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■52 湿地帯視察
しおりを挟む大体仕事が落ち着いてきた頃。
「スティーブン、明日は丸1日空くよね」
「はい、何とか。湿地帯へ視察に向かう準備は大方揃っております」
「そっか、ありがとう」
「いいですか、視察ですよ。あくまでも視察です」
「はいはい」
マルギルさんの護衛依頼であの場所に行った時はあまり中に入っていなかったから、ちゃんとした捜査をしなければ計画書を作りたくても作れない。
今回は、警備兵を連れて手前まで魔鉱車で行きそれから歩きで回る予定だ。ジョシュアとローレンスには一緒に行きたいと言われてしまったけれど、これは許可できない。今日は駄目、と何とか言い聞かせた。
さて、宝の山だと言ったけれど、どんなものが埋まっているのやら。領民達の税金くらいのものが集まればいいのだけれど。
「まずは〝ソビエラ〟だね。鍛冶屋には必要になってくるものだから、あったら持って帰って加工してから町に格安で売ろう」
「そうですね、それがよろしいかと」
本当は無償で提供したいのだけれど、それでは領民達が戸惑ってしまいますとの事で格安で売る事になったのだ。
「〝モニアトの蜜〟があれば高値で売れるんだけどなぁ……」
「モニアトの蜜、とは?」
「モニアトっていう1mくらいのとても長い茎をしていて、白い7枚の大きな花をつけた植物があるの。その植物からとれるの。希少価値があってとても価値のあるものなんだって」
そっくりな花があるから中々見つけられないんだ。あったら即売りに行こう。あればの話だけれど。
それにしても、魔鉱車の外からの視線が凄い。一応以前挨拶はしたけれど、それっきりだったからなぁ。新しい領主に興味があるのか。
この魔鉱車には、モストワ家の紋章となった桔梗の花が刻まれている。殿下が、桔梗勲章をもらったのだからどうだろうかと提案してくださりこれになった。
私の顔を見てあの時のパン屋の奥さんはどんな反応をするのだろうか。会ってからそんなにしないから覚えてるかも。
「そろそろです、降りるご準備を」
「うん」
相変わらず凄い匂いだなぁ。
前方を歩くのはやめてくださいと言われてしまって、兵士さんの後ろをついていく。が、いきなり現れたモンスターが大量であったがために兵士さん達に参戦して退治したら凄い眼光で此方を見てきたスティーブン。
「ぜーんぶ素材になるから収納魔法へ放り込んで」
「そのまま、ですか」
「うん、持って帰ってから解体するよ。それにこれモンスター用の収納魔法陣だから」
「もしや、複数お持ちなのでしょうか」
「そう、だってモンスターと素材を一緒にしたくないし。ね」
「あ、はは……」
あ、今引いたでしょ。いーもん別に。マルギルさんとか第二騎士団の皆さんとかで慣れてるもん。
奥に進んでいくにつれて、匂いが強くなってきて出てくるモンスターの数も多くなってきた。これ以上は、とスティーブンも視線を向けてきて。そうだね、ここまでにしておこう。
もうちょっと奥に進みたかったけどなぁ、と思ったけれど……スティーブン、視線が怖いですよ。
「……?」
これ、なんだ……?
「如何いたしました、男爵様」
「あ、あぁ、早く戻ろっか」
ここまで入ってきたのは初めて、マルギルさんと入ったのはここよりも手前だった。だから、気が付かなかった。
「何だ、これは……」
これは、まるで……
私は、大賢者であるメルディアースさんのあの言葉を思い出したのだ。
〝憎悪〟
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