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第二章

◇30 いや、泣きすぎだって

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 式が終わり、しょうがないなと元離宮使用人達のところへ向かったら……


「奥様ぁぁぁぁ!」

「あんなに小さかった殿下がっ……こんなに大きくなられて、幸せそうなお姿を見ることが出来て光栄ですっ……!」

「幸せそうで安心しましたっ……!」


 この始末。大泣きだな、こいつら。久しぶりに顔合わせたってのに、これでいいのか。

 全く、みっともない。けど……まぁ、今日ぐらいはいいか。


「しかも、妊娠されていたとは知りませんでした……!」

「殿下のお子なのですからきっと元気いっぱいの可愛いお子さんがお生まれになるでしょうね!」

「まぁ、旦那の血も入ってるしな……」


 めっちゃ元気な子が生まれるのは確実だろうな、うん。

 とはいえ、みんな元気そうでよかった。まさか会えるとは思わなかったから結構ビックリはしてる。けど、会えてよかった。


「殿下」

「ん?」


 改まって、みんなが並んで俺の方を見てきた。


「殿下がお生まれになられてからずっと離宮で過ごされて、今度は婚約や式すらも行わない結婚だなんて、と我々一同殿下の事を心配しておりました。けれど、こうして殿下が幸せそうにしていらっしゃる姿を拝見できて、私達も幸せでございます」

「おめでとうございます、殿下」

「きっと、お母様もメイド長も殿下の幸せなお姿を空から見ていらっしゃると思います。ですから、これからも幸せなお姿をお二人に見せてあげてください」

「……おい、いきなりはずるいだろ」

「あはは、殿下、そんなに泣き虫ではございませんでしたよね?」

「お前らのが移ったんだ!」


 全く……泣かせやがって……

 まぁ、二人にこの姿を直接見せられなかったのは心残りではあった。けど、確かにもしかしたら空から見てるかもしれない。本当のところは分からないけれど、きっとそうだと信じたいところではある。

 お母様、メイド長、俺、こんなに幸せだよ。だから、心配しないでいいから。

 これからも、ヴィルと、みんなと一緒に楽しい時間を過ごすつもりだからさ、安心してよ。


 ……でさ、なんだか口喧嘩が聞こえてくるんだが。これはまごう事なく、あの二人だよな。

 とりあえず、止めに行くか。


 なんて事がありつつも、幸せな結婚式を迎えることが出来たのだ。

 これからこのお腹の子供も生まれてきて、屋敷の中がもっと賑やかになると思う。だから、これからも楽しく賑やかに、幸せな日々を過ごしていこう。もちろん、みんなと、ヴィルと一緒に!



 次回、最終回。

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