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第二章
◇21 一体いくつあるんだよ
しおりを挟むついに、この日がやってきた。
3月7日、俺の誕生日だ。
「誕生日おめでとう、リューク」
「ありがとうございます」
朝起きると外は真っ暗。まさかの俺とヴィル揃って誕生日は冬ごもりの時期になってしまったらしい。というか、今日は狸寝入りしないのな。
そう思っていたら、先に起き上がっていたヴィルが何かを手にしていた事に気が付いた。続けて俺も起き上がると……
「誕生日プレゼントだ」
「……俺に?」
「他に誰がいるんだ」
渡されたのは、俺の両手に乗るくらいの大きさのプレゼントボックス。箱は白くて、青いリボンがかかっている。このリボン凄いな。これ、どうやって解けばいいんだ? と、思っていたら簡単に解けた。綺麗だったからそのままにしておきたかったけど仕方ないな。
そして、プレゼントボックスのふたを開けると……
「……髪に付けるやつ、ですか?」
「あぁ。ヘアリングだ。リュークは髪が多いが、ちゃんと付けられるものを用意した」
青に金色の装飾がされている。少し太めか。へぇ、これなら俺も付けやすいな。重いかなって思ったけど全然軽いな。けど、さ……
「……これ、宝石?」
「そうだが?」
「マジですか」
うん、所々に埋め込まれてる白い石は何だろうと思ってたんだが、やっぱりそうだったか。うん、まぁ、ヴィルからのプレゼントだし、ありがたく使わせていただきます。今日から付けようかな。
「それでだ、リューク。今日はピモに代わって俺が世話係だ」
「……」
ピモに代わって、世話係だって? メーテォス辺境伯家当主の方が? いやいやおかしいって。
さぁ起きるぞ、と起き上がった自称世話係。いや、いつも狸寝入りで起こしてくれないやつに言われたくないんだが。
「……あの、着替えは自分でやりますから」
「俺は世話係だ」
「あ、はい、そうですか……」
俺は子供か? まさかの今日一日子供扱いにされるのか? いやおかしいって。
と、思っていたら……ヒートテックを着る手前で、首元がチクっとした。これは、俺の目の前にいるやつの仕業だ。この野郎、髪をどかすタイミングでどさくさに紛れてやりやがった……なんて事してくれるんだ! 別に隠れるからいいけどさ!!
はぁ、これはもう何を言っても駄目だな。これは止められない。
そして、髪も結われさっきのプレゼントも付けられてしまった。はぁ、この男は本当に手先が器用で何でも出来るな。これ付けるの初めてだろ。
なんて思いつつ、朝ご飯を食べに食堂へ。そしたら……マジか。
「奥様!」
「「「お誕生日おめでとうございます!!」」」
食堂を開けた瞬間、使用人達が両側の壁に並んでいて。その中にはコック服を着ている奴も何人もいる。わざわざ食堂に来て俺達を待ってたのか。
けど、気が付いたんだが……なんか、食堂の中模様替えされてないか? いつもは壁紙とか青だろ。何で今日は白に金色の装飾がされてる壁紙なんだよ。いつものはどうした。昨日の夜までは普通だったのにさ。
そして、食堂のテーブルにはまたまたプレゼントボックスが。 青い箱に、白のリボンだ。さっき寝室で貰った箱よりも少し大きい。周りは、花とか布とかで飾り付けされてるし。
「さっき貰いましたよね、プレゼント」
「二つ目のプレゼントだ」
二つ目……さっき渡せばいいだろと思ったんだが、言わないでおこう。そして、ふたを開けると……
「……ティーセット!」
「あぁ」
ティーポットにティーカップ、ソーサーが入っていた。ティーカップを取り出してみると……えっ!?
「……青バラ……?」
「あぁ、特注だ」
……なるほど、確かに青バラをデザインしたものはなかなかないよな。青バラってメーテォス家にある事は周りの貴族達はまぁまぁ知ってるだろうけれど、青バラを使ったものを作ればこの家と王族に目を付けられちゃうからな。まぁ、ヴィルは何も思わないだろうけど。
白い陶器に、青バラが綺麗に描かれている。金色で縁取りされているからすごく高級感がある。
「これは他と違って保温性を兼ね備えている。こんな寒い地にはぴったりのものだろう?」
「バラの間は暖かいですけどね」
いや、外には出ませんって。まぁでも、じゃあゆっくりお喋りしててもいいって事だ。
「ありがとうございます、ヴィル」
「あぁ。今日のお茶の時に使おうか」
「はいっ」
今日のお茶の時間がとっても楽しみだ。と、思っていたんだが……
「リューク、口を開けろ」
「……あの、フォーク下さい」
「照れ隠しか? 言っただろう、今日の俺はリュークのお世話係だ」
と言いつつ、フォークに刺された料理を口の前に持ってこられてしまった。これを食えと。
いや、お世話係がここまではしないだろ。
「……」
あの、食堂にいる周りの奴らすんごくニコニコこっちを見てくるんだが。視線が痛いって。そして迫ってくる目の前のフォーク。
はぁ、しょうがないな。これは観念するか。
……というより、これ、ヴィルめっちゃ楽しんでないか? 誕生日、俺だったよな。ヴィルの誕生日終わってるよな。
まぁ、でも……
「リューク、今日は何をしようか。バラの間に行くか?」
「……薬草園、少しだけでいいので覗きたいです」
邪魔になりますか? と言ってみたけれど、ヴィルは頭を撫でてくれる。
「きっと喜ぶぞ。食べ終わったら行こうか」
「はい」
ヴィルが楽しそうだと、俺の嬉しいんだよなぁ。……言えないけど。いや、もしかしたら分かってる? 分かりやすいって言われるもんな、俺。
「これ、食べたいです」
「これか? ほら」
「ん」
今までとは違う、誕生日。結構楽しそうかも。
いつもだったら、離宮でみんなにバースデーソング歌われてたしな。あと誕生日プレゼント貰って。でも今回は冬ごもり中で外はゴーゴー猛吹雪。全然違うな。
食事後は、この屋敷の使用人達に会うたび会うたび「お誕生日おめでとうございます、奥様」と言ってくれた。薬草園にいる研究員達にも。ヴィルは自分が誕生日の時それを言われると睨みつけるけど、これ嬉しくないか? いや、ヴィルが特殊なのか。
じゃあ頑張ってな、と薬草園を出てバラの間に行くと……いつもと違うものがあった。
「……何だこれ」
「奥様!」
「お待ちしていました!」
バラの間に入り、まっすぐに伸びる道の先にある広い場所。そこにはソファーがあって、テーブルも備え付けられている。そして、そのテーブルの上には……またまたプレゼントボックスが置いてあった。今度は水色にピンクのリボン。そして花も飾ってある。少し背が高いな。俺が抱えられるくらいの大きさだ。
開けてみろ、とヴィルに言われたのでリボンを解き、ふたを開けると……
「……青バラ?」
「青バラ、好きだろ」
「あ、はい、好きですけど……」
出てきたのは、大体直径20cmの丸い板の上に背の高いガラスのドームがかぶせてある。一番上には、水色と白のリボンが結ばれている。
そして、そのドームの中に入っていたのは、青バラだった。青バラとあと白い花が入ってるな。うわぁ、綺麗だ。
「これは特殊な加工をしているんだ。だから、普通の花よりも長期間枯れる事はない」
「へぇ……凄いですね」
そんなのあるんだ……いつも、花とか切っちゃうとすぐに枯れちゃうって思っちゃってちょっと申し訳なさはあるけれど、これなら長期間枯れないらしいから安心だな。
「ありがとうございます、ヴィル」
「あぁ。寝室にでも置くか?」
「はいっ!」
これ、三つ目のプレゼントって事か。これで終わりか? 終わりだよな?
けど、すっごく嬉しい。色々とビックリしてるけど、こんなに用意してくれてありがとうございます、ヴィル。
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