大賢者の弟子ステファニー

楠ノ木雫

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■72 銀閉氷牢

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 銀閉氷牢とは、その名の通りモンスターを閉じ込める牢である。とても頑丈なものとなっていて、そして、中のモンスターは純度の高い聖水によって作られた氷で氷漬けにされてしまうのだ。

 聖水とは人間を癒すもの。だけど、モンスターにとっては毒である。そして、純度の高いものとなると猛毒だ。因みに、ルシルは私の聖獣であるから効かない。

 直接お師匠様から教わった為作れるのは作れるけれど……難易度が高い為、普段の錬成より時間がかかる。

 


『 清き生命溢れる 彼女の創りしこの世界



  古より大地を潤す 清浄なる聖水よ


  
  その地を脅かす異物に



  今、



  女神の鉄槌を下さん



  憤怒の涙は悪を飲み込む__』




 その言葉で、展開された陣が銀色に光り出し一番外側に等間隔で水が噴き出した。聖水だ。



「バートン様っ!!!」



 私は、鉄縄を錬成。陣の真ん中から飛び出し、バートン様が押さえ込んでいたリザードマンに巻き付けた。引き千切られる前に、大きな身体を引きずり込む。けれど、リザードマンはバートン様も巻き込もうと腕を掴んでしまった。

 離すことも出来るけれど、とも考えたが彼は掴まれた手の腕にレイピアを刺し雷魔法を繰り出した。リザードマンの手から逃げる事が出来たけれど、反動で私の後ろにある碧鉱石の壁に直撃してしまった。

 心配したけれど、バートン様が時間を稼いでくれた事で作ることが出来た銀閉氷牢だ。絶対に捕まえなければ。


 ――今だっ!!!


Creareクレアーレ


 陣の中心に引きずり込まれたリザードマン。入った瞬間に錬成を始める。噴き出していた聖水が量を増し、頭上に傾け角錐の形を形成しリザードマンを囲った。

 

『 凍て付く白銀は 生命を止める


  動くことも 呼吸すらも許さない 』





 陣と触れ合っている足から、少しずつ凍り出す。

 檻の中は、絶対零度となっているだろう。

 そして、少ししない内に全て氷漬けになった。




『 大地の女神ガイアの鉄槌を以て




          砕  け  散  れ   



                             』




 パァンッ……

 そんな音と共に、粉々に地面に落ちていった。

 




『 全ては 我らが偉大なる大地の女神ガイアの名の元に__ 』











 そして、一つ。何かが残った。


 それは、以前感じた事のあるもの。

 
 〝憎悪〟


 あの森で封じた水晶に入っていたものだ。


 あれは、お師匠様の知人である大賢者メルディアースさんが処理してくれた。


 そう、その処理を私は『見た』。


 これまで、お師匠様の修業は、『見て』覚えろ。それが基本だった。


 だから、自分が見たものを重ね合わせて、__消し去ったのだ。

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