったと、噂していたところだったんだよ」

「話はそれだけか?」

「ああ!それだけだよ?」

「なんだよ。もっとなにか危ない話だと思っただろ?焦らせるなよ!」

「俺は、只の国民だぜ?そんな詳しい話がまわってくるわけないだろ?」

「まあ、確かにそうだな……」

 ケンジはこの時、只の世間話として聞き流していた。ケンジにとっては他の町の学校経営は、税金の対象でしかなかったからだ。国営の学校事業は、後から建設しても充分成功できるとおもっていた。

「おやっさんの子は、学校には通わせないのか?」

「俺の子は八百屋を継ぐと言っているからな。兄弟3人とも協力して家の手伝いでいいって言ってくれている」

「そっか。だったら、おやっさんの店は安泰だな?」

「まあ、俺からしたらありがたい事だが、一人くらい別の道に行くかと思って、学校の話を振ったんだが小さいころからやってた店が良いんだと」

「そっか!それなら、それでよかったじゃないか」

「だが、フリーの町の学校は、7歳が過ぎても入学できるようになったらしいじゃねえか?」

「ああ!9歳から14歳までのクラスが出来たから、学校の授業料を取る事が出来るようになったよ」

「7歳と8歳だけがタダなんだな?」

「だけどこの9歳からのクラスも、安くはなるけど子供手当が出るから、実質授業料は半額になるよ」

「来年か再来年は、15歳以上でも入学できるようにするつもりさ」

「なるほどなあ……」

「まあ、おやっさんも教育を受けたいのであれば、受けれるようになるよ」

「わははは!俺は今更教育って柄じゃないよ。俺が受けるのなら息子たちにうけさせるよ!」

 ケンジと八百屋のおやっさんは、30分程度雑談をしてリフレッシュした。この時間はケンジにとっても大切であり、気が休まる時間だったのだ。

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