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10.入学式直前の僕
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先生には、入学式に出なくても良いと言われたが、そんなことはできない。
役に立たない僕が、仕事をさぼるなんてこと、できない。
先生に酷いことをしてしまって気絶してから、何時間も経っていたらしい。起きたらもう日付が変わっていて、午前2時になっていた。
先生は、大丈夫だったかな。
今日、話す時も長くならない様に気をつけないと。先生が汚れてしまう。
先生だけは絶対に絶対にだめだ。
僕にしてはよく寝れた。気絶はいい。何も考えなくて良い。
いつも聞こえる声も、感じる視線も、何もかも感じない。
これで明日、いやもう今日か。入学式は失敗しないだろう。
僕は、入学式準備があるから会場に早く行かないと行けないけれど、それでもまだ5時間くらい時間がある。
とりあえず、入学式で倒れるなんていう失敗をしないよう、久々に冷食を温めて食べて、体を2時間かけて綺麗に洗った。
制服は念のためもう一度、綺麗にアイロンをかけて、ハンガーにかけ直しておく。
ついでに、入学式の進行を確認した。変更があったって、失敗なんかできない。
でも、まだ後2時間もある。
どうしようかな。今から早く行って準備しておくべきかな。
でも、早く行ったら逆に迷惑になるかもしれない。
というか、僕が会場に長時間いたら、体育館に穢れが移って、新入生が汚れてしまうかもしれない。
そんなこと、できない。
どうしよう。
きょう、せいとかいのぼくがにゅうがくしきにでないなんてことできない。
でも、みんながけがれてしまう。
どうしよう。どうすればいい?
軽くパニックになりながら考える。
僕がみんなの役に立てて、みんなが汚れない方法。
しばらく考えて、思いつく。
またぼくのなかのけがれをそとにだせばいいんだ。
どうせ、ぼくはきれいにはなれないけど、へやにけがれをおいていけば、いっしゅんだけましになれるんじゃないかな。
ざんげすれば、すこしだけきれいになれる。
みんなへのえいきょう、すくなくなるよね。
もっと、もっとたくさんきっとかないと。
少しだけ残っている新しいカミソリを出す。
この前買った刃物は、届けてもらえないかもしれないから、どうしよう。
先生も管理人さんも渡してくれなかった。
腕に刃を当てて、スッとひく。
いつもより力を込めて。
深く、血が、穢れが、たくさん出る様に。
きれた。
すこしきれいになった。
でも、もっと。
いたくない、いたくない、いたくない、いたくない。だいじょうぶ。
もっと。
もっと。
10本、いつもより深く長く切った。
深く切ったからか、傷が広がって1センチくらい開いている様に見える。
最近切ったばかりのところにも重ねたからか、脂肪まで切ったからか、いつもとだいぶ見た目が違う。
ああ、僕は中身まで、こんなにも汚い。
しかも、どこか血管を傷つけてしまったのか、血がドバドバでる。
でも、僕の中の汚れが少なくなればなるほどいい。
僕がもしこれで死んでしまおうとも、みんなが無事ならば関係ない。
僕なんて、いない方がいいんだ。
これでだいじょうぶだよね。
意識が軽く飛んでいたのか。
いつのまにか時間が経っていて、もう後30分で、入学式の会場である、第一ホールに行かなければいけない。
如月学園は広いから、急がないと。僕の体力じゃ、間に合わなくなる。
包帯を腕に巻いて、制服に着替えて、身だしなみを整える。
入学式は冬服参加が必須。
傷は見えないはずだし、固く包帯を巻いたから大丈夫なはず。
最後に鏡で笑顔の確認。
「笑えてる。大丈夫だよね?」
僕は玄関を出て、歩いてホールに向かった。
役に立たない僕が、仕事をさぼるなんてこと、できない。
先生に酷いことをしてしまって気絶してから、何時間も経っていたらしい。起きたらもう日付が変わっていて、午前2時になっていた。
先生は、大丈夫だったかな。
今日、話す時も長くならない様に気をつけないと。先生が汚れてしまう。
先生だけは絶対に絶対にだめだ。
僕にしてはよく寝れた。気絶はいい。何も考えなくて良い。
いつも聞こえる声も、感じる視線も、何もかも感じない。
これで明日、いやもう今日か。入学式は失敗しないだろう。
僕は、入学式準備があるから会場に早く行かないと行けないけれど、それでもまだ5時間くらい時間がある。
とりあえず、入学式で倒れるなんていう失敗をしないよう、久々に冷食を温めて食べて、体を2時間かけて綺麗に洗った。
制服は念のためもう一度、綺麗にアイロンをかけて、ハンガーにかけ直しておく。
ついでに、入学式の進行を確認した。変更があったって、失敗なんかできない。
でも、まだ後2時間もある。
どうしようかな。今から早く行って準備しておくべきかな。
でも、早く行ったら逆に迷惑になるかもしれない。
というか、僕が会場に長時間いたら、体育館に穢れが移って、新入生が汚れてしまうかもしれない。
そんなこと、できない。
どうしよう。
きょう、せいとかいのぼくがにゅうがくしきにでないなんてことできない。
でも、みんながけがれてしまう。
どうしよう。どうすればいい?
軽くパニックになりながら考える。
僕がみんなの役に立てて、みんなが汚れない方法。
しばらく考えて、思いつく。
またぼくのなかのけがれをそとにだせばいいんだ。
どうせ、ぼくはきれいにはなれないけど、へやにけがれをおいていけば、いっしゅんだけましになれるんじゃないかな。
ざんげすれば、すこしだけきれいになれる。
みんなへのえいきょう、すくなくなるよね。
もっと、もっとたくさんきっとかないと。
少しだけ残っている新しいカミソリを出す。
この前買った刃物は、届けてもらえないかもしれないから、どうしよう。
先生も管理人さんも渡してくれなかった。
腕に刃を当てて、スッとひく。
いつもより力を込めて。
深く、血が、穢れが、たくさん出る様に。
きれた。
すこしきれいになった。
でも、もっと。
いたくない、いたくない、いたくない、いたくない。だいじょうぶ。
もっと。
もっと。
10本、いつもより深く長く切った。
深く切ったからか、傷が広がって1センチくらい開いている様に見える。
最近切ったばかりのところにも重ねたからか、脂肪まで切ったからか、いつもとだいぶ見た目が違う。
ああ、僕は中身まで、こんなにも汚い。
しかも、どこか血管を傷つけてしまったのか、血がドバドバでる。
でも、僕の中の汚れが少なくなればなるほどいい。
僕がもしこれで死んでしまおうとも、みんなが無事ならば関係ない。
僕なんて、いない方がいいんだ。
これでだいじょうぶだよね。
意識が軽く飛んでいたのか。
いつのまにか時間が経っていて、もう後30分で、入学式の会場である、第一ホールに行かなければいけない。
如月学園は広いから、急がないと。僕の体力じゃ、間に合わなくなる。
包帯を腕に巻いて、制服に着替えて、身だしなみを整える。
入学式は冬服参加が必須。
傷は見えないはずだし、固く包帯を巻いたから大丈夫なはず。
最後に鏡で笑顔の確認。
「笑えてる。大丈夫だよね?」
僕は玄関を出て、歩いてホールに向かった。
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