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北斗学園の食堂#1
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~柊司side~
今回の風邪は特に大事には至らず、三日寝たら熱も下がった。
三日ぶりの登校の朝、俺は向かいで朝食を食べる祥吾に、食堂に行ってみたいと話した。
「食堂?なんで?」
この学校は全寮制なので、当然食堂はある。
でも、俺があまり量を食べられないので俺と祥吾はいつも自炊していた。
だけど料理担当の祥吾が遠征に行っている間は、俺は料理を作れないので、おにぎりか菓子パンくらいしか口にしておらず、多分、そのせいもあって今回体調を崩したのだろう。
だから、祥吾が居ない間の食事もちゃんとしないとまた体調を崩すかもしれない。だからこれからはその間は食堂で食事をすることにしようかと思っていた。
でも、食堂で食事をすることにしても、俺はあまり量を食べられないので、一度食堂に行って、どれくらいの量でどういった種類のものがあるのか調べたかったのだ。
「そういうことなら、行ってもいいけど……」
そう話すと、祥吾はそう言って少し考え込む仕草をした。
「お前、乗り気じゃない?」
「そういうわけじゃないんだけど……」
「?」
「……食堂のご飯がオレの作るのより美味しかったとしても、これからもオレの料理食べてくれるよね?」
祥吾は、捨てられる子犬のような不安そうな目で俺を見てきた。
「馬鹿、そんなの当たり前だろ。俺の一番の好物は、祥の料理だよ?」
食が細くてほとんどものを食べられない俺だが、祥吾の作る料理はいくらでも食べられる。
祥吾が料理を作ってきてくれたから、俺はここまで育ってきたようなものなのだ。
「……えへへ、嬉しいな。わかったよ、じゃあ今日のお昼は食堂行こ」
「うん」
こうして俺達はこの学校に来て初めて食堂へ行くこととなった。
「と、いうわけで今日は食堂に行こうと思ってるんだけど……」
昼休みになり、隣の席に座るハルにそう言うと、ハルは露骨に顔を顰めた。
「なんでわざわざ……」
「かくかくしかじかで、ちょっと行ってみようかと」
ハルも一緒にどう?と誘ったが、断られた。
「俺は自分の飯あるからいかねえ」
「そっか……って、もしかしてそれ、自分で作ってんの!?」
「その方が楽」
さらっと言ってるけど……正直料理できる人って尊敬する。
「すごいな~、俺なんか卵も割れないよ」
「……卵ぐらいは割れるようにしとけよ」
「だよな~、はは」
すると笑い事ではないだろうと言われた。ごもっとも。
「わかった、じゃあ今日は祥と二人で行く」
「そうしろ」
「……でも、明日は一緒に……居てもいいよな?」
伺うようにハルを見つめると、ハルは目をそらし、ため息を吐いた。若干耳が赤い。
「……いくらでも居てやるって言ったからな」
それを聞いて、俺は思わず笑った。
正直、あのときは熱で浮かされてて、あのときハルが言ったことは夢だったんじゃないか、なんて思っていたから……現実だとわかって嬉しかった。
嬉しいやら恥ずかしいやらでその場でもじもじしてると、教室の扉が勢いよく開かれた。
「――ちょっと!何してんの!!」
「……え、祥!?」
「もー、柊!今日は食堂いくんでしょ!」
他クラスにも関わらずずかずかと入ってくる祥吾は、俺とハルの間に割り込むなり、ハルを睨み付けた。
「北大路治良!いい、あくまで『友達』だからね!この前言ったこと忘れんなよ!」
「……だから、俺はそんなつもりねえよ」
「その言葉絶対忘れんな!……行くよ、柊!!」
「あっ!ちょっとお前引っ張んなよ!……ハル、またあとでなー!」
「……」
祥吾に引っ張られていく俺を見送ったハルは、一人深いため息を吐いていた。
まず祥吾と共に手ぶらで医務室へ診察を受けに行くと、篠北先生が首を傾げた。
「あれ?今日はお弁当じゃないの?」
「今日は食堂に行ってみようと思ってまして」
「ふ~ん、そうなんだ」
すると篠北先生は、何故か耳栓を取り出し、俺と祥吾に一対ずつ渡した。
「食堂に行くなら、それをしていくといいよ~」
「……え?何でですか……?」
「うちの食堂で静かに食事がしたいなら必須アイテムだよ」
「いやだからなんで?」
「行けばわかるよ~」
意味がよくわからず祥吾と顔を見合わせたが、せっかくなので貰っておいた。
気を付けてね~、と言う篠北先生に見送られつつ、診察を終えた俺は祥吾とともに食堂へ向かった。
「……なんなんだろうね、これ」
「さあ……」
渡された耳栓を一応持って、食堂の扉を開いた。
「うわ~、広い」
「無駄に豪華だな……」
食堂には各テーブルに花が飾られ、天井にはシャンデリアがあるなど、学校の食堂とは思えないほど豪華だった。
茫然としていると、男のウエイターが近づいてきた。
「いらっしゃいませ。2名様ですね」
「あ……は、はい」
「ではこちらへどうぞ」
ウエイターに案内されて席に着くと、ウエイターは「そちらの端末でご注文をお願いします」と言い残し、去っていった。
「……ここ本当に学校の食堂?」
「……多分」
ウエイターがいる学校の食堂なんて聞いたことがない。
今回の風邪は特に大事には至らず、三日寝たら熱も下がった。
三日ぶりの登校の朝、俺は向かいで朝食を食べる祥吾に、食堂に行ってみたいと話した。
「食堂?なんで?」
この学校は全寮制なので、当然食堂はある。
でも、俺があまり量を食べられないので俺と祥吾はいつも自炊していた。
だけど料理担当の祥吾が遠征に行っている間は、俺は料理を作れないので、おにぎりか菓子パンくらいしか口にしておらず、多分、そのせいもあって今回体調を崩したのだろう。
だから、祥吾が居ない間の食事もちゃんとしないとまた体調を崩すかもしれない。だからこれからはその間は食堂で食事をすることにしようかと思っていた。
でも、食堂で食事をすることにしても、俺はあまり量を食べられないので、一度食堂に行って、どれくらいの量でどういった種類のものがあるのか調べたかったのだ。
「そういうことなら、行ってもいいけど……」
そう話すと、祥吾はそう言って少し考え込む仕草をした。
「お前、乗り気じゃない?」
「そういうわけじゃないんだけど……」
「?」
「……食堂のご飯がオレの作るのより美味しかったとしても、これからもオレの料理食べてくれるよね?」
祥吾は、捨てられる子犬のような不安そうな目で俺を見てきた。
「馬鹿、そんなの当たり前だろ。俺の一番の好物は、祥の料理だよ?」
食が細くてほとんどものを食べられない俺だが、祥吾の作る料理はいくらでも食べられる。
祥吾が料理を作ってきてくれたから、俺はここまで育ってきたようなものなのだ。
「……えへへ、嬉しいな。わかったよ、じゃあ今日のお昼は食堂行こ」
「うん」
こうして俺達はこの学校に来て初めて食堂へ行くこととなった。
「と、いうわけで今日は食堂に行こうと思ってるんだけど……」
昼休みになり、隣の席に座るハルにそう言うと、ハルは露骨に顔を顰めた。
「なんでわざわざ……」
「かくかくしかじかで、ちょっと行ってみようかと」
ハルも一緒にどう?と誘ったが、断られた。
「俺は自分の飯あるからいかねえ」
「そっか……って、もしかしてそれ、自分で作ってんの!?」
「その方が楽」
さらっと言ってるけど……正直料理できる人って尊敬する。
「すごいな~、俺なんか卵も割れないよ」
「……卵ぐらいは割れるようにしとけよ」
「だよな~、はは」
すると笑い事ではないだろうと言われた。ごもっとも。
「わかった、じゃあ今日は祥と二人で行く」
「そうしろ」
「……でも、明日は一緒に……居てもいいよな?」
伺うようにハルを見つめると、ハルは目をそらし、ため息を吐いた。若干耳が赤い。
「……いくらでも居てやるって言ったからな」
それを聞いて、俺は思わず笑った。
正直、あのときは熱で浮かされてて、あのときハルが言ったことは夢だったんじゃないか、なんて思っていたから……現実だとわかって嬉しかった。
嬉しいやら恥ずかしいやらでその場でもじもじしてると、教室の扉が勢いよく開かれた。
「――ちょっと!何してんの!!」
「……え、祥!?」
「もー、柊!今日は食堂いくんでしょ!」
他クラスにも関わらずずかずかと入ってくる祥吾は、俺とハルの間に割り込むなり、ハルを睨み付けた。
「北大路治良!いい、あくまで『友達』だからね!この前言ったこと忘れんなよ!」
「……だから、俺はそんなつもりねえよ」
「その言葉絶対忘れんな!……行くよ、柊!!」
「あっ!ちょっとお前引っ張んなよ!……ハル、またあとでなー!」
「……」
祥吾に引っ張られていく俺を見送ったハルは、一人深いため息を吐いていた。
まず祥吾と共に手ぶらで医務室へ診察を受けに行くと、篠北先生が首を傾げた。
「あれ?今日はお弁当じゃないの?」
「今日は食堂に行ってみようと思ってまして」
「ふ~ん、そうなんだ」
すると篠北先生は、何故か耳栓を取り出し、俺と祥吾に一対ずつ渡した。
「食堂に行くなら、それをしていくといいよ~」
「……え?何でですか……?」
「うちの食堂で静かに食事がしたいなら必須アイテムだよ」
「いやだからなんで?」
「行けばわかるよ~」
意味がよくわからず祥吾と顔を見合わせたが、せっかくなので貰っておいた。
気を付けてね~、と言う篠北先生に見送られつつ、診察を終えた俺は祥吾とともに食堂へ向かった。
「……なんなんだろうね、これ」
「さあ……」
渡された耳栓を一応持って、食堂の扉を開いた。
「うわ~、広い」
「無駄に豪華だな……」
食堂には各テーブルに花が飾られ、天井にはシャンデリアがあるなど、学校の食堂とは思えないほど豪華だった。
茫然としていると、男のウエイターが近づいてきた。
「いらっしゃいませ。2名様ですね」
「あ……は、はい」
「ではこちらへどうぞ」
ウエイターに案内されて席に着くと、ウエイターは「そちらの端末でご注文をお願いします」と言い残し、去っていった。
「……ここ本当に学校の食堂?」
「……多分」
ウエイターがいる学校の食堂なんて聞いたことがない。
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