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第24章 晩ごはんと夜の告白

151 【挿絵】 メラニィが好きと思える唯一の男性

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 ボクはアリム。
 今夜は、シュウピンさん、メラニィさん、絵美さんといっしょに過ごすことになった。

 大きなベッドの上に、ボクたちはパジャマ姿で座っている。

絵美
「さあ、アリムさん、ごらんになって!
 美しいシュウピンさんと、美しいメラニィさんのパジャマ姿を!」

アリム
「う、うん、とても美しいと思います。」

絵美
「そのふたりを上回うわまわる美しさの絵美のパジャマ姿もごらんください。」

シュウピン こころの声
『絵美様のことがきらいになってきたわ。』

メラニィ こころの声
『アリム様がなんと答えるかがものだな。』

アリム
「そうだねえ、シュウピンさんの美しい黒髪が際立きわだつねえ。」

シュウピン
「えっ? ポッ。」

絵美
「さすがはアリムね。

 美しい黒髪にしか発生しないエンジェルリングが、シュウピンさんの真っすぐで裏表うらおもてがないひとみの輝きと共鳴きょうめいして、素敵すてきよねえ。

 さすがのわたしも、うらやましくて、嫉妬しっとしそうよ。」

シュウピン
「そんな、絵美様。
 ずかしいです。」

絵美
「本当に可愛いわあ。
 もし、真々美より先にシュウピンさんに出会っていたら、口説くどいていたわね。
 きっとね。」

シュウピン
「まあ、光栄こうえいですわ。」

シュウピン こころの声
『どうしましょう。 絵美様のことが好きになってきたわ。』

メラニィ
「アリム様、わたしについては、どうだ?」

アリム
「そうだね。 髪の毛を巻いたカールとむらさきひとみのぞみたくなるよ。」

メラニィ
「近くで、ごらんになりますか?」

アリム
「メラニィさんのひとみおくを見てしまったら、メラニィさんからはなれられなくなりそうだから、遠慮えんりょしておくよ。」

絵美
「アリムさん、正解よ。
 メラニィさんなら、指折ゆびおりの美女が使う【ひとみおく】という魅了技みりょうわざを使用できると思うわ。」

アリム
「やっぱりか。
 ということは、シュウピンさんは、【いやしの】という魅了技みりょうわざを使用できそうだね。 シュウピンさんの視線は、とてもあたたかくて心地良ここちよいよ。」

絵美
「アリムさん、正解よ。
 シュウピンさんは、【いやしの】という魅了技みりょうわざを使用できるわ。」

シュウピン
「わたしとしては、使用している自覚じかくがないのですが・・・」

絵美
「そうなのね。 したしいひとにたしかめてもらう方がいいわ。
 ONとOFFを意識いしきできる方が無難ぶなんよ。

 というよりも、マイナスの効果こうかも出せるというか出るから、気を付けてね。」

シュウピン
「どういうことですか、くわしく知りたいです。」

絵美
「うーん、例えば、
   この人のことが嫌いだわ。
と思ったときに、冷風れいふうを相手に感じさせることもできるのよ。

 こんなふうにね。」

アリム
「絵美さん、そんな冷たい目で見ないで、ボクはなにか気にさわるようなことをしましたか?」

絵美
「いいえ、この中でわたしに一番近いひとがアリムさんだからよ。
 この使い方は、精神的せいしんてきなダメージが強いからね。」

アリム
「ボクなら、きずついてもいいの?」

絵美
「いいえ、そんなことないわ。

 ただ、アリムの場合は、ね、
  「ごめんね、朝まで温めてあげるわ。」
というフォローができるからね。」

アリム
「ふーん、そうなんだ。
 それでも、納得なっとくかないよ。」

絵美
「じゃあ、もし、わたしがシュウピンさんに今の技を使ったら、真々美とメラニィさんからお説教1時間のけいしょされるわ。

 そして、もし、わたしがメラニィさんに今の技を使ったら、冬香さんとシュウピンさんからお説教1時間のけいしょされるわ。」

アリム
「ボクに対しては、苦情くじょうが出ないのかな?」

アリム
「もちろん、でるわよ。
 そのときは、
   アリムさんが欲しくて欲しくて、アリムさんと朝まで温めあう状況じょうきょうを作りたかったの。
と言うわ。」

メラニィ
「アリム様、そのへん納得なっとくした方がいいぞ。
 女性は男性の愛情をためしても、ほとんどの場合、ゆるされるからな。

 ただし、男性が同じことをしたら、気持ち悪いと拒絶きょぜつされるだろうな。」

アリム
「男性にきびしいな。」

メラニィ
「カセイダード王国は、本当の意味で【男尊女卑だんそんじょひ】だからな。

 男性は尊敬そんけいされる存在であるように全力で、つとめろ。
 女性はいやしい存在だから、男性に負けてもくやしがらなくていい。

という考え方の国風こくふうだと覚えておいてくれないか。」

アリム
「へー、同じ言葉でも、光元国ひかりもとこくとは意味がちがうね。」

シュウピン
「そういう事情じじょうがあるから、光元国で移民募集いみんぼしゅうをしたのです。

 所変ところかわれば品変しなかわる

 アリム様のように、カセイダード王国にとっては、このましい人物を探すためだったのです。」

アリム
非常ひじょう光栄こうえいです。
 ありがとうございました。」

絵美
「メラニィさん、どうしたの?
 考え込んでいるようだけれど。」

メラニィ
「絵美様には分かりますか?
 シュウピンは?」

シュウピン
「あなたが何かを決心したことは分かります。
 それが、わたしにとって良い内容であれば良いのですが・・・」

メラニィ
「良い内容だと思うぞ。
 ただ、シュウピンより先になるとは思わなかった。」

アリム
深刻しんこくな話ですか?」

メラニィ
深刻しんこくな、ですか?
 そうですね。
 堅苦かたくるしくても、真剣しんけんさがつたわる方が良いですね。

 絵美様、アリム様、シュウピン
 15分ほど、席をはずします。

 失礼します。」

 メラニィさんは、部屋を出ていった。

絵美
「お花畑で、花束はなたばを作るのかしら?」

アリム
「あの、それでしたら、トイレに行ってきてもいいですか?」

シュウピン
「絵美様の優雅ゆうが表現ひょうげん台無だいなしです。
 アリム様。」

アリム
「なぜか分からないけれど、第1志望の会社の面接に行ったときのように緊張きんちょうして落ち着かないんだよ。」

絵美
「へー、その会社は、どうだったの?」

アリム
「落とされたよ。

 その会社の人事のご子息が言うには、
   大学推薦を形だけ受けるけれど、採用しないことが決まっている。
   これからも、大学から製品を買ってもらうために、人物に問題あることにしよう。
という裏事情があったんだって。」

シュウピン
「その会社名を、教えてもらえますか?」

絵美
「わたしも知りたいわ。」

 じゃあ、小声で言うから、耳を近づけてよ。
 ふたりは、まよいもせずに、耳を近づけてきた。

アリム 小声
「?????」

絵美
「アリムさん、ごめんね。
 引きめて。

 じゃあ、行ってきて。
 10分後にはもどってきてね。」

アリム
「ごめんね。 行ってきます。」

シュウピン
「絵美様。」

絵美
「カセイダード王国の購入先リストから、300年間以上、抹消まっしょうしましょう。」

シュウピン
「その代わりに、敵対者てきたいしゃリストにせておきますね。」

 絵美さんとシュウピンさんは、かた握手あくしゅを交わした。



 メラニィが戻る少し前に、アリムが戻ってきた。

絵美
「アリムさん、大丈夫?」

アリム
「うん、落ち着いてきたよ。」

シュウピン
「それは、良かったです。」

 スーツ姿のメラニィさんが戻ってきた。

アリム
「えっ、もしかして、今から仕事をされるのですか?」

シュウピン
「メラニィ?」

絵美
「メラニィさん?」

メラニィ
「いいえ、仕事と同じくらい、いいえ、仕事以上に大事な話をするために、仕事着を着てきました。」

 メラニィは、アリムの前で正座せいざをして姿勢しせいを正した。
 アリムを見つめる目は、とても真剣だった。

アリム
「お聞きします。 メラニィさん。」

メラニィ
「アリム様、わたしは男性がきらいです。
 生殖本能せいしょくほんのう忠実ちゅうじつな、性欲せいよくあやつり人形《にんぎょう》だからです。

 だから、こころからいたいと思える男性など物語の中だけの、空想くうそう存在そんざいと思ってきました。

 でも、わたしの考えは間違まちがっていたようです。

 アリム様、あなたは、わたしが恋愛感情れんあいかんじょうを持って、愛情交換あいじょうこうかんしたいと思える、【最初で最後の男性です。】」



アリム
「ボクの人格をみとめてもらえたようで、本当にうれしいです。

 これから、よろしくお願いいたします。」

メラニィ こころの声
『アリム様がなみだを流しながら、まっすぐに見つめ返してくれた。
 思い切って告白こくはくして良かった。
 このときの判断はんだんが正しかったと、胸を張って言えるわ。』

 メラニィさんは、アリムさんを同じ高さで抱きしめた。
 メラニィさんの頭のすぐ横にアリムさんの頭があった。

 その様子を見て、絵美は胸にすような痛みを感じていた。

メラニィ
「アリム様、わたしのこともオルア様のように、いいえ、その半分くらいでも文句もんくは言いません。
 あなたの愛情をくださいませ。」

アリム
「メラニィさんの愛情もくださいね。」

メラニィ
「もちろんでございます。」


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