【完結】理想の美女7人に愛される生活。ベーシックインカムで儲けた「カセイダード王国」に移住して正解でした。

サアロフィア

文字の大きさ
上 下
8 / 209
第2章 女神さまの慈悲 スリーカー(1回限定)

007 治療と若返りの薬

しおりを挟む
オルア:
「では、朝食も済んだから、わたしの部屋に来てください。」

アリム:
「昨日、会ったばかりで早すぎない?」

オルア:
「水回りに対する考え方を確認することは早い目が良いでしょう。」

アリム:
「そうですね。」
『期待した自分がはずかしい。』

オルアはやさしく微笑んだあと、こう思った。
『よしよし、順調にわたしを意識しているな。
てつなぎ、見つめあい、ハグ、キス、ナイトバインド
少しずつ進めていこう。』



 オルアは、アリムを部屋に招き入れて、水回りを見せた。
 トイレ、風呂場、洗濯機置き場、台所、洗面所、ベランダに案内して、排水溝のフタを外して、中の状態まで見せた。

オルア:
「どうですか?」

アリム:
「とっても綺麗ですね。 わたしは、ここまで掃除しません。」

オルア:
「ふむ、あとで貴方の部屋も見せてくださいね。」

アリム:
「はい。 お手柔らかにお願いします。」

(注)
 部屋に入ってから1日も経っていないから汚れる訳がないのだが、家事能力を測るために、全部屋同じ程度に汚してあった。

 オルアは、アリムに椅子に座るようにうながした。
 そして、テーブルの上に、小さな皿を出して、1粒の薬を出した。

アリム:
「これは? まさか、自決用の毒ですか?」

オルア:
「ブッブー、不正解です。
 若返りの薬です。」

アリム:
「まさか、子供から抽出した悪魔の薬。」

オルア:
「そんな訳ないでしょう。 
 ひとり若返らせても、ふとり老けさせたら、差し引きゼロで無意味です。
 カセイダード王国の科学力があればたいていのことは出来ます。
 栄養食品、サプリメントの延長のようなものです。
 クラスター限定使用です。」

アリム:
「わたしは、そのクラスターとかいう資格は知らないです。」

オルア:
「心技体が一定以上に達した者に贈られる称号ですね。
 わたしが指導すれば、2~3年後に合格するでしょう。
 一気に進めたいので、質問は待ってくれますか?」

アリム:
「はい、お願いします。」

オルア:
「まず、あなたには、30才若返っていただきます。
 これは若返りの薬で、1粒で10年若返ります。
 ただし、個人差があるので、ひとによっては、さらに若返る危険があります。
 そして、老化する薬の需要は無いため、開発されていません。
 だから、1粒ずつ飲んで、効果がでるまで1~3日間を待ちます。
 ここまでで、質問は?」

アリム:
「その最初の1粒がこれで、30才若返って、20才代の身体に戻るまで飲むですね。
 もし、効果が少ない場合は、3粒ではなく5粒飲むことになるかも知れないということですか?」

オルア:
「そうです。20才代の身体に戻って若返っていだだきます。
 医師の予想では、アリムさんは通常より多く若返る可能性が高いそうです。」

アリム:
「それは、なぜですか?」

オルア:
「実年齢より、かなり若く見えるからです。
 つぎに治療ですが、若返ったあとで行います。

 色盲に関しての赤錐体と緑錐体の遺伝子は、私の遺伝子がコピペして上書きされます。

 脳内にインストールする処理プログラムは、わたしの処理プログラムを7段階くらいで、上書きされます。

 その前に、現行のアリムさんの処理プログラムを万が一に備えてバックアップします。

 インプットとアウトプットの仕様を確認してタイプが異なる場合は、同タイプの方の処理プログラムをインストールすることになります。

 わたしのプログラムが適用できる場合は、経過観察をわたしの経験で確認できるから進行が楽になります。


アリム:
「わたしが気をつけることは?」

オルア:
「わたしを信じて、指示通りにすること。
 疑問点や不安があれば聞くこと。
 わたしが信じられなくなった場合は、医師に告げてくだされば、他の者が担当します。
 つまり、サポートがわたしではなくなるので、お別れです。」

アリム:
「成功しますよね。 危険は無いですか?」

オルア:
「アリムさんがおひとりで周囲に誰もいないときが危険ですね。
 なにかあったとき誰も発見できなくなります。
 おはようからおやすみまで、わたしと一緒にいれば安全ですね。」

アリム:
「それは、お風呂やトイレの時もですか?」

オルア:
「わたしと一緒にお風呂に入りたいですか?」

アリム:
「あなたがそうしても良いと思うくらい、わたしを好きになってくれたら入りたいです。」

オルア:
「今すぐは無理ですね。
 前向きに考えておきますので、期待して待っててくださいね。」
オルア こころの声:
『アリムさんの言質を取りました。
 最高のタイミングと演出を用意しよう。』

アリム:
「はい。待ってます。」
『少しでも長く、オルアさんのことを好きでいられますように。』
 アリムは、天に祈った。

オルア:
「では、若返り薬の最初の1粒をお飲みください。」

アリム:
「お水を頂けますか?」

オルア:
「あっ、ごめん、すぐに用意するね。」



 司会の部屋に、面接を担当した2人組と医師が来ている。

司会:
「面接、ご苦労だった。」

2人組:
「ありがとうございます。」

司会:
「受けた印象は?」

 2人組は顔を見合わせる。
 お互いに相手に言わせようとしている。
 どちらも言いたくないようだ。
 あきらめた責任者が答える。

面接責任者:
「わたしとわたしの家族、親族、友人のパートナーにすることは拒否します。」

司会:
「素晴らしい答えだな。
 理由は言いにくいだろうから、感じたことを教えてください。」

面接責任者:
「会話履歴が汚すぎます。
 ここまで裏表がある人間がいると知ると人間不信になります。
 ライバルを蹴落とすために、仲間外れにする、嫌がらせをする、悪評を流す、悪いうわさ話を創作する。
 いじめの的を決めて団結しようとする。
 自分が被害者で無ければ、他人が犠牲になっても仕方ない。
 他人を侮辱して弱らせて支配しようとする。
 性欲に忠実で、【女性】を「性の対象か性の対象外か」でしか見ていない。
 自己肯定感が低いわりに自尊心が高く傲慢で、運良く手に入れた社会的地位や合格した大学などのランクで他人を見下し、値踏みし、言うことを聞かせるために、暴言、暴力、風評被害など、関わりたくないです。」

司会:
「それでも、ひとりくらいは良さそうなのがいると思うが、いないのか?」

面接責任者:
「一晩なかよくして、さよならする習慣はないです。
 非常食にさえなりませんね。」

司会:
「イケメンや美男子、美少年は何人かいたと思うが?」

面接責任者:
「毒キノコを食べる方がまだマシですね。」

医師:
「健康そうな個体とか、鍛え上げられた個体はいませんか?」

面接責任者:
「関心無いので、面接動画をご覧になって、ご確認お願いします。」

司会:
「いや、すまない。 相当、嫌な思いをしたようだな。 ゆっくり休んでくれ。」

面接責任者:
「たまった皿洗いや洗濯物を片づける方が有意義でした。
 有給休暇を1週間ください。」

司会:
「面接が丸1日だから、その3倍の3日間の有給休暇を取ってくれ。
結果発表などの事後処理は済ませておく。
 急ぎの案件については、机の上に紙に書いて貼っておいてくれ。」

面接責任者と面接準備者:
「ありがとうございます。
 休み明けは新しい気持ちで頑張れそうです。
 3日間でたまった家事を終わらせるぞ。」

司会、医師:
「そんなに嫌だったのか?」

 2人は仕方なく、面接の様子を2倍速で手分けして確認した。

司会:
「良し、オルアにも手伝わせよう。 呼び出せ。」

医師:
「はい、よろこんで。」

オルア:
「アリムさんが捨てられる子犬のような目で見つめてきてつらかったです。
 若返り薬の経過観察があるので、となりの部屋に来てもらっています。」

 そう言って、オルアは見守り画面を手元に置いた。

 3人は、面接の動画を見て気持ち悪くなった。

司会:
「こいつらは、面接官の目ではなく、どこを見ているんだ?」

医師:
「胸の谷間と足と、顔をなめるように見ていますね。」

オルア:
「胸を見るなとは言いませんが、アリムさんのように理性で目を合わせようとする努力が欲しいですね。」

司会:
「自慢話が多いな。
 大学教授、公務員や一部上場企業の役付けだとか。」

医師:
「ベッドテクニックの技術自慢は最低ですね。
 10から20程度の知識しか知らないくせに。」

オルア:
「30までの知識が限度でしょうね。
 男の人や美女でさえ、200までの正性知識を覚えているのに。
 無知むちって最大のしあわせかもしれませんね。」

司会: 「いっしょに暮らすメリットがないな。」
医師: 「ひとりで本を読む方がマシですね。」
オルア: 「そう考えると、アリムさんは大当たりですね。」

司会: 「良さそうか?」
医師: 「こころの傷が深そうですが、どうですか?」
オルア:
「アリムさんの部屋を見たところ、水回りの掃除と料理などは許容範囲ですね。」

司会: 「不満は、なんだ。」
医師: 「見えないところの清掃に気を回す余裕が無い様子ですか?」
オルア:
「たとえば、おふろの排水溝の髪の毛トラップと浴槽は掃除するのですが、お風呂の壁や天井の汚れは気にしないそうです。」

司会: 「まあ、汚いところを掃除してくれれば、いいじゃないか?」
医師: 「そうですよ。 神経質なくらいに綺麗好きだと、大変ですよ。」
オルア: 「だから、許容範囲内です。」

司会と医師は心の中で叫んだ!
贅沢ぜいたく言うな。代わってくれーーーー』



 アリムは別室で、ひとり作業をしていた。

 手伝えることが有れば良いけれど、有難迷惑ありがためいわくだろうから静かに待っていよう。
 幸い、パソコンとスマホを持ち込めたから、退屈たいくつはしない。
 明日公開する Your TV 動画の原稿と次の問題を解いたり、スマホゲームのノルマや公開マンガのチェックをしよう。

 いままでひとりだったから、自分のところに帰ってくる人がいると考えただけで嬉しいと感じていた。



 司会の部屋では、面接動画の確認を終えていた。

司会:
「MiniApp社のtalkGETを知っていれば、知識量が自慢にならないことに気付けないかな?」
医師:
光元国ひかりもとこくでは一流でも、カセイダードでは下の方ですからね。」
オルア:
「自分の価値レベルが高いと自信を持つことは良いことですが、相場そうばを知って欲しいですね。」

司会:
「実際のところ、カセイダードが移民を受け付けて審査する理由は、他国では無価値だが、こちらでは価値がある者をひろうためだ。」

(注)
 かっこいいひとは誰が見ても格好いいの。
 かっこ悪いひとは誰が見ても格好悪いの。
 あなただけに、格好いい人はいないの。
という格言があるが、価値観が独特なため可能性が有るはずでした。

医師:
「募集要項には月14万Versilバーシル支給と書いてあるのですが、見ていないのですかね。」
(注)
 、1Versilバーシル= 1まる光元国ひかりもとこく通貨つうか)で両替している。

オルア:
「それは最低基準で、優秀な者には別待遇があると思い込んでいるのでしょうね。」

司会:
「全員不合格ということで、船を引き返して、お土産持たせるとするか?」
医師:
「相手のプライドを傷つけないように、配慮しなければなりませんね。」
オルア:
「ダメなものはダメということで、慎重に検討しましたが~という定型文で、全員同じ方が無難ですよ。
 理由を言うと返って面倒になります。」

 はあー、無駄な時間を過ごしてしまった。
 3人は疲れ切っていた・・・

 ピーっ、ピーっ、ピーっ

オルア: 「アリムさん? 倒れている!」



アリム:
「オルアさん、苦しいよお、助けて。」
 とてもか細い声でマイクに届かなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった

白藍まこと
恋愛
 主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。  クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。  明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。  しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。  そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。  三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。 ※他サイトでも掲載中です。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

ニートの俺がサイボーグに改造されたと思ったら異世界転移させられたンゴwwwwwwwww

刺狼(しろ)
ファンタジー
ニートの主人公は一回50万の報酬を貰えるという治験に参加し、マッドサイエンティストの手によってサイボーグにされてしまう。 さらに、その彼に言われるがまま謎の少女へ自らの血を与えると、突然魔法陣が現れ……。 という感じの話です。 草生やしたりアニメ・ゲーム・特撮ネタなど扱います。フリーダムに書き連ねていきます。 小説の書き方あんまり分かってません。 表紙はフリー素材とカスタムキャスト様で作りました。暇つぶしになれば幸いです。

日本新世紀ー日本の変革から星間連合の中の地球へー

黄昏人
SF
現在の日本、ある地方大学の大学院生のPCが化けた! あらゆる質問に出してくるとんでもなくスマートで完璧な答え。この化けたPC“マドンナ”を使って、彼、誠司は核融合発電、超バッテリーとモーターによるあらゆるエンジンの電動化への変換、重力エンジン・レールガンの開発・実用化などを通じて日本の経済・政治状況及び国際的な立場を変革していく。 さらに、こうしたさまざまな変革を通じて、日本が主導する地球防衛軍は、巨大な星間帝国の侵略を跳ね返すことに成功する。その結果、地球人類はその星間帝国の圧政にあえいでいた多数の歴史ある星間国家の指導的立場になっていくことになる。 この中で、自らの進化の必要性を悟った人類は、地球連邦を成立させ、知能の向上、他星系への植民を含む地球人類全体の経済の底上げと格差の是正を進める。 さらには、マドンナと誠司を擁する地球連邦は、銀河全体の生物に迫る危機の解明、撃退法の構築、撃退を主導し、銀河のなかに確固たる地位を築いていくことになる。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...