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恋愛サティスファクション
すれ違い三叉路9
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結局。優柔不断な僕は何も選べなかった。
圭介さんと育む未来も。
玲司君と描く未来も。
圭介さんとの関係もそのまま。
玲司君と友達として付き合っていくことに。
良いとこ取りする僕は、それで2人から嫌われても仕方がないかなって。
僕は自分で決めることから逃げたけど、ひとつだけ逃げちゃいけないことが。
圭介さんに伝えるのは自分でしなきゃいけない。
散々気を回して、仕事で疲れてるときに迷惑かけちゃいけないって先延ばしにした結果。
ろくに会うこともできない今になって。
一番最悪な内容を一番最悪なタイミングで伝えることになってしまった。
***
その夜。僕は閉店間際に駆け込んできた客の対応でいつもより帰りが遅かった。
クレームまがいに怒鳴る客の相手で気持ちが萎えて。ご飯を作る元気もない。
コンビニのご飯も食べたくない。
玲司君と一緒だったら。あのご飯の美味しいクラブのパスタが食べられるのに。
一緒でも駄目だろ。なに誘ってもらえる前提で考えてるんだ。
一人でだって、ちゃんとご飯食べられるだろ。
気合いを入れ直して深夜まで開いているスーパーで冷蔵庫の中身を思い出しながら買い物をする。
冷凍のご飯があるからレトルトのパスタソースを使ったオムライスでいいや。
あとは1食分の袋入りサラダ野菜。マヨネーズで食べよう。
家に着いて、鍵を鍵穴に差し込んで回す。
スカッと軽く回る鍵に今朝は鍵を閉め忘れたのかと焦る。
「鍵の閉め忘れとか不用心だろ、僕」
玄関のドアを開けると部屋には電気もついていて。
「電気まで付けっぱなしとか。何やってんだろ」
玄関で靴を脱ぎながら、ため息をつく。
「鍵はちゃんと閉まってたし、電気をつけたのは俺だよー」
「圭介さん!?」
玄関で靴を脱ぎ捨てて、部屋に駆け込むと。
そこには僕のデカウサギちゃんクッションに埋もれるように座る圭介さんがいた。
「圭介さんだよー」
ニコニコと手を振って、僕の帰りを出迎えてくれる。
「お仕事じゃないんですか?」
そうだよ。夜勤中じゃないの?
スーツじゃないし、私服だし。
ワインレッドのタートルネックセーター、お洒落ですね。僕、この色好き。
「ちょっと時間が出来たからホワイトデーのお返し渡そうかなって」
「それなら、そう言ってくれれば僕もっと早く帰ってきたのに」
「今日は仕事だろー。唯が帰ってくるの待つのも悪くないなって。いつも俺の家で唯が待っててくれてたじゃん」
「それでもっ」
圭介さんの首筋に抱きついてギュっとする。
カシミアなのかな。柔らかいセーターの感触と圭介さんの匂い。落ち着く。
僕ってば、匂いフェチだったのかも。
「ねえねえ、唯。ギューするのも良いけど、スーパーで何か買ったんじゃない? 冷蔵庫入れなくても大丈夫?」
「強いていうならレタスは冷蔵庫に入れないとですね」
「唯の主食はレタスなの?」
「違いますよ。サラダはおかずです。今日はオムライスの予定でした」
「オムライスいーなー」
「レトルトな味付けで良ければ、食べます?」
「もちろんっ!」
スーツじゃご飯作りにくいので着替えてからレッツ・クッキング!
といっても単身者用の1DKのキッチンでは、そんなに立派なものは作れない。
オムライスだけじゃあれかなって電気ポットでお湯も沸かして、インスタントのコーンスープも作ろう。
冷凍のご飯はチンして。
溶き卵も先に準備。とろけるチーズと胡椒たっぷりのオムレツを作ろう。
圭介さんと育む未来も。
玲司君と描く未来も。
圭介さんとの関係もそのまま。
玲司君と友達として付き合っていくことに。
良いとこ取りする僕は、それで2人から嫌われても仕方がないかなって。
僕は自分で決めることから逃げたけど、ひとつだけ逃げちゃいけないことが。
圭介さんに伝えるのは自分でしなきゃいけない。
散々気を回して、仕事で疲れてるときに迷惑かけちゃいけないって先延ばしにした結果。
ろくに会うこともできない今になって。
一番最悪な内容を一番最悪なタイミングで伝えることになってしまった。
***
その夜。僕は閉店間際に駆け込んできた客の対応でいつもより帰りが遅かった。
クレームまがいに怒鳴る客の相手で気持ちが萎えて。ご飯を作る元気もない。
コンビニのご飯も食べたくない。
玲司君と一緒だったら。あのご飯の美味しいクラブのパスタが食べられるのに。
一緒でも駄目だろ。なに誘ってもらえる前提で考えてるんだ。
一人でだって、ちゃんとご飯食べられるだろ。
気合いを入れ直して深夜まで開いているスーパーで冷蔵庫の中身を思い出しながら買い物をする。
冷凍のご飯があるからレトルトのパスタソースを使ったオムライスでいいや。
あとは1食分の袋入りサラダ野菜。マヨネーズで食べよう。
家に着いて、鍵を鍵穴に差し込んで回す。
スカッと軽く回る鍵に今朝は鍵を閉め忘れたのかと焦る。
「鍵の閉め忘れとか不用心だろ、僕」
玄関のドアを開けると部屋には電気もついていて。
「電気まで付けっぱなしとか。何やってんだろ」
玄関で靴を脱ぎながら、ため息をつく。
「鍵はちゃんと閉まってたし、電気をつけたのは俺だよー」
「圭介さん!?」
玄関で靴を脱ぎ捨てて、部屋に駆け込むと。
そこには僕のデカウサギちゃんクッションに埋もれるように座る圭介さんがいた。
「圭介さんだよー」
ニコニコと手を振って、僕の帰りを出迎えてくれる。
「お仕事じゃないんですか?」
そうだよ。夜勤中じゃないの?
スーツじゃないし、私服だし。
ワインレッドのタートルネックセーター、お洒落ですね。僕、この色好き。
「ちょっと時間が出来たからホワイトデーのお返し渡そうかなって」
「それなら、そう言ってくれれば僕もっと早く帰ってきたのに」
「今日は仕事だろー。唯が帰ってくるの待つのも悪くないなって。いつも俺の家で唯が待っててくれてたじゃん」
「それでもっ」
圭介さんの首筋に抱きついてギュっとする。
カシミアなのかな。柔らかいセーターの感触と圭介さんの匂い。落ち着く。
僕ってば、匂いフェチだったのかも。
「ねえねえ、唯。ギューするのも良いけど、スーパーで何か買ったんじゃない? 冷蔵庫入れなくても大丈夫?」
「強いていうならレタスは冷蔵庫に入れないとですね」
「唯の主食はレタスなの?」
「違いますよ。サラダはおかずです。今日はオムライスの予定でした」
「オムライスいーなー」
「レトルトな味付けで良ければ、食べます?」
「もちろんっ!」
スーツじゃご飯作りにくいので着替えてからレッツ・クッキング!
といっても単身者用の1DKのキッチンでは、そんなに立派なものは作れない。
オムライスだけじゃあれかなって電気ポットでお湯も沸かして、インスタントのコーンスープも作ろう。
冷凍のご飯はチンして。
溶き卵も先に準備。とろけるチーズと胡椒たっぷりのオムレツを作ろう。
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