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恋愛サティスファクション
彼色わーどろーぶ7
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なんとか、玲司君の下から這い出たけど。
網タイツが破れてますよ。
どう見ても、アレコレした後ですよ。
どうすんだよ。これ!?
無言でウィッグを外す。
「そんな気怠げな顔して誘ってんのか? 続きやる?」
「やるわけないだろ。誘ってない。僕は悩んでるの。着替えもないのにタイツ破かないでよ」
これは玲司君に怒っても良いよね?
「着替えならあるぞ」
玲司君がそう言って紙袋を投げてくる。
そういえば会社を出たときからずっと持ってたけど。
袋の中を出してみればDFの服。ちゃんと靴まであるし。
「メンズの着替え残ってたんじゃん」
これがあったなら僕はこの背中丸見えのセクシーギャルワンピースを着ることもなかったんじゃないの?
「怒るなって。それまで汚してたらホントに着替えなくなってたんだぜ」
「服を汚さなきゃ良いだけじゃん。ちょっと着替えるから後ろ向いててくれる?」
「生着替え見せろよ」
「やだよ。ほら、早く着替えないと店長さんが戻ってきちゃう。玲司君は後ろ向いて大人しくしてて」
玲司君がしぶしぶ後ろを向いたのを確認して大急ぎで服を脱ぐ。
ボトムを履き直したところで視線を感じて振り返れば。
「ちょっとなに見てるの!?」
「着替えなんて今日いっぱい見られてるくせに今さら恥ずかしがるな。減るもんじゃないしイイだろ」
「いっぱい見たのは違うじゃん。今はだめっ。減るから。僕の大事な何かが減るっ」
「騒いでないで早く着替えろよ。テンチョーさんが戻ってきてもイイのか?」
「──っ!」
たしかに今の状態を見られるわけにはいかない。
店長さんが戻ってくる前に着替えは終えて。
服と一緒に入っていたメイク落としシートも使って汚れた顔をきれいにする。
シートはデザイナーのお姉さん達からの差し入れらしい。お気遣い感謝です。
破れたタイツとしわくちゃにされた服とウィッグは紙袋に押し込んだ。
ソファに座り直すけど今度は玲司君と1人分スペースを開けておく。
さっきは近くに座り過ぎてたから、抵抗する間もなく、押し倒されちゃったけど。
さすがに2度目は阻止しなきゃ。
さっぱりしたところで氷が溶けて薄くなったオレンジジュースを飲む。
一息ついてようやく聞けた。
「なんでこんなことしたの? 僕たち友達なのに」
「友達だから抜き合うんだろ? 次は最後までやろうぜ」
「やるって何を?」
「男同士でヌキ合ったりするの知らねぇの?」
そんなの知るわけないだろ!?
堂々と言われるとヌキ友って何?って聞けない雰囲気。
「でも、そういうのって恋人同士がやるものなんじゃない?」
「友達同士でもやるだろ?」
仲良しの友達だとさっきみたいなことをするのは普通?
いやいや。普通じゃないだろう。
でも僕にはこれまで仲良しの友達はいても親友はいなかったから。
恋愛についても語り合える親友って呼べるぐらいに親しくなると一緒に抜いたりするのかな。
それこそ、AVとか見ながら。
「これからコッチもヨロシクな。OK?」
玲司君が指で丸を作ってOKサインで聞いてきたから。つい僕もOKサインを返しちゃって。
「やっりぃ」
玲司君は大喜びだけど。
まあ、玲司君とするのは嫌じゃないかもだし。
そうやって僕の世界を広げるのも圭介さんがしろって言ってた経験なのかな。
何事も経験?
あれ? でもこれって浮気?
でも最後まではしない。
友達同士ならやることみたいだし。
明日の電話で圭介さんに聞いてみよう。
駄目なら駄目って言ってくれるよね。
「これで明日から毎日楽しめるな」
玲司君は毎日やり放題ってはしゃいでるけど。毎日?
「毎日なんてしないよ?」
「はあ? するだろ。毎日」
「抜きたいときに一緒にするんでしょ? それなら僕はしたくなるの月に1~2回くらいだし。しばらくはいらないよ」
「月に1回って枯れるの早いだろ」
「別に枯れてるわけじゃなくて昔からだよ」
「マジかよ」
「玲司君は毎日ヤれば良いと思うよ。僕は付き合えないけど」
玲司君のテンションがただ下がったところで店長さんが戻ってきた。
「あれ? 佐倉さん着替えたんですか? 美人さんでしたのに」
「うん。オレンジジュース溢しちゃって」
「そうでしたか。新しいのお持ちしますね。玲司さんもお代わりいります?」
店長さんが部屋に備え付けられてた内線でドリンクを頼んでくれる。
着替えたことは気にしないでくれてたみたいだ。
バレてなくて良かった。
二度とここには来れなくなるところだった。
店長さんが用意してくれたのはパエリアをはじめとした地中海料理。
やっぱり美味しいなあ。
つい食べ過ぎちゃいそう。
「玲司君、このトマト煮おいしいよ」
肉と米しか食べない玲司君に豆のトマト煮をすすめるけど。
玲司君はスケッチブックに個室のイメージイラストを描いてるから手が空かないみたい。
店長さんも玲司君の描くイラストにあれこれ注文していて。
お仕事熱心なのは良いけどご飯も食べなよ。
「ほら、あーん」
スプーンを玲司君の口元に持っていくと大きく開けてくれるから、ほくほくに煮えた豆を入れる。
大きな口に食べ物が収まるのが楽しいっ。
「肉食いてえ」
僕よりちょっと大きめかなってぐらいの一口大に豚肉のローストを切り分けて。
希望を聞いていたら肉か米しか食べないからときどき野菜も口に運ぶ。
「壁は防音にするか?」
「そうですね」
「シアター付けようぜ」
「ゲームするつもりですか?」
「そーだな。ゲーム揃えよーぜ。テーブルとソファもこんな感じで。これならオールで遊べるだろ。佐倉は欲しいもんあるか?」
欲しいもの?
僕はデザートのパンナコッタで満足だけど。
あっ。トイレに行きたくなってきた。
「僕はとくに。玲司君と店長さんにお任せで。それよりトイレ行ってくるね」
僕は朝まで遊ぶなんてしないし。
でもシアターがあるなら映画のBlu-rayとかも見られるかな。
本格的なスピーカーで見られるなら見たいかも。
って、のほほんとしてたら新しく出来る個室にレストルームがつくことに決まってた。
それ必要? って思うけど必要なんだって。
僕が女の子の服で男子トイレに入ったら絶対にトラブルになるから。
じゃあそんな格好では来ないって言ったら。
玲司君と店長さんから似合ってるから着れば良いって押し切られて。
似合ってないよりは似合ってるって言われた方が嬉しいけど。
それで良いのかなってモヤモヤするんだ。
皆が僕を特別扱いする理由を僕はまだ知らないから。
網タイツが破れてますよ。
どう見ても、アレコレした後ですよ。
どうすんだよ。これ!?
無言でウィッグを外す。
「そんな気怠げな顔して誘ってんのか? 続きやる?」
「やるわけないだろ。誘ってない。僕は悩んでるの。着替えもないのにタイツ破かないでよ」
これは玲司君に怒っても良いよね?
「着替えならあるぞ」
玲司君がそう言って紙袋を投げてくる。
そういえば会社を出たときからずっと持ってたけど。
袋の中を出してみればDFの服。ちゃんと靴まであるし。
「メンズの着替え残ってたんじゃん」
これがあったなら僕はこの背中丸見えのセクシーギャルワンピースを着ることもなかったんじゃないの?
「怒るなって。それまで汚してたらホントに着替えなくなってたんだぜ」
「服を汚さなきゃ良いだけじゃん。ちょっと着替えるから後ろ向いててくれる?」
「生着替え見せろよ」
「やだよ。ほら、早く着替えないと店長さんが戻ってきちゃう。玲司君は後ろ向いて大人しくしてて」
玲司君がしぶしぶ後ろを向いたのを確認して大急ぎで服を脱ぐ。
ボトムを履き直したところで視線を感じて振り返れば。
「ちょっとなに見てるの!?」
「着替えなんて今日いっぱい見られてるくせに今さら恥ずかしがるな。減るもんじゃないしイイだろ」
「いっぱい見たのは違うじゃん。今はだめっ。減るから。僕の大事な何かが減るっ」
「騒いでないで早く着替えろよ。テンチョーさんが戻ってきてもイイのか?」
「──っ!」
たしかに今の状態を見られるわけにはいかない。
店長さんが戻ってくる前に着替えは終えて。
服と一緒に入っていたメイク落としシートも使って汚れた顔をきれいにする。
シートはデザイナーのお姉さん達からの差し入れらしい。お気遣い感謝です。
破れたタイツとしわくちゃにされた服とウィッグは紙袋に押し込んだ。
ソファに座り直すけど今度は玲司君と1人分スペースを開けておく。
さっきは近くに座り過ぎてたから、抵抗する間もなく、押し倒されちゃったけど。
さすがに2度目は阻止しなきゃ。
さっぱりしたところで氷が溶けて薄くなったオレンジジュースを飲む。
一息ついてようやく聞けた。
「なんでこんなことしたの? 僕たち友達なのに」
「友達だから抜き合うんだろ? 次は最後までやろうぜ」
「やるって何を?」
「男同士でヌキ合ったりするの知らねぇの?」
そんなの知るわけないだろ!?
堂々と言われるとヌキ友って何?って聞けない雰囲気。
「でも、そういうのって恋人同士がやるものなんじゃない?」
「友達同士でもやるだろ?」
仲良しの友達だとさっきみたいなことをするのは普通?
いやいや。普通じゃないだろう。
でも僕にはこれまで仲良しの友達はいても親友はいなかったから。
恋愛についても語り合える親友って呼べるぐらいに親しくなると一緒に抜いたりするのかな。
それこそ、AVとか見ながら。
「これからコッチもヨロシクな。OK?」
玲司君が指で丸を作ってOKサインで聞いてきたから。つい僕もOKサインを返しちゃって。
「やっりぃ」
玲司君は大喜びだけど。
まあ、玲司君とするのは嫌じゃないかもだし。
そうやって僕の世界を広げるのも圭介さんがしろって言ってた経験なのかな。
何事も経験?
あれ? でもこれって浮気?
でも最後まではしない。
友達同士ならやることみたいだし。
明日の電話で圭介さんに聞いてみよう。
駄目なら駄目って言ってくれるよね。
「これで明日から毎日楽しめるな」
玲司君は毎日やり放題ってはしゃいでるけど。毎日?
「毎日なんてしないよ?」
「はあ? するだろ。毎日」
「抜きたいときに一緒にするんでしょ? それなら僕はしたくなるの月に1~2回くらいだし。しばらくはいらないよ」
「月に1回って枯れるの早いだろ」
「別に枯れてるわけじゃなくて昔からだよ」
「マジかよ」
「玲司君は毎日ヤれば良いと思うよ。僕は付き合えないけど」
玲司君のテンションがただ下がったところで店長さんが戻ってきた。
「あれ? 佐倉さん着替えたんですか? 美人さんでしたのに」
「うん。オレンジジュース溢しちゃって」
「そうでしたか。新しいのお持ちしますね。玲司さんもお代わりいります?」
店長さんが部屋に備え付けられてた内線でドリンクを頼んでくれる。
着替えたことは気にしないでくれてたみたいだ。
バレてなくて良かった。
二度とここには来れなくなるところだった。
店長さんが用意してくれたのはパエリアをはじめとした地中海料理。
やっぱり美味しいなあ。
つい食べ過ぎちゃいそう。
「玲司君、このトマト煮おいしいよ」
肉と米しか食べない玲司君に豆のトマト煮をすすめるけど。
玲司君はスケッチブックに個室のイメージイラストを描いてるから手が空かないみたい。
店長さんも玲司君の描くイラストにあれこれ注文していて。
お仕事熱心なのは良いけどご飯も食べなよ。
「ほら、あーん」
スプーンを玲司君の口元に持っていくと大きく開けてくれるから、ほくほくに煮えた豆を入れる。
大きな口に食べ物が収まるのが楽しいっ。
「肉食いてえ」
僕よりちょっと大きめかなってぐらいの一口大に豚肉のローストを切り分けて。
希望を聞いていたら肉か米しか食べないからときどき野菜も口に運ぶ。
「壁は防音にするか?」
「そうですね」
「シアター付けようぜ」
「ゲームするつもりですか?」
「そーだな。ゲーム揃えよーぜ。テーブルとソファもこんな感じで。これならオールで遊べるだろ。佐倉は欲しいもんあるか?」
欲しいもの?
僕はデザートのパンナコッタで満足だけど。
あっ。トイレに行きたくなってきた。
「僕はとくに。玲司君と店長さんにお任せで。それよりトイレ行ってくるね」
僕は朝まで遊ぶなんてしないし。
でもシアターがあるなら映画のBlu-rayとかも見られるかな。
本格的なスピーカーで見られるなら見たいかも。
って、のほほんとしてたら新しく出来る個室にレストルームがつくことに決まってた。
それ必要? って思うけど必要なんだって。
僕が女の子の服で男子トイレに入ったら絶対にトラブルになるから。
じゃあそんな格好では来ないって言ったら。
玲司君と店長さんから似合ってるから着れば良いって押し切られて。
似合ってないよりは似合ってるって言われた方が嬉しいけど。
それで良いのかなってモヤモヤするんだ。
皆が僕を特別扱いする理由を僕はまだ知らないから。
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