11 / 18
第十話 神域の夜更けと浄化
しおりを挟む
真哉side
天女との謁見が終わり、神域に滞在することとなった日の夜。
神域内を把握するために夜中に暗い廊下を明かりを持ちながら1人で歩いていた。
神域内はかなり広く、今日だけで把握するのは難しそうだ。
もう部屋に戻り休もうかと考えていた時、向かい側から天女が歩いてくるのが見えた。どうやらお付きもつけず、1人のようだった。
向こうもこちらに気付き、声をかけてきた。
「あ、真哉さん。こんばんは。」
こちらの名前を覚えてくれていたようだ。
完全に脈なしではないのかな、なんて馬鹿な事を考える。
こんな時間にどうしたのか尋ねると、
天女はどうやら眠れず1人で神域内を散歩していたようだった。
(こんな夜更けに天女が1人で出歩くなんて、、無防備だな。ましてや今日から陰陽師が同じ神域で寝泊まりしていると言うのに、あまりに警戒心がない。)
俺がそんな事を考えているとはつゆ知らず、天女は俺に疲れているだろうから休んでと言ってきた。
天女のくせにそんな気遣いが出来るとは驚きだ。
俺は天女様ももうお休みになってください。部屋までお送りいたしますといって、天女を部屋まで送った。
ついでに天女が部屋に入る前に
「天女様。
しっかり戸締りなさってくださいね。
悪い奴が入ってこない様に。」と忠告してあげた。
そのまま部屋に押し入って少し怖い目に合わせてやろうかななんて一瞬考えたが神域の主の事を考え軽率な行動は控えておく。
悪い奴というのは神だとか凛だとかあの使用人の狐だとかの事だ。
天女は自分以外の者に力を与える事ができるため多くから狙われるのは当然だ。
あの稲荷神や使用人の狐が天女と関係を持とうとしているかどうかは知らないが、 凛に至っては上からのふざけた任務を本気で遂行しようと考えているし、自分の身体を使うことなど少しも厭わないだろう。
まさか初日の夜に寝込みを襲ったりはしないだろうが、それに近いことを平気で考えている。
自分は正直、安倍家からの命令などどうでも良かったが、個人的に美琴と名乗ったこの天女にはすこし興味が湧いた。
安倍家に持ち帰り好き勝手できたらどんなに楽しいか。
色々と悪巧みしながら自分の部屋に戻った。
真哉side終了
ーーーーー
美琴side
次の日の朝
昨日の夜眠るのが遅くなってしまったせいかいつもより遅い時間に起きてしまった。
今日から浄化の練習が始まるというのに大丈夫だろうかと少し焦りながら急いでベッドから起き上がる。
昨日と同じ様に雪貞に朝の準備を手伝ってもらい、凛さんと真哉さんが待っているという宝樹ノ間へと向かった。
宝樹ノ間に着き、少し走って乱れた息を整えながら中に入る。
「おはようございます!遅くなってしまってすみません!」
私がそう言いながら戸を開けると
凛さんと真哉さんは何やら練習の準備をしているところだった。
2人は自分たちも今来たところだといい、少し座って待っていてくださいと言った。
準備を進めてる2人を横目に私は言われた通り大人しく座って待っている事にした。
少しの間待っていると
準備が完了した様で、お待たせしました。練習を始めましょうかと声をかけられた。
凛さんが何枚ものお札が貼られた黒い箱を取り出し、私の目の前に置いた。
その箱からは何だか嫌な気配が漂っていて、胸がざわざわと波立つ。
凛「美琴様。こちらの箱の中には呪物が入っています。比較的弱いものなので安心してください。今からこれを使って浄化の練習をしていきたいと思います。」
嫌な感じがすると思ったら、中には呪物と言われる呪いがかかっている物が入っているらしい。
箱に貼ってあるお札は安倍家で使われている物だそうだ。
凛さんと真哉さんに簡単に浄化の説明を受け、とりあえず実際にやってみることになった。
真哉「それでは美琴様。
何も考えずに、目の前の箱に意識を集中させてください。呪物の荒みを消し去るイメージをしながら手をかざすんです。」
私は言われた通りに呪物の嫌な気配に意識を集中させ目の前の箱に手をかざした。
途端にお札が剥がれ始め、シューッと音を立てて箱がぼろぼろと崩れて割れた。
ぼろぼろになった箱の中からは綺麗な手鏡が出てきた。
凛「!すばらしい。これほど力が強いとは!」
真哉さんがぼろぼろになった箱から手鏡を手に取り、状態を確認した。
真哉「少しの呪いも残っていません。完璧に浄化されましたね。」
そう言われ、ほっと息をつく。
私ほんとうに浄化ができたんだ。
ほんとうに天女なんだ。
何だか安心して力が抜けた。
真哉「こういった呪われてしまった呪物は全国に多く存在していて、
安倍家にもかなりの数が保管されている状態です。一般の者の手に渡ると危険なので扱いに困っていましたが、天女様が浄化をすれば眠っている呪物もまた使える様になるかもしれませんね。」
呪われてしまうのは土地だけじゃなくて、物もなんだな。
呪われてしまった物を元の状態に戻す事ができる。それが天女の浄化なんだ。
それが物でも、土地でも、妖でも、人だとしても同じこと。
呪いって日本にいた時はなかったからあんまりイメージができなかったけど、さっきの箱を見た時の嫌な感じがきっとそうなんだろう。
その後同じ様に何個かの呪物を浄化することに成功し、今日は一旦そこまでとなった。凛さんと真哉さんは私が最初から浄化を成功させるとは思っていなかったらしく、かなり驚いていた。
私は2人にお礼を言ってから宝樹ノ間を後にした。
天女との謁見が終わり、神域に滞在することとなった日の夜。
神域内を把握するために夜中に暗い廊下を明かりを持ちながら1人で歩いていた。
神域内はかなり広く、今日だけで把握するのは難しそうだ。
もう部屋に戻り休もうかと考えていた時、向かい側から天女が歩いてくるのが見えた。どうやらお付きもつけず、1人のようだった。
向こうもこちらに気付き、声をかけてきた。
「あ、真哉さん。こんばんは。」
こちらの名前を覚えてくれていたようだ。
完全に脈なしではないのかな、なんて馬鹿な事を考える。
こんな時間にどうしたのか尋ねると、
天女はどうやら眠れず1人で神域内を散歩していたようだった。
(こんな夜更けに天女が1人で出歩くなんて、、無防備だな。ましてや今日から陰陽師が同じ神域で寝泊まりしていると言うのに、あまりに警戒心がない。)
俺がそんな事を考えているとはつゆ知らず、天女は俺に疲れているだろうから休んでと言ってきた。
天女のくせにそんな気遣いが出来るとは驚きだ。
俺は天女様ももうお休みになってください。部屋までお送りいたしますといって、天女を部屋まで送った。
ついでに天女が部屋に入る前に
「天女様。
しっかり戸締りなさってくださいね。
悪い奴が入ってこない様に。」と忠告してあげた。
そのまま部屋に押し入って少し怖い目に合わせてやろうかななんて一瞬考えたが神域の主の事を考え軽率な行動は控えておく。
悪い奴というのは神だとか凛だとかあの使用人の狐だとかの事だ。
天女は自分以外の者に力を与える事ができるため多くから狙われるのは当然だ。
あの稲荷神や使用人の狐が天女と関係を持とうとしているかどうかは知らないが、 凛に至っては上からのふざけた任務を本気で遂行しようと考えているし、自分の身体を使うことなど少しも厭わないだろう。
まさか初日の夜に寝込みを襲ったりはしないだろうが、それに近いことを平気で考えている。
自分は正直、安倍家からの命令などどうでも良かったが、個人的に美琴と名乗ったこの天女にはすこし興味が湧いた。
安倍家に持ち帰り好き勝手できたらどんなに楽しいか。
色々と悪巧みしながら自分の部屋に戻った。
真哉side終了
ーーーーー
美琴side
次の日の朝
昨日の夜眠るのが遅くなってしまったせいかいつもより遅い時間に起きてしまった。
今日から浄化の練習が始まるというのに大丈夫だろうかと少し焦りながら急いでベッドから起き上がる。
昨日と同じ様に雪貞に朝の準備を手伝ってもらい、凛さんと真哉さんが待っているという宝樹ノ間へと向かった。
宝樹ノ間に着き、少し走って乱れた息を整えながら中に入る。
「おはようございます!遅くなってしまってすみません!」
私がそう言いながら戸を開けると
凛さんと真哉さんは何やら練習の準備をしているところだった。
2人は自分たちも今来たところだといい、少し座って待っていてくださいと言った。
準備を進めてる2人を横目に私は言われた通り大人しく座って待っている事にした。
少しの間待っていると
準備が完了した様で、お待たせしました。練習を始めましょうかと声をかけられた。
凛さんが何枚ものお札が貼られた黒い箱を取り出し、私の目の前に置いた。
その箱からは何だか嫌な気配が漂っていて、胸がざわざわと波立つ。
凛「美琴様。こちらの箱の中には呪物が入っています。比較的弱いものなので安心してください。今からこれを使って浄化の練習をしていきたいと思います。」
嫌な感じがすると思ったら、中には呪物と言われる呪いがかかっている物が入っているらしい。
箱に貼ってあるお札は安倍家で使われている物だそうだ。
凛さんと真哉さんに簡単に浄化の説明を受け、とりあえず実際にやってみることになった。
真哉「それでは美琴様。
何も考えずに、目の前の箱に意識を集中させてください。呪物の荒みを消し去るイメージをしながら手をかざすんです。」
私は言われた通りに呪物の嫌な気配に意識を集中させ目の前の箱に手をかざした。
途端にお札が剥がれ始め、シューッと音を立てて箱がぼろぼろと崩れて割れた。
ぼろぼろになった箱の中からは綺麗な手鏡が出てきた。
凛「!すばらしい。これほど力が強いとは!」
真哉さんがぼろぼろになった箱から手鏡を手に取り、状態を確認した。
真哉「少しの呪いも残っていません。完璧に浄化されましたね。」
そう言われ、ほっと息をつく。
私ほんとうに浄化ができたんだ。
ほんとうに天女なんだ。
何だか安心して力が抜けた。
真哉「こういった呪われてしまった呪物は全国に多く存在していて、
安倍家にもかなりの数が保管されている状態です。一般の者の手に渡ると危険なので扱いに困っていましたが、天女様が浄化をすれば眠っている呪物もまた使える様になるかもしれませんね。」
呪われてしまうのは土地だけじゃなくて、物もなんだな。
呪われてしまった物を元の状態に戻す事ができる。それが天女の浄化なんだ。
それが物でも、土地でも、妖でも、人だとしても同じこと。
呪いって日本にいた時はなかったからあんまりイメージができなかったけど、さっきの箱を見た時の嫌な感じがきっとそうなんだろう。
その後同じ様に何個かの呪物を浄化することに成功し、今日は一旦そこまでとなった。凛さんと真哉さんは私が最初から浄化を成功させるとは思っていなかったらしく、かなり驚いていた。
私は2人にお礼を言ってから宝樹ノ間を後にした。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
9
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる