ダークオベリオン ~剣と魔法が支配する世界~ 

詩樹

文字の大きさ
上 下
10 / 26
第10章 村の平和をかけて

新たなる宝石の取得と領主の粛清

しおりを挟む
朝になり、二人は荷物をまとめると、まずは食堂へ向かい、例の宝石と古代の文字を解読できる人はいないかを話し合っていた。
この宝石が何に利用されるかも疑問に思うところだ。
領主は重税を課し、人々を平気で苦しませるような人物だ。
もしも、この宝石に込められた力が悪用されたら、さらに厄介なことになる事は予想できることから、まずは領主のもとに向かう前に村を回って、この古代の文字を解読できる人を探し当てることを先決した。
村を回って、酒場・武器屋・食堂と色々見て回ると一際大きな屋敷が見えてきた。
和人はその屋敷のドアをノックして声をかけた。

「すいませーん。どなたかいますかー?聞きたいことがあるんですけどー」

するとドアが開き、身なりが住人とは違い高そうな身なりをしている青年が姿を現した。
その青年の話によると、領主よりも下の立場にある貴族だということが分かった。
村に課せられた重税に関しても納得できないということやどうにかしたいとか色々と話し合った。

「ふーん、なるほどね。確かにあのバロックとかいう領主はいけ好かないな。あんたも貴族談でしょ?権力を使って何とかできないのか?あと、それとは別なんだが、この文字を読める人はいないかな?俺たちはバロックのところにいって条件として、この宝石を手に入れてきたんだが、石碑に古代の文字らしいのをメモしてきたんだ。もし解読できれば、宝石に込められた力も解明できるんじゃないかなって」

和人はルークに古代文字を見せて、ルークはそれを見ながら色々と話し始めた。
和人たちもこれまでの経緯と自己紹介をしルークと色々と話した。
古代文字の件も話すとルークが口を開き読めるかもしれない人物を紹介してくれた。

「私も村の人々に何とかしてあげたいと、物資を提供しているのですが、それだけでは賄うのは難しいのです。申し遅れました、私の名前はルークといいます。バロック様よりも権限が下にある身なので直談判ができない立場にあるのです。・・・この文字ですか、解読できるかは分かりませんが、この村には古くからある協会があります。そこの司教様なら、あるいは読めるかもしれませんね」

和人たちもこれまでの経緯と自己紹介をしルークと色々と話した。
古代文字の件も話すとルークが口を開き読めるかもしれない人物を紹介してくれた。
和人たちはルークが教えてくれた協会に向かう中バロックやルークについて話し合っていた。

「あのルークっていう貴族は信用できそうだな。あいつが領主になれば、この村も変わるんだろうけど、どうすればいいと思う?俺はこの状況を見過ごして次の村に行くのはちょっとなー」

「そうね。私もそう思うわ。でもまずはこの文字を解読してもらって、この宝石が何なのか調べたうえでバロックのところに行ってなんとかしてみようか?でも、この宝石はバロックの手には渡せない気がするわ。あの傲慢さを見る限り悪用でもされたらどうなるか分かったもんじゃないわ。魔力が込められてるとか言ってたから使い方次第で悪用も出来たり、良い方向にもできたりするんじゃないかしら」

和人がある建物を指さした。

「あれじゃないかな?いかにも教会だよな。早速向かってみるか」

教会に付き、大聖堂に入ると信者が出迎えてくれたが司教に会うにはお布施が必要だという。
少し腹立たしいものはあったが、合わないことには話が進まないと思い仕方なしに金貨1枚を聖杯のようなものに投げ入れた。
すると信者は階段を上り、司教を呼びに行くと、数名の信者と共に司教と思われる人物が姿を見せた。


司教は和人たちに微笑みかけながら、静かな声で話し始めた。

「ようこそ、私の大聖堂へ。私はエドワード司教と申します。どのようなご用件でしょうか?」

和人は緊張しながら、宝石と古代の文字のことを説明した。
そして、ルークからの紹介であることも伝えた。
エドワード司教は興味津々の表情で古代の文字を見つめ、しばらく考え込んだ後、頷いた。

「これは確かに古代の魔法文字ですね。私は幼い頃から古代の書物に興味を持っており、少しだけ解読の経験があります。もちろん、すべての文字を理解することはできませんが、何かお手伝いできることがあれば喜んでします」

和人たちは安堵の表情を浮かべ、宝石に込められた力を解明するためにエドワード司教と協力することに決めた。

エドワード司教は和人たちを専用の書庫に案内し、古代の書物を取り出した。
彼は丁寧に文字を解読し、宝石についての情報を手に入れた。

「なるほど、この宝石は『永遠の命』という力を持っているようです。宝石の名前は「エタニティー」と書いてありますね。ですが、その力は使い手次第で善にも悪にもなり得ます。バロック領主の手に渡れば、彼の横暴さがさらに増すことでしょう」

和人たちは再び協議を始めた。

「私たちがこの宝石を持ち帰り、バロックに渡さないようにするにはどうすればいいのでしょうか?」

和人がエドワード司教に尋ねた。
エドワード司教は真剣な表情で答えた。
この村の重税、そして協会へのお布施、まだまだありますが、すべてはバロック領主の命令なのだという。

「私の提案ですが、この宝石を秘密裏に保管し、バロックに渡すふりをすることが良いかと。私の協会には私を含めて魔法を使える信者たちがいますが、彼らの力だけでは限界があります。この村の人々に呼びかけ、バロックに立ち向かえる勢力を作り上げましょう」

和人たちはエドワード司教の提案に頷き、決意を固めた。

「では、まずは村の人々にバロックの真の姿を知らせ、共に立ち上がるように呼びかけましょう。俺たちたちの戦いはこれから始まる」

和人たちは結束し、バロック領主に立ち向かうために行動を開始した。次の村に進む前に、この村の人々を組織し、バロックの横暴を許さない決意を固めたのだった。
領主バロックは精鋭ぞろいの部隊がいるという話で、その兵士たちは、デュランダルから派遣されて雇い入れた兵士らしい。

「とりあえず、もう一度ルークのところに行って事情を話してみようと思う。村人に色々と支援しているようだから村人の信頼も厚いんじゃないかな?」

「そうね、バロックを退けて、ルークを領主にするのが、この村にとってもいいと思うわ」

そして二人は再びルークの屋敷へ向かい、屋敷内の客間で3人は話し合う事になった。
ルークは村人のためなら協力したいと申し出て、席を立つと二人を別の部屋へ招き入れた。
そこには色々な武器が壁に飾られており、棚には竜の形をした置物や原石など、色々なものがあり、これはルークの財産で、これらを少しずつ商人に買い取ってもらい村人のために物資を補給して分け与えているという。
ルークは一つの紫色の原石を取り出すと、それを和人に手渡して、魔法の石と見せかけて渡すように提案した。
和人はそれを受け取るなり、早々に置物に目を光らせていた。

「おぉ!フィギュアみてーだな。おい。俺んちにもいっぱいあるぞ?ほら、涼音も俺の部屋でみたことあるだろ?こういうのも欲しいんだよなー」

「あー、はいはい。見たことありますよー。エロいのとか見たわよ・・・それにね、あんた。本棚は本を置くところで合ってエロゲーを置くところじゃないわよ!このヲタク・・・」

涼音は呆れ顔でそういうと、ルークの頭にははてなマークがあるような表情をしていた。

「村人の中には冒険者もいますし、兵士に志願したくて訓練を積んでいる住人も数多くいます。その方たちに声をかけてみましょう。作戦はあなた方にお任せします。この魔法石のある場所は魔物の住処になっていたので、これを持ち帰ることが出来るということは戦いなれているのでしょうね」

数日かけて、司教たちの結束と、ルークの呼びかけに応じた住人が揃った。
作戦は、この偽の宝石を門番にちらつかせ、屋敷に入り込み、内側から門を破壊して一気に突っ切るという単純な作戦をとることにした。
それは村の被害を最大限に抑えることになる。

「まあ。争いごとは最小限に抑えよう。俺たちがバロックと話してみて、無理ならやむを得ないな。無理だと思うけどな・・・」

「そうね、あの傲慢さだとまず無理でしょうね。表立っては良いことを言って、裏では何かもくろんでいそうだしね」

二人はバロックの屋敷へと到着するなり、門番に偽の宝石を見せて中へ通してもらうことになり、バロックと話し合った。

「ほら、魔法の石を手に入れてきたぞ?これを渡すから税を引き下げて、住民に裕福な生活を与えてくれないか?」

バロックは目を輝かせて、まじまじと宝石を見ると手に入れたいがために話し始めた。

「ああ、もちろん約束しよう。税を引き下げて、村人たちのために励もうじゃないか。それから、お前たちにも報奨金を与えよう」

涼音は嘘をついていることをすぐに見抜いた。
欲望にまみれた表情に口から出まかせ。
すでに戦いを始める遂行していて、合図を待つ状態になっていた。
当然、ルークや住人は戦闘経験が薄いせいで不安がよぎっていたが、村を変えるためならばと決意を固めていた。
剣士の部隊と魔法師の部隊の準備は整っていた。

ルークは和人の魔法によって打ち上げられた火球を見て、合図と共に住人たちに攻撃を開始するよう命じた。

剣士たちはバロックの兵士たちに立ち向かい、激しい戦闘が始まった。
一方、魔法師たちは様々な魔法を駆使して敵を攻撃し、仲間を傷から癒しバロックの屋敷内に混乱をもたらした。

和人はエドワード司教と共にバロックの部屋に向かった。バロックは驚きの表情を浮かべながらも、抵抗することなく和人たちに逆らうことを諦めた。

「何故、こんなことをする?私の申し出は本気だったのに」

和人は冷たい笑みを浮かべながら答えた。

「バロック、お前の申し出は虚偽だった。俺たちは村人のためにお前の横暴な支配は終わりにするためだ」

バロックは怒りの表情を浮かべながらも、和人たちが立ち上がった理由を理解した。

「ならば、私は力で制し、この地を支配する。お前たちには何もできない」

一度は敗北を認めたが、それも演技だった。
バロックは魔法を操り、和人たちに襲いかかった。
しかし、エドワード司教の魔法の力も加わり、和人たちはバロックとの戦いに勝利を収めた。
バロックは敗北を悟り、絶望の表情を浮かべがくりと膝をついた。

「私の夢が・・・」

和人は冷たく言い放った。

「お前の夢はここでついえた。村人たちの幸せを踏みにじるためのものだった。それは許されることじゃない」

バロックは取り押さえられ、村の人々によって正義の裁きを受けることとなった。
村はバロックの支配から解放され、新たな領主はルークとなり、住人たちは自由に暮らすことができるようになった。
バロックが貯めこんだ税金に財宝を元手にルークは貿易を始め、村を豊かにし、村人たちは田畑を耕し、それぞれが新しい生活を送っていった。

「本当にありがとうございます。あなた方のおかげでなんとかバロックを処罰し、これからは私が責任をもって村人たちを守っていきます」

ルークは和人と涼音に深々と頭を下げてお礼を言った。
それとルークから新しい情報を教えられ、それを解明するために次なる地へと向かうことにした。
ルークが記した地図の場所は、デルフィーという名の街だった。
馬での移動だと二日ほどかかるらしいが、デルフィーから少し出たところに、古代の宮殿があるという話だ。

「これでコリン村も安泰だろう。ルーク、情報ありがとな。それと、頑張れよな。俺たちは、そのデルフィーに行ってみるよ。それと、この村も良い方向に行くといいな。じゃあ、またな」

和人と涼音は、荷物をまとめて馬にまたがると、ルークに手を振りながら新たなる地へと出発した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

スキルが【アイテムボックス】だけってどうなのよ?

山ノ内虎之助
ファンタジー
高校生宮原幸也は転生者である。 2度目の人生を目立たぬよう生きてきた幸也だが、ある日クラスメイト15人と一緒に異世界に転移されてしまう。 異世界で与えられたスキルは【アイテムボックス】のみ。 唯一のスキルを創意工夫しながら異世界を生き抜いていく。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学
ファンタジー
 死因は神様の当て逃げです!  地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

処理中です...