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一章 一ノ瀬兄弟

絶対に逃がさない 4

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 思わず言葉を失う綾瀬。航は相変わらずの何を考えているか分からない笑顔で、凛の体内から性器を抜いた。そして凛の耳元で何かを囁き……ごろりと寝転がった。その航の上に凛が座り込んで、騎乗位で航の性器をナカに入れる。
 綾瀬からは凛の尻に航の性器が入っているのが丸見えだ。ひく、ひく、と震えるピンク色の襞が、頑張って航の性器を飲み込んでいる。凛は恥ずかしそうに振り向いて、綾瀬に向かってこう言った。

「あんっ、あん、あん……このまま、綾瀬さんも俺のナカにいれてぇ……!」

 綾瀬はごく、と唾を飲み込んだ。凛は下から航に突かれて嬌声をあげている。入るのだろうか……綾瀬は少し怖気づきながらも、そっと凛の穴に性器を押し当てる。ぬちゅ、と性器が柔らかな粘膜に包み込まれて、窮屈なそこを押し広げるようにして奥へと進む。

「あ゛あ゛あ゛あっ、あぅ……あ、ああ、あ、あ、あ、あ、あ!」

 凛はがくがくと身体を震わせ、到底大丈夫とは言えなさそうな声を出す。綾瀬は抜こうとするが、航はおかまいなしに下から突きまくる。綾瀬の性器が一番奥の柔らかい所、航の性器が前立腺をつつくようにしてこする。
 気持ちの良い所を大好きな二人に攻められて。凛はもう喘ぐことしかできない。
 その上、綾瀬が凛の性器をしごいたり、航が乳首をいじってくるものだから、もう凛は意識を失わないようにする事だけで精いっぱいだ。ベッドのスプリングがギシギシと鳴る音。凛の口から漏れる喘ぎ声。性器が出入りする水音。凛の思考が音で奪われていく。


「あっ、あンっ……孕ませてっ! 中出ししてっ! 妊娠させてぇっ!」
「凛はどっちの赤ちゃん欲しい……?」


 霞む。まるで脳に霧がかかっているみたい。視界もぼんやりする。ただ気持ちが良い。もはやどちらのものか分からない……手や性器や唇が、凛の弱い所を全部知っているかのように責め立てる。舌でチョコレートを舐めて飲み込む時のように、快楽で身体が溶けてしまいそう。

「おにいちゃんの赤ちゃん、欲しいっ! 兄弟やめて、パパとママになりたいよぉ……」

 凛がほぼ無意識に選んだのは兄だった。腰を動かし、二人の性器を健気に飲み込みながら、倒れ込むようにして寝転がる航に抱きつく。そして、ちゅ、と子どものようなキスをした。航の頬が赤く染まり、胸がいっぱいになる。嬉しくて、思わず凛を抱きしめた。血を分けたたった一人の弟。それなのにこんなに愛しくて、我を忘れてしまうほどに君が好き。

「りん……! つくろうね、赤ちゃん……だすよ」
「うんっ、だして、だしてっ! おにいちゃん、だいすき……」

 航がぶる、と太ももを震わせ、凛のナカに出した。綾瀬は複雑な気持ちになりながらも……しかし、腕の中の凛が健気で愛おしかった。やはり選ばれるのは航だったのだ。少し寂しいな、と思っていると、凛が振り返ってとんでもない事を言った。
 
「でも、あやせさんの赤ちゃんもほしい……つくって? あやせさん、デキ婚しよ……?」

 ふわりとした笑顔を浮かべて、凛はすごい事を言う。綾瀬も思わず頬が赤くなる。普段は温和で儚げでなよやかな子なのに……ひとたび性行為が始まると、どこまでもいやらしくなっていく。四つん這いになった凛を後ろから抱きしめていた。

「凛ちゃん……凛ちゃん、りん……」
「あやせさんも……だいすき。ね、赤ちゃんできるまで抱いて……妊娠したい……」

 そんな事を言われたら、ただでさえ我慢しているのに出てしまう。綾瀬は胸にじんわりと広がる謎の温かい気持ちを持て余しながら、凛のナカに精液を放つ。頭では男同士で妊娠も赤ん坊もできるわけがないと分かっている。でも……何だか本当にできそうな気がした。しただけかもしれない……綾瀬はよく分からないままベッドに寝転がった。
 意識を失いかけた凛も航と綾瀬の間に倒れ込む。狭いベッドに男三人が寝て、川の字が出来る。
 凛の頭を撫でる航の優しい表情。綾瀬も凛の髪に手を伸ばす。航は特に拒否もせず、綾瀬と一緒に凛の髪の毛を撫でる。


「これからも、よろしくね…………綾瀬さん」


 いつか言った覚えのある言葉。航だけではない。彼もまた、その可愛らしい容姿を餌にして獲物を誘い込む……植物で例えるならばそう、ムシトリスミレ。葉の表面に粘液が付いた繊毛を生やしているので、一度触れるともう逃げることはできない。綺麗な花を咲かせて虫をおびき寄せて、身動きが取れないようにして消化吸収する食虫植物。

 凛は無垢な笑みを浮かべて、可愛らしく頬を染めた。



第一部・終
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