悪役令嬢のサラは溺愛に気づかないし慣れてもいない

玄未マオ

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第1章 悪役令嬢の婚約

第9話 ハーフエルフの女王と五人の英雄

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 ハーフエルフの女王フリーダは 国内に散らばっていた各都市と王都の間の街道を整え、学校制度を作り、魔物やエルフたちの森を背後にして新たに王宮を建て、そこから扇状に王都は広がっていった。

 今の王都の形はフリーダ女王の代からの産物だ。

 女王の両親、ゼーンハルト王とエルフのミューレアの間には、あれほど不妊に悩んでいたのは何だったのか、その後、八人もの子が生まれる。

 ミューレア王妃も一度大あばれして何か吹っ切れたのかもしれない。

 フリーダ女王も人間の夫との間に六人の子ができた。

 女王の弟妹と子供たち、彼らが王族を支える貴族の祖であり、つまり私たちのご先祖なのである。

 その中でも五人の特に勇敢で賢い若者たち。

 風攻撃に優れたヴァイスハーフェン
 火攻撃に優れたブリステル
 闇と土を使った防御能力に優れたヴェルダートル
 光と水での浄化に優れたルルージュ
 六属性すべてをまんべんなく使う治癒の達人メレディス

 女王の治世に非常に質の悪い魔物が現れ、それを封印したのが彼らであり、その手柄で彼らは公爵位に叙せられる。

 この英雄譚は、国民から特に人気のあるくだり。

 彼らはそれぞれ髪色が戦隊もののヒーローのように五色に分かれている。

 絵本ばえがするから子供のいる家じゃどこでも一冊は置いてある。

 青色のヴァイスハーフェン
 赤色のブリステル
 緑色のヴェルダートル
 桃色のルルージュ
 黄色のメレディス

 どこの世界でも人気の出るものは似ているのね、と、貴族向けの凝った装丁とイラストのある絵本で、この話を読んだ時には思ったものだ。

 父は語る。

「ミューレア王妃の血が王侯貴族の中に入ってからこの国の歴史は大きく変わった。エルフの血のおかげで魔法能力が飛躍的に伸びたのだ。それまでは侵入してくる魔物を数十名の騎士が力を合わせてようやく退治できるくらいだったのが、エルフの血のおかげで、数名で森に探索に行き多くの魔物を狩れるくらいの力を得た。そしていくつかの拠点を森に作り今に至る。ただ魔物に脅えるだけの日々ではなくなったのだ」

 そう、そして今は魔物が『瘴気』という人間の負のエネルギーから出たものが生み出されることが判明している。

 森はその『瘴気』を浄化してくれる存在であり、浄化しきれなかった『瘴気』を吸い込んだ生き物が魔物と化す。

 フリーダ女王は、浄化魔法を施した壁を国中にめぐらす大事業に取りかかり、今では国土と森の境界の三分の二は壁で隔てられ、今もまだそれを延長する工事が進められている

 そして森には西と東そして中央の三つの駐屯地を作り、派遣された騎士たちが定期的に魔物を狩り、国の安全を守っている。

「エルフの血の恩恵はこの国の王侯貴族に平等に与えられている。国をまとめる王家とて、我らに対し横暴にふるまえる立場ではないのだよ」
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