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第四章
たっくんの高校受験
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俺達が海外任務に行ったもう少し後の事。
「御堂さんすみません。俺もうそろそろ高校受験なんで、申し訳無いけど少しお仕事休ませてもらえませんか」
「うん、もちろんええよ。学業優先してや」
「すみません。何か月かで終わると思うんで」
「たっくん、受験頑張ってね」
「…頑張れ」
「頑張ってくださーい」
「今度、差し入れを持っていく」
「うん、みんなありがと!」
元々数学以外は割と出来た方だが、家計が安定してからは単発で家庭教師をつけてもらったり、短期間だが予備校に通ったりして、更に学力が安定していた。
仕事の功績のお陰で内申点もかなり良く、模試の結果もほぼ問題無かった。
そんな訳でかなり楽観的に、受験目前まで過ごしていた。
受験寸前のある日。
「たっくん、ほんとにごめん。どうしても他の子達で手の回らないお仕事が急に入っちゃって、すぐ終わると思うから行ってくれない?」
「あ、全然大丈夫ですよ」
「あと数日なのに、ほんとごめんね。たぶん超安全やから安心してね」
「はーい」
そうして、すぐに俺はその民家に向かった。
「…君も受験生で忙しいのに、来てくれてありがとう。…うちの子ね、お受験勉強ずっと頑張ってたんだけど、家庭教師が超スパルタで。私達気づけなくって、受験直前に追い込まれて自殺しちゃったの」
「その先生はすぐ辞めさせられて、世間からもかなり批判を浴びたんだけど。あの子まだ部屋に憑りついて、離れられないの」
「…それは、可哀想に。すぐ祓います。お任せください」
俺は彼女の部屋に入った。
「…もうやだ。いい学校入って有名大学入ってエリート企業入って永久に働いて、趣味なんか見つけなくていい、邪魔だから友達もいらない。安定した生活だけ考えろって毎日毎日言われて」
「…私の人生、何のためにあるの」
「…辛かったね」
俺は彼女にお札を貼り、義手で優しく撫でた。
「…ありがとう。義手、あったかいね」
「…熱持たないんだけどね。そう言ってくれてありがとう」
彼女は嬉しそうに消えていった。
「…終わりました。ちゃんと、天国に行けましたよ」
俺は彼女の家を後にし、短い間だが電車に揺られる。
「…俺も昔ド貧乏だったから。いい学校出て良い企業出てお金持ちになるのが間違いなく幸せだと思ってたけど」
「アレされて保護されて。ゆうちゃんに手足貰って、働きはじめてからはそれだけじゃないよなーって思い始めた」
「…良い人生って、何なんだろうな」
少しだけ後。
「おし、番号あった!」
その夜、事務所にて。
「たっくん、無事合格おめでとさん」
「たっくんおめでとー!」
「おめでとう」
「おめでとうございまーす!」
「…おめでとう」
「へへー、皆ありがと!」
「いやーたっくん頑張ったお陰でさ、結構良い高校入れて良かったよね」
「うん、ありがと!内申上げてくれた皆のお陰もあるよ」
「でさ、せっかく収入安定してきてるし、大学も行きたいよね?」
「うーん。俺勉強は嫌いじゃないけど、この仕事でかなり稼げるし。別に大学行かないで高卒で当分この仕事しててもいいなーって思ってる」
「そっか。まあ無理強いは出来ないけどさ。でもキャンパスライフも楽しそうじゃん?」
「それもそうだけどね。まああと何年かあるし、高校生の間に考えてみる」
「そっか、それで良いと思うよ」
「ゆうちゃんはさ、特殊な生い立ちだから学校行けないけど。学校行きたいなーとかは思わないの?」
「うーん。僕はそう思った事ないかな。今の暮らし好きだし」
「そっか。ゆうちゃんがそれで良いならいいんじゃないかな」
「でさ、流石に受験中はなかなか会えなかったけどさ。これからは会い放題だし、そういう事し放題な訳じゃん!」
「だよね、僕達し放題だよね!」
「御堂さんすみません。俺もうそろそろ高校受験なんで、申し訳無いけど少しお仕事休ませてもらえませんか」
「うん、もちろんええよ。学業優先してや」
「すみません。何か月かで終わると思うんで」
「たっくん、受験頑張ってね」
「…頑張れ」
「頑張ってくださーい」
「今度、差し入れを持っていく」
「うん、みんなありがと!」
元々数学以外は割と出来た方だが、家計が安定してからは単発で家庭教師をつけてもらったり、短期間だが予備校に通ったりして、更に学力が安定していた。
仕事の功績のお陰で内申点もかなり良く、模試の結果もほぼ問題無かった。
そんな訳でかなり楽観的に、受験目前まで過ごしていた。
受験寸前のある日。
「たっくん、ほんとにごめん。どうしても他の子達で手の回らないお仕事が急に入っちゃって、すぐ終わると思うから行ってくれない?」
「あ、全然大丈夫ですよ」
「あと数日なのに、ほんとごめんね。たぶん超安全やから安心してね」
「はーい」
そうして、すぐに俺はその民家に向かった。
「…君も受験生で忙しいのに、来てくれてありがとう。…うちの子ね、お受験勉強ずっと頑張ってたんだけど、家庭教師が超スパルタで。私達気づけなくって、受験直前に追い込まれて自殺しちゃったの」
「その先生はすぐ辞めさせられて、世間からもかなり批判を浴びたんだけど。あの子まだ部屋に憑りついて、離れられないの」
「…それは、可哀想に。すぐ祓います。お任せください」
俺は彼女の部屋に入った。
「…もうやだ。いい学校入って有名大学入ってエリート企業入って永久に働いて、趣味なんか見つけなくていい、邪魔だから友達もいらない。安定した生活だけ考えろって毎日毎日言われて」
「…私の人生、何のためにあるの」
「…辛かったね」
俺は彼女にお札を貼り、義手で優しく撫でた。
「…ありがとう。義手、あったかいね」
「…熱持たないんだけどね。そう言ってくれてありがとう」
彼女は嬉しそうに消えていった。
「…終わりました。ちゃんと、天国に行けましたよ」
俺は彼女の家を後にし、短い間だが電車に揺られる。
「…俺も昔ド貧乏だったから。いい学校出て良い企業出てお金持ちになるのが間違いなく幸せだと思ってたけど」
「アレされて保護されて。ゆうちゃんに手足貰って、働きはじめてからはそれだけじゃないよなーって思い始めた」
「…良い人生って、何なんだろうな」
少しだけ後。
「おし、番号あった!」
その夜、事務所にて。
「たっくん、無事合格おめでとさん」
「たっくんおめでとー!」
「おめでとう」
「おめでとうございまーす!」
「…おめでとう」
「へへー、皆ありがと!」
「いやーたっくん頑張ったお陰でさ、結構良い高校入れて良かったよね」
「うん、ありがと!内申上げてくれた皆のお陰もあるよ」
「でさ、せっかく収入安定してきてるし、大学も行きたいよね?」
「うーん。俺勉強は嫌いじゃないけど、この仕事でかなり稼げるし。別に大学行かないで高卒で当分この仕事しててもいいなーって思ってる」
「そっか。まあ無理強いは出来ないけどさ。でもキャンパスライフも楽しそうじゃん?」
「それもそうだけどね。まああと何年かあるし、高校生の間に考えてみる」
「そっか、それで良いと思うよ」
「ゆうちゃんはさ、特殊な生い立ちだから学校行けないけど。学校行きたいなーとかは思わないの?」
「うーん。僕はそう思った事ないかな。今の暮らし好きだし」
「そっか。ゆうちゃんがそれで良いならいいんじゃないかな」
「でさ、流石に受験中はなかなか会えなかったけどさ。これからは会い放題だし、そういう事し放題な訳じゃん!」
「だよね、僕達し放題だよね!」
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