たっくんとゆうちゃん

kromin

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第四章

ちょっと特訓してみた

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集団に再び襲われてから数日後。

「うーん、お札とかは更に多数持ち歩くようにはしたけど、それでもちょっと不安だなー」
「そうだね。僕の霊刀も研ぎ直したけど、ちょっと心配だな」

「かぐや達も鍛錬頑張ったり、武器強化してるけどやっぱ不安そうだもんね」


「あー、じゃあ皆、ちょっと本部のそういう所行って短期修行してみる?」
「え、そういう所あるんですか、御堂さん」
「うん、当然あるよ。まあもちろん表沙汰には出来ないけどね」

「じゃあ、早速お願いします」


そんな訳で俺やかぐやアカネ等学校がある子達は、それぞれの学校にまあ適当な理由を付けて1週間程休みをもらい、(俺やかぐやはもともと成績順調だったし内申がかなり良かったので問題無かった、アカネは若干アレだったが)電車やバスを再び乗り継ぎ、更に本部が手配してくれたヘリに乗りその秘密の修行施設へと向かった。

「わー、もちろん俺ヘリに乗るの初めてだから嬉しいなー」
「うん、僕もほぼ初めて」
「俺も、ほとんど無い」
「俺もはじめてですねー」
「…オレはわからないが楽しいな」

「ほい、そろそろ着くよ。まあ結界のせいでスマホとかは繋がらないけどごめんね」
「はーい」

そこは山中深くの広大なお屋敷で、豪華な事に温泉などもあった。
「うわー、いかにもな隠れ里って感じだね」

「うん、やっぱりこういう国だから、要するに被差別階級の人とかどうしてもいてね。そういう人や、あんまり戦うのが得意じゃない、要するにたっくん達みたいな子が暮らしてるの」
「…ああ、そうなんですね」

「そういう事情もあって、ここ国でもトップシークレットなんだけどね。人口千人程度はいるよ」
「…そんなにいるんですね」

「まあ、ある程度人口が増えたらどうしたってそういう子達出て来ちゃうからね。皆納得してるよ」
「…それなら良かったです」

そうして、ヘリは里のお屋敷近くの平原に着陸した。

「いらっしゃいませ、ようこそ皆様方」
落ち着いた和服を着た黒髪の女の子と、俺と同じく義肢の男の子が出迎えてくれた。

「…よろしくお願いします」
「ああ、貴方がたっくんですよね。君、組織でも頑張ってて有名だし存じておりますよ」
「あ、僕の事はそんなにしんどい目で見ないで良いですからね。もうとっくのとうに終わった事だし」

「…うん、分かった」
「まあ、この組織の人達大半が各々それなりに色々抱えてますからね。皆似たもの同士ですよ」
「うん、確かにそうだね。ゆうちゃんやかぐや達もだし」

「そういう訳で、よろしくお願いします」
「うん、二人ともよろしくね」

「では、お疲れでしょうし、ひとまずお部屋にご案内しますね」


そうして俺達は、高級旅館のような広い和室に案内された。
「わー、ほんとに旅館みたいでいいね」
「うん、僕もお布団久しぶりだから嬉しいな」
「…俺も、自宅はこんな感じだがやはり落ち着くな」
「俺も自室は洋風だから新鮮でいいなー」
「…オレもたぶん布団は久々だ」

「じゃ、皆とりあえず今日はゆっくりして、明日から鍛錬頑張ろうね。俺は別室にいるからね」

「はーい」


「では、よろしければお風呂もご案内しますね」
「わーい、ありがとうございます」

「はい、ここが露天風呂付き大浴場です」
「うわー、本当に豪華だな。俺温泉も当然ほぼ入れないしうれしい」
「僕もここまで広いのは久々だなー」

そう、皆で楽しくわいわいと入浴した。

「お帰りなさいませ。お夕食お持ちしますね」

「わー、懐石料理だー。すごいなー」
「うん、山奥なのにお刺身や、美味しそうなすき焼きもあるね」
「俺もここまで豪華なのは相当久しぶりです」
「…たぶん、オレもだ」

「ええ、ここ秘密裏な里ですが物資は呪法で転送できますので、様々な新鮮な材料が調達できます」
「へー、そうなんだ」

「じゃ、いただきまーす。おー、本当に美味しい」

最高の夕飯を済ませ、その日は皆でそうそうに眠りについた。


翌朝、また食事を済ませ俺達は早速鍛錬を開始した。

呪力の強化は初老の男性が担当してくれた。

「はい、ではこの祝詞皆で黙読で良いから読んでね、長めだけど頑張って」
「はーい」

「うん、難しいけど俺古文も結構好きだから良いや」
「うん、僕も。漢字かなり難しいけど」
「うー、俺かなり頭痛くなって来た」
「…頑張れ」
「……」

「…かんばせは、どういう本とか好きだったんだろうね」
「…全く、覚えていない」
「…そっか」
「…ただ、昔は何を読んでもあまり楽しく無かった気がする」


そうして、2時間くらいで全員(アカネは寝落ちしかかったがかぐやが頬をつねって叩き起こした)祝詞を読み終えた。

「皆お疲れ様。これだけでも基礎霊力結構上がったはずだよ」
「はい、何か自分でもそんな感じがします」
「うん、僕も」

「じゃあ、お昼食べてちょっと休憩した後は各自戦闘訓練ね。あ、たっくんは義肢ちょっと強化しようか」
「わかりました。じゃあその前にトイレ行っておきます」

そうしてまた美味しい昼食と軽い仮眠の後、各自武道場や庭で鍛錬を開始した。


俺はいかにもな研究工作室で、義肢を外され強化処理されていた。

「さっき仮眠したと思うけど、何時間かかかるからまた寝ててもいいからね」
「はーい。まあ、部分麻酔のせいかそんなに眠くないんでたぶん大丈夫です」

「そうかい。まあ、楽にしていなさい」
「はい、ここ色々な義肢とか祭具あって面白いですね」
「ああ、私は色々やるが主に霊力のある義肢の作成を担当していてね。やっぱりこういう里だから、どうしても可哀想な子達多いんだよね」

「…ええ、案内してくれたあの子みたいにですよね」
「まあ、本人もあまり知られたくないだろうから言わないけど、あの女の子ともども昔相当な事があってね。組織にどうにか保護されたんだけどね」

「…そうですか、それなら良かった」
「まあ、当然保護された直後は相当落ち込んでいたがね。まあ、あの子程では無いにせよ酷い目に遭っていた女の子や、里の皆の励ましのお陰で、さほどしない内に立ち直ったがね。で、当然そういう事をした輩はそれ相応の罰を受けた」
「ええ、本当に良かったです」


「…私も彼ら程では無いものの、若い頃かなりどん底まで落ちた事があってね。その時義肢作成の師匠に拾われ、この世界に入ったのだがね」
「…ああ、そうだったんですか」

「その当時は若くて浅薄だったから、自分ほど不幸な人間はいないだろうとばかり思っていたんだがね。…この世界で君やあの子達みたいな人を見て、自分は愚かだと思い知った」

「…分かります。俺も、捕まってアレされてた時は自分が世界一不幸だと思っていました。…でも、助からなかったあの子や、もっと酷い目にあった人達を見てきたら、自分はまだ幸せな方なんだと思いました」

「…そう思えるのは素晴らしいことだ。でも君も、十分に酷い目に遭っているのだから、あまり気にしない方が良いよ」
「はい、ありがとうございます」


「それでね。実はこの義肢は、私の師匠が作成した銘品でね。この国でも有数の代物なのだよ」
「へー、そんな凄い義肢だったんですね」
「ああ、師匠も素晴らしい物が出来たと喜んでいたよ」

「君みたいな立派な子に使ってもらえて、師匠も喜んでいると思うよ」
「そのお師匠さんって、今どちらにいらっしゃるんですか?」

「ああ、数年前に天寿を全うして亡くなられたよ」
「…そうなんですね」

「まあ、霊力のお陰で相当長生きだったし、本人も満足して大往生だったから気にすること無いよ」
「そうですか。でしたら良かったです」

「私や多くの人を救った立派な方だから、きっと天国で幸せにやれているだろうしね」
「ええ、きっとそうですね」


「…こんな難儀な国だから、悪霊や可哀想な子達が多く出てきてしまうのは悲しい事だがね。私達の力で、可能な限りそういう悲しい事は減らしたいね」
「…はい、本当にそうですね」

それから取り留めのない会話を交わし、数時間後。

「よし、出来たよ。かなりこれで性能も上がったはずだ。すぐに取り付けるからね」
「はい、お願いします」

「よし、付いたよ。どうかな」
「わー。確かに前よりかなり動かしやすくなって、更に体が軽くなった気がします。ありがとうございます」

「うん、私の出来うる限りの力を込めたからね。まあこれなら、集団相手でもある程度は戦えるだろう」
「はい、頑張ります!」


そして、各々の鍛錬が終わった皆と合流し、またお風呂と美味しい夕食を済ませ、部屋でのんびりしていた頃。

「ここ、山奥だからチャンネル数は少ないけど、テレビ映って良かったね」
「うん、スマホも繋がらないけど、通信しないゲームなら出来るしね」

「あー、俺トランプやボードゲームいくつか持ってきたからやりましょうか」
「おー、いいねいいね」
「…TRPGもいいな」
「かぐやTRPG超強いもんね」
「あー、そんな感じする」
「…オレも経験があるかは分からないが楽しそうだな」

とかなんとか楽しく談笑していたその時、爆音が響き渡り建物が大きく揺れた。

「え、ちょ、何事!?」
「…かなりやばい霊力がする。これ、あいつらかな」
「…おそらくそうだな」
「うわー、すぐ戦闘準備しなきゃ」
「…オレも、祭具を多く持っておく」


皆で素早く着替えて戦闘準備を済ませ、建物の外に駆けだした。

「あー、皆無事で良かった。まあお察しの通り集団の奴がここ嗅ぎ付けたみたいでね」
「…はい、許せないですね」

「皆様、ご無事で良かったです」
「うん、君たちは危ないし早く避難してて」

「…はい、すみません。僕結界はある程度は張れるんですが、戦闘は得意じゃなくって」
「人にはどうしたって得手不得手あるし、気にしないでいいよ」

「ええ、ではお言葉に甘えて、僕達はシェルターに避難させてもらいます」
「うん、僕達で頑張るから、心配しないで」


「おし、じゃあ皆丁度強くなった所だし、腕試ししようか」
そう、日本刀を構える御堂さん。

「はい、行きましょう!」

そう、無数の襲い掛かる男たちと激しい戦闘を開始した。

俺の義肢は確かに相当強化されていて、更に素早く動けるようになっていた。
初めて戦った時みたいに時折ずっこけそうになる事もあったが、今までの経験のお陰か踏みとどまれた。

霊刀を強化して貰ったり、それぞれ術や武器を強化した皆も軽快に戦っていた。


それから数十分後、男たちを全て灰塵に帰した時、一際邪悪な霊力を纏ってそいつは現れた。

「あー、お前か。久しぶりやね」

「…御堂、久しぶりだね」

「…知り合いなんですか、御堂さん」
「あーうん。前言ったけど、元同僚の因縁ある幹部の奴」
「…そうなんですか」

そいつは御堂さんと同じ、黒髪に眼鏡で20代半ばくらいに見える男だった。

「…御堂、君もなかなか優秀な部下が出来たようだが、悪いがここで全員死んでもらうよ」
「んー、俺も可愛い部下たち死なせたくないんで、悪いがお断りやね」
「まあ当然そういうだろうね。では、遠慮なくいくよ」

「あー、分かってるとは思うけどこいつ幹部クラスで、相当強いから皆気を付けてね」

「…はい、頑張ります」
「うん、この里絶対に破壊させない」


「では、式を呼ばせてもらう。出ておいで、騰蛇」

そいつが式紙から呼び出したのは、巨大な黒炎を纏った醜悪な蛇だった。

「…うわ、ほんとに強そうだな」
「…うん、近づいてるだけで空気が相当熱い」
「…結界を貼る」
「…俺の炎、通用するかな」
「…オレも、出来る限り中和する」


そうして、義肢を強化してくれた人や里の戦える人達も加勢に駆けつけてくれて、激しい戦闘の末、1時間少しでどうにか決着は着いた。

「うん、確かに君たちやるね。今回はここで引き下がらせてもらうよ。またね、御堂」

「うん、もう二度と会いたくないんやがね、黒坂」

そう、黒坂と呼ばれた男は静かに消えていった。


「ふー。俺も服だいぶ燃やされちゃったけど、皆大丈夫?」
「…はい。ちょっと義肢焦がされちゃいましたが平気です。おじさん、強化してもらったばかりなのにすみません」

「何、仕方ないよ。この程度ならすぐ霊力で修復できるからね。設備が直ったらすぐに処置しようね」

「うん、僕も似蛭ちょっと欠けちゃったけど、後はまあ平気」
「あ、その霊刀似蛭っていうんだ?」

「うん、昔は相当問題ある妖刀だったんだけどね。僕や研究員さんが頑張って普通の霊刀に修正したの」
「へー、そうだったんだ」

「かぐや達も大丈夫?」
「…少々火傷は負ったが、問題ない」
「あー、俺も相当へばってるけどまあ平気です」
「…オレもだ」


安全を確認して、シェルターから出てきた案内役の子達もやって来た。

「皆さま、本当にありがとうございました。心よりお礼申し上げます」
「僕からもありがとうございます。設備はこの程度でしたら、すぐ職人さん達が修復してくれますので」

「そうなんだ、それは良かった」
「ええ、温泉は無事ですし、ある程度の治癒効果もありますので、皆さまゆっくりと疲れを癒して下さい」

「うん、じゃあお言葉に甘えてそうしようかな」
「うん、入ろ入ろ!」


そうして温泉で傷を癒し、翌日昼頃には本当に建物は元通りになっていたので、俺はすぐに義肢を修復してもらった。
ゆうちゃんやアカネの武器も完全に修復し、更に強化してもらった。

そうして厳しくも楽しい修行を終え、俺達はまたヘリで帰路に着く事になった。


「皆さま、短い間でしたが、お会いできて楽しかったです」
「うん、俺も君たちに会えて良かった。元気でね」

「はい、僕達今とても楽しくやってますので!」
「うん、組織も警備強化してくれるって言ってたし、たぶんもう平気だよ」

「…俺も、少しばかりだが結界を強化させてもらった」
「俺やかんばせも何か出来たら良かったんだけどねー」

「いえ、里を守って下さいましたし、お気持ちだけで十分ですよ」

「では、またいつでもお越しください」


そうして、俺達はヘリに乗り込み、また楽しい空の旅に出た。

「いやー、あの時は大変だったけど、楽しかったね」
「うん、里の人皆大変だったけど、良い人達だったもんね」
「…料理も美味しかった」
「露天風呂最高でしたしねー」
「ボードゲームも楽しかった」

「うん、また来たいな!」
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