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第15章 ボクたちの前世
087 紅姫、黄花、青紫の神器
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17日目 AM 11:00 朝
《2日に一度の会議: 偶数日の予定、本日は無し。
一番権利者: 真々美。
アリムは目を覚ました。》
◇
絵美
「なら、どうして?
しかも、名前を呼び捨てにするなんて。」
絵美は、名前を呼び捨てされて、不機嫌さを隠しきれなかった。
アリム
「知っているひとと似ていたので、思わず声に出ました。
お気に障ったなら、お許しください。」
真々美
「絵美、すまない。
わたしの顔に免じて、許して欲しい。」
絵美
「真々美、逃がさないように押さえてて。
すぐに戻るわ。」
絵美は部屋から出て行った。
しばらくすると、戻ってきた。
カセイダードスーツ 防着モードの試作品を着て、シルバーソードを抜いて、アリムの喉元に近づけた。
☆ 女王
☆ 「そして、カセイダードスーツの試作品です。
☆ 最終的には、水・火・音・電・防の5モード《青・赤・黒・黄色・白》に変化できる予定ですが、試作品ですから、防御モードの1形態《白》だけです。
☆
☆ 061 13日目 女王の想い 絵美、真々美さん へ 参照
冬香
「絵美様、それはやりすぎでは?」
オルア
「絵美様、ゆるしてください。
わたしが叱りますから。」
真々美
「アリム、知らないだろうが、絵美のことを呼び捨てにしてもゆるされる男性は、絵美のお父様と竜くんとサークだけだ。」
アリム
「やはり、この剣は、シルバーソードの試作品ですね。
竜豪は、白沢絵美様のために、作ったのですね。
すると、その衣装は、カセイダードスーツ 防着モードの試作品ですか?」
絵美
「あなた、どこのスパイなの?
言わないなら、刺すわよ。」
アリム
「白沢絵美様に刺し殺されるなら、ぜいたくな死に方ですね。
オルア、真々美、冬香、 迷惑をかけて、ごめんね。
御手に掛けるのは、わたしだけにしてもらえますか?」
絵美は、シルバーソードを鞘に戻した。
絵美
「真々美、冬香さん、アリムさんを取り押さえて。」
オルアは、戦闘態勢で身構えた。
絵美
「大丈夫よ、オルアさん。
不安なら、オルアさんが見てくれる。
くわしい情報を見るときは、目を覗き込む必要が有るって、冬香さんから学んだわよね。
アリムさんの前世の情報を代わりに覗いてくれるかな?」
オルア
「わかりました。
アリム、じっとしていてね。」
オルアは、アリムの目を覗き込んだ。
オルア
「前世の情報は、・・・
ああ、ここね。
ひとつ前の前世は、
Alim Victoryroad Walker
です。
前世も、アリムだったのね。
すごい偶然ね。」
絵美
「オルアさん、その前は?」
オルア
「その前の前世は、
Red Soldier Alim
です。
わあ、見ている私も恥ずかしくなってきた。」
アリム
「オルア、もう言わないで、恥ずかしいよ。」
絵美
「その前は?」
オルア
「竜は、分かるけど、次はなんて読むのかな。
豪快の豪って書いてあります。」
絵美
「やっぱりね。
わたしのカセイダード隊員番号は?
答えて、アリムさん。」
アリム
「358だったと思う。」
絵美
「竜くん、あなた、竜くんの転生体なのね。
でも、竜くんは理系だった。
だから、正性知識を1800まで覚えようとするはずないのよ。
だれに習ったの?」
アリム《竜 豪の転生体》
「サークです。
カセイダード大学 人文系 首席のサークです。
1つ前の前世で習いました。
使用する訓練というか精神修養は、ナームからです。」
絵美
「ある程度、謎が解けたわ。
もう1つ質問よ。
わたしは、もうすぐ死ぬのですか?
死因は?」
アリム
「答えたくありません。」
絵美
「答えて!」
アリム
「白沢絵美様がサークと楽しそうに笑っているところを見て、嫉妬のあまり、撃ち殺してしまいました。」
絵美
「それは、変ね。
竜くんは私のことなんて興味も関心も無いはずだけれど。」
アリム
「精一杯、格好をつけて、関心がないふりをしていました。
絵美に気付かれないように、いつも遠くから見てました。」
絵美
「えっ、そうだったの。
知らなかったなあ。
そんなに私のことが好きだったの。」
アリム
「はい、大好きです。
素直になれなくて、すみません。」
絵美
「えー、そうなんだあ、わたしの片思いじゃなかったのよね。
帰ったら、押さなきゃ。
あ、そう言えば、このカセイダードスーツとシルバーソードも竜くんが泣きながら急いで作ってくれたのよ。
サアが言うには、
「作らないなら絵美と会わせない」
って言ったら、すぐに作ったんだって。」
絵美は、身体をくねくねさせて、うれしそうにしている。
それとは、対照的に、オルアは暗黒のオーラをまとっていた。
オルア
「真々美、冬香、アリムをそのまま押さえておいてね。
はー、烈風正拳突き 当て留め。」
当て留めでも、アリムにはかなり効いたようで、胃液を吐いた。
オルア
「この浮気者。」
アリム
「3つ前の前世のことを言われても、そのころは出会って無いじゃないか?」
オルア
「わたしを探す気が無かったっていうの?
酷すぎるわ。
薄情者。
うわーん、こんなひとだとは思わなかった。」
オルアは、座り込んで泣いてしまった。
アリム
「オルア、その今はオルアが一番好きだから許してください。」
オルア
「いまは? とは、どういう意味?
3つ先の来世まで、わたしが好きだと言いなさい。
そうすれば、今回はゆるすわ。」
アリム
「現世と3つ先の来世まで、オルアが大好きです。」
オルア
「そう? じゃあ、約束してもらうわ。」
オルアは、アリムに口づけをした。
オルア
「3つ先の来世までナイトバインドします。
受けますか?」
アリム
「はい、受けます。」
オルア
「よろしい。」
アリム
「でも、ボクが女性に生まれたり、不細工だったり、年の差が大きすぎたら、どうするのですか?」
オルア
「それは、心配しないで。
アリムが転生するときは追いかけるから、大丈夫よ。」
アリム
「そうですか?
では、よろしくお願いいたします。」
オルア
「よし、これにて、1件落着ね。」
真々美、冬香 こころの声
『『逆にオルアが不細工に転生したときは、どうするんだろうか?
いや、とりあえず、オルアの機嫌が直ったから良しとしよう。』』
絵美
「アリムに、この際、教えて欲しいんだけれど、竜くんて、どうやったら、デートに来ると思いますか?」
アリム
「次のセリフを言ってくれませんか?
毎日、忙しいのね。
でも、世界で一番の格好いい男性なら、彼女とのデートの時間は最優先で割り当てすると思うんだけどなあ?
と言えば、時間をあけますよ。」
絵美
「それでいいの?
簡単ね。
でも、どうして、デートに誘ってくれないんだろう。」
アリム
「恋愛経験値が、幼稚園初等レベルしかないので、「デートに誘う」というコマンドが無いのです。」
絵美
「それは、予想外ね。
理系って、ひととの関わり方を知らないので、カセイダード大学のカリキュラムも変えなきゃね。」
アリム
「人文基本3学問は、理系にも習わせた方が良いと思います。
サークから、まず学ばされましたから。」
絵美
「いい方法ね。
ほかには?」
アリム
「オルアさんの知恵を借りる方が良いと考えます。」
オルア
「えっ、わたし?」
アリム
「うん、そうなんだ。
ボクはオルアさんから、
おはようからおやすみまで一緒にいます!
って、宣言してもらって、とてもうれしかったんだ。
だって、一緒にいることが自然になるようにしてくれたんだよね。
オルアさんは、ボクにとって人生の救命ボートだよ。」
オルア
「えっ? そうなの?
もう早く言ってよ。
だったら、もっと一緒に居る時間を増やせたのに。」
オルアは本当に上機嫌だ。
真々美、冬香 こころの声
『『オルアが、ストーカーになりそうだ。』』
アリム
「じゃあ、オルアは、これからもボクといっしょに居てくれますか?」
オルア
「もちろんよう。」
オルアは、アリムの腕に抱きついた。
アリム
「それでね、オルアにお願いがあるんだ。」
オルア
「なになに、何でも言って。」
アリム
「ボクはオルアのおかげで、とってもしあわせなんだ。」
オルア
「うんうん、それで?」
アリム
「3つ前の前世のボクも幸せにしてくれないかな?」
オルア
「どうして欲しいの?」
アリム
「白沢絵美様に、ボクのような恋愛経験値が足りない男性をリードするテクニックを伝授して欲しいんだ。
でも、ダメかな? 機密事項かな?」
オルア
「えー、アリムが頼むなら、そうしたいけれど。
絵美様になにかを教えるなんて、思い上がりもいいところよね。」
絵美
「オルアさん、あなたを恋愛の師匠と呼ばせてください。」
オルア
「絵美様に、そんな風に言われるなんて、光栄です。
向こうで、お話しませんか?」
絵美
「ありがとう、オルアさん。
じゃあ、真々美、冬香さん、ちょっと外すわね。」
オルア
「アリム、じゃあ、行ってくるね。」
アリム
「オルア、ちょっと待ってくれる?
これから、美術館のような宝物庫のような場所に行きたいんだ。
真々美と冬香にお願いして、行ってきてもいいかな?」
オルア
「なにか大事な用事なのね。
がんばってね。
わたしは絵美様と竜様の仲がうまく発展するように、絵美様との作戦会議を頑張るわ。」
アリム
「オルア、ありがとう。」
オルア
「良いってことよ。 じゃあね、真々美、冬香、アリム。」
絵美とオルアは、嵐のように去って行った。
◇
なんか疲れた真々美と冬香であったが、気を取り直そうとしていた。
真々美
「それで、アリムが行きたい場所は、どんなところなんだ。」
アリム
「ルナが言うには 重要な神器とも言えるアイテムがあるそうなんだ。
それは美術品のようなものなんだけれど、見る人が見たらわかるんだけど、
ほかの人には燃やすゴミにしか見えないそうなので、早く回収しなきゃダメだそうなんだ。
この近くに来ているんだって、心当たりはありますか?」
真々美
「うーん、燃えるごみのような神器かあ。
もしかすると、あれかな?
冬香?」
冬香
「そうね、モンテハート大公爵の遺品の中にあるのかもしれないわ。」
冬香はメラニィに連絡して、宝物倉庫の前にある準備室に入る許可を得た。
冬香
「メラニィさんもシュウピンさんも立ち会えないけれど、わたしたち3人が入ることは手配連絡してくれたわ。
持ち出したいものがあれば、持ち出してもいいけれど何を持ち出したか?は、書面に残してほしいって。」
真々美
「ありがとう、冬香。
アリム、さあ見に行こうか?
お目当ての物でもあるのか?」
アリム
「紅姫、黄花、青紫の神器だそうだよ。
今は、燃やすごみのようなガラクタにしか見えないけれど、魂だけでも回収した方が良いそうです。」
真々美
「アリムに見てもらうことにして、正解だったな。
これも、アリムの前世の知識からか?」
アリム
「ううん、真々美、冬香、オルアが前世で使用していたものだよ。
気になるものはなかった?」
冬香
「紅姫、黄花、青紫が私たちの前世の名前だとは夢にも思ってなかったわ。
でも、前世を知った今なら、感じ取れるものがあるのかしら?」
アリム
「見て触ったら、分かるかもしれないそうだよ。
ただし、見るだけでは無理だって。」
冬香
「見て触りましょうか? 真々美。」
真々美
「そうだな。」
◇
宝物倉庫の準備室に着いた。
??? 思念波
『紅姫! 紅姫!
来てくれたのか?
わたしに気付いてくれ。』
アリムは、赤い短刀の前にいた。
アリム
「これかなあ?
形はよく似てるんだけど、こんなに小さくはなかったなあ。」
??? 思念波
『小僧! いや、小娘か?
どっちでもいい、そこをどけ?
わたしは、紅姫に用があるんだ。
お前はじゃまだ。』
真々美
「アリム、お目当てのものはあったか?」
アリム
「ざっと、見た中では、これが紅姫の愛刀 【妖刀斬 紅丸】だと思うんだ。
ただ、小さすぎるし、細すぎるし、迷うんだけれど。」
妖刀斬 紅丸 思念波
『おみそれしました。 どこぞの名家の御曹司でしょうか? それとも、お嬢様でしょうか?
私に気づいていただけるとは、ただものとは思いません。
どうか、どうか、紅姫に私を握るようにお伝えください。』
真々美
「どうした? アリム。」
アリム
「なんだか、ものすごい手のひら返しをされて態度を変えられたような気がする。
まあ良い方向にというか、尊重する方向だから、いいんだろうけれど。
この細くて小さい刀は、紅姫の愛刀 【妖刀斬 紅丸】で間違いないようだ 。
長い年月で、魔力が枯れてしまって、声が出せないのだと思う。」
妖刀斬 紅丸 思念波
『おっしゃるとうりでございまする。
どうか 紅姫に私を握るように おっしゃってください。』
真々美
「アリムの小説が、私たちの前世の話だったとは、今も驚きだな。
それで? 私はどうすればいい?」
アリム
「左手で、剣の握りの部分を、右手でさやの一周巻いてある金属部分を持ってくれますか?」
真々美
「こうだろうか?」
真々美は壊さないように、やさしく 【妖刀斬 紅丸】 を持った。
アリム
「その場所で合っています。
とても強力な武器なので、真々美の後ろに回ってもいいですか?」
真々美
「ああ、構わないぞ。」
アリム
「剣の鞘の剣の鍔に近い方にある、この丸い突起部分なんですが、これは、抜刀するときに、敵に叩きつけて攻撃するためにあります。」
妖刀斬 紅丸 思念波
『おっしゃるとうりでございまする。
人を見かけで判断して申し訳ない。
あなた様は かなりの博識でいらっしゃる。
もしかして、どこぞの優秀な剣の道の者でいらっしゃるでしょうか?』
真々美
「だから、わたしの後ろに来たいと言ったのか?」
アリム
「そうなんだ。
真々美が剣を抜いたと同時に前世の記憶がよみがえって、もし僕が目の前にいたら、目の前にいる僕を攻撃してしまうかもしれないから。」
真々美
「攻撃していたらどうなる?」
アリム
「 【妖刀斬 紅丸】 は、刀身だけでなく、剣の鞘も強力な武器なんだ。
まるい突起部分は遠心力が乗せられるから、僕なんか即死だよ。
それに、 【妖刀斬 紅丸】の刀身は、触れただけで斬ってしまうんだ。」
真々美
「素晴らしい名刀だな。
アリムは本当に物知りだな。」
アリム
「ルナが教えてくれたんだよ。
それに、悪霊や風など実体のないものも斬ることが出来るんだって!
しかも、本来の姿に戻ったら、声を出して話すこともできる。
頭が良くて賢い、頼りになる最高の相棒だったそうだよ。」
妖刀斬 紅丸 思念波
『おっしゃるとうりでございまする。
ルナ様のお知り合いでございましたか?
ルナ様、いや月夜様はいま、何処に?』
アリムは、【妖刀斬 紅丸】をじっと見ながら話しかけた。
アリム
「ごめんね。
さっきから色々と話しかけてくれているような気がするんだけれど、ボクが聞き取りできる周波数範囲の外の思念波みたいで、なにも聞こえないんだ。
がっかりさせて、ごめんね。
紅姫の転生体である真々美が魔力を込めたら、普通に話すことができると聞いているので、もう少し待っててね。 無視しているわけじゃないから、気を悪くしないでね。」
冬香
「ねえ、もしかして、ふたりはさっきから、その短刀と話をしているの?」
アリム
「この短刀について話をしているけれど、この短刀と話すことはできていないんだ。
テレパシーを感じるけれど、ボクが聞き取れる範囲の外なんだ。
もしかして、冬香は聞こえるの?」
冬香
「この短刀からは聞こえないけれど、なにかから呼ばれている気はするのよ。」
アリム
「やっぱり、そうなんだね。
紅丸が目覚めてくれたら、黄花と青紫の神器の場所を教えてくれるはずなんだ。
だから、もう少し、待っててくれますか?」
冬香
「ええ、大丈夫よ。
待っているわ。
あと、どれくらい掛かりそう?」
アリム
「真々美が上手く魔力を伝えられたら、10分後から30分後くらいかな?」
冬香
「かなり幅が有るのね。」
アリム
「長い間、絶食していた人に食事をしてもらうようなものだから、すこしずつ慣らさないと壊してしまうからね。」
冬香
「まるで、妖刀ね。」
アリム
「そうだよ。
妖刀の中でも最上級で、意思がある正義の妖刀なんだ。」
冬香
「それは、楽しみね。
邪魔して、ごめんなさい。
少し外して休憩しても良いかしら。」
アリム
「気が回らなくて、ごめんね。
うん、休憩してきてくれると助かる。
どれくらい待たせるか分からないからね。」
冬香
「じゃあ、できたら、呼んでね。」
真々美
「ああ、すまない、冬香。」
アリム
「真々美、それじゃあ、両手から少しずつ魔力を流してくれますか?」
真々美
「こんな感じかな?」
アリム
「そうですね。
そして、左手から紅丸、紅丸から右手の方向に電流を流すような感じで。」
真々美
「電流と電子の流れは逆だよな。」
アリム
「そうだよね、混乱するよね。
性魔力のトゥートを流す感じでお願いします。」
真々美
「どうだろうか?」
妖刀斬 紅丸 思念波
『おお、何百年ぶりであろうか?
紅姫の魔力が私の中を駆け巡るのは、もっと流してくれ。』
10分経過・・・
真々美
「なんだか、手がくたびれてきた。」
妖刀斬 紅丸 思念波
『ふう、だいぶ慣れてきたな。 もっと強く流してくれ。』
アリム
「そろそろかなあ?
真々美、少しずつ握るちからと流す魔力を増やしてくれますか?」
真々美
「どれくらいまで強く握っていいんだ。」
アリム
「刀が折れないくらいで、出来るだけ強く。」
真々美
「もっと具体的に言ってくれないか?」
アリム
「真々美がボクの刀を握って、痛いと言わせた半分くらいのちからでお願いします。」
真々美
「それは、分かりやすいたとえだ。
じゃあ、これぐらいだな。」
真々美は両手で強く握るとともに、魔力を強く流した。
妖刀斬 紅丸
「い、痛い、紅姫、力が強すぎる。」
真々美
「本当に話す剣なんだな。」
アリム
「ご気分はいかがですか?
紅丸さん。」
妖刀斬 紅丸
「おお、おぼっちゃま、いや、お嬢様、どちらがよろしゅうございますか?」
アリム
「紅丸さんが呼びやすい方でいいよ。」
紅丸
「では、お嬢様。
燃やされる危ないところを救っていただき、感謝の念に耐えません。
それにしても、紅姫、私の声が聞こえなかったのか?」
真々美
「まったく、聞こえなかった。」
紅丸
「なんということじゃ。」
真々美
「ゆるせ、紅丸。
こうして、アリムの判断を待っただけでも上出来と思うてくれ。」
紅丸
「お嬢様は、アリム様とおっしゃるのですな。
これから、よろしくお願い申し上げます。」
アリム
「よろしくね。 紅丸さん。」
真々美 こころの声
『アリムは男性だということを後で教えることにしよう。』
真々美
「冬香を呼びに行こうか?」
11:35
◇
冬香
「真々美、見つかったの?」
真々美
「ああ、腰に差している刀だ。」
冬香
「ずいぶん長くて大きいわね。 こんなのあったかしら?」
真々美
「あの短い刀が大きくなったんだ。」
紅丸
「拙者、紅丸と申す。 もしかして、黄花殿か?」
冬香
「前世は、黄花と呼ばれる医者だったそうです。」
紅丸
「黄花殿の相棒である、聴診丸も向こうで待っておりますぞ。
案内いたしまする。 紅姫、わたしの言う方向に行ってくれ。」
真々美
「ああ、この方向で良いか?」
紅丸
「分かっておるではないか?
黄花殿、ここでござる。」
日本酒のおちょこのように小さい糸電話のようなものがあった。
冬香
「もしかして、聴診器なの?
こんなに汚れるまで使い続けていたのね。」
紅丸
「黄花殿は、この糸電話の片方を患者の胸に当て、もう片方を自分の耳に当てて、患者と会話をしておられた。 患者自身が言葉に出来ぬことを聞くことができると話されていました。
そして、風呂に入るときでさえ、肌身離さず持ち歩いておられました。」
冬香
「わたしが聴診器を持ち歩かないと落ち着かないのは、前世からだったのね。
聴診丸、待たせてごめんね。
聴診丸?」
紅丸
「残念ながら、聴診丸には意志はござらぬ。
それでも、黄花殿はいつも、おっしゃられていた。
聴診丸、ありがとう。
あなたのおかげで、また患者を救えたわ。
って、それはそれは優しい笑みを浮かべて、美しい声で労っておられた。」
冬香
「じゃあ、お守りとして、持ち歩くことにするわ。」
紅丸
「そうしてやってくだされ。
そういえば、青紫は何処でござるか?」
アリム
「ほかの用事で、ここにはいないよ。
もしかして、青紫の神器の場所も分かるの?」
紅丸
「当然である。
紅姫、行ってくれ。」
真々美
「ああ、ここか?」
紅丸
「目の前にあるソロバンが青紫の神器、【音色の算盤】ですじゃ。
青紫は商売を始める前に、いつもソロバンで計算をされていた。
わたしには良く分からないがソロバンの音色で、その商売の良し悪し、儲かるか儲からないかではなくて、世のため人のためになるかならないかが分かると話されていた。
青紫の判断のおかげで、人の世を踏み外したものも多くが救われておった。
もちろん、儲けることを第一とされていたが利益が少なくても、多くの人が救われるような商売を優先させておった。」
アリム
「じゃあ、このソロバンはボクが持ち帰ってオルアに渡してもいいですか?」
冬香
「良いわね。」
真々美
「ぜひ、そうしてやってくれ。」
紅丸
「今日は、まことにめでたい日じゃ。
紅姫が戦って、皆を守り、黄花の医術、青紫の商才が集まることで、なにも困ることは無く、無双で無敵状態だった。
おお、ルナ様、すなわち月夜様にもお会いできるのでしょうか?」
アリム
「ルナは他の世界にいるんだって、真々美たち、つまり、紅姫たちに別れの挨拶をして、3種の神器である紅丸たちの探し方をボクに教えてくれて、どこかに帰ってしまわれました。」
紅丸
「そうでござるか。
月夜殿にお会いできないことは悲しいが、拙者たちのことを気に掛けてくださっていたとは、拙者、涙が止まらぬでござる。 月夜殿はお元気そうでしたか?」
アリム
「とっても、明るくて元気そうだったよ。」
紅丸
「それは、よかったでござる。
ということは、月夜殿は、アリム様に後を託されたのですね。
月夜殿よりもルナ様の方がアリム様に近い響きですな。
ルナ様に向けていた忠誠をアリム様に向けることに致します。
これから、よろしくお願いいたしまする、アリム様。」
アリム
「うん、よろしくね。 紅丸さん。」
紅丸
「もったいのうござる、ルナ様と同じように、紅丸と呼び捨てでお願いします。」
アリム
「じゃあ、よろしくね。 紅丸。」
紅丸
「御意。
紅姫、これからはアリム様のためにちからを尽くそうぞ。」
真々美
「そうだな、それと現世の名前もそのうち、覚えるようにしてくれ。」
紅丸
「紅姫と呼んではいかんのか?」
なんだか寂しそうだ。
真々美
「真々美と言う名も、覚えてくれると嬉しいな。」
紅丸
「どのような文字を書きますか?」
真々美
「真に真に美しいと書いて、真々美だ。」
紅丸
「それも、良い名ですな。
紅姫は真々美様と覚えておきまする。」
冬香
「時代劇が好きな絵美様と話が合いそうね。」
アリム
「真々美、冬香、時間を割いてくれてありがとう。」
真々美、冬香
「「こちらこそありがとう。」」
真々美、冬香、アリムは持ち出した宝物を書面に書いて、宝物倉庫の準備室を後にした。
11:55
【まめ知識】
030 アリムさんの小説を読ませて!
030-2 アリムさんの小説 「男の娘のボクは万能で最強です。」
で、話題にあがる小説と関係しています。
関連作品
仲間の美女3人と万能で最強のちからを手に入れました。神様にボクの「異世界アイデア」を採用された対価です。
https://kakuyomu.jp/works/16818093078010169705
をお読みいただければ幸いです。
紅姫、黄花、青紫の神器については、
【妖刀斬 紅丸】
【011 紅姫に会おう(3)妖刀斬 紅丸】をお読みください。
【聴診丸】
【017 黄花はどこだ(3)たすけて、聴診丸】をお読みください。
【音色の算盤】
【030 青紫の商才(10)音色のソロバン】をお読みください。
【読者様へ】
あなたの10秒で、この作品にパワーをください。
「お気に入りに追加」 【 ↓ 】 お願いします。
《2日に一度の会議: 偶数日の予定、本日は無し。
一番権利者: 真々美。
アリムは目を覚ました。》
◇
絵美
「なら、どうして?
しかも、名前を呼び捨てにするなんて。」
絵美は、名前を呼び捨てされて、不機嫌さを隠しきれなかった。
アリム
「知っているひとと似ていたので、思わず声に出ました。
お気に障ったなら、お許しください。」
真々美
「絵美、すまない。
わたしの顔に免じて、許して欲しい。」
絵美
「真々美、逃がさないように押さえてて。
すぐに戻るわ。」
絵美は部屋から出て行った。
しばらくすると、戻ってきた。
カセイダードスーツ 防着モードの試作品を着て、シルバーソードを抜いて、アリムの喉元に近づけた。
☆ 女王
☆ 「そして、カセイダードスーツの試作品です。
☆ 最終的には、水・火・音・電・防の5モード《青・赤・黒・黄色・白》に変化できる予定ですが、試作品ですから、防御モードの1形態《白》だけです。
☆
☆ 061 13日目 女王の想い 絵美、真々美さん へ 参照
冬香
「絵美様、それはやりすぎでは?」
オルア
「絵美様、ゆるしてください。
わたしが叱りますから。」
真々美
「アリム、知らないだろうが、絵美のことを呼び捨てにしてもゆるされる男性は、絵美のお父様と竜くんとサークだけだ。」
アリム
「やはり、この剣は、シルバーソードの試作品ですね。
竜豪は、白沢絵美様のために、作ったのですね。
すると、その衣装は、カセイダードスーツ 防着モードの試作品ですか?」
絵美
「あなた、どこのスパイなの?
言わないなら、刺すわよ。」
アリム
「白沢絵美様に刺し殺されるなら、ぜいたくな死に方ですね。
オルア、真々美、冬香、 迷惑をかけて、ごめんね。
御手に掛けるのは、わたしだけにしてもらえますか?」
絵美は、シルバーソードを鞘に戻した。
絵美
「真々美、冬香さん、アリムさんを取り押さえて。」
オルアは、戦闘態勢で身構えた。
絵美
「大丈夫よ、オルアさん。
不安なら、オルアさんが見てくれる。
くわしい情報を見るときは、目を覗き込む必要が有るって、冬香さんから学んだわよね。
アリムさんの前世の情報を代わりに覗いてくれるかな?」
オルア
「わかりました。
アリム、じっとしていてね。」
オルアは、アリムの目を覗き込んだ。
オルア
「前世の情報は、・・・
ああ、ここね。
ひとつ前の前世は、
Alim Victoryroad Walker
です。
前世も、アリムだったのね。
すごい偶然ね。」
絵美
「オルアさん、その前は?」
オルア
「その前の前世は、
Red Soldier Alim
です。
わあ、見ている私も恥ずかしくなってきた。」
アリム
「オルア、もう言わないで、恥ずかしいよ。」
絵美
「その前は?」
オルア
「竜は、分かるけど、次はなんて読むのかな。
豪快の豪って書いてあります。」
絵美
「やっぱりね。
わたしのカセイダード隊員番号は?
答えて、アリムさん。」
アリム
「358だったと思う。」
絵美
「竜くん、あなた、竜くんの転生体なのね。
でも、竜くんは理系だった。
だから、正性知識を1800まで覚えようとするはずないのよ。
だれに習ったの?」
アリム《竜 豪の転生体》
「サークです。
カセイダード大学 人文系 首席のサークです。
1つ前の前世で習いました。
使用する訓練というか精神修養は、ナームからです。」
絵美
「ある程度、謎が解けたわ。
もう1つ質問よ。
わたしは、もうすぐ死ぬのですか?
死因は?」
アリム
「答えたくありません。」
絵美
「答えて!」
アリム
「白沢絵美様がサークと楽しそうに笑っているところを見て、嫉妬のあまり、撃ち殺してしまいました。」
絵美
「それは、変ね。
竜くんは私のことなんて興味も関心も無いはずだけれど。」
アリム
「精一杯、格好をつけて、関心がないふりをしていました。
絵美に気付かれないように、いつも遠くから見てました。」
絵美
「えっ、そうだったの。
知らなかったなあ。
そんなに私のことが好きだったの。」
アリム
「はい、大好きです。
素直になれなくて、すみません。」
絵美
「えー、そうなんだあ、わたしの片思いじゃなかったのよね。
帰ったら、押さなきゃ。
あ、そう言えば、このカセイダードスーツとシルバーソードも竜くんが泣きながら急いで作ってくれたのよ。
サアが言うには、
「作らないなら絵美と会わせない」
って言ったら、すぐに作ったんだって。」
絵美は、身体をくねくねさせて、うれしそうにしている。
それとは、対照的に、オルアは暗黒のオーラをまとっていた。
オルア
「真々美、冬香、アリムをそのまま押さえておいてね。
はー、烈風正拳突き 当て留め。」
当て留めでも、アリムにはかなり効いたようで、胃液を吐いた。
オルア
「この浮気者。」
アリム
「3つ前の前世のことを言われても、そのころは出会って無いじゃないか?」
オルア
「わたしを探す気が無かったっていうの?
酷すぎるわ。
薄情者。
うわーん、こんなひとだとは思わなかった。」
オルアは、座り込んで泣いてしまった。
アリム
「オルア、その今はオルアが一番好きだから許してください。」
オルア
「いまは? とは、どういう意味?
3つ先の来世まで、わたしが好きだと言いなさい。
そうすれば、今回はゆるすわ。」
アリム
「現世と3つ先の来世まで、オルアが大好きです。」
オルア
「そう? じゃあ、約束してもらうわ。」
オルアは、アリムに口づけをした。
オルア
「3つ先の来世までナイトバインドします。
受けますか?」
アリム
「はい、受けます。」
オルア
「よろしい。」
アリム
「でも、ボクが女性に生まれたり、不細工だったり、年の差が大きすぎたら、どうするのですか?」
オルア
「それは、心配しないで。
アリムが転生するときは追いかけるから、大丈夫よ。」
アリム
「そうですか?
では、よろしくお願いいたします。」
オルア
「よし、これにて、1件落着ね。」
真々美、冬香 こころの声
『『逆にオルアが不細工に転生したときは、どうするんだろうか?
いや、とりあえず、オルアの機嫌が直ったから良しとしよう。』』
絵美
「アリムに、この際、教えて欲しいんだけれど、竜くんて、どうやったら、デートに来ると思いますか?」
アリム
「次のセリフを言ってくれませんか?
毎日、忙しいのね。
でも、世界で一番の格好いい男性なら、彼女とのデートの時間は最優先で割り当てすると思うんだけどなあ?
と言えば、時間をあけますよ。」
絵美
「それでいいの?
簡単ね。
でも、どうして、デートに誘ってくれないんだろう。」
アリム
「恋愛経験値が、幼稚園初等レベルしかないので、「デートに誘う」というコマンドが無いのです。」
絵美
「それは、予想外ね。
理系って、ひととの関わり方を知らないので、カセイダード大学のカリキュラムも変えなきゃね。」
アリム
「人文基本3学問は、理系にも習わせた方が良いと思います。
サークから、まず学ばされましたから。」
絵美
「いい方法ね。
ほかには?」
アリム
「オルアさんの知恵を借りる方が良いと考えます。」
オルア
「えっ、わたし?」
アリム
「うん、そうなんだ。
ボクはオルアさんから、
おはようからおやすみまで一緒にいます!
って、宣言してもらって、とてもうれしかったんだ。
だって、一緒にいることが自然になるようにしてくれたんだよね。
オルアさんは、ボクにとって人生の救命ボートだよ。」
オルア
「えっ? そうなの?
もう早く言ってよ。
だったら、もっと一緒に居る時間を増やせたのに。」
オルアは本当に上機嫌だ。
真々美、冬香 こころの声
『『オルアが、ストーカーになりそうだ。』』
アリム
「じゃあ、オルアは、これからもボクといっしょに居てくれますか?」
オルア
「もちろんよう。」
オルアは、アリムの腕に抱きついた。
アリム
「それでね、オルアにお願いがあるんだ。」
オルア
「なになに、何でも言って。」
アリム
「ボクはオルアのおかげで、とってもしあわせなんだ。」
オルア
「うんうん、それで?」
アリム
「3つ前の前世のボクも幸せにしてくれないかな?」
オルア
「どうして欲しいの?」
アリム
「白沢絵美様に、ボクのような恋愛経験値が足りない男性をリードするテクニックを伝授して欲しいんだ。
でも、ダメかな? 機密事項かな?」
オルア
「えー、アリムが頼むなら、そうしたいけれど。
絵美様になにかを教えるなんて、思い上がりもいいところよね。」
絵美
「オルアさん、あなたを恋愛の師匠と呼ばせてください。」
オルア
「絵美様に、そんな風に言われるなんて、光栄です。
向こうで、お話しませんか?」
絵美
「ありがとう、オルアさん。
じゃあ、真々美、冬香さん、ちょっと外すわね。」
オルア
「アリム、じゃあ、行ってくるね。」
アリム
「オルア、ちょっと待ってくれる?
これから、美術館のような宝物庫のような場所に行きたいんだ。
真々美と冬香にお願いして、行ってきてもいいかな?」
オルア
「なにか大事な用事なのね。
がんばってね。
わたしは絵美様と竜様の仲がうまく発展するように、絵美様との作戦会議を頑張るわ。」
アリム
「オルア、ありがとう。」
オルア
「良いってことよ。 じゃあね、真々美、冬香、アリム。」
絵美とオルアは、嵐のように去って行った。
◇
なんか疲れた真々美と冬香であったが、気を取り直そうとしていた。
真々美
「それで、アリムが行きたい場所は、どんなところなんだ。」
アリム
「ルナが言うには 重要な神器とも言えるアイテムがあるそうなんだ。
それは美術品のようなものなんだけれど、見る人が見たらわかるんだけど、
ほかの人には燃やすゴミにしか見えないそうなので、早く回収しなきゃダメだそうなんだ。
この近くに来ているんだって、心当たりはありますか?」
真々美
「うーん、燃えるごみのような神器かあ。
もしかすると、あれかな?
冬香?」
冬香
「そうね、モンテハート大公爵の遺品の中にあるのかもしれないわ。」
冬香はメラニィに連絡して、宝物倉庫の前にある準備室に入る許可を得た。
冬香
「メラニィさんもシュウピンさんも立ち会えないけれど、わたしたち3人が入ることは手配連絡してくれたわ。
持ち出したいものがあれば、持ち出してもいいけれど何を持ち出したか?は、書面に残してほしいって。」
真々美
「ありがとう、冬香。
アリム、さあ見に行こうか?
お目当ての物でもあるのか?」
アリム
「紅姫、黄花、青紫の神器だそうだよ。
今は、燃やすごみのようなガラクタにしか見えないけれど、魂だけでも回収した方が良いそうです。」
真々美
「アリムに見てもらうことにして、正解だったな。
これも、アリムの前世の知識からか?」
アリム
「ううん、真々美、冬香、オルアが前世で使用していたものだよ。
気になるものはなかった?」
冬香
「紅姫、黄花、青紫が私たちの前世の名前だとは夢にも思ってなかったわ。
でも、前世を知った今なら、感じ取れるものがあるのかしら?」
アリム
「見て触ったら、分かるかもしれないそうだよ。
ただし、見るだけでは無理だって。」
冬香
「見て触りましょうか? 真々美。」
真々美
「そうだな。」
◇
宝物倉庫の準備室に着いた。
??? 思念波
『紅姫! 紅姫!
来てくれたのか?
わたしに気付いてくれ。』
アリムは、赤い短刀の前にいた。
アリム
「これかなあ?
形はよく似てるんだけど、こんなに小さくはなかったなあ。」
??? 思念波
『小僧! いや、小娘か?
どっちでもいい、そこをどけ?
わたしは、紅姫に用があるんだ。
お前はじゃまだ。』
真々美
「アリム、お目当てのものはあったか?」
アリム
「ざっと、見た中では、これが紅姫の愛刀 【妖刀斬 紅丸】だと思うんだ。
ただ、小さすぎるし、細すぎるし、迷うんだけれど。」
妖刀斬 紅丸 思念波
『おみそれしました。 どこぞの名家の御曹司でしょうか? それとも、お嬢様でしょうか?
私に気づいていただけるとは、ただものとは思いません。
どうか、どうか、紅姫に私を握るようにお伝えください。』
真々美
「どうした? アリム。」
アリム
「なんだか、ものすごい手のひら返しをされて態度を変えられたような気がする。
まあ良い方向にというか、尊重する方向だから、いいんだろうけれど。
この細くて小さい刀は、紅姫の愛刀 【妖刀斬 紅丸】で間違いないようだ 。
長い年月で、魔力が枯れてしまって、声が出せないのだと思う。」
妖刀斬 紅丸 思念波
『おっしゃるとうりでございまする。
どうか 紅姫に私を握るように おっしゃってください。』
真々美
「アリムの小説が、私たちの前世の話だったとは、今も驚きだな。
それで? 私はどうすればいい?」
アリム
「左手で、剣の握りの部分を、右手でさやの一周巻いてある金属部分を持ってくれますか?」
真々美
「こうだろうか?」
真々美は壊さないように、やさしく 【妖刀斬 紅丸】 を持った。
アリム
「その場所で合っています。
とても強力な武器なので、真々美の後ろに回ってもいいですか?」
真々美
「ああ、構わないぞ。」
アリム
「剣の鞘の剣の鍔に近い方にある、この丸い突起部分なんですが、これは、抜刀するときに、敵に叩きつけて攻撃するためにあります。」
妖刀斬 紅丸 思念波
『おっしゃるとうりでございまする。
人を見かけで判断して申し訳ない。
あなた様は かなりの博識でいらっしゃる。
もしかして、どこぞの優秀な剣の道の者でいらっしゃるでしょうか?』
真々美
「だから、わたしの後ろに来たいと言ったのか?」
アリム
「そうなんだ。
真々美が剣を抜いたと同時に前世の記憶がよみがえって、もし僕が目の前にいたら、目の前にいる僕を攻撃してしまうかもしれないから。」
真々美
「攻撃していたらどうなる?」
アリム
「 【妖刀斬 紅丸】 は、刀身だけでなく、剣の鞘も強力な武器なんだ。
まるい突起部分は遠心力が乗せられるから、僕なんか即死だよ。
それに、 【妖刀斬 紅丸】の刀身は、触れただけで斬ってしまうんだ。」
真々美
「素晴らしい名刀だな。
アリムは本当に物知りだな。」
アリム
「ルナが教えてくれたんだよ。
それに、悪霊や風など実体のないものも斬ることが出来るんだって!
しかも、本来の姿に戻ったら、声を出して話すこともできる。
頭が良くて賢い、頼りになる最高の相棒だったそうだよ。」
妖刀斬 紅丸 思念波
『おっしゃるとうりでございまする。
ルナ様のお知り合いでございましたか?
ルナ様、いや月夜様はいま、何処に?』
アリムは、【妖刀斬 紅丸】をじっと見ながら話しかけた。
アリム
「ごめんね。
さっきから色々と話しかけてくれているような気がするんだけれど、ボクが聞き取りできる周波数範囲の外の思念波みたいで、なにも聞こえないんだ。
がっかりさせて、ごめんね。
紅姫の転生体である真々美が魔力を込めたら、普通に話すことができると聞いているので、もう少し待っててね。 無視しているわけじゃないから、気を悪くしないでね。」
冬香
「ねえ、もしかして、ふたりはさっきから、その短刀と話をしているの?」
アリム
「この短刀について話をしているけれど、この短刀と話すことはできていないんだ。
テレパシーを感じるけれど、ボクが聞き取れる範囲の外なんだ。
もしかして、冬香は聞こえるの?」
冬香
「この短刀からは聞こえないけれど、なにかから呼ばれている気はするのよ。」
アリム
「やっぱり、そうなんだね。
紅丸が目覚めてくれたら、黄花と青紫の神器の場所を教えてくれるはずなんだ。
だから、もう少し、待っててくれますか?」
冬香
「ええ、大丈夫よ。
待っているわ。
あと、どれくらい掛かりそう?」
アリム
「真々美が上手く魔力を伝えられたら、10分後から30分後くらいかな?」
冬香
「かなり幅が有るのね。」
アリム
「長い間、絶食していた人に食事をしてもらうようなものだから、すこしずつ慣らさないと壊してしまうからね。」
冬香
「まるで、妖刀ね。」
アリム
「そうだよ。
妖刀の中でも最上級で、意思がある正義の妖刀なんだ。」
冬香
「それは、楽しみね。
邪魔して、ごめんなさい。
少し外して休憩しても良いかしら。」
アリム
「気が回らなくて、ごめんね。
うん、休憩してきてくれると助かる。
どれくらい待たせるか分からないからね。」
冬香
「じゃあ、できたら、呼んでね。」
真々美
「ああ、すまない、冬香。」
アリム
「真々美、それじゃあ、両手から少しずつ魔力を流してくれますか?」
真々美
「こんな感じかな?」
アリム
「そうですね。
そして、左手から紅丸、紅丸から右手の方向に電流を流すような感じで。」
真々美
「電流と電子の流れは逆だよな。」
アリム
「そうだよね、混乱するよね。
性魔力のトゥートを流す感じでお願いします。」
真々美
「どうだろうか?」
妖刀斬 紅丸 思念波
『おお、何百年ぶりであろうか?
紅姫の魔力が私の中を駆け巡るのは、もっと流してくれ。』
10分経過・・・
真々美
「なんだか、手がくたびれてきた。」
妖刀斬 紅丸 思念波
『ふう、だいぶ慣れてきたな。 もっと強く流してくれ。』
アリム
「そろそろかなあ?
真々美、少しずつ握るちからと流す魔力を増やしてくれますか?」
真々美
「どれくらいまで強く握っていいんだ。」
アリム
「刀が折れないくらいで、出来るだけ強く。」
真々美
「もっと具体的に言ってくれないか?」
アリム
「真々美がボクの刀を握って、痛いと言わせた半分くらいのちからでお願いします。」
真々美
「それは、分かりやすいたとえだ。
じゃあ、これぐらいだな。」
真々美は両手で強く握るとともに、魔力を強く流した。
妖刀斬 紅丸
「い、痛い、紅姫、力が強すぎる。」
真々美
「本当に話す剣なんだな。」
アリム
「ご気分はいかがですか?
紅丸さん。」
妖刀斬 紅丸
「おお、おぼっちゃま、いや、お嬢様、どちらがよろしゅうございますか?」
アリム
「紅丸さんが呼びやすい方でいいよ。」
紅丸
「では、お嬢様。
燃やされる危ないところを救っていただき、感謝の念に耐えません。
それにしても、紅姫、私の声が聞こえなかったのか?」
真々美
「まったく、聞こえなかった。」
紅丸
「なんということじゃ。」
真々美
「ゆるせ、紅丸。
こうして、アリムの判断を待っただけでも上出来と思うてくれ。」
紅丸
「お嬢様は、アリム様とおっしゃるのですな。
これから、よろしくお願い申し上げます。」
アリム
「よろしくね。 紅丸さん。」
真々美 こころの声
『アリムは男性だということを後で教えることにしよう。』
真々美
「冬香を呼びに行こうか?」
11:35
◇
冬香
「真々美、見つかったの?」
真々美
「ああ、腰に差している刀だ。」
冬香
「ずいぶん長くて大きいわね。 こんなのあったかしら?」
真々美
「あの短い刀が大きくなったんだ。」
紅丸
「拙者、紅丸と申す。 もしかして、黄花殿か?」
冬香
「前世は、黄花と呼ばれる医者だったそうです。」
紅丸
「黄花殿の相棒である、聴診丸も向こうで待っておりますぞ。
案内いたしまする。 紅姫、わたしの言う方向に行ってくれ。」
真々美
「ああ、この方向で良いか?」
紅丸
「分かっておるではないか?
黄花殿、ここでござる。」
日本酒のおちょこのように小さい糸電話のようなものがあった。
冬香
「もしかして、聴診器なの?
こんなに汚れるまで使い続けていたのね。」
紅丸
「黄花殿は、この糸電話の片方を患者の胸に当て、もう片方を自分の耳に当てて、患者と会話をしておられた。 患者自身が言葉に出来ぬことを聞くことができると話されていました。
そして、風呂に入るときでさえ、肌身離さず持ち歩いておられました。」
冬香
「わたしが聴診器を持ち歩かないと落ち着かないのは、前世からだったのね。
聴診丸、待たせてごめんね。
聴診丸?」
紅丸
「残念ながら、聴診丸には意志はござらぬ。
それでも、黄花殿はいつも、おっしゃられていた。
聴診丸、ありがとう。
あなたのおかげで、また患者を救えたわ。
って、それはそれは優しい笑みを浮かべて、美しい声で労っておられた。」
冬香
「じゃあ、お守りとして、持ち歩くことにするわ。」
紅丸
「そうしてやってくだされ。
そういえば、青紫は何処でござるか?」
アリム
「ほかの用事で、ここにはいないよ。
もしかして、青紫の神器の場所も分かるの?」
紅丸
「当然である。
紅姫、行ってくれ。」
真々美
「ああ、ここか?」
紅丸
「目の前にあるソロバンが青紫の神器、【音色の算盤】ですじゃ。
青紫は商売を始める前に、いつもソロバンで計算をされていた。
わたしには良く分からないがソロバンの音色で、その商売の良し悪し、儲かるか儲からないかではなくて、世のため人のためになるかならないかが分かると話されていた。
青紫の判断のおかげで、人の世を踏み外したものも多くが救われておった。
もちろん、儲けることを第一とされていたが利益が少なくても、多くの人が救われるような商売を優先させておった。」
アリム
「じゃあ、このソロバンはボクが持ち帰ってオルアに渡してもいいですか?」
冬香
「良いわね。」
真々美
「ぜひ、そうしてやってくれ。」
紅丸
「今日は、まことにめでたい日じゃ。
紅姫が戦って、皆を守り、黄花の医術、青紫の商才が集まることで、なにも困ることは無く、無双で無敵状態だった。
おお、ルナ様、すなわち月夜様にもお会いできるのでしょうか?」
アリム
「ルナは他の世界にいるんだって、真々美たち、つまり、紅姫たちに別れの挨拶をして、3種の神器である紅丸たちの探し方をボクに教えてくれて、どこかに帰ってしまわれました。」
紅丸
「そうでござるか。
月夜殿にお会いできないことは悲しいが、拙者たちのことを気に掛けてくださっていたとは、拙者、涙が止まらぬでござる。 月夜殿はお元気そうでしたか?」
アリム
「とっても、明るくて元気そうだったよ。」
紅丸
「それは、よかったでござる。
ということは、月夜殿は、アリム様に後を託されたのですね。
月夜殿よりもルナ様の方がアリム様に近い響きですな。
ルナ様に向けていた忠誠をアリム様に向けることに致します。
これから、よろしくお願いいたしまする、アリム様。」
アリム
「うん、よろしくね。 紅丸さん。」
紅丸
「もったいのうござる、ルナ様と同じように、紅丸と呼び捨てでお願いします。」
アリム
「じゃあ、よろしくね。 紅丸。」
紅丸
「御意。
紅姫、これからはアリム様のためにちからを尽くそうぞ。」
真々美
「そうだな、それと現世の名前もそのうち、覚えるようにしてくれ。」
紅丸
「紅姫と呼んではいかんのか?」
なんだか寂しそうだ。
真々美
「真々美と言う名も、覚えてくれると嬉しいな。」
紅丸
「どのような文字を書きますか?」
真々美
「真に真に美しいと書いて、真々美だ。」
紅丸
「それも、良い名ですな。
紅姫は真々美様と覚えておきまする。」
冬香
「時代劇が好きな絵美様と話が合いそうね。」
アリム
「真々美、冬香、時間を割いてくれてありがとう。」
真々美、冬香
「「こちらこそありがとう。」」
真々美、冬香、アリムは持ち出した宝物を書面に書いて、宝物倉庫の準備室を後にした。
11:55
【まめ知識】
030 アリムさんの小説を読ませて!
030-2 アリムさんの小説 「男の娘のボクは万能で最強です。」
で、話題にあがる小説と関係しています。
関連作品
仲間の美女3人と万能で最強のちからを手に入れました。神様にボクの「異世界アイデア」を採用された対価です。
https://kakuyomu.jp/works/16818093078010169705
をお読みいただければ幸いです。
紅姫、黄花、青紫の神器については、
【妖刀斬 紅丸】
【011 紅姫に会おう(3)妖刀斬 紅丸】をお読みください。
【聴診丸】
【017 黄花はどこだ(3)たすけて、聴診丸】をお読みください。
【音色の算盤】
【030 青紫の商才(10)音色のソロバン】をお読みください。
【読者様へ】
あなたの10秒で、この作品にパワーをください。
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