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三章 湯けむり温泉、ぬるぬるおふろ

二人でぺろぺろ

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 お湯の中で密やかに行われる淫事。ぬるぬるの温泉の中でこしゅこしゅと手を動かされて性器をこすられる。左右から義兄弟に挟まれる綾瀬。

「や、やめろって、何で二人ともこんなことを……んっ!」

 気が付けば温泉の縁の岩に綾瀬は腰かけさせられて、一ノ瀬兄弟から性器を舐められていた。その様は、食虫植物に捕食される可哀想な小虫である。

「ん、ちゅ、ちゅ……俺の方がきもちいいよね、臨さん……!」
「僕の方が上手いよね、臨……ふふ、身体は正直だね」

 それは視覚の暴力だった。好きな子とよく分からないけど気になる人が同時に性器を舐めている。ぺろ、とピンク色の舌で頑張って一生懸命に奉仕する凛。その隙間から奪うようにして航の赤い舌が伸びる。
 温泉のうっすらとした湯気が秋の風で晴れる。それでもぼやけて見える視界。綾瀬の頭がくらくらとする。どうしてこんなことになったのか……もうはっきりと思い出せなかった。
 お風呂に入って、最悪な空気を何とかするために、友人とお湯をかけあいっこして……気が付いたら告白されて、好きな子に嫉妬されていた。そしてあれよあれよという間に性器を二人に触られて、舐められている。

 綾瀬より一回り小さな凛の手が、舌で舐めきれない根元の部分を健気にこする。ちゅ、ちゅ、と音を立てて性器をぺろぺろと舐める凛。たまに上目遣いでちらりと綾瀬を見ては頬を染める。二人同時に舐められた事はないので、さすがの凛も少し恥ずかしいのだ。そういう様子を見ているだけで可愛くて、綾瀬は胸の高鳴りを押さえられない。
 一方で航の方はどうかというとじゅる、じゅぷ、という音を立てて綾瀬の性器の先端のくぼみを責め立てる。凛とずっと行為をしていたからだろうか、上手だった。男性同士しか分からないような、気持ちの良い場所を的確にしごいたり舐めたりしてくる。航の端正な顔に性器を押しつけて、下品な音を立ててしゃぶらせている。そう考えると背徳感でどうにかなりそうだった。


「う、二人とも、ちょっと……出るって……!」

「はふ、出していいよぉ……」
「ブッかけて、のぞむ……」


 蠱惑的な笑みを浮かべる、顔の似た義兄弟に囁かれる。精管を通って作られたばかりの精液が昇ってくる。凛のお口や航の整った顔に、勢いよくぶちまけられる生温かく白い液体。それは少しばかり早い初雪のようだった。
 小さな頃、記録的な大雪の年があった。雪だるまを作って、小さな凛に雪兎を作って……兄弟と綾瀬に分かれて雪合戦をしたことがある。前歯が一本抜けた口で微笑む凛。雪まみれになって赤く染まる、一ノ瀬兄弟のほっぺた。それとよく似た、精液まみれの凛と航の顔……ぞくぞくとした。
 温泉を汚すことはなかったが、二人の顔はべとべとにしてしまった。身体を洗うタオルで拭こうとすると、兄弟が二人で見つめ合って……キスをするようにしてお互いの顔についた精液を舐めとりあう。

「ん、くちゅ、ちゅ……はっ、はぁっ……」
「ちゅっ、ちゅ……ん、凛……」

 顔の精液を綺麗に全部舐めて飲んで、航と凛でキスをする。舌を絡めて、綾瀬の精液とお互いの唾液を混ぜたジュースを交換する。とろとろで、甘くて少し苦い味が、兄弟のお口の中を満たす。
 まだフェラとキスしかしていないのに、凛の性器はおへそに着くくらい勃起していて、腰がへこ、へこと動いている。航の性器もほんのりと勃ちあがっており、凛と指を絡め合わせて手を繋いで、下半身を押しつけていた。
 綾瀬はまだ射精したばかりだからそういうことはできないが……それでも興奮はした。冷静な頭で壁掛け時計を見る。退出まであと二十分だった。とても何かをできるような時間はない。
 どうしようかと思っていると、航がうっとりとした顔で綾瀬に囁いた。


「僕たち、先に部屋に戻ってるから……身体を洗って、おいで……楽しいこと、いっぱいしようか……」


 そう言って、凛の身体に温泉のお湯をかけて綺麗にしてから、凛の耳元で何かを呟いた。凛は複雑な気持ちになりながらも……残り時間の少なさと自分の感情を天秤にかけて、お風呂から上がった。
 航もお湯で綺麗にしてから、手を繋いで温泉から出ていく。後には綾瀬が残された。楽しいこと……性的に高められて今すぐにでも何でもできそうな凛と、欲情に濡れた瞳で身体を準備してくれる航……それを考えると綾瀬はたまらない。

 それは、綾瀬と一ノ瀬兄弟の関係が変わった夜だった。まだ時刻は二十二時半。たっぷり、何でもできる時間があった。綾瀬は温泉に入って、とろとろのお湯に身を任せる。まるで、包み込まれているような温かさ。温泉の湯けむりの中、綾瀬はぬるぬるのお湯で身体をこすった。


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