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婚約式、パーティー  当日

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とうとうこの日がやって来た。昨日は気が緩んだ所に父である人からの嫌みなお達しと、着たく無いドレスNo.1 な カーシスカラーのドレスと、足蹴り。最後の置き土産、侯爵は今日、私が成人を迎える誕生日だと覚えていた事。それを踏まえた上でのの婚約式パーティをわざっわざ、今日にした事。 

もう少し前の前世を思い出していない私だったら・・・きっと辛くて一晩中泣き明かしただろう。父からの愛を得られず、きっと自分の成人の誕生日を祝うどころか婚約破棄され勘当した上に追い出されるだろう事を悲しんで、哀しんで義姉なんかじゃ流せない綺麗な涙を流し続けて胸が張り裂けた事だろう・・・


今でこそ前世を思い出し想いを乗り越えた私でも、悔しさと幾ばくかの寂しさを感じた。そしてレオンと美味しいものを食べて何となく振り切った。 
恐らく婚約破棄される、と知っている娘にわざわざ婚約者の色のドレス一式を父から贈り、着ることを強要し足蹴にしながら嘲笑う父なんて要らない。 


悔しさをバネにして、私も準備があるのに朝からなんやかやと言い付け放り回してくれる義姉妹と義母、教育係を階下の会場に送り出した。今頃ポツポツとお出でになったお客様を侯爵夫妻と義兄とでエントランスでお迎えして、中では公爵夫妻とカーシス様と義姉、ビーベリン侯爵夫妻と義妹とで応対している。はずだ。

やっと解放された私は自分の準備だ。1人だと大変だからアンドロイドよろしく造り出そう、そう思っていたのにまだ邸に残っていてくれた優しい侍女とメイド達が離れにコッソリと手伝いに来てくれた。嬉しくて涙が出た。

「いつもは、今の奥様と教育係、それに御兄姉妹からの見張りがキツくてお助けも出来ず申し訳ありません。どうか、今日だけでもお手伝いさせてください。」と涙ながらに手伝ってくれた。

「ありがとう。まだあの邸に優しいあなた達が居てくれた・・・それがどれだけ嬉しかったか。ちゃんとあなた達の想いは伝わっていたわ。本当にありがとう。

私は、今日で此処を追い出されるわ。」 何とも悲しげな彼女達に

「今、この場に居ない皆んなにも私からありがとう、と伝えて欲しいの。そして、これ・・・人数分あるわ。ちょっとした小物入れや袋にしてあるけれどアイテムバッグになっていて念じれば大きな物も入るの。

この邸分くらいの容量はあるわ、気持ちを込めたら持ち主を認識して私や、あなた達に悪意がある者が使おうとしてもただの物入れにしかならないからアイテムバッグとはバレないわ。盗られても失くしても戻ってくるから財産も安心ね? でもあからさまにバレないように気を付けてね?

金銭じゃ無くてごめんね、今までありがとう。」精一杯の気持ちを込めて渡す


「そんな、お嬢様!こんな高価な物頂けません! 私達何も出来なかったのに。」

「いいえ、あなた達は、お母様がお元気だった頃から変わらず私の事も大事にしてくれた・・・そのせいで、折檻されていた事、お給金も減らされていて明後日には解雇される事・・知っているの。ごめんなさい私のせいで・・・今回ヘルプで来たかのようなスタッフ達に引き継ぎも兼ねて仕事していたのも昨日知ったの。」

「「「「「っ、っうっ、お嬢様」」」」」堪らず泣き出す彼女たち

「今更だけどごめんね、とっても辛かったのに残ってくれて、ごめんね、ごめんね。見せて、背中を、足を・・腕を。」

「「「「「!!!!!」」」」」

魔法で傷のある所を、私にも見せて!と 念じると彼女達の新旧痛めつけられた箇所が露わに・・・見えないところがアザと、所によって血が滲んだり瘡蓋になっていた。私と同じように・・・私は癒しカモフラージュ出来た。でも彼女や彼らは・・・ただ、ただ耐えていた・・血を流しても。主人家族や同僚からも傷つけられていたのに。私の何倍も辛かったのに、耐えていた


それなのに、昨日まで私は知らなかった。それは私の罪。もっと注意していれば気づけた筈なのに怠った。私は彼女達の辛さを見なければならない。女同士だしと見せて貰った


その痕は、想像より酷くて・・・涙が止まらない


「こ、こんなになっていたのに・・・いざと言う時の為に___残ってくれていたの?」 

お互い涙しながら頷く彼女達をそっと抱きしめる。

「痛かったわね、悔しかったわね、辛かったわね・・・
でももう大丈夫、此処までで良いわ。皆に伝えて、もう終わり。辞めてこのアイテムバッグに持ち物全部入れて、‘’‘ 越後屋エチゴヤ ‘’‘に行って頂戴ね。私達の新しい拠点。いいえ、出発までの拠点ね。さあ、準備したら一旦会場に来てね。」



と魔法で全員の涙で濡れた顔を綺麗にした




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