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間話
12話:テレンスとアラン(衝立)
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グレン王子とそのお妃候補は初夜に向け、ぎこちなく距離を詰めていた。
テレンスとアランはごそごそと衝立を用意する。
これから更に二人は次の段階に進む。
――フェラチオである。
正直、これ、どうなんだ。素人の令嬢にやらせて良いのかよ。
と三十六歳のテレンスは衝立を運びなから、密かに悩んでいた。
『テレンスさん』
とフェラチオ計画の張本人アランがヒソヒソと囁いてくる。
わずかに声は漏れるが、その場にいるお妃候補の令嬢エルシーは緊張も相まって気付いていない。
グレン王子はふいと顔を向けたが、麗しの令嬢が気に掛かるのか視線を戻す。
相当に気に入った様子というのか、もう怖いくらい入れ込んでいる。
そんな二人の様子を横目にしつつ、テレンスは年下の同僚アランに向かって、
『何だ?』
と答えたが、多分、大したことではない。
『テレンスさん、エルシー様、気に入ったみたいですが、決め手は何ですか?』
妾候補をお妃候補にするかは最終的には当番の竜騎士の判断に委ねられた。
――良いのか、それで。
テレンスはそう思ったが、確かに当日に判断せねばならないことが多すぎた。どこかに打診する時間はない。
素早さが要求される計画だったので、グレン王子の正妃を子爵令嬢エルシーと決めたのは、竜騎士テレンスとアランである。
竜が選び、竜騎士が定めたる妃であった。
テレンスとアランは二度符丁を投げ合った。
一度目は、ここ、離宮の王子の私的な談話室にお妃候補を通したことだ。
ここは離宮の三階にあり、王子の寝室の隣である。
二度目の符丁がこの衝立だ。計画続行の合図だった。
この符丁は王子も承知している。
『王子があれだろう。相当やばかった。レイプ寸前だし、かなり気に入ってたな。あれ見て反対は出来ないし、まあエルシー様、良い子そうだぞ』
そう言い、テレンスはちらりと衝立の向こうを覗き込む。
グレン王子は吸い寄せられるようにエルシーを見つめている。
エルシーという存在に魅了されているように見えた。
要するに、恋に落ちた。
テレンスが知る限り、グレン王子の初恋である。
二十六歳で初恋。
しかも当日にベッドイン。
嫌な予感しかしないが、仕方がない。
テレンスはグレン王子の初恋を成就させてやりたいと思った。
グレン王子はまっとうな手段で、エルシーを手に入れたいらしく、この後に及んで怖じ気づいたが、エルシーを妃に出来るチャンスは今この日この時だけなのだ。
何が何でも初夜を迎えて貰わねばならない。
それにエルシーはグレン王子を怖がらない。
グレン王子の金目は尊ばれる反面、竜の瞳と気味悪がられた。
背も高く無口で、顔立ちも端正だがいささか冷たく、王族らしく威風のようなものもあり、色々とっつきにくい男ではある。
妙齢の娘を持つ貴族達は皆、娘を王子に近寄らせたがったが、娘は軒並み王子に怯えた。
だがエルシーは怯むことなく、グレン王子に喜怒哀楽を示す。
そんなエルシーの一挙手一投足をグレン王子は夢中で見つめている。
『アラン、お前はどうなんだ?反対か?』
アランもまた王子ほどではないが、整った顔立ちの男だ。
王子とは真逆に人好きするタイプで、その顔と口の上手さでよく女性を引っかけている。
アランはニコリとテレンスに笑いかける。
『もちろん賛成ですよ。エルシー様とお似合いですし。エルシー様おっぱいおっきくなさそうですが色々ちっちゃくて可愛いですよね』
テレンスはうんざりして言う。
『おっぱいって、不敬だから止めてくれ。聞いている方が怖い。エルシー様は妃殿下になるんだぞ』
『もちろんです。俺達でお守りしましょう。それでですね、テレンスさん』
テレンスは予感した。
あっ、こいつ、絶対、下らないこと言う。
『エルシー様、Bカップくらいですかね』
テレンスとアランはごそごそと衝立を用意する。
これから更に二人は次の段階に進む。
――フェラチオである。
正直、これ、どうなんだ。素人の令嬢にやらせて良いのかよ。
と三十六歳のテレンスは衝立を運びなから、密かに悩んでいた。
『テレンスさん』
とフェラチオ計画の張本人アランがヒソヒソと囁いてくる。
わずかに声は漏れるが、その場にいるお妃候補の令嬢エルシーは緊張も相まって気付いていない。
グレン王子はふいと顔を向けたが、麗しの令嬢が気に掛かるのか視線を戻す。
相当に気に入った様子というのか、もう怖いくらい入れ込んでいる。
そんな二人の様子を横目にしつつ、テレンスは年下の同僚アランに向かって、
『何だ?』
と答えたが、多分、大したことではない。
『テレンスさん、エルシー様、気に入ったみたいですが、決め手は何ですか?』
妾候補をお妃候補にするかは最終的には当番の竜騎士の判断に委ねられた。
――良いのか、それで。
テレンスはそう思ったが、確かに当日に判断せねばならないことが多すぎた。どこかに打診する時間はない。
素早さが要求される計画だったので、グレン王子の正妃を子爵令嬢エルシーと決めたのは、竜騎士テレンスとアランである。
竜が選び、竜騎士が定めたる妃であった。
テレンスとアランは二度符丁を投げ合った。
一度目は、ここ、離宮の王子の私的な談話室にお妃候補を通したことだ。
ここは離宮の三階にあり、王子の寝室の隣である。
二度目の符丁がこの衝立だ。計画続行の合図だった。
この符丁は王子も承知している。
『王子があれだろう。相当やばかった。レイプ寸前だし、かなり気に入ってたな。あれ見て反対は出来ないし、まあエルシー様、良い子そうだぞ』
そう言い、テレンスはちらりと衝立の向こうを覗き込む。
グレン王子は吸い寄せられるようにエルシーを見つめている。
エルシーという存在に魅了されているように見えた。
要するに、恋に落ちた。
テレンスが知る限り、グレン王子の初恋である。
二十六歳で初恋。
しかも当日にベッドイン。
嫌な予感しかしないが、仕方がない。
テレンスはグレン王子の初恋を成就させてやりたいと思った。
グレン王子はまっとうな手段で、エルシーを手に入れたいらしく、この後に及んで怖じ気づいたが、エルシーを妃に出来るチャンスは今この日この時だけなのだ。
何が何でも初夜を迎えて貰わねばならない。
それにエルシーはグレン王子を怖がらない。
グレン王子の金目は尊ばれる反面、竜の瞳と気味悪がられた。
背も高く無口で、顔立ちも端正だがいささか冷たく、王族らしく威風のようなものもあり、色々とっつきにくい男ではある。
妙齢の娘を持つ貴族達は皆、娘を王子に近寄らせたがったが、娘は軒並み王子に怯えた。
だがエルシーは怯むことなく、グレン王子に喜怒哀楽を示す。
そんなエルシーの一挙手一投足をグレン王子は夢中で見つめている。
『アラン、お前はどうなんだ?反対か?』
アランもまた王子ほどではないが、整った顔立ちの男だ。
王子とは真逆に人好きするタイプで、その顔と口の上手さでよく女性を引っかけている。
アランはニコリとテレンスに笑いかける。
『もちろん賛成ですよ。エルシー様とお似合いですし。エルシー様おっぱいおっきくなさそうですが色々ちっちゃくて可愛いですよね』
テレンスはうんざりして言う。
『おっぱいって、不敬だから止めてくれ。聞いている方が怖い。エルシー様は妃殿下になるんだぞ』
『もちろんです。俺達でお守りしましょう。それでですね、テレンスさん』
テレンスは予感した。
あっ、こいつ、絶対、下らないこと言う。
『エルシー様、Bカップくらいですかね』
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