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第17章 戦い
両国との戦
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数日が経った頃、それぞれが献身的に鍛錬と訓練をしていたメンバーは確実に実力を上げていた。
力の底上げと、連携をとることには成功した。
事は順調に進んでいる。
そして会議の日が訪れ、貴族やメンバーがフローレンシアの屋敷へと集結した。
席に着くとフローレンシアが言った。
「計画は立てたわ。これが最初の戦になります。メンバーの配置などもある程度決めました。これは皆さんの戦力に合わせた作戦になります。まずはデュランダルに攻め込みます。闇雲に攻め込むわけではありません。ヴァリアスの動きも把握しています。毎日、デュランダルとヴァリアスに探りを元にした作戦です。両国の密偵は、こちら側で処分しました。ですので、ヴァリアスにバレることはないでしょうが、念のためにデュランダルとヴァリアスの中間地点に兵士を配置します。そのうえでデュランダルに攻め込みます。相手の戦力もつかんでおります。騎士団長は女剣士のアリシアという情報をつかんでいます。特殊なスキルを持っているとのことです。部隊の数は未定ですが、最低でも1500程度になるでしょう。そこで我々は1000人を投入し、500人は中間地点で待機をさせヴァリアス側の動きを封じます。ヴァリアスは魔法部隊ですので、魔法に特化した部隊を配置します」
フローレンシアは一呼吸おいてから話を続けようとしたが、涼音が意見を言った。
「デュランダルのアリシアなら知っているわ。実際にやり合ったこともあるし、共にヴァリアスと戦った経験もあるわ。頭も切れるし、戦闘になればアリシアは素早いし強敵だわ。アリシアが出てきたら私が一騎打ちをするわ」
そして、フローレンシアが話の続きを話し始めた。
「騎士団長にはミッチェルにお任せしました。その補佐として魔法に特化したアリスとシンシアを指名したいと思います。シンシアの闇属性の魔法の幻惑が役に立つのではないかと私は思っています。デュランダルに攻め込む団長には和人さん、あなたにやってもらいます。デュランダル付近にはペールがすでに手を打ってあります。商人たちを通じて建築に詳しい者に頼み込んで罠を設置してもらいました。」
続いて和人が発言した。
「俺もデュランダルを先に攻め込むのは賛成だ。理由はデュランダルには魔法を使える奴は少ないらしい。涼音の話だと教会にいるやつらは魔法を使えるらしいが、戦闘向きじゃないみたいだ。幸いこっちには魔法を使える仲間が多いし、剣術にもたけている。戦力の差で長期戦にはなるだろうが、俺は勝率が高いと思ってる。俺たちの腕の見せ所だ!」
フローレンシアはうなずき、会議の雰囲気が一層引き締まった。
「それでは、各自の役割を再確認します。戦闘の際は、連携を重視し、無駄な動きを避けることが重要です。」
彼女の目が一人一人を見据え、意志を伝える。涼音は自らを奮い立たせ宣言した。
「私がアリシアを引きつける間に、後衛を守るわ。」
仲間たちの頷きが返り、決戦の時が近づく。
会議が終わり、仲間たちはそれぞれの役割を再確認し、準備を進めていった。
フローレンシアは自信に満ちた表情で部屋を出て行き、仲間たちは彼女の背中を見送った。
数日後、ついに決戦の日がやってきた。
仲間たちは戦闘位置につき、緊張感が漂っていた。
涼音とアリシアとの戦いは避けられない運命だった。
そして彼らも勇気を持って立ち向かう覚悟を決めていた。
敵からの進軍の声が鳴り響き始めた。
「あらかじめ仕掛けてあった罠にでもかかっているんだろうな。その罠でどれくらいけるかがもんだいなんだが・・・」
和人が言うとデュランダルの軍隊がかすかに見えはじめてきた。
それぞれが臨戦態勢をとり準備は整っていた。
攻撃の初弾はベルクールの弓の攻撃から始まる。
ソフィーの白龍の力で屋に光の付与をし、光を帯びた3本の同時の矢連射で撃ち放った。
敵兵は混乱をし、慌てる中で体制を整いつつ進軍をしている。
「とりあえず、第1作戦は成功か。後はどう出てくるかが問題だ。気を引き締めて行こう」
当苦を見据えながら和人が言った。
突然、単身でアリシアの姿が現れた驚きの表情を浮かべている。
「涼音?!まさかあなただなんて・・・これはいったいどういうつもり?説明してくれるかしら?」
涼音の手はすでに剣を握っている状態でアリシアに話し出した。
「アリシア・・・久しぶりの再会で申し訳ないんだけど、私たちはセネルを本拠地として各貴族たちや仲間と結束して、この長く続けられている戦争に終止符をうつために動いているのよ。秘宝についても調べたわ。魔力を込めないと秘宝の力は発揮されない。デュランダルには魔法を使える人材はほぼいないわよね?秘宝を使うには膨大な魔力が必要になると古代の本に書いてあったわ。アリシアは国王の考えを知って動いているの?それとも国王の命令だけでヴァリアスと争っているの?答えてくれるかしら」
「私も戦争は好んではいないわ。国王から命じられているのは、ただ一つ。ヴァリアスの秘宝を奪って戦争をなくすことよ。」
そのまま涼音が続けた。
「じゃあもしも、国王かその側近たちが宝石の使い方を知っていて、ヴァリアスの魔法師を捕らえて無理やりデュランダルの秘宝の力を発動させるつもりだとしたら、アリシアはそれに賛成なのかしら?もし、分かっているうえで動いているのなら、私はここであなたを打つわ。言っておくけど、以前の私とは違うわよ」
彼女の目は冷たい笑みが浮かべていた。涼音は剣を抜き、アリシアに向かって歩み寄った。
アリシアの部隊は罠と弓の連撃でそこそこ戦力が落ちて、アリシアにも迷いが出ている。
「その秘宝の使い方は事実なの?2つは揃えば使えると側近たちは言っていたわ」
「私たちは各地を冒険して、七賢人という古代の錬金術師の存在を知ったわ。各地で集めた宝石は5つある。デュランダルのマダスカスとヴァリアスのディストラ。この二つで7つなのよ。単体でも使えるというのも古代の本に書いてあったわ。ヴァリアスは魔法師が揃っているから、この情報を持ち掛ければディストラの力の解放はされるでしょうね。でも800年以上争っているのを考える、両国は知らないと考えるのが道理だわ。ヴァリアスがディストラの力を使っていないってことは知らないと考えるべきね。でもデュランダルはどうかしらね?私が城にいた時は何か企んでいるようにも思えたのだけれども?」
「涼音、いったん兵を引き下げてくれないかしら?私は直接調べるわ。でも、攻撃を仕掛けてきた以上、デュランダルとしては、あなたたちの存在は放置しておけないわ。国王か側近の命令であなたたちを攻撃するわ。少し時間をちょうだい。私は情報を得るまでは戦場には出ないわ」
だが、兵士たちの進軍は止まらず、涼音とアリシア以外は全員が戦いを始めている。
やらなければやられる。
「私が引きつける間、後衛を守ってくれるよう頼むわ!」
ソフィーは力強く叫び、レイピアを振り下ろす。
そして、もう一人の騎士団長は言う不敵な笑みを浮かべながら言った。
「お前たちの連携など、私には届かない。」
ソフィーは白龍の力を使い兵士たちを分断し、戦力も削っていった。
そのままぶつかり合い両軍は何人もの兵士を失った
激しい戦闘が続く中、彼らは決して諦めず、死力を尽くして戦い続けた。
やがて、デュランダル兵士の動きが鈍くなり、仲間たちの攻撃が通じるようになった。
これは和人が放った範囲魔法の成果だ。
ベルクールが弓矢の連射で一斉攻撃を仕掛け、騎士団長の率いる部隊を追い詰めていく。
騎士団長は苦しんだ表情を浮かべながらも、最後まで抵抗し続けた。
しかし、仲間たちの絶え間ない攻撃に耐えられず、ついに力尽きた。
アリシアの部隊は無傷だが、別の騎士団長が率いる部隊はほぼ壊滅状態。
アリシアは戦況を見ながらも苦痛の表情を浮かべていた。
騎士団長はソフィーとの一騎打ちにやぶれて倒れこみ、静寂が戦場に広がった。
仲間たちは疲れた表情で立ち尽くした。
残された部隊はアリシア率いる一軍だけとなった。
きっかけ作りは和人の範囲攻撃だが、ベルクールとソフィーの連携でこちら側の被害は最小限にできた。
アリシアと涼音はまだ話し合っている。
「見渡す限り、完全にこちらの負けね。私の兵は退却するしかないわね。かなりの人材を集めたものね。私は城に戻り、国王に戦況の報告をしなければならない。でも、さっき涼音が言ったことが真実だとしたのならば座視しておけないわ。調べてみるわ」
涼音は一瞬ためらったが、アリシアの真剣な眼差しに心が揺れた。
彼女の言葉が真実だと感じた。
「わかった、でも時間は限られている。私たちはこの戦争を終わらせるために、調べた結果によっては、私の軍が手を組む必要があるかもしれないわ」
涼音は剣を下ろし、アリシアの決意を受け入れることにした。
彼女たちの運命が交錯する瞬間が訪れようとしていた。
和人が率いる部隊が戦場を見渡すと血の匂いが漂い、戦争のあとが残る。
戦場へ出る兵士も数多くいて、初の体験に呆然としていた。
「みんなのおかげでなんとか勝利を収めることが出来た。初めて戦場に出るものには衝撃的なものがあったかもしれないが、これからも何度も戦いは続くと思う。第1に自分の命を守ることを優先としてくれ、第2に仲間が危機の時には必ず助け合って欲しい。勝利への道筋は俺たちが切り開く。セネルに戻り次第、次の戦に備えて演習を続けて欲しい。みんな、これからもよろしく頼む」
和人は兵を引き上げセネルへと帰還し、ヴァリアス側に配置された部隊も伝令を受けてセネルへと帰還した。
帰還するなり早々に和人はフローレンシアの元に向かい今回の状況説明をした。
「そうですか。それではアリシアという騎士団長はしばらくは出てこないわね。それを踏まえるとデュランダルの動きは鈍くなる確率が高いですね。次の目標はヴァリアスと一戦交えましょう。和人さんはヴァリアスにいたのですよね?戦力はどんな感じでしたか?」
「そうだな、二人、ずば抜けて強い魔法師がいたな。エリスという兵法に詳しい魔法師、陣形などにも長けている。後一人は人望が厚いオルスターという魔法師だな。光系統の魔法を得意としている。主に、この二人が指揮をとっている。魔法には詠唱に時間がかかる。エリスの立てた陣形でずいぶん助けられたな。オルスターは魔法の指南役もしていた。あの二人を相手にすると苦戦することは確実だ。エリスはあらゆる陣形を知っているからな」
フローレンシアはしばらく考えてから、次の策を話し出した。
「苦戦しそうね・・・デュランダルの動きを封じつつヴァリアスと事を構えるとなると・・・幻惑魔法が得意なシンシアと古式魔法が得意なクレアを差し向けましょうか。それと、和人、あなたの魔法も必要ね。クレアの古式魔法で奇襲をかけつつ、シンシアの幻惑魔法を用いて奇襲を仕掛けるべきね。混乱したところに和人、あなたの強力な魔法が必要になるわ。デュランダルの動きを封じるのは涼音とクロームにやってもらいましょう。」
「今回は罠はたぶん無理だろうな。どんな陣形で来るか予測はできないからな。出たとこ勝負だ。デュランダルの動きはまず来ないだろう。1部隊を壊滅したからな。あっちにも立て直す時間が必要だろうからな。で、いつ動く?兵士たちにも休息は必要だろうし、訓練をして士気を高めるのもいいと思う。今回、ヴァリアスに攻め込む兵士の数は1500は必要だと思う。デュランダルの動きを封じるのは、涼音とクロームともう一人付けた方が良い。エリーを加えた方が良いだろうな。エリーのペットのケルビーはかなり強いし、エリーの風魔法と涼音がエリーからもらった風の結晶を使えばデュランダルが動いても大丈夫だろう」
「休息なども考えて、次の戦いは7日後にしましょう。それと、兵士たちには勝利を収めた宴を開いて気を休ませましょう」
フローレンシアは明朝、各貴族に連絡を取って、宴の準備をさせた。
宴が始まると兵士たちは大いに盛り上がり、みんなが喜ぶ様子を見てフローレンシアは満足げに喜んでいた。
宴は明け方まで盛り上がり、次の日は休息をとった。
それから次の戦を仕掛ける前は演習の日々が続いた。
今回はヴァリアスに進行予定なので、演習は魔法師部隊がメインとなった。
それぞれが魔法を学び、剣術を学び、各々を高めていった。フローレンシアを中心に作戦会議が開かれることになった。
「今回はヴァリアスに進行します。最前線にはシンシアとクレアにお願いします。隠密性の高いクレアの古式魔法を持って奇襲を仕掛けようと思います。その後に幻惑魔法でわが軍の気配を消しましょう」
「シンシア、かなりの大勢に魔法を発動しなければなりませんが、可能ですか?」
フローレンシアはシンシアに尋ねるとシンシアは頷き、ことは順調に運ぶと思われる。
相手に築かれる前に古式魔法によって攻撃をしかけつつ、シンシアの幻惑魔法で剣士の部隊の姿をくらまし接近戦に持ち込む。
これが成功すれば、接近している剣士に対し、詠唱が必要な相手の魔法師部隊を追い込むことが出来ると思われる。
それと同時にフローレンシアはヴァリアスに向けて承認を束ねる貴族のペールに城内に噂を流す手はずもしていた。
内容は商人たちが城下内にデュランダルが攻め込むという噂を流させて、エリスとオルスターの耳に入れる事。
戦いの場はタリージェ草原と決めていた。
草原ならば遮蔽物がないことで正確に魔法が繰り出せると考えたからだ。
そこでシンシアが案を出した。
「なるほど、タリージェ草原ですね。では、地の精霊術を使いましょう。地中から忍びよせて、1軍の中央付近で発動して分断しましょう。それと同時にクレアの幻惑で近接攻撃をして一気に攻撃を仕掛けましょう。うまくいけば半数は削れるかと思います。うまくいけばの話ですが」
それに対して、和人が意見した。
「なるほど、良い策だな。だがエリスはどんな陣形で来るか分からない。フローレンシア、ペールに頼んでふさわしい人物を差し向けて作戦会議の内容を知る必要があるな。」
「それについては考えておきましょう。商人を召使として出し、作戦会議に潜り込ませる。という手段もありますね。魔法師部隊に紛れ込ませるか、もしくは召使として潜り込ませるか。どちらかをペールに判断してもらいましょう」
ヴァリアスの魔法師部隊はエリスが経てる策で実力以上の戦力を発揮することは和人は知っていた。
こちらも陣形を考えるべきだと和人は考えていた。
続けてフローレンシアに言った。
「ペールにエリーの持っているソウルパワーを持たせるのはどうだろう?それを使えばエリスの策は丸聞こえだ。問題なのがソウルパワーは距離が離れすぎると効果がない。城下町に商人を置くのは簡単だろうから、忍び込む奴と城下町にいる商人に持たせるのが良いと思う。エリー、ソウルパワーを2つ借りれるか?」
エリーは頷いて取りに向かった。
作戦会議はいったん終わり、解散となった。
後はペールの情報をもとに陣形を考え、戦の日が訪れるのを待つだけだ。
毎日、演習を続ける中、和人は戦いにおける本をひたすら読んでいた。
ヴァリアスとの戦の前日がやって来た。
商人たちを通じたペールが情報を持ち帰って来た。
情報によるとエリスは 竜渦(りゅうず)の陣というのとその後に 鋒矢(ほうし)の陣というのを展開するということが分かった。
前衛はエリスの部隊のみでオルスターの部隊は活路が出た時のために待機する策が立てられていることが分かった。
「その陣形ならエリスから聞いたことがある。全方向からの攻撃に備える為の陣形らしい。鋒矢の陣は少ない兵力で敵陣を突破する時に有効な陣形らしい。たぶん大掛かりに兵士を投入してこないんだろうな。竜渦の陣の時に古式魔法で地の精霊を用いて中央で発動させれば、次の陣形に変える前に分断できると思う。それが最大のチャンスだな」
「草原だから部隊で出ると、エリスのとこだ、素早く陣形を整えてくると思う。ちょっと負担がかかるが、シンシアとクレアの二人に先行してもらおうと思う。陣形が崩れたところをついて総攻撃だ、部隊は待機させておいて、詠唱を済ませて魔法の発動を早めよう。分断したところで、おれがエクスプロードで爆発を起こして、戦力を削ぎ落す。そこですかさず、幻影魔法で姿をくらませた剣士部隊で追い打ちをかけてみよう」
そして、戦の日が訪れた。
こちらは準備万端。
クレアがシンシアと自信に幻影魔法をかけて姿をくらましつつシンシアが地の精霊を陣形の中央で発動することとなった。
「よし、みんな。いくぞ!」
ヴァリアスの部隊に向けて出発した。
シンシアとクレアはすでに先行している。
突撃の合図はシンシアの魔法発動後と手はずは取ってある。
クレアは自信とシンシアに幻影魔法をかけ、途中まで行くとシンシアは後退して剣士部隊に大掛かりな幻影魔法で剣士部隊に幻影魔法をかけ、剣士部隊も進行を始めた。
「いい頃合いだな。エクスプロード!」
そして和人が放ったエクスプロードの爆発音が鳴り響いた。
その瞬間、エリスの部隊は混乱を招き、陣形は崩れ去った。
和人の合図で一気に剣士の部隊は一気に前進してばらけてしまった陣形に攻撃を仕掛けた。
接近した剣士の部隊によって、詠唱は間に合わず、後退を余儀なくされ、詠唱を終えたエルスの部隊は応戦して魔法を繰り出すがクレアの古式魔法と剣士の部隊の攻撃によってあっさりと崩れていく。
作戦は見事に成功し、次々とエリスの部隊を壊滅へと追い込んでいくが、オルスターがそれを見過ごすわけがない。
オルスターの部隊も詠唱しながら前進を始め魔法師同士の戦いが繰り広げ始めた。
オルスターの光の魔法で剣士たちの勢いを止めるが、その後に控える魔法師部隊の攻撃と同時にクレアの古式魔法の威力と剣士部隊の追撃によってオルスターの軍も後退をしつつ応戦しているがシンシアの幻術とクレアの古式魔法に全く対応できていないようだった。
和人は馬にまたがりエリスのもとへ向かった。
「エリス!俺だ。お前の部隊は壊滅した。」
「え?和人?なぜあなたがここに?」
「俺は戦争を終わらせるために戦っている。そしてヴァリアスにある宝石も頂く。俺たちの部隊はデュランダル側でもない第3の勢力だ。1度は仲間だったお前らとは、やり合いたくはないが、こっちにも事情があってね。俺たちは全力でデュランダルとヴァリアスを打ち滅ぼす!」
「ヴァリアスにあるディストラはいずれ頂く。理由はそっちで調べろ・・・一つだけ教えておく、ディストラは古代に栄えた名のある錬金術師の七賢人が作ったものだ。俺たちは各地を旅して、すでに5つ持ってる。後の2つはヴァリアスにあるディストラとデュランダルにあるマダスカスのみだ。七賢人はそれぞれ一人ずつが作り出した秘宝だ。城に戻ったら調べてみろ。今日の戦いはお前たちの負けだ!兵を引いてくれないか?それが無理なら俺の力を持って全滅させるが?」
エリスは周りを見渡し、しばらく黙っていた。
混乱に乗じて、エリスの立てた陣形を崩し、ヴァリアス側のエリスの部隊はなんとか詠唱をして抗戦するも幻惑の術によって、その詠唱も的外れな攻撃となってしまっている。
和人の部隊はすでに詠唱を終えた列と入れ替わり、エリスの部隊に容赦なく攻撃を繰り出し、戦力を削ぎ落している。
「私の部隊はほぼ壊滅したようね・・・今日のところは撤退するしかなさそうね。それと、七賢人という錬金術師の件も調べる必要があるわね。でも、これだけは覚えておいて、私は一歩も引かないわ!攻めてきたら受けて立つ!また相まみえる時があるでしょう。次こそ覚悟しておきなさい」
そう言い放つとヴァリアスの軍は後退し、勝利を収めた。
部隊はセネルに戻り和人はフローレンシアの元に行き、報告した。
ひとまずは両国に勝利をおさめたが、デュランダル陣営とヴァリアス陣営の第3の勢力と見なされることとなった。
フローレンシアの命でセネルの強化高め攻め込まれないように尽くすこととなった。
これで七賢人の存在が2国間で広まっていった。
今後、和人陣営が持つ5つの秘宝も狙われる可能性が高くなっていくことになる。
この先、戦争は激化するのか・・・
力の底上げと、連携をとることには成功した。
事は順調に進んでいる。
そして会議の日が訪れ、貴族やメンバーがフローレンシアの屋敷へと集結した。
席に着くとフローレンシアが言った。
「計画は立てたわ。これが最初の戦になります。メンバーの配置などもある程度決めました。これは皆さんの戦力に合わせた作戦になります。まずはデュランダルに攻め込みます。闇雲に攻め込むわけではありません。ヴァリアスの動きも把握しています。毎日、デュランダルとヴァリアスに探りを元にした作戦です。両国の密偵は、こちら側で処分しました。ですので、ヴァリアスにバレることはないでしょうが、念のためにデュランダルとヴァリアスの中間地点に兵士を配置します。そのうえでデュランダルに攻め込みます。相手の戦力もつかんでおります。騎士団長は女剣士のアリシアという情報をつかんでいます。特殊なスキルを持っているとのことです。部隊の数は未定ですが、最低でも1500程度になるでしょう。そこで我々は1000人を投入し、500人は中間地点で待機をさせヴァリアス側の動きを封じます。ヴァリアスは魔法部隊ですので、魔法に特化した部隊を配置します」
フローレンシアは一呼吸おいてから話を続けようとしたが、涼音が意見を言った。
「デュランダルのアリシアなら知っているわ。実際にやり合ったこともあるし、共にヴァリアスと戦った経験もあるわ。頭も切れるし、戦闘になればアリシアは素早いし強敵だわ。アリシアが出てきたら私が一騎打ちをするわ」
そして、フローレンシアが話の続きを話し始めた。
「騎士団長にはミッチェルにお任せしました。その補佐として魔法に特化したアリスとシンシアを指名したいと思います。シンシアの闇属性の魔法の幻惑が役に立つのではないかと私は思っています。デュランダルに攻め込む団長には和人さん、あなたにやってもらいます。デュランダル付近にはペールがすでに手を打ってあります。商人たちを通じて建築に詳しい者に頼み込んで罠を設置してもらいました。」
続いて和人が発言した。
「俺もデュランダルを先に攻め込むのは賛成だ。理由はデュランダルには魔法を使える奴は少ないらしい。涼音の話だと教会にいるやつらは魔法を使えるらしいが、戦闘向きじゃないみたいだ。幸いこっちには魔法を使える仲間が多いし、剣術にもたけている。戦力の差で長期戦にはなるだろうが、俺は勝率が高いと思ってる。俺たちの腕の見せ所だ!」
フローレンシアはうなずき、会議の雰囲気が一層引き締まった。
「それでは、各自の役割を再確認します。戦闘の際は、連携を重視し、無駄な動きを避けることが重要です。」
彼女の目が一人一人を見据え、意志を伝える。涼音は自らを奮い立たせ宣言した。
「私がアリシアを引きつける間に、後衛を守るわ。」
仲間たちの頷きが返り、決戦の時が近づく。
会議が終わり、仲間たちはそれぞれの役割を再確認し、準備を進めていった。
フローレンシアは自信に満ちた表情で部屋を出て行き、仲間たちは彼女の背中を見送った。
数日後、ついに決戦の日がやってきた。
仲間たちは戦闘位置につき、緊張感が漂っていた。
涼音とアリシアとの戦いは避けられない運命だった。
そして彼らも勇気を持って立ち向かう覚悟を決めていた。
敵からの進軍の声が鳴り響き始めた。
「あらかじめ仕掛けてあった罠にでもかかっているんだろうな。その罠でどれくらいけるかがもんだいなんだが・・・」
和人が言うとデュランダルの軍隊がかすかに見えはじめてきた。
それぞれが臨戦態勢をとり準備は整っていた。
攻撃の初弾はベルクールの弓の攻撃から始まる。
ソフィーの白龍の力で屋に光の付与をし、光を帯びた3本の同時の矢連射で撃ち放った。
敵兵は混乱をし、慌てる中で体制を整いつつ進軍をしている。
「とりあえず、第1作戦は成功か。後はどう出てくるかが問題だ。気を引き締めて行こう」
当苦を見据えながら和人が言った。
突然、単身でアリシアの姿が現れた驚きの表情を浮かべている。
「涼音?!まさかあなただなんて・・・これはいったいどういうつもり?説明してくれるかしら?」
涼音の手はすでに剣を握っている状態でアリシアに話し出した。
「アリシア・・・久しぶりの再会で申し訳ないんだけど、私たちはセネルを本拠地として各貴族たちや仲間と結束して、この長く続けられている戦争に終止符をうつために動いているのよ。秘宝についても調べたわ。魔力を込めないと秘宝の力は発揮されない。デュランダルには魔法を使える人材はほぼいないわよね?秘宝を使うには膨大な魔力が必要になると古代の本に書いてあったわ。アリシアは国王の考えを知って動いているの?それとも国王の命令だけでヴァリアスと争っているの?答えてくれるかしら」
「私も戦争は好んではいないわ。国王から命じられているのは、ただ一つ。ヴァリアスの秘宝を奪って戦争をなくすことよ。」
そのまま涼音が続けた。
「じゃあもしも、国王かその側近たちが宝石の使い方を知っていて、ヴァリアスの魔法師を捕らえて無理やりデュランダルの秘宝の力を発動させるつもりだとしたら、アリシアはそれに賛成なのかしら?もし、分かっているうえで動いているのなら、私はここであなたを打つわ。言っておくけど、以前の私とは違うわよ」
彼女の目は冷たい笑みが浮かべていた。涼音は剣を抜き、アリシアに向かって歩み寄った。
アリシアの部隊は罠と弓の連撃でそこそこ戦力が落ちて、アリシアにも迷いが出ている。
「その秘宝の使い方は事実なの?2つは揃えば使えると側近たちは言っていたわ」
「私たちは各地を冒険して、七賢人という古代の錬金術師の存在を知ったわ。各地で集めた宝石は5つある。デュランダルのマダスカスとヴァリアスのディストラ。この二つで7つなのよ。単体でも使えるというのも古代の本に書いてあったわ。ヴァリアスは魔法師が揃っているから、この情報を持ち掛ければディストラの力の解放はされるでしょうね。でも800年以上争っているのを考える、両国は知らないと考えるのが道理だわ。ヴァリアスがディストラの力を使っていないってことは知らないと考えるべきね。でもデュランダルはどうかしらね?私が城にいた時は何か企んでいるようにも思えたのだけれども?」
「涼音、いったん兵を引き下げてくれないかしら?私は直接調べるわ。でも、攻撃を仕掛けてきた以上、デュランダルとしては、あなたたちの存在は放置しておけないわ。国王か側近の命令であなたたちを攻撃するわ。少し時間をちょうだい。私は情報を得るまでは戦場には出ないわ」
だが、兵士たちの進軍は止まらず、涼音とアリシア以外は全員が戦いを始めている。
やらなければやられる。
「私が引きつける間、後衛を守ってくれるよう頼むわ!」
ソフィーは力強く叫び、レイピアを振り下ろす。
そして、もう一人の騎士団長は言う不敵な笑みを浮かべながら言った。
「お前たちの連携など、私には届かない。」
ソフィーは白龍の力を使い兵士たちを分断し、戦力も削っていった。
そのままぶつかり合い両軍は何人もの兵士を失った
激しい戦闘が続く中、彼らは決して諦めず、死力を尽くして戦い続けた。
やがて、デュランダル兵士の動きが鈍くなり、仲間たちの攻撃が通じるようになった。
これは和人が放った範囲魔法の成果だ。
ベルクールが弓矢の連射で一斉攻撃を仕掛け、騎士団長の率いる部隊を追い詰めていく。
騎士団長は苦しんだ表情を浮かべながらも、最後まで抵抗し続けた。
しかし、仲間たちの絶え間ない攻撃に耐えられず、ついに力尽きた。
アリシアの部隊は無傷だが、別の騎士団長が率いる部隊はほぼ壊滅状態。
アリシアは戦況を見ながらも苦痛の表情を浮かべていた。
騎士団長はソフィーとの一騎打ちにやぶれて倒れこみ、静寂が戦場に広がった。
仲間たちは疲れた表情で立ち尽くした。
残された部隊はアリシア率いる一軍だけとなった。
きっかけ作りは和人の範囲攻撃だが、ベルクールとソフィーの連携でこちら側の被害は最小限にできた。
アリシアと涼音はまだ話し合っている。
「見渡す限り、完全にこちらの負けね。私の兵は退却するしかないわね。かなりの人材を集めたものね。私は城に戻り、国王に戦況の報告をしなければならない。でも、さっき涼音が言ったことが真実だとしたのならば座視しておけないわ。調べてみるわ」
涼音は一瞬ためらったが、アリシアの真剣な眼差しに心が揺れた。
彼女の言葉が真実だと感じた。
「わかった、でも時間は限られている。私たちはこの戦争を終わらせるために、調べた結果によっては、私の軍が手を組む必要があるかもしれないわ」
涼音は剣を下ろし、アリシアの決意を受け入れることにした。
彼女たちの運命が交錯する瞬間が訪れようとしていた。
和人が率いる部隊が戦場を見渡すと血の匂いが漂い、戦争のあとが残る。
戦場へ出る兵士も数多くいて、初の体験に呆然としていた。
「みんなのおかげでなんとか勝利を収めることが出来た。初めて戦場に出るものには衝撃的なものがあったかもしれないが、これからも何度も戦いは続くと思う。第1に自分の命を守ることを優先としてくれ、第2に仲間が危機の時には必ず助け合って欲しい。勝利への道筋は俺たちが切り開く。セネルに戻り次第、次の戦に備えて演習を続けて欲しい。みんな、これからもよろしく頼む」
和人は兵を引き上げセネルへと帰還し、ヴァリアス側に配置された部隊も伝令を受けてセネルへと帰還した。
帰還するなり早々に和人はフローレンシアの元に向かい今回の状況説明をした。
「そうですか。それではアリシアという騎士団長はしばらくは出てこないわね。それを踏まえるとデュランダルの動きは鈍くなる確率が高いですね。次の目標はヴァリアスと一戦交えましょう。和人さんはヴァリアスにいたのですよね?戦力はどんな感じでしたか?」
「そうだな、二人、ずば抜けて強い魔法師がいたな。エリスという兵法に詳しい魔法師、陣形などにも長けている。後一人は人望が厚いオルスターという魔法師だな。光系統の魔法を得意としている。主に、この二人が指揮をとっている。魔法には詠唱に時間がかかる。エリスの立てた陣形でずいぶん助けられたな。オルスターは魔法の指南役もしていた。あの二人を相手にすると苦戦することは確実だ。エリスはあらゆる陣形を知っているからな」
フローレンシアはしばらく考えてから、次の策を話し出した。
「苦戦しそうね・・・デュランダルの動きを封じつつヴァリアスと事を構えるとなると・・・幻惑魔法が得意なシンシアと古式魔法が得意なクレアを差し向けましょうか。それと、和人、あなたの魔法も必要ね。クレアの古式魔法で奇襲をかけつつ、シンシアの幻惑魔法を用いて奇襲を仕掛けるべきね。混乱したところに和人、あなたの強力な魔法が必要になるわ。デュランダルの動きを封じるのは涼音とクロームにやってもらいましょう。」
「今回は罠はたぶん無理だろうな。どんな陣形で来るか予測はできないからな。出たとこ勝負だ。デュランダルの動きはまず来ないだろう。1部隊を壊滅したからな。あっちにも立て直す時間が必要だろうからな。で、いつ動く?兵士たちにも休息は必要だろうし、訓練をして士気を高めるのもいいと思う。今回、ヴァリアスに攻め込む兵士の数は1500は必要だと思う。デュランダルの動きを封じるのは、涼音とクロームともう一人付けた方が良い。エリーを加えた方が良いだろうな。エリーのペットのケルビーはかなり強いし、エリーの風魔法と涼音がエリーからもらった風の結晶を使えばデュランダルが動いても大丈夫だろう」
「休息なども考えて、次の戦いは7日後にしましょう。それと、兵士たちには勝利を収めた宴を開いて気を休ませましょう」
フローレンシアは明朝、各貴族に連絡を取って、宴の準備をさせた。
宴が始まると兵士たちは大いに盛り上がり、みんなが喜ぶ様子を見てフローレンシアは満足げに喜んでいた。
宴は明け方まで盛り上がり、次の日は休息をとった。
それから次の戦を仕掛ける前は演習の日々が続いた。
今回はヴァリアスに進行予定なので、演習は魔法師部隊がメインとなった。
それぞれが魔法を学び、剣術を学び、各々を高めていった。フローレンシアを中心に作戦会議が開かれることになった。
「今回はヴァリアスに進行します。最前線にはシンシアとクレアにお願いします。隠密性の高いクレアの古式魔法を持って奇襲を仕掛けようと思います。その後に幻惑魔法でわが軍の気配を消しましょう」
「シンシア、かなりの大勢に魔法を発動しなければなりませんが、可能ですか?」
フローレンシアはシンシアに尋ねるとシンシアは頷き、ことは順調に運ぶと思われる。
相手に築かれる前に古式魔法によって攻撃をしかけつつ、シンシアの幻惑魔法で剣士の部隊の姿をくらまし接近戦に持ち込む。
これが成功すれば、接近している剣士に対し、詠唱が必要な相手の魔法師部隊を追い込むことが出来ると思われる。
それと同時にフローレンシアはヴァリアスに向けて承認を束ねる貴族のペールに城内に噂を流す手はずもしていた。
内容は商人たちが城下内にデュランダルが攻め込むという噂を流させて、エリスとオルスターの耳に入れる事。
戦いの場はタリージェ草原と決めていた。
草原ならば遮蔽物がないことで正確に魔法が繰り出せると考えたからだ。
そこでシンシアが案を出した。
「なるほど、タリージェ草原ですね。では、地の精霊術を使いましょう。地中から忍びよせて、1軍の中央付近で発動して分断しましょう。それと同時にクレアの幻惑で近接攻撃をして一気に攻撃を仕掛けましょう。うまくいけば半数は削れるかと思います。うまくいけばの話ですが」
それに対して、和人が意見した。
「なるほど、良い策だな。だがエリスはどんな陣形で来るか分からない。フローレンシア、ペールに頼んでふさわしい人物を差し向けて作戦会議の内容を知る必要があるな。」
「それについては考えておきましょう。商人を召使として出し、作戦会議に潜り込ませる。という手段もありますね。魔法師部隊に紛れ込ませるか、もしくは召使として潜り込ませるか。どちらかをペールに判断してもらいましょう」
ヴァリアスの魔法師部隊はエリスが経てる策で実力以上の戦力を発揮することは和人は知っていた。
こちらも陣形を考えるべきだと和人は考えていた。
続けてフローレンシアに言った。
「ペールにエリーの持っているソウルパワーを持たせるのはどうだろう?それを使えばエリスの策は丸聞こえだ。問題なのがソウルパワーは距離が離れすぎると効果がない。城下町に商人を置くのは簡単だろうから、忍び込む奴と城下町にいる商人に持たせるのが良いと思う。エリー、ソウルパワーを2つ借りれるか?」
エリーは頷いて取りに向かった。
作戦会議はいったん終わり、解散となった。
後はペールの情報をもとに陣形を考え、戦の日が訪れるのを待つだけだ。
毎日、演習を続ける中、和人は戦いにおける本をひたすら読んでいた。
ヴァリアスとの戦の前日がやって来た。
商人たちを通じたペールが情報を持ち帰って来た。
情報によるとエリスは 竜渦(りゅうず)の陣というのとその後に 鋒矢(ほうし)の陣というのを展開するということが分かった。
前衛はエリスの部隊のみでオルスターの部隊は活路が出た時のために待機する策が立てられていることが分かった。
「その陣形ならエリスから聞いたことがある。全方向からの攻撃に備える為の陣形らしい。鋒矢の陣は少ない兵力で敵陣を突破する時に有効な陣形らしい。たぶん大掛かりに兵士を投入してこないんだろうな。竜渦の陣の時に古式魔法で地の精霊を用いて中央で発動させれば、次の陣形に変える前に分断できると思う。それが最大のチャンスだな」
「草原だから部隊で出ると、エリスのとこだ、素早く陣形を整えてくると思う。ちょっと負担がかかるが、シンシアとクレアの二人に先行してもらおうと思う。陣形が崩れたところをついて総攻撃だ、部隊は待機させておいて、詠唱を済ませて魔法の発動を早めよう。分断したところで、おれがエクスプロードで爆発を起こして、戦力を削ぎ落す。そこですかさず、幻影魔法で姿をくらませた剣士部隊で追い打ちをかけてみよう」
そして、戦の日が訪れた。
こちらは準備万端。
クレアがシンシアと自信に幻影魔法をかけて姿をくらましつつシンシアが地の精霊を陣形の中央で発動することとなった。
「よし、みんな。いくぞ!」
ヴァリアスの部隊に向けて出発した。
シンシアとクレアはすでに先行している。
突撃の合図はシンシアの魔法発動後と手はずは取ってある。
クレアは自信とシンシアに幻影魔法をかけ、途中まで行くとシンシアは後退して剣士部隊に大掛かりな幻影魔法で剣士部隊に幻影魔法をかけ、剣士部隊も進行を始めた。
「いい頃合いだな。エクスプロード!」
そして和人が放ったエクスプロードの爆発音が鳴り響いた。
その瞬間、エリスの部隊は混乱を招き、陣形は崩れ去った。
和人の合図で一気に剣士の部隊は一気に前進してばらけてしまった陣形に攻撃を仕掛けた。
接近した剣士の部隊によって、詠唱は間に合わず、後退を余儀なくされ、詠唱を終えたエルスの部隊は応戦して魔法を繰り出すがクレアの古式魔法と剣士の部隊の攻撃によってあっさりと崩れていく。
作戦は見事に成功し、次々とエリスの部隊を壊滅へと追い込んでいくが、オルスターがそれを見過ごすわけがない。
オルスターの部隊も詠唱しながら前進を始め魔法師同士の戦いが繰り広げ始めた。
オルスターの光の魔法で剣士たちの勢いを止めるが、その後に控える魔法師部隊の攻撃と同時にクレアの古式魔法の威力と剣士部隊の追撃によってオルスターの軍も後退をしつつ応戦しているがシンシアの幻術とクレアの古式魔法に全く対応できていないようだった。
和人は馬にまたがりエリスのもとへ向かった。
「エリス!俺だ。お前の部隊は壊滅した。」
「え?和人?なぜあなたがここに?」
「俺は戦争を終わらせるために戦っている。そしてヴァリアスにある宝石も頂く。俺たちの部隊はデュランダル側でもない第3の勢力だ。1度は仲間だったお前らとは、やり合いたくはないが、こっちにも事情があってね。俺たちは全力でデュランダルとヴァリアスを打ち滅ぼす!」
「ヴァリアスにあるディストラはいずれ頂く。理由はそっちで調べろ・・・一つだけ教えておく、ディストラは古代に栄えた名のある錬金術師の七賢人が作ったものだ。俺たちは各地を旅して、すでに5つ持ってる。後の2つはヴァリアスにあるディストラとデュランダルにあるマダスカスのみだ。七賢人はそれぞれ一人ずつが作り出した秘宝だ。城に戻ったら調べてみろ。今日の戦いはお前たちの負けだ!兵を引いてくれないか?それが無理なら俺の力を持って全滅させるが?」
エリスは周りを見渡し、しばらく黙っていた。
混乱に乗じて、エリスの立てた陣形を崩し、ヴァリアス側のエリスの部隊はなんとか詠唱をして抗戦するも幻惑の術によって、その詠唱も的外れな攻撃となってしまっている。
和人の部隊はすでに詠唱を終えた列と入れ替わり、エリスの部隊に容赦なく攻撃を繰り出し、戦力を削ぎ落している。
「私の部隊はほぼ壊滅したようね・・・今日のところは撤退するしかなさそうね。それと、七賢人という錬金術師の件も調べる必要があるわね。でも、これだけは覚えておいて、私は一歩も引かないわ!攻めてきたら受けて立つ!また相まみえる時があるでしょう。次こそ覚悟しておきなさい」
そう言い放つとヴァリアスの軍は後退し、勝利を収めた。
部隊はセネルに戻り和人はフローレンシアの元に行き、報告した。
ひとまずは両国に勝利をおさめたが、デュランダル陣営とヴァリアス陣営の第3の勢力と見なされることとなった。
フローレンシアの命でセネルの強化高め攻め込まれないように尽くすこととなった。
これで七賢人の存在が2国間で広まっていった。
今後、和人陣営が持つ5つの秘宝も狙われる可能性が高くなっていくことになる。
この先、戦争は激化するのか・・・
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