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恋愛サティスファクション
彼色わーどろーぶ6
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案内されたのはカラオケのパーティールームみたいな部屋。
といってもクラブの個室だけあって専用のDJブースがある本格的なものだ。
天井にはミラーボールもあって2人で食事を取るには広すぎる。
どこに座ったら良いのか検討もつかない。中に入ったものの身の置き場に迷って扉の近くに立ち止まってしまう。
「もっと狭い部屋はないんですか?」
「かなり小さめに作ってみたんですけど、佐倉さん的にはこれでも広いです?」
疑問に疑問で返されたよ。そして広いよ。
これでも狭いって。ここ教室がすっぽり1つ収まる大きさだよね!?
「佐倉的には広すぎだってよ。どーする?」
「もう佐倉さんに直接希望を聞くしかないのでは?」
「だってよ。佐倉はどんな部屋がイイんだ?」
「なんで僕の希望なの? 玲司君のが詳しいでしょ?」
「知りすぎてるからダメなんだよ。ここ佐倉用だぜ。オレ仕様にしたらハデすぎるだろ」
僕用? 団体客用じゃなくて?
「佐倉さんは下のフロアやVIPシートではお寛ぎいただけない様子でしたので、こちらをご用意したのですが」
「わざわざすみません」
用意してもらって文句言うとか僕最低じゃん。
ここでも大丈夫ですよってソファセットの端っこに座る。
ほら。玲司君も座りなよ。
店長さんもご飯まだなら一緒に食べよ。
フードメニュー表はどこかな?
テーブルの上に置かれていたメニューに目を通す。
ドリンクの種類がとにかく多い。
そしてフードのメニューはあんまり多くない。
この前玲司君が食べていたパエリアが食べたかったんだけど、なくなっちゃったのかな。
「おい。今すぐ新しい部屋考えるぞ」
「そうですね。佐倉さんをここにお招きするのは宜しくないです」
「2人とも何言ってるの? 僕は別にこの部屋でも大丈夫だよ」
「ダメだ。佐倉がエロい。エロいって思う自分がダメな奴だってヘコむエロさがある」
「純粋な子を騙して連れ込んだような、いかがわしさがありますね」
「なにそれ? AVの設定みたいな?」
どこの企画ものだよと笑ってたら。信じられないって顔で玲司君と店長さんが見てくる。
「佐倉、エロビ見たことあんのか?」
「意外ですね。そういったものとは無縁かと思ってました」
「酷いなぁ。僕だって付き合いで見たことはあるよ。家呑みしてると動画流したがる奴とかいるじゃん。場が白けても良くないから。適当にやり過ごしてたよ」
あのときはツラかったなあ。
皆で勝手に盛り上がってくれれば良いのに僕に感想を求められても困る。
女の子の裸に特に興味はないんだ。
かといって男優についての感想は違うし。
「AVってノーマル向けのか。佐倉はカムアウトしてないんだっけ?」
「うん」
「する気もないのか?」
「そうだね。うちの母親、ホモは気持ち悪いってはっきり言っちゃう人で。テレビにおネエキャラの芸能人が出てきたらチャンネル変えちゃうんだ。そんな人に息子が同性愛者ですなんて言えるわけないよね 」
母さんと妹がゲイを忌諱する話をしている時は、話したことのない僕の性的指向がバレてしまったのかと焦った。
新しく始まるドラマがゲイのカップルをモデルにしたもので、それについて話していただけだったんだけど。
しばらくは気が気じゃなくて、家の中で落ち着けなかった。
「親戚からも神様が性別を取り違えたんじゃないかって言われたことがあって。見た目は女にしか見えないし、いっそ女になったほうが生きやすいんじゃないかって酒の席で絡まれたこともある」
僕は父方祖母に似た女顔で、妹は母方祖父に似た凛々しい顔立ちだったから。
母方の親戚が集まると、神様は僕達の性別を間違えたのだと皆口々に言った。
子供の頃は皆が笑って言うから楽しい話なのだと僕もニコニコ聞いていた。
少し大きくなって意味がわかるようになった頃は僕は男なのにって拗ねて。
自分は男が好きなんだと自覚してからは、またニコニコ笑って聞き流すようになった。
下手に反発して疑われるのが怖かったから。
久しぶりに思い出したな。
中学受験の勉強があるからお盆の帰省についていかなくなって。
正月や法事だけの付き合いも大学に入る頃には僕は参加を避けるようになったから。
毎回同じような話をされるのも飽きるし。
他に話題がないのかなって、僕から話を振ってみても会話はすぐに途切れちゃって気まずい思いをするだけ。
父さんが仕事を理由に欠席するなら、僕も学業を理由に欠席しても良いじゃん。
行きたい人だけ行けばいいんだ。
僕の見た目をいじって酒の肴にする人達とは仲良くなりたくない。
といってもクラブの個室だけあって専用のDJブースがある本格的なものだ。
天井にはミラーボールもあって2人で食事を取るには広すぎる。
どこに座ったら良いのか検討もつかない。中に入ったものの身の置き場に迷って扉の近くに立ち止まってしまう。
「もっと狭い部屋はないんですか?」
「かなり小さめに作ってみたんですけど、佐倉さん的にはこれでも広いです?」
疑問に疑問で返されたよ。そして広いよ。
これでも狭いって。ここ教室がすっぽり1つ収まる大きさだよね!?
「佐倉的には広すぎだってよ。どーする?」
「もう佐倉さんに直接希望を聞くしかないのでは?」
「だってよ。佐倉はどんな部屋がイイんだ?」
「なんで僕の希望なの? 玲司君のが詳しいでしょ?」
「知りすぎてるからダメなんだよ。ここ佐倉用だぜ。オレ仕様にしたらハデすぎるだろ」
僕用? 団体客用じゃなくて?
「佐倉さんは下のフロアやVIPシートではお寛ぎいただけない様子でしたので、こちらをご用意したのですが」
「わざわざすみません」
用意してもらって文句言うとか僕最低じゃん。
ここでも大丈夫ですよってソファセットの端っこに座る。
ほら。玲司君も座りなよ。
店長さんもご飯まだなら一緒に食べよ。
フードメニュー表はどこかな?
テーブルの上に置かれていたメニューに目を通す。
ドリンクの種類がとにかく多い。
そしてフードのメニューはあんまり多くない。
この前玲司君が食べていたパエリアが食べたかったんだけど、なくなっちゃったのかな。
「おい。今すぐ新しい部屋考えるぞ」
「そうですね。佐倉さんをここにお招きするのは宜しくないです」
「2人とも何言ってるの? 僕は別にこの部屋でも大丈夫だよ」
「ダメだ。佐倉がエロい。エロいって思う自分がダメな奴だってヘコむエロさがある」
「純粋な子を騙して連れ込んだような、いかがわしさがありますね」
「なにそれ? AVの設定みたいな?」
どこの企画ものだよと笑ってたら。信じられないって顔で玲司君と店長さんが見てくる。
「佐倉、エロビ見たことあんのか?」
「意外ですね。そういったものとは無縁かと思ってました」
「酷いなぁ。僕だって付き合いで見たことはあるよ。家呑みしてると動画流したがる奴とかいるじゃん。場が白けても良くないから。適当にやり過ごしてたよ」
あのときはツラかったなあ。
皆で勝手に盛り上がってくれれば良いのに僕に感想を求められても困る。
女の子の裸に特に興味はないんだ。
かといって男優についての感想は違うし。
「AVってノーマル向けのか。佐倉はカムアウトしてないんだっけ?」
「うん」
「する気もないのか?」
「そうだね。うちの母親、ホモは気持ち悪いってはっきり言っちゃう人で。テレビにおネエキャラの芸能人が出てきたらチャンネル変えちゃうんだ。そんな人に息子が同性愛者ですなんて言えるわけないよね 」
母さんと妹がゲイを忌諱する話をしている時は、話したことのない僕の性的指向がバレてしまったのかと焦った。
新しく始まるドラマがゲイのカップルをモデルにしたもので、それについて話していただけだったんだけど。
しばらくは気が気じゃなくて、家の中で落ち着けなかった。
「親戚からも神様が性別を取り違えたんじゃないかって言われたことがあって。見た目は女にしか見えないし、いっそ女になったほうが生きやすいんじゃないかって酒の席で絡まれたこともある」
僕は父方祖母に似た女顔で、妹は母方祖父に似た凛々しい顔立ちだったから。
母方の親戚が集まると、神様は僕達の性別を間違えたのだと皆口々に言った。
子供の頃は皆が笑って言うから楽しい話なのだと僕もニコニコ聞いていた。
少し大きくなって意味がわかるようになった頃は僕は男なのにって拗ねて。
自分は男が好きなんだと自覚してからは、またニコニコ笑って聞き流すようになった。
下手に反発して疑われるのが怖かったから。
久しぶりに思い出したな。
中学受験の勉強があるからお盆の帰省についていかなくなって。
正月や法事だけの付き合いも大学に入る頃には僕は参加を避けるようになったから。
毎回同じような話をされるのも飽きるし。
他に話題がないのかなって、僕から話を振ってみても会話はすぐに途切れちゃって気まずい思いをするだけ。
父さんが仕事を理由に欠席するなら、僕も学業を理由に欠席しても良いじゃん。
行きたい人だけ行けばいいんだ。
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