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婚約式、パーティー 前日
しおりを挟むノロノロとしか進まず振り回されるばかりに思えた3ヶ月も終わろうとしていた。ただ、クリエイトのおかげで押し付けられた作業はサクッと終わらせ、さも忙しそうに見せて私は、隙間時間を作りレオンと共に自分達の為に準備していった。
外に出る事は叶わないため、パーティーの流れや招待状の返事から出席者を把握し場の空気感を探った。予想通りお父様の味方しか居なかったのは想定内。返信の内容で今後気を付ける相手が何となく分かって良かった。
そして合間に、今ではショッピングモールやブランド物、老舗店、建築に至るまで海外含め取引出来るようになった【 お買い物 】で様々なバッグを取り寄せてアイテムバッグとしていった。だけど、普通にお買い物した物を売買するだけでも商会として成り立っておりありがたい。
そうこうしている内にとうとう明日は婚約式・・・イコール私の誕生日
やっと教育係からも義姉妹からも解放されて離れでソファーに座った、と思ったら複数の足音がする・・・2人で警戒していたら当たりをつけたのか、この部屋の扉が開いた。
「ブランシーヌ。」 と冷たい瞳のお父様。とそのお付きの家令と箱を抱えた侍従2人。
「これは侯爵様。如何なさいましたか?」 と、カーテシーをとり問いかけると。
「フン、お前に父と呼ばれず喜ぶべきか・・・
相変わらず可愛げのない女だ、母親にそっくりだな。だがまあそれも明日までだ。」 と愉悦を載せた笑みで返し
「ああ、お前の返事はいらない。
明日はアイリーンとシャロン、私の大切な娘達の婚約式だ。お前は決して邪魔しないように。分かったな。式、パーティーと余計な口は開くな、何があってもだ。ダーメリン公爵子息からのお言葉には『仰せのままに。』と返事するように。ちゃんと忖度するんだぞ、生きていたかったらな。
ああ、これは私からのドレスだ。婚約者から贈っても貰えないお前の為にわざわざ、私が仕立ててやったんだ。ありがたく明日のパーティーで着るように。必ずだ」
とドレス一式と思われる箱を幾つか私に投げ付けその重さにたまらずよろけ倒れると、ドレスが掛かって無い背中と足を何度か踏み付けて来た。フッと嘲る笑みを見せると侯爵様は踵を返し、そのまま立ち去るかと思っていたら扉の所で止まり
「ああ、明日はお前の成人の日だったな。もう、庇護する必要は無くなるな・・・クククッ、クハハハハ・・」
とさも愉快だと言いたげにチラリと嫌な笑みを見せ笑いながら去って行った
なんて嫌な感じの人なんだ! 血が繋がって無ければ良いのに! 悍ましいわ
「イタタタタ」っとやっとのことで起き上がりお父様たちの足音が遠ざかり本邸に入って行く姿を確認してから箱の中を確認した。
最悪な事に箱の中には、カーシス様の色であるハニーブロンドに似た色のそこそこなドレスと靴。アクセサリーは若草色のネックレスと髪飾り。ドレスにも若草色のポイントとペリドットでカーシス様に寄せた色味の宝石があしらわれている・・・どう見てもカーシス様大好きღ 感が満載過ぎる一式だった。しかも贈られた訳でも無いのに・・痛すぎる
「はぁー~ーーーーーーーーー」深いため息が出た。私の全身、いや魂の底から拒絶しか出てこない・・・
「ドンマイ。大丈夫か?どうする?明日はコレ着て行かない?」と私に薄く纏わせてくれていた結界を解き、ヒールを掛けてくれて痛みも引いた。レオンは鋭くなっていた目から泣きそうに心配な色を纏いつつも気持ちをほぐすかのように言ってきた。
「う‘’ーーー、嫌だけど。此処まであんな奴の色を纏うなんてすごく嫌だけど! でもこのドレスを着て行かないと式場には入れないと思う・・・」相反するこの気持ちを持て余す。最後の最後にやってくれたあの侯爵、マジ、憎たらしい。
歯をギリギリと喰い縛りうんうん唸りながら葛藤した。
だがしかし、ご飯はちゃんと美味しく頂きました。老舗料亭から取り寄せたフルコースを堪能し、無い脳みそを回転させたからか、またお腹が空いて・・・うんまいステーキとスープを追加、デザートもおいしかった
そのおかげか、溜飲を下げる事が出来そうな案が浮かんだ・・・ニヤァ、ドレス返しじゃ
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