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03.隣国に嫁いだ第三王女は、傷心の王太子妃として隠れ戻ってきたらしい
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いつも嫌味たらしく意地悪な相手。
そんなバラデュール伯爵が余りにも神妙に語るから、私もまた冗談として返せず戸惑ってしまう。
「どんな約束であっても、そこに絶対というものはありませんわ。 避けようのない状況というものはあるでしょう?!」
バラデュール伯爵が伯爵の地位を継ぐことが決まったその日だってそうだった。 水辺に渡り鳥がやってくる寒い季節。 彼は湖に集まる渡り鳥を見に連れて行ってくれる約束だった。 春になれば一緒に美しい花を見ようと約束していた。 それら全てが彼が伯爵の地位についたことで反故にされた。
意地悪な彼は、お菓子1つに意地悪1つ。
約束ではない、お約束。
伯爵になるまで、彼はずっとそうだった。
「そうだな」
短く答える伯爵に動揺はない。
「だが、俺がもしアイツの立場なら、オマエを優先する。 まぁ、いい。 店に戻ろう。 アレの言い訳をオマエも聞きたいだろうからな」
そして私は、店へと戻った。
店の扉を開けば、伯爵の侍女が入り口側で恭しく頭を下げた。
「お帰りなさいませ。 客人はおいでませんでした」
「そう、ありがとう」
私は、店の中にいる侍女と、私の背後にいる伯爵に、にっこりと微笑みながらもう一度礼を言った。
「ありがとうございました」
「何、気にするな」
「どうして、店に入ってこようとするんですか!」
「泣いたら、慰めてやろうと思ってな」
「デートの約束が1度反故された程度で泣きませんよ!」
「ドレス……見事なものだな」
花嫁となる日に着るドレス、最近はソレを眺めるのが日課となっており、それらはトルソーにかけて来客を断っている店内に陳列されている。 そのドレスの前に立つバラデュール伯爵の神妙な横顔に私は一瞬言葉を飲み込んだ。
「こんなに……着るのか?」
振り返ったバラデュール伯爵の表情は何時も通りで、だけど……彼の質問は少しだけ答えにくいもので……。
「その……作っているうちに、次々とアイデアが……」
「だが、ウエディングドレスと言うには少し地味なのではないか?」
「ねぇ、私の話、聞いてます?」
「聞いている」
「そんなに、私が気になると言うなら事情ぐらい、話てはどうですか!!」
「……それはそうだが……俺は、オマエの泣き顔も嫌いではないんでな」
私を見つめたバラデュール伯爵は、ニヤリと笑って見せる。
私は、ふっざけるな!! そんな言葉を飲み込んだ。
「暇……なんですか?」
「まさか……。 それより、こんなものを並べて何をしていたんだ」
店の奥の作業場をのぞいているバラデュール伯爵の言葉に私は首を傾げた。
何か?
「ぁ!! ダメ、それは見ないでください!!」
夜の関係を仄めかされたデートを前に、お出かけ用の服から下着まで、幾種類も並べ立て眺めていた痕跡がそのままそこにあった。
「……色気づきやがって」
溜息交じりの声に私は顔を真っ赤にしてしまう。
普段着こそ控えめなデザインをしているが、目に見えない部分は……少しばかり……いえ、かなり張り切って作ってしまっていて。 そんな下着を手に眺められ私は慌てて、ソレを奪おうとバラデュール伯爵の方へと向かおうとした。
「……わ、私だって、何時までも子供ではありません」
店のベルが響いた。
思わず黙りこむ私。
そして目線で行ってこいと訴えるバラデュール伯爵。
「お待たせしました」
視線を伏せて、入り口に向かえばディディエ様と……その背後に女性が1人。
「お客様をご紹介して……くださる……の……」
動揺露わに途切れながら言葉を紡いだのは、ディディエ様が女性を同伴していたからではない。 ディディエ様の唇には女性の物と思われる紅がついており、女性の唇からは紅がはげ落ちていた。
明らかな口づけの跡。 それも、軽く啄むようなものではなく……深く長い口づけの痕跡。
「いえ、実は……今日の約束ですが、どうしても都合がつかなくなってしまったのです。 それで、その、謝罪に訪れた次第です」
バラの花束が手渡され、私はボーゼンとしながらソレを受け取ってしまっていた。 口づけの痕跡から視線を背け、私は言葉を捻りだした。
「そうですか……そのようなこともありましょう。 ですが、その都合をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「実は彼女だが……」
背後にたたずむ、私と良く似た背格好の女性へと視線を向ける。 明るい黄金の髪に、新緑を思わせる緑の瞳。 そこには薄暗い陰りが見え隠れし、かつての溢れんばかりの活力を全面に出した美貌には陰りがみられたが、陰りは憂いとなり匂いたつような色香と変わっていた。
その人物は、直接お会いしたことがなくとも、この国の民であれば大抵が姿を知っているだろう女性。
「彼女は私の幼馴染でね……君も知っているだろう? この国の第三王女で、隣国に嫁いだミモザ王太子殿下」
紹介された彼女は、不機嫌そうにそっぽを向いていた。
「お会いできて光栄でございます」
「ねぇ、いつまで、こんな所で立たせているつもりですの」
不満そうに言われた。 確かに礼儀に反しているし、それに外聞もよく無いでしょう。 だけど、私は2人を私の城に入れたく無いと思ったのだ。
「ディディエ様は殿下の護衛の任にお着きになられたのですね」
口づけはアレだが、そう思えば納得できた。
「いえ、そうではなく……。 彼女はその……とても可哀そうな思いをなされたのです。 子を亡くすと言う不幸に見舞われたにもかかわらず、誰も彼女を慰めることもなく、子の死を悼むこともなく、そんな王太子と使用人達の態度に、彼女は心を蝕まれ国に戻ってきたのです。 私はそんな彼女を支えて差し上げたいと思っているのです」
口元の紅を目にしているからこそ、ただ約束を断るには長すぎると思った。
言い訳を言うぐらいなら、口元を拭ってくれば良いものを……。
「それは……シバラク続くと言う事ですか?」
「えぇ、彼女が元気になるまで……。 シシリーなら理解してくださいますよね?」
何を根拠に……私なら……と言っているのでしょうか? 黙り込み俯いたままの私の肩に手を乗せディディエ様は語る。
「女性が子を亡くすと言うのは、身を二つに裂かれるような苦しみなのだと伺いました。 ですが彼女の周囲はそんな彼女の苦しみに理解を示さず。 それどころか王太子は彼女を遠ざけ、にも拘らず王太子妃として完璧な職務を求められたそうです。 そんな辛い日々に耐え切れず、彼女は逃げ出してきたのです。 彼女の苦しみ……分かって頂けますよね?」
肩を掴む手に力が、熱意が込められる。
「はい……」
慰めるのに口づけが必要なのですか!! そう……問いただす勇気はなかった。 何しろ相手は王女殿下。 せめて彼女がいなければ、悲しいのだと彼に訴えることもできたかもしれない。 だけど、今は、女としての見栄がソレをさせなかった。
「ねぇ、このドレス地味じゃない?」
「ぇ? 私のウェディングドレス……」
会話をしている間に、ミモザ様は私のドレスを着ている。
「な、にを、なさって(いるのですか)」
唖然とした私の呟きは、次のディディエ様の言葉を前にかきけされた。
「子を亡くした失意の王太子妃には、それぐらい落ち着いたものが丁度良いのではありませんか?」
そんなバラデュール伯爵が余りにも神妙に語るから、私もまた冗談として返せず戸惑ってしまう。
「どんな約束であっても、そこに絶対というものはありませんわ。 避けようのない状況というものはあるでしょう?!」
バラデュール伯爵が伯爵の地位を継ぐことが決まったその日だってそうだった。 水辺に渡り鳥がやってくる寒い季節。 彼は湖に集まる渡り鳥を見に連れて行ってくれる約束だった。 春になれば一緒に美しい花を見ようと約束していた。 それら全てが彼が伯爵の地位についたことで反故にされた。
意地悪な彼は、お菓子1つに意地悪1つ。
約束ではない、お約束。
伯爵になるまで、彼はずっとそうだった。
「そうだな」
短く答える伯爵に動揺はない。
「だが、俺がもしアイツの立場なら、オマエを優先する。 まぁ、いい。 店に戻ろう。 アレの言い訳をオマエも聞きたいだろうからな」
そして私は、店へと戻った。
店の扉を開けば、伯爵の侍女が入り口側で恭しく頭を下げた。
「お帰りなさいませ。 客人はおいでませんでした」
「そう、ありがとう」
私は、店の中にいる侍女と、私の背後にいる伯爵に、にっこりと微笑みながらもう一度礼を言った。
「ありがとうございました」
「何、気にするな」
「どうして、店に入ってこようとするんですか!」
「泣いたら、慰めてやろうと思ってな」
「デートの約束が1度反故された程度で泣きませんよ!」
「ドレス……見事なものだな」
花嫁となる日に着るドレス、最近はソレを眺めるのが日課となっており、それらはトルソーにかけて来客を断っている店内に陳列されている。 そのドレスの前に立つバラデュール伯爵の神妙な横顔に私は一瞬言葉を飲み込んだ。
「こんなに……着るのか?」
振り返ったバラデュール伯爵の表情は何時も通りで、だけど……彼の質問は少しだけ答えにくいもので……。
「その……作っているうちに、次々とアイデアが……」
「だが、ウエディングドレスと言うには少し地味なのではないか?」
「ねぇ、私の話、聞いてます?」
「聞いている」
「そんなに、私が気になると言うなら事情ぐらい、話てはどうですか!!」
「……それはそうだが……俺は、オマエの泣き顔も嫌いではないんでな」
私を見つめたバラデュール伯爵は、ニヤリと笑って見せる。
私は、ふっざけるな!! そんな言葉を飲み込んだ。
「暇……なんですか?」
「まさか……。 それより、こんなものを並べて何をしていたんだ」
店の奥の作業場をのぞいているバラデュール伯爵の言葉に私は首を傾げた。
何か?
「ぁ!! ダメ、それは見ないでください!!」
夜の関係を仄めかされたデートを前に、お出かけ用の服から下着まで、幾種類も並べ立て眺めていた痕跡がそのままそこにあった。
「……色気づきやがって」
溜息交じりの声に私は顔を真っ赤にしてしまう。
普段着こそ控えめなデザインをしているが、目に見えない部分は……少しばかり……いえ、かなり張り切って作ってしまっていて。 そんな下着を手に眺められ私は慌てて、ソレを奪おうとバラデュール伯爵の方へと向かおうとした。
「……わ、私だって、何時までも子供ではありません」
店のベルが響いた。
思わず黙りこむ私。
そして目線で行ってこいと訴えるバラデュール伯爵。
「お待たせしました」
視線を伏せて、入り口に向かえばディディエ様と……その背後に女性が1人。
「お客様をご紹介して……くださる……の……」
動揺露わに途切れながら言葉を紡いだのは、ディディエ様が女性を同伴していたからではない。 ディディエ様の唇には女性の物と思われる紅がついており、女性の唇からは紅がはげ落ちていた。
明らかな口づけの跡。 それも、軽く啄むようなものではなく……深く長い口づけの痕跡。
「いえ、実は……今日の約束ですが、どうしても都合がつかなくなってしまったのです。 それで、その、謝罪に訪れた次第です」
バラの花束が手渡され、私はボーゼンとしながらソレを受け取ってしまっていた。 口づけの痕跡から視線を背け、私は言葉を捻りだした。
「そうですか……そのようなこともありましょう。 ですが、その都合をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
「実は彼女だが……」
背後にたたずむ、私と良く似た背格好の女性へと視線を向ける。 明るい黄金の髪に、新緑を思わせる緑の瞳。 そこには薄暗い陰りが見え隠れし、かつての溢れんばかりの活力を全面に出した美貌には陰りがみられたが、陰りは憂いとなり匂いたつような色香と変わっていた。
その人物は、直接お会いしたことがなくとも、この国の民であれば大抵が姿を知っているだろう女性。
「彼女は私の幼馴染でね……君も知っているだろう? この国の第三王女で、隣国に嫁いだミモザ王太子殿下」
紹介された彼女は、不機嫌そうにそっぽを向いていた。
「お会いできて光栄でございます」
「ねぇ、いつまで、こんな所で立たせているつもりですの」
不満そうに言われた。 確かに礼儀に反しているし、それに外聞もよく無いでしょう。 だけど、私は2人を私の城に入れたく無いと思ったのだ。
「ディディエ様は殿下の護衛の任にお着きになられたのですね」
口づけはアレだが、そう思えば納得できた。
「いえ、そうではなく……。 彼女はその……とても可哀そうな思いをなされたのです。 子を亡くすと言う不幸に見舞われたにもかかわらず、誰も彼女を慰めることもなく、子の死を悼むこともなく、そんな王太子と使用人達の態度に、彼女は心を蝕まれ国に戻ってきたのです。 私はそんな彼女を支えて差し上げたいと思っているのです」
口元の紅を目にしているからこそ、ただ約束を断るには長すぎると思った。
言い訳を言うぐらいなら、口元を拭ってくれば良いものを……。
「それは……シバラク続くと言う事ですか?」
「えぇ、彼女が元気になるまで……。 シシリーなら理解してくださいますよね?」
何を根拠に……私なら……と言っているのでしょうか? 黙り込み俯いたままの私の肩に手を乗せディディエ様は語る。
「女性が子を亡くすと言うのは、身を二つに裂かれるような苦しみなのだと伺いました。 ですが彼女の周囲はそんな彼女の苦しみに理解を示さず。 それどころか王太子は彼女を遠ざけ、にも拘らず王太子妃として完璧な職務を求められたそうです。 そんな辛い日々に耐え切れず、彼女は逃げ出してきたのです。 彼女の苦しみ……分かって頂けますよね?」
肩を掴む手に力が、熱意が込められる。
「はい……」
慰めるのに口づけが必要なのですか!! そう……問いただす勇気はなかった。 何しろ相手は王女殿下。 せめて彼女がいなければ、悲しいのだと彼に訴えることもできたかもしれない。 だけど、今は、女としての見栄がソレをさせなかった。
「ねぇ、このドレス地味じゃない?」
「ぇ? 私のウェディングドレス……」
会話をしている間に、ミモザ様は私のドレスを着ている。
「な、にを、なさって(いるのですか)」
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