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恋愛サティスファクション
すれ違い三叉路7
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僕は玲司君のこと、どう思ってるんだろう。
あらためて考えてみると。
第一印象は痴漢。馴れ馴れしく触ってくる人。
そのあとも強引だったり。人のお願いを聞いてくれなかったり。エロかったり。
見た目はイケメンでも、あんまり誉められたものではない人だったのに。
世話焼きなところや、優しいところもあって。
見ていて気持ち良いぐらいによく食べる姿には好感が持てた。
実は皇子様系モデルのRoi君で。
大好きなRoi君だって分かったとき、ファンとして興奮したけど。
Roi君だから仲良くしたいって思ったわけじゃない。
圭介さんの知り合いってだけでもなくて、玲司君だから仲良くなりたかった。
「オレが好きだろ?」
好きかどうかって聞かれたら。
「うん。好き」
出会ったときから玲司君はずっと僕の目を見て話してくれる。
僕がどんな姿をしていても、玲司君は変わらない。
真っ直ぐな瞳で見つめてきて、テンポよく会話ができて、僕の趣味も理解してくれる人。
好きになって当たり前だ。
「よっしゃ」
玲司君がガッツポーズをする後ろで店長さんが膝をつき頭を抱えて「うわぁぁぁ」って叫んでる。
温度差がすごい。風邪ひきそう。
どっちも種類の違うイケメンだから映えるなぁ。
「オレは佐倉が好き。佐倉もオレが好き。じゃあ、今日から佐倉はオレの彼氏ってことで。OK?」
一瞬頷きそうになって、慌てて止める。
「いやいや。彼氏は駄目だよ。僕には圭介さんがいるんだから」
「ちぇっ。うっかり流されてくれないか」
「うっかりで付き合い始めたって、お互いが幸せになれるわけないじゃん」
「それもそうだな。よしっ。まずは圭と別れろ。そしてオレと付き合え」
「ちょっと待って。僕が圭介さんと別れる前提なのおかしいよね?」
「別に普通だろ? 佐倉はオレが好きなんだから」
あまりに堂々と言われて普通って何だろうって不安になるけど。
「だいたい僕は玲司君のことを好きだけど。この好きって気持ちが彼氏になりたい好きかどうかは分かんないからね」
「そんなもんキスのひとつでもしたらすぐに分かる」
「だめー!」
ソファーで隣同士に座っていて、距離が近かった分危なかった。
あと少しで唇が触れるところだったのを、玲司君の顎を押し返してガードする。
なんでナチュラルにキスしてくるの。
キスは挨拶的な軽さなんだけど。
こっちが気を緩ませたら最後、どこまでも流されてしまいそうだ。
「いってぇ。首やったらどうすんだよ。危ねぇ」
「危ないのはそっち。そんな簡単にキスしちゃ駄目だよ」
「簡単じゃねぇよ。ちゃんと愛ならある」
「そうやってカッコいい声でカッコいい事言うのも禁止っ! うっかり流されてもいっかなーぐらいの気持ちになるから」
本当に玲司君の声って低くて少し枯れてて、その掠れぐあいがセクシーで、腰に来るんです。
そんな声で恥ずかしいこと言われたら理性が吹っ飛んじゃう。
「へぇ。佐倉はオレの声、カッコいいって思うんだ」
玲司君が耳たぶに唇を当ててくる。
「きゃーっ! それもだめぇ!」
「なにが?」
「それ。それ。いやぁ。だめぇ」
「落ち着け、佐倉。何がダメなのかはっきり言わないと分かんねぇぞ」
だから、耳に息がかかる至近距離で話さないで!
わざと耳のなかに息を吹き掛けないで。
耳たぶの裏側を尖らせた唇の先で擦らないで。
突き飛ばしたいのに腕に力が入らないよ。かくなるうえは。
「店長さん助けて」
仕事柄、酔っぱらいや痴漢の対応に慣れている様子の店長さんが、手際よく僕を玲司君の腕の中から救いだしてくれた。
「店長さんありがとう。大好き」
店長さんの安全な腕の中の収まると、ギュッとしがみついてお礼を言う。
僕を守るために抱き締めているだけで、手のひらや指がエッチな動きをするわけでも、唇が首筋をなぞるわけでもない。
僕は安全地帯を手に入れた。
あらためて考えてみると。
第一印象は痴漢。馴れ馴れしく触ってくる人。
そのあとも強引だったり。人のお願いを聞いてくれなかったり。エロかったり。
見た目はイケメンでも、あんまり誉められたものではない人だったのに。
世話焼きなところや、優しいところもあって。
見ていて気持ち良いぐらいによく食べる姿には好感が持てた。
実は皇子様系モデルのRoi君で。
大好きなRoi君だって分かったとき、ファンとして興奮したけど。
Roi君だから仲良くしたいって思ったわけじゃない。
圭介さんの知り合いってだけでもなくて、玲司君だから仲良くなりたかった。
「オレが好きだろ?」
好きかどうかって聞かれたら。
「うん。好き」
出会ったときから玲司君はずっと僕の目を見て話してくれる。
僕がどんな姿をしていても、玲司君は変わらない。
真っ直ぐな瞳で見つめてきて、テンポよく会話ができて、僕の趣味も理解してくれる人。
好きになって当たり前だ。
「よっしゃ」
玲司君がガッツポーズをする後ろで店長さんが膝をつき頭を抱えて「うわぁぁぁ」って叫んでる。
温度差がすごい。風邪ひきそう。
どっちも種類の違うイケメンだから映えるなぁ。
「オレは佐倉が好き。佐倉もオレが好き。じゃあ、今日から佐倉はオレの彼氏ってことで。OK?」
一瞬頷きそうになって、慌てて止める。
「いやいや。彼氏は駄目だよ。僕には圭介さんがいるんだから」
「ちぇっ。うっかり流されてくれないか」
「うっかりで付き合い始めたって、お互いが幸せになれるわけないじゃん」
「それもそうだな。よしっ。まずは圭と別れろ。そしてオレと付き合え」
「ちょっと待って。僕が圭介さんと別れる前提なのおかしいよね?」
「別に普通だろ? 佐倉はオレが好きなんだから」
あまりに堂々と言われて普通って何だろうって不安になるけど。
「だいたい僕は玲司君のことを好きだけど。この好きって気持ちが彼氏になりたい好きかどうかは分かんないからね」
「そんなもんキスのひとつでもしたらすぐに分かる」
「だめー!」
ソファーで隣同士に座っていて、距離が近かった分危なかった。
あと少しで唇が触れるところだったのを、玲司君の顎を押し返してガードする。
なんでナチュラルにキスしてくるの。
キスは挨拶的な軽さなんだけど。
こっちが気を緩ませたら最後、どこまでも流されてしまいそうだ。
「いってぇ。首やったらどうすんだよ。危ねぇ」
「危ないのはそっち。そんな簡単にキスしちゃ駄目だよ」
「簡単じゃねぇよ。ちゃんと愛ならある」
「そうやってカッコいい声でカッコいい事言うのも禁止っ! うっかり流されてもいっかなーぐらいの気持ちになるから」
本当に玲司君の声って低くて少し枯れてて、その掠れぐあいがセクシーで、腰に来るんです。
そんな声で恥ずかしいこと言われたら理性が吹っ飛んじゃう。
「へぇ。佐倉はオレの声、カッコいいって思うんだ」
玲司君が耳たぶに唇を当ててくる。
「きゃーっ! それもだめぇ!」
「なにが?」
「それ。それ。いやぁ。だめぇ」
「落ち着け、佐倉。何がダメなのかはっきり言わないと分かんねぇぞ」
だから、耳に息がかかる至近距離で話さないで!
わざと耳のなかに息を吹き掛けないで。
耳たぶの裏側を尖らせた唇の先で擦らないで。
突き飛ばしたいのに腕に力が入らないよ。かくなるうえは。
「店長さん助けて」
仕事柄、酔っぱらいや痴漢の対応に慣れている様子の店長さんが、手際よく僕を玲司君の腕の中から救いだしてくれた。
「店長さんありがとう。大好き」
店長さんの安全な腕の中の収まると、ギュッとしがみついてお礼を言う。
僕を守るために抱き締めているだけで、手のひらや指がエッチな動きをするわけでも、唇が首筋をなぞるわけでもない。
僕は安全地帯を手に入れた。
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