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第15章 ボクたちの前世

088 真々美、冬香、オルアの愛の高さ

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 17日目 PM  12:05  昼
《2日に一度の会議: 偶数日の予定、本日は無し。

 一番権利者: 真々美。
  アリムは目を覚ました。》





 もう昼だから、アリムを連れて外に食事に行こうとしていた。

 真々美は、オルアの部屋に絵美とオルアを呼びに行こうとした。
 ドア越しに声が聞こえてくる。

オルア
「絵美様って、わたしと同じ恋する乙女なのですね。」

絵美
「そうよ、いくつになってもこいって、むずかしいわ。
 オルアさんの寄り添い方は、素晴らしいわ。
 ぜひ、真似させてもらうわね。」

オルア
「とっても、光栄ですわ。
 絵美様、ものすごく親しみを感じます。」

絵美
「わたしもよ。
 たった14日間でアリムさんとの距離を詰めたオルアさんの技術力は尊敬に値するわ。」

オルア
「そんなにほめられると、うれしくなってしまいますね。」

真々美 こころの声
『ずいぶん、話が弾んでいるな。
 邪魔しない方が良さそうだ。
 昼ご飯は買ってくることにしよう。』

 真々美は、玄関にもどった。

冬香
「真々美?
 絵美様とオルアは?」

真々美
「話が盛り上がっているのを邪魔するのも良くないだろうから、メモを置いて行こう。」

 真々美は、リビングにメモを置くことにした。

メモ
「絵美、オルア へ
  昼ご飯を買ってくるから、会話を楽しんでくれ。」





アリム
「なんだか、久しぶりの外のように感じるよ。
 あれ? ここは、船の上ではないよね。」

 カセイダードの移民審査船は、最新の技術により船揺ふなゆれがないので、 アリムが初めて気づいたのもおかしいことではなかった。

真々美
「ああ、絵美とアリムのおかげで、無事にカセイダード王国チータマルム支国に着くことが出来た。
 落ち着いたら、カセイダード王国チータマルム支国の港から、ここまでの道を案内しよう。」

アリム
「うん、よろしくね。
 真々美、冬香。」

冬香
「ええ、もちろんよ。
 さて、わたしたちのお気に入りの店も、移民審査船から、こちらに移動しているわ。
 さあ、行きましょうか。」

 真々美は、アリムの左腕を抱き寄せた。
 冬香は、アリムの右腕を抱き寄せた。

 真々美の左側には、妖刀斬 紅丸を帯刀たいとうしていた。

アリム
「なんだか、なにかの犯人として、連行されているみたいだ。」

真々美
「ぷっ。 あいかわらず、面白いなアリムは。」

冬香
「くすくす、本当ね。
 いーい、アリム、これはね。
 犯人の連行ではなくて、両手に花 というのよ。」

真々美
「モテるイケメンが二人の美しい女性と腕を歩いているのを見たことがないか?」

アリム
「これが、マンガの中だけのシーンと思っていた 両手に花 ですか?
 まさか、自分が体験できるなんて感激です。

 このまま幸せを感じたいので、止まってもらえますか?」

真々美
「済まないな。本日の予定が押しているから、早く昼ご飯を買って食べて、執務室に戻らないといけないんだ。」

冬香
「ごめんね。 それと、これからも何度も腕を組んで歩く機会はたくさんあるわ。
 最初で最後みたいに思わなくていいわ。」

アリム
「そうなんだ? 嬉しい。」

 真々美は右腕でアリムを自分の胸に引き寄せた。
 冬香は左腕でアリムを自分の胸に引き寄せた。

真々美
「すまない、少し急ぎ足になるぞ。」

冬香
「早く行かないと混むからね。」

アリム
「あわわ。」

 アリムは必死に足を動かした。





真々美
「ふう、行列ができているな。」

冬香
「まだ前の方で良かったわ。
 ほら後ろを見てものすごい行列の長さよ。」

アリム
「ちゃんと行列に並ぶんですね。
 特権を使うと思ってました。」

真々美
「そんなことはしないぞ。
 王族だろうと関係ないからな。」

冬香
「そうね。
 私たちに気を遣って順番を譲る必要はないけれど。
 行列の順番抜かしをする人やズルをする人たちは許さないわ。」

真々美
「そうすることで、ずるい人たちを排除する機会を作っているんだ。
 王族の方でも 静かに並んでいるのにお前は一体何様だとな。」
 
アリム
「特権を振りかざしたりしないんですね。
 凄いな、偉いな、立派だな。」

冬香
「そうでもないのよ。 特権は使うべき時に使うのよ。」

アリム
「例えば、どんな時に使うの?」

真々美
「恋敵つまり恋のライバルが現れた時に、
  私たちは王族だ
と言って優先権を主張する。
 それぐらいかな。」

アリム
「ああ、一番使いたい時ですよね。」

冬香
「そうは言っても、最終的に決めるのは相手の方だし強制力はないわ。
 唯一の長所は、ライバルの方が引き下がる口実として最適ということぐらいかしら。」

アリム
「おとぎ話の王様や王子様に綺麗な人が多いのは、そういう理由なんですね。」

真々美
「そのとうりだな。
 王族の特権を乱用するわけにはいかないから、そういう時ぐらいしか使い道がないのかもしれない。」

冬香
「話しているうちに私達の順番が来たわ。
 アリムの好きなものを頼んで!
 5人分ね。」
 
アリム
「じゃあ、もちろん・・・

 中華丼とラーメンスープ卵とじ入り
がいいな。」

☆   053 10日目 襲撃2回目に備えて





 お弁当を持って家に帰ると、オルアと絵美が出迎えてくれた。


オルアと絵美
「「おかえり。」」

真々美、冬香、アリム
「「「ただいま。」」」

 真々美は、テーブルの上に、買ってきた弁当を並べた。

冬香
「アリムは、この席ね!」

 アリムは上座かみざを勧められた。

    絵美、真々美
アリム[ テーブル ]
    オルア、冬香

のように席についた。

オルア
「どう、アリム?
 いいながめでしょ。
 わたしたち全員の顔を見渡せるのよ。」

アリム
「うん、どきどきするよ。」

オルア
「絵美様、アリムに言うことがあるでしょ!」

絵美
「はい、オルアさん。
 えー、アリムさん?

 わたしとも名前を呼び捨てで呼び合う仲になってくれませんか?」

アリム
「よろこんで、でも?」

 アリムは、オルア、真々美、冬香の顔を見た。

オルア
「わたしは良いわよ。
 絵美様の竜様攻略のためには、アリムと親しくならないとね。」

真々美
「わたしは、良いことだと思う。」

冬香
「絵美様がアリムとそういう関係を結ぶのなら、絵美様もわたしと呼び捨てで呼び合う関係になって欲しいですわ。」

オルア
「真々美と私の関係が、絵美様と冬香の関係と同じになるべきということね。」

作者の注釈
「姉妹関係を1つ飛び越えて関係を持つことを指しています。」

ハイシス → サブシス
サア〇〇〇〇 → 絵美 → 真々美 → 冬香 → オルア
の順番に姉妹関係を持っています。」


アリム
「ナイトバインドの相手って、3人までですよね。
 決まりにはんすることになりませんか?」

絵美
「それを言われると困ってしまうわね。
 ただね、真々美、冬香さん、オルアさん、アリムさんはお互いを名前を呼び捨てで呼び合っているわ。
 その中で、私だけ様付けなのは、疎外感そがいかんがあって、さびしいのよ。

 真々美としかつながっていない感じがして・・・

 ううん、もちろん、冬香さん、オルアさんともつながっては、いるんだけれど。
 いっしょにお風呂に入ったりはできないからね。」

オルア
「そこで、絵美様もアリムとナイトバインドすれば、それが無理でもナイトバインドに近い関係に成れれば、
 絵美様と冬香が夜に仲良くしても特例でセーフになるんじゃないかと思ったのよ。」

アリム
「夜に仲良くと言えば、今日の一番権利者は、真々美だよね。
 ボクにとっては、昨日の翌日だけれど、
 真々美にとっては、5から6日間も空いたから、思い出してね。」

真々美
「ああ、心配しなくていい。
 ちゃんと覚えているよ。
 夜に備えて、健康管理をしてくれよ。
 また、気を失って眠りに落ちないでくれよ。」

アリム
「うれしいよ、真々美。
 ボクは病み上がりみたいなものだから、無理をしないように気を付けるよ。」

真々美
「ああ、よろしく頼む。」

真々美 こころの声
『ひさしぶりだから、記憶が飛んでリセットされて、オルアから再スタートになると思っていた。
 ちゃんと覚えていてくれたんだな。 とても嬉しいぞ。』

オルア
「わたしは、今夜、冬香にお願いして、姉妹関係の儀式の第4段階をクリアしたいわ。
 ねえ、冬香、二人だけでも出来るわよね。」

冬香
「ええ、もちろん大丈夫よ。
 でも、いいの?
 オルア。」

オルア
「アリムと絵美様の初めてのときは、わたしも焼きもちを焼いて邪魔してしまうかもしれないから、他に集中することがある方が良いと思うのよ。

 それに、いざというときに備えて、わたしもスリーカーを習得したいの。

 アリムのスリーカーは第6呪文よね。」

アリム
「うん、そうだよ。」

オルア
「だから、わたしは冬香と同じように第5呪文として、スリーカーを習得したいの。
 昨日の今日という記憶が新鮮なうちに挑戦した方が成功率も高いと思うの。」

真々美
「わたしか絵美が参加した方が良いのではないか?」

オルア
「真々美は、アリムとの一番権利者の日でしょ。
 それを優先して欲しいわ。

 そして、アリムは1日に3回は、お出掛けできるから、そのうち、1回を絵美様とお出掛けしたら良いと思っています。 言い方は悪いけれど、竜様と愛し合うときの練習相手としてはアリムが最適でしょ?
 なんと言ったって、竜様の転生体なんだからね。」

絵美
「オルアさんは、本当に平気なのですか?」

オルア
「そうね、以前の私だったら、断固だんこ拒否きょひしたと思うわ。
 でも、今は、アリムと3つ先の来世までナイトバインドを済ませたから、こころに余裕があるのよ。

 なにより、絵美様の恋愛観とわたしの恋愛観が近いから、絵美様に強い親近感を感じているわ。
 だから、私の中で絵美様は、真々美と冬香の次にアリムを共有しても良いと思える女性になったのよ。」

絵美
「ありがとう。 オルアさん。
 真々美と冬香さんも、アリムさんと仲良くすることを、ゆるしてくれますか?」

真々美
「もちろんだ。 その、冬香は?」

冬香
「絵美様、わたしとも次の段階に進んで仲良くしてくださるのですよね。」

絵美
「もちろんよ。 冬香さん。 じゅる。」

真々美
「絵美、よだれがれている。」

 真々美は、絵美のよだれをタオルで拭いた。

絵美
「失礼。 冬香さんに手を出すことを我慢しなくても良いと思ったら、ついね。
 冬香さんと仲良くした後は、よだれを垂らさないで済むと思うわ。」

アリム
「あのー、ちょっといいですか?」

オルア
「なあに? アリム。」

アリム
「もしかして、オルアのボクに対する愛情度が減ったのでしょうか?」

オルア
「少しも、減っていないわよ。」

アリム
「さっきは、腹に正拳突きを入れるくらい怒っていたのに、ですか?」

オルア
「いいえ、少しも、減っていません。
 アリムの一番の女性という地位が3つ先の来世まで保証されたから、余裕が出ただけです。
 アリムが私とナイトバインドという深いきずなを結んでくれたから、冷静でいられるのよ。」

アリム
「じゃあ、どれくらいボクのことを好きですか?」

オルア
「うーん?
 だれの目にも触れないように、1日中、家の中に監禁かんきんして、わたしの腕の中から出したくないくらい好きよ。

 だけど、それと同時に私が最も信頼する真々美と冬香にも同じくらいアリムに執着しゅうちゃくして欲しいという矛盾むじゅんする感情もあるわ。

 絵美様は、わたしたちの命の恩人よ。

 絵美様がはるかに遠いカセイダード王国の本星から来てくださらなかったら、アリムだけでなく真々美、冬香、わたしの誰も生きていないわ。

 そして、わたしにとって、雲の上の存在である あこがれの白沢絵美様が私たちが愛するアリムを愛してくれる。

 しかも、わたしと恋愛観が近いから、わたしの分身、ツインレイ(もともとは1つの魂だった)のように絵美様を近しいなかに感じるのよ。」

絵美
「たしかに、オルアさんのことは自分自身を見ているように感じるわ。」

アリム
「そうですか?
 オルアがボクのことを愛してくれるなら、安心だけど。
 でも、男性にとって、処女しょじょは本当に価値があるものだから、後悔こうかいしないですか? 絵美様。」

絵美
「竜くん?
 絵美って、呼んで欲しいわ。」

アリム《竜豪りゅうゴットの転生体》
「では、絵美、後悔しませんか?」

絵美
「しないわ。」

アリム
「そうですか。 では、ボクが反対する理由は無いです。」

真々美
「アリム? 竜様は恋愛経験値がゼロだと言ったな。」

アリム
「その通りです。」

真々美
「ふたりとも未経験で、上手く愛し合えると思うか?
 わたしのようにいたがらせてしまったら、竜様は愛情交換がこわくなって関係が進まなくなるぞ。」

アリム
「それは、まずいですね。」

冬香
処女膜しょじょまく再生手術は簡単だから、分からないようにできるわ。
 男性はシーツに血が付けば安心できるのよね。

 絵美様には2回も破瓜はかの痛みを味わってもらうことになりますが、覚悟してくださいね。」

絵美
「はい、覚悟します。
 処女膜再生の件、よろしくお願いします。」

アリム
「そう言えば、オルアも 真々美も 冬香も 出血は無かったよね。
 ボクが初めてではなかったのか?
 当然だよね。
 みんなのように素敵で魅力的な女性が未経験のままって、ことはないよね。」

絵美
「いいえ、未経験よ。
 真々美の膜はわたしが指で突き破ったからね。」

真々美
「冬香の膜は私が指で突き破った。」

冬香
「オルアの膜は私が指で突き破ったわ。」

オルア
「いつのまに?」

冬香
「オルアが可愛い顔で可愛い声を出しているときね。」

オルア
「ぜんぜん、気付かなかったわ。」

アリム
「ということは、絵美の膜は絵美のハイシスが突き破ったのではないですか?」

絵美
「そうかもしれないわね。
 どうしよう?」

アリム
「スポーツをする人は運動中に破れることがあるそうですよ。
 竜くん、というか、3つ前の前世のボクには、そう説明すれば良いと思います。」

絵美
「竜くん、納得するかなあ?」

アリム
「おはようからおやすみまで一緒に過ごせば気にならないと思います。
 ボクも今まで気にしませんでしたから。」

絵美
「なら、安心ね。」

真々美
「そろそろ、お昼ご飯を食べようか?」

絵美
「そうね、お腹がすいたわ。」

オルア
「わたしも。 号令よろしく。」

真々美、冬香、アリム
「「「いただきます。」」」

絵美、オルア
「「いただきます。」」

冬香
「良かった。 まだ温かいわ。」

アリム
「熱々から少し冷ました方が太りにくいという話を聞いたような気がする。
 だから、いいんじゃないかな?」

真々美
「そうだな。 そういうことで、よろしく。」

 5人は食事に集中した。





 アリムは、弁当の容器を集めて台所に下げた。

アリム
「あとで、洗っておくよ。」

真々美
「助かるぞ。
 そうだ、アリムに家の中を案内しよう。
 みんなも付いてきてくれ。」





 真々美たちは、洗濯機置き場に移動した。

真々美
「ここが洗濯機置き場だ。
 お風呂の残り湯をホースでむことができる。
 物干し場はガラス張りにしてあるから、室内干しでも太陽の光を浴びることが出来る。」

アリム
「わあ、洗濯物が山積やまづみで、あふれかえっているね。」

真々美
「すまない、アリムが気を失ってから、なにかをする気力がかなかったんだ。」

アリム
「そんなに心配してくれたなんて、うれしいよ。
 つまり、この洗濯物の山は、ボクへの愛情の高さと言うことだね。」

真々美
「そのように受け取ってもらえると、とても嬉しい。」





 真々美たちは、ごみ置き場に移動した。

冬香
「ゴミ出し予定のものは、回収日まで、ここにめておくわ。」

アリム
「あまり、たまってないね。 でも、リビングが散らかっていたね。」

冬香
「ごめんなさいね、アリムが気を失ってから、なにかをする気力が湧かなかったのよ。」

アリム
「そんなに心配してくれたなんて、うれしいよ。
 つまり、そこら中に散らかっているゴミの数は、ボクへの愛情の数と言うことだね。」

冬香
「そのように受け取ってもらえると、とても嬉しいわ。」





 真々美たちは、リビングの台所に戻ってきた。

オルア
「そして、台所に戻ってきたけれど、ふたりで料理ができるくらい広い台所で、作業台まであるのよ。」

アリム
「台所の流しだけでなく、作業台の上にまで、洗い物がたまっているね。」

オルア
「ごめんね、アリムが気を失ってから、なにかをする気力が湧かなかったの。
 命をつなぐための最低限の食事を忘れないようにするだけで、やっとだったの。」

アリム
「そんなに心配してくれたなんて、うれしいよ。
 つまり、この洗い物の山は、ボクへの愛情の高さと言うことだね。」

オルア
「そのように受け取ってもらえると、とても嬉しいわ。
 でも、私のアリムへの愛は、もっともっと高いわよ。」

アリム
「それは、うれしいね。」





アリム
「じゃあ、たまっている家事は、ボク流のやり方で済ませてしまうけれど、文句は言わないでね。」

真々美
「いいのか? とても助かる。」

冬香
「文句なんて言ったら、ばちが当たるわ。」

オルア
「わたしたちのアリムへの愛情の高さと量を理解してくれて、うれしいわ。」

絵美 こころの声
『家事を押し付けられて嫌がらない男性は、本当にめずらしいわ。
 男の子のクラスター認定を簡単に取れそうね。』




12:45

真々美
「午後からは私たちは仕事に行く。
 オルア、アリムのデバイスを持ってきてくれ。」

 オルアは、アリムにデバイスを手渡した。

アリム
「ありがとう。」

真々美
「現時点において、わたしと冬香、オルアとの通信ができる。
 掛けてみてくれ。」

アリム
「じゃあ順番にかけていくね。
 まずはオルア、
 次に真々美、
 最後に冬香。」
 
  デバイスがつながることを確認した。
 
真々美
「何か困ったことがあったらかけてくれ。
 最悪の場合でも、私たちのうち、誰か一人は必ず電話に出る。

 なにか質問はあるか?」

アリム
「そうだね。 紅丸?」

妖刀斬 紅丸
「はっ、アリム様。」

アリム
「ここでは刀を持ち歩くという習慣は無いようです。
 だから目立たないように、このクリップペンぐらいの大きさになってくれませんか?」

妖刀斬 紅丸
「お安い御用でござる。」

アリム
「ありがとう、紅丸。
 真々美、これで紅丸といつも一緒に居ることが出来るよね。」

真々美
「すごいな、紅丸は、こんな変化も出来るんだ。」

アリム
「ほかの人がいないところでは元の大きさに戻る時間をあげてね。
 小さくなっているのはとても疲れるから。」

妖刀斬 紅丸
「かたじけない。
 助かるでござる。」

真々美
「アリム、少し言いにくいのだが、家の中にいてくれると助かる。
 絶対に外には出ないでくれ。」

冬香
「ここは、女の人限定エリアなのよ。
 お弁当を買いに行った時、男性を一人も見なかったわよね。」
 
アリム
「確かに、女性ばかりだなあと思いました。」

オルア
「アリムがひとりで出歩くと、警察に通報されてしまうからね。
 外に出たい時は必ず私たちの誰かと一緒に行動してね。」

アリム
「気を付けます。
 お帰りは何時頃ですか?」

真々美
「17:30~18:00の予定だ。
 絵美も一緒に仕事場に行くから、アリムはひとりになってしまう。

 インターホンが鳴っても出なくていいから。
 というよりも出ると、ややこしいことになるかもしれない。

 セールス、勧誘、強盗などはないと思うのだが、念には念を入れてほしい。」

アリム
「わかった。
 じゃあ堂々と居留守を使うよ。

 みんなが帰ってくるときはインターホンを鳴らすの?」

真々美
「いいや、アリムをびっくりさせるといけないから、インターホンを鳴らさずに、いきなり鍵を開けて入ってくることにするぞ。」

アリム
「うん、わかった。
 いってらっしゃい。」

真々美
「そうそう、お風呂の設備は、移民審査船でアリムが居た部屋と同じだ。
 汗をかいたら、気軽に使ってくれ。

 それから、私たちの部屋は悲惨ひさんな状況だから、今日は見ないで欲しい。」

アリム
「じゃあ、見ないようにするね。」

冬香
「この間取りは、アリムの小説に出てくる部屋と似ていると思わない?」

アリム
「そういえば似ているね。
 あ、部屋の配置も一緒だね。
 小説の中に入ったみたいで、わくわくするね。」

オルア
「気に入ってくれて、うれしいわ。」

絵美
「真々美、冬香さん、オルアさん、そろそろ行きましょうか?」

アリム
「いってらっしゃい。」

絵美、真々美、冬香、オルア
「「「「行ってきます。」」」」

 アリムは4人を見送ると家事を始めた。

13:00


作者の注釈
「アリムたちが暮らす家は王城の敷地のはしにあります。
 クラスターの女の人限定のエリアに面しています。
 お弁当屋さんには、クラスターの女の人限定のエリアを通って行きました。

 部屋の配置は、
 風呂場、洗濯機置き場、物干し、玄関
 冬香  台所、リビング 真々美
 オルア 4人の寝室   アリム
 です。」



 ようやく、一息つけそうですね。

 でも、アリムさんのカセイダード王国チータマルム支国での過ごし方についての説明については、次回以降になりそうですね。

 絵美、真々美、冬香、オルアの会議も楽しみですね。
 アリムとの時間の割り当てについてなど。


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