ダークオベリオン ～剣と魔法が支配する世界～

第１５章 再開、再び

新たなる再開

３人はセネルへ戻ると、とりあえず、食堂へ向かい食事をしながら話し込んでいた。

「今回も危なかったね～、とりあえず、宝石は手に入れたけど、俺はこれを依頼主には渡さないでおく事にするよ」

「この後、ちょっと寄りたい街がある。まずはそこだ。場所はデルフィーの近くにあった宮殿だ。あの錬金術師がいたって言う場所な。宝石についての文献をもう一度探したい。その後はコリン村に行ってルークに会いに行く」

「ソフィーはこの後はどうするんだ？傭兵の国セネルに留まってギルドの依頼で儲けるのか」

ソフィーはしばらく考え、話し始めた。

「私は・・・どうしようかしらね。うっとおしい戦争をどうにかしたいんだけどね。これといってやりたいこともないし、着いていこうかしら」

和人と涼音はソフィーの言葉に考え込んでいたが、ソフィーがいると心強い。
やはり連れて行くことを決めた。

３人は固い絆で結ばれ、新たな冒険へと旅立つ覚悟を決めた。

セネルを後にし、３人はデルフィーの近くにある宮殿へと足を運んだ。
宮殿は壮大な建物で、内部には錬金術師たちが集まる場所があった。

「前にも来たけど、でかいな。涼音、古書の場所は覚えているか？」

「たしか、こっちだったような・・・」

宝石に関する文献を探すために、３人は宮殿内を探索し始める。
しかし、宮殿の中は広大で迷路のように入り組んでおり、なかなか目的の場所に辿り着くことができなかった。

「相変わらず広い場所だな・・・どこに行けばいいのかさっぱりわからないな。前は必死だったからな」

涼音の言葉にソフィーは考え込んでいたが、突然、宮殿の奥から声が聞こえてきた。

「おい、誰かいるのか？！助けてくれ！」

声の主は若い男性であり、困った様子で３人を呼び止めている。

「どうしたんだ？何かあったのか？」

和人が尋ねると、男性は急いで話し始めた。

「宮殿内で書物を探しているときに魔物が出現してしまったんだ！錬金術師たちは一斉に対処に向かったけれど、私はまだ弱くて戦えないんだ！助けてくれ！」

３人は迷わず男性の言葉に応じ、宮殿の奥へと駆け出した。すると、目の前には巨大な魔物が立ちはだかっていた。

「これまた・・・強敵そうだな。時間がない、１体だけだ、サクッと片付けるぞ」

和人は剣を抜き、涼音は風と水の力を纏って構える。ソフィーも白龍を手にし、準備を整えた。

「３人で協力すればなんてことない。一気に倒せそうだ。行くぞ！」

３人は力を合わせて魔物に立ち向かった。

「３人同時攻撃で、スパッと首をはねるか。涼音の剣とソフィーの白龍に風の付与をかける。ソフィーは白龍に光を付与してくれ。それに上書きする。涼音は水の刃を纏わせて居合の体制をとってくれ。風の加護と剣には水の力を増幅する付与をかける。俺はグレイトフレイムランスで攻撃する」

和人とソフィーが一気に詰め寄ると、ソフィーは白龍で風の付与を受けた光と風の組み合わせで首をめがけて攻撃すると同時に和人はグレイトフレイムランスで首を突き刺すと燃え上がり、その隙をついて、風の付与で高速で詰め寄り、水を帯びた刃で居合抜きをして首に直撃させた。
魔物の首が地面に転がり落ちた。

「つえぇ・・・あの巨大な魔物と一瞬で倒すなんて。君たちはいったい何者なんだ？」

涼音も和人も幾重にも重なる戦闘で飛躍的に強くなっている。

「まぁ、こんなもんか・・・敵じゃないな。あぁ、俺たちはただの冒険者だよ。ここにはちょっと用事があってね・・・前にもここには来たことがあるんだよ。あんたなら知らないかな？七賢人が作り出した宝石についての文献。ここなら絶対あると思って、また立ち寄ったんだけど」

「あぁ、それが目的だったのか・・・確かここの古書にあるあるはずだ。僕ら錬金術師の間でも七賢人は有名だからね。助けてくれたお礼に僕が案内するからついてきて」

何やら神殿について詳しい青年の後についていくと迷わずに書庫に着いた。

「ちょっと待っててくれないか？僕が探してくるよ。ここにある本はほとんどが魔法文字や古代文字だから。僕らは読めるからすぐに見つかると思う」

「今回はスムーズに事が運べそうだな。暫く待ってみるか」

和人がそう言うと、とりあえず本探しは任せて待機することにした。
暫くすると青年が戻ってきて分厚い本を一冊持ってきた。
本のタイトルは錬金術の歴史と七賢人と書いてあるそうだ。

「お待たせ、書庫にいる仲間と一緒に探してみたんだけど、多分これじゃないかな。七賢人が作った宝石についても載っているよ。錬金術の歴史と七賢人についても書かれているよ。宝石はそれぞれの錬金術師が一つずつ創り出して各地に奉納されてるみたいだけど・・・なんでも７つ揃うと、様々な効果があるらしい。君たちは七賢人が作り出した宝石をもとめているのかぃ？」

「まぁ、そんなところかな。７つ揃わないと使えないのか？」

「いや、そうではないよ。一つでも使うことが可能みたいだけど、最大限に効果を出すには７つ必要みたいだね」

和人は本を受け取ってペラペラとページをめくってみるが、さっぱりわからなかった。

「よし、とりあえず目的のものは見つかったな。案外あっさり見つかったな。それで、あんたらは何のためにこの宮殿に来たんだ？戦えないのにこんなところに来たら危ないぞ？」

「僕ら錬金術師は七賢人は神として崇められているんだよ。ここが発祥の地だからね。僕らも七賢人については前々から調べていたんだ」

「ふ～ん・・・俺たちは行くけど、また魔物が出る前に退散した方が良いと思うぞ？それじゃあな。ありがとさん」

少し気がかりだったが３人は神殿を後にして、次の目的地であるコリン村に向かうことにした。

「コリン村か・・・久々だな。ルークはうまくやってるんかな？」

「まあ、バロックがいなくなって暮らしは豊かになっているんじゃないかしら。ソフィーはコリン村には行ったことはあるの？」

涼音がソフィーに尋ねると、ソフィーは以前にバロックに雇われて仕事をしようとしていたらしい。
気に食わない依頼だったらしくて、険悪なムードになって依頼はキャンセルしたそうだ。
時おり休憩をはさんでコリン村に向かうが休憩のたびに涼音とソフィーが鍛錬をしている。

「お前たち、良く飽きないな・・・もう十分強いんだから良いんじゃないか？」

「私はソフィーから教わりたいことがたくさんあるの」

「私も涼音から、その居合っていうのを教えてもらいたいの」

「戦闘ヲタクか！・・・俺は早いとこ元の世界に戻って２次元の嫁たちとイチャつきたいわ」

涼音は何も言わないが呆れた顔をしている。
出発すると、コリン村が見えてきた。

「和人、あそこ、見えてきたわよ。コリン村」

「腹減ったし、早いとこルークに会いに行こうぜ。あ、ソフィー、ルークってのは新しい領主なんだよ。前のバロックってやつは処分して気の優しいルークって貴族を領主にしたんだよ」

「へぇ～、そうなのね。じゃあ、以前とは変わっているのかしらね」

村の入り口には兵士が立っていたが、歓迎して中へ通してくれた。
そのままルークの屋敷へと向かった。

「ルーク、その後はどうなんだ？うまくやりくりしているのか？」

「ええ、あなた方のおかげで村は平和になりました。色々とありましたが、村人たちも裕福な生活を送っています。バロックの屋敷は今は空き家になっています。村の中間地点なので、住人たちは私に住んで欲しいそうですがまだまだやることがたくさんありまして。村をまとめるのは大変です。そうそう、少し前にエリーさんがこの村に来ましたよ。村を出たばかりなので、まだ近くに入ると思います」

「エリーか・・・両親の手がかりは見つかったのかな？気になるな。近くにいるんだったらエリーからもらったソウルパワーを使って呼んでみるか？」

「そうね、私もエリーには会いたいわ。ソフィーは所見になるわね。テイマーでケルビーってペットを従えているのよ。風魔法が使えるのよ」

話し込んでいると、ルークが屋敷へ招き入れてくれて、召使が豪勢な料理を持ってきてくれた。

「うまそっ！遠慮なくいただくよ。皆も食べようぜ。っと、ちょっとソウルパワーでエリーに話しかけてみるわ」

和人は食べながら、エリーから受け取ったソウルパワーを使って呼びかけてみた。
すると、うまく繋がってエリーは引き返して、コリン村に戻るとのことだった。
丁度食べ終わったところでドアからノックの音が聞こえてきた。
召使がドアを開けるとケルビーに乗ったエリーが姿を見せた。

「わー、エリー！久しぶりね、元気してた？何か両親の手がかりはつかめた？」

エリーは首を横に振り情報はなかったそうだ。
涼音は今までの経緯を話して、新たに仲間になったソフィーを紹介した。
エリーはちょっと緊張した面持ちで自己紹介をすると、ソフィーも自己紹介をした。

「ソフィーは強いわよ。今の私じゃ勝てないくらいの強さを持っているのよ。差し詰め魔法剣士ってところかな～。色々と鍛錬に付き合ってくれているの」

「エリーちゃんでいいかしら？私はソフィアン、ソフィーでいいわ。よろしくね」

「あ、はい、よろしくお願いします。それで・・・３人はどうしてこの村に？」

和人は七賢人のことや、宝石のことを細かく説明してみせた。
そして神殿にあった錬金術の歴史と七賢人と書かれた本を見せた。

「ルークにはついて早々だったからまだ行ってなかったけど、この本の解読を頼もうと思ってね。どうだろうエリーこれからは一緒に行動しないか？俺は、ちょっとした大きなことをやろうとしてるんだよ。まだ二人には話してないけどね。またエリーがいてくれると心強いし」

「それは構いませんが、何をやろうとしているんですか？」

「ついて早々だから、まずは本の解読からかな。それで答えが出る。その時にみんなに話そうと思ってるんだ」

エリーが再び加わり４人となった。
この先に待ち構えているものはいったい何なのか・・・・・