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第10章 村の平和をかけて
新たなる宝石の取得と領主の粛清
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朝になり、二人は荷物をまとめると、まずは食堂へ向かい、例の宝石と古代の文字を解読できる人はいないかを話し合っていた。
この宝石が何に利用されるかも疑問に思うところだ。
領主は重税を課し、人々を平気で苦しませるような人物だ。
もしも、この宝石に込められた力が悪用されたら、さらに厄介なことになる事は予想できることから、まずは領主のもとに向かう前に村を回って、この古代の文字を解読できる人を探し当てることを先決した。
村を回って、酒場・武器屋・食堂と色々見て回ると一際大きな屋敷が見えてきた。
和人はその屋敷のドアをノックして声をかけた。
「すいませーん。どなたかいますかー?聞きたいことがあるんですけどー」
するとドアが開き、身なりが住人とは違い高そうな身なりをしている青年が姿を現した。
その青年の話によると、領主よりも下の立場にある貴族だということが分かった。
村に課せられた重税に関しても納得できないということやどうにかしたいとか色々と話し合った。
「ふーん、なるほどね。確かにあのバロックとかいう領主はいけ好かないな。あんたも貴族談でしょ?権力を使って何とかできないのか?あと、それとは別なんだが、この文字を読める人はいないかな?俺たちはバロックのところにいって条件として、この宝石を手に入れてきたんだが、石碑に古代の文字らしいのをメモしてきたんだ。もし解読できれば、宝石に込められた力も解明できるんじゃないかなって」
和人はルークに古代文字を見せて、ルークはそれを見ながら色々と話し始めた。
和人たちもこれまでの経緯と自己紹介をしルークと色々と話した。
古代文字の件も話すとルークが口を開き読めるかもしれない人物を紹介してくれた。
「私も村の人々に何とかしてあげたいと、物資を提供しているのですが、それだけでは賄うのは難しいのです。申し遅れました、私の名前はルークといいます。バロック様よりも権限が下にある身なので直談判ができない立場にあるのです。・・・この文字ですか、解読できるかは分かりませんが、この村には古くからある協会があります。そこの司教様なら、あるいは読めるかもしれませんね」
和人たちもこれまでの経緯と自己紹介をしルークと色々と話した。
古代文字の件も話すとルークが口を開き読めるかもしれない人物を紹介してくれた。
和人たちはルークが教えてくれた協会に向かう中バロックやルークについて話し合っていた。
「あのルークっていう貴族は信用できそうだな。あいつが領主になれば、この村も変わるんだろうけど、どうすればいいと思う?俺はこの状況を見過ごして次の村に行くのはちょっとなー」
「そうね。私もそう思うわ。でもまずはこの文字を解読してもらって、この宝石が何なのか調べたうえでバロックのところに行ってなんとかしてみようか?でも、この宝石はバロックの手には渡せない気がするわ。あの傲慢さを見る限り悪用でもされたらどうなるか分かったもんじゃないわ。魔力が込められてるとか言ってたから使い方次第で悪用も出来たり、良い方向にもできたりするんじゃないかしら」
和人がある建物を指さした。
「あれじゃないかな?いかにも教会だよな。早速向かってみるか」
教会に付き、大聖堂に入ると信者が出迎えてくれたが司教に会うにはお布施が必要だという。
少し腹立たしいものはあったが、合わないことには話が進まないと思い仕方なしに金貨1枚を聖杯のようなものに投げ入れた。
すると信者は階段を上り、司教を呼びに行くと、数名の信者と共に司教と思われる人物が姿を見せた。
司教は和人たちに微笑みかけながら、静かな声で話し始めた。
「ようこそ、私の大聖堂へ。私はエドワード司教と申します。どのようなご用件でしょうか?」
和人は緊張しながら、宝石と古代の文字のことを説明した。
そして、ルークからの紹介であることも伝えた。
エドワード司教は興味津々の表情で古代の文字を見つめ、しばらく考え込んだ後、頷いた。
「これは確かに古代の魔法文字ですね。私は幼い頃から古代の書物に興味を持っており、少しだけ解読の経験があります。もちろん、すべての文字を理解することはできませんが、何かお手伝いできることがあれば喜んでします」
和人たちは安堵の表情を浮かべ、宝石に込められた力を解明するためにエドワード司教と協力することに決めた。
エドワード司教は和人たちを専用の書庫に案内し、古代の書物を取り出した。
彼は丁寧に文字を解読し、宝石についての情報を手に入れた。
「なるほど、この宝石は『永遠の命』という力を持っているようです。宝石の名前は「エタニティー」と書いてありますね。ですが、その力は使い手次第で善にも悪にもなり得ます。バロック領主の手に渡れば、彼の横暴さがさらに増すことでしょう」
和人たちは再び協議を始めた。
「私たちがこの宝石を持ち帰り、バロックに渡さないようにするにはどうすればいいのでしょうか?」
和人がエドワード司教に尋ねた。
エドワード司教は真剣な表情で答えた。
この村の重税、そして協会へのお布施、まだまだありますが、すべてはバロック領主の命令なのだという。
「私の提案ですが、この宝石を秘密裏に保管し、バロックに渡すふりをすることが良いかと。私の協会には私を含めて魔法を使える信者たちがいますが、彼らの力だけでは限界があります。この村の人々に呼びかけ、バロックに立ち向かえる勢力を作り上げましょう」
和人たちはエドワード司教の提案に頷き、決意を固めた。
「では、まずは村の人々にバロックの真の姿を知らせ、共に立ち上がるように呼びかけましょう。俺たちたちの戦いはこれから始まる」
和人たちは結束し、バロック領主に立ち向かうために行動を開始した。次の村に進む前に、この村の人々を組織し、バロックの横暴を許さない決意を固めたのだった。
領主バロックは精鋭ぞろいの部隊がいるという話で、その兵士たちは、デュランダルから派遣されて雇い入れた兵士らしい。
「とりあえず、もう一度ルークのところに行って事情を話してみようと思う。村人に色々と支援しているようだから村人の信頼も厚いんじゃないかな?」
「そうね、バロックを退けて、ルークを領主にするのが、この村にとってもいいと思うわ」
そして二人は再びルークの屋敷へ向かい、屋敷内の客間で3人は話し合う事になった。
ルークは村人のためなら協力したいと申し出て、席を立つと二人を別の部屋へ招き入れた。
そこには色々な武器が壁に飾られており、棚には竜の形をした置物や原石など、色々なものがあり、これはルークの財産で、これらを少しずつ商人に買い取ってもらい村人のために物資を補給して分け与えているという。
ルークは一つの紫色の原石を取り出すと、それを和人に手渡して、魔法の石と見せかけて渡すように提案した。
和人はそれを受け取るなり、早々に置物に目を光らせていた。
「おぉ!フィギュアみてーだな。おい。俺んちにもいっぱいあるぞ?ほら、涼音も俺の部屋でみたことあるだろ?こういうのも欲しいんだよなー」
「あー、はいはい。見たことありますよー。エロいのとか見たわよ・・・それにね、あんた。本棚は本を置くところで合ってエロゲーを置くところじゃないわよ!このヲタク・・・」
涼音は呆れ顔でそういうと、ルークの頭にははてなマークがあるような表情をしていた。
「村人の中には冒険者もいますし、兵士に志願したくて訓練を積んでいる住人も数多くいます。その方たちに声をかけてみましょう。作戦はあなた方にお任せします。この魔法石のある場所は魔物の住処になっていたので、これを持ち帰ることが出来るということは戦いなれているのでしょうね」
数日かけて、司教たちの結束と、ルークの呼びかけに応じた住人が揃った。
作戦は、この偽の宝石を門番にちらつかせ、屋敷に入り込み、内側から門を破壊して一気に突っ切るという単純な作戦をとることにした。
それは村の被害を最大限に抑えることになる。
「まあ。争いごとは最小限に抑えよう。俺たちがバロックと話してみて、無理ならやむを得ないな。無理だと思うけどな・・・」
「そうね、あの傲慢さだとまず無理でしょうね。表立っては良いことを言って、裏では何かもくろんでいそうだしね」
二人はバロックの屋敷へと到着するなり、門番に偽の宝石を見せて中へ通してもらうことになり、バロックと話し合った。
「ほら、魔法の石を手に入れてきたぞ?これを渡すから税を引き下げて、住民に裕福な生活を与えてくれないか?」
バロックは目を輝かせて、まじまじと宝石を見ると手に入れたいがために話し始めた。
「ああ、もちろん約束しよう。税を引き下げて、村人たちのために励もうじゃないか。それから、お前たちにも報奨金を与えよう」
涼音は嘘をついていることをすぐに見抜いた。
欲望にまみれた表情に口から出まかせ。
すでに戦いを始める遂行していて、合図を待つ状態になっていた。
当然、ルークや住人は戦闘経験が薄いせいで不安がよぎっていたが、村を変えるためならばと決意を固めていた。
剣士の部隊と魔法師の部隊の準備は整っていた。
ルークは和人の魔法によって打ち上げられた火球を見て、合図と共に住人たちに攻撃を開始するよう命じた。
剣士たちはバロックの兵士たちに立ち向かい、激しい戦闘が始まった。
一方、魔法師たちは様々な魔法を駆使して敵を攻撃し、仲間を傷から癒しバロックの屋敷内に混乱をもたらした。
和人はエドワード司教と共にバロックの部屋に向かった。バロックは驚きの表情を浮かべながらも、抵抗することなく和人たちに逆らうことを諦めた。
「何故、こんなことをする?私の申し出は本気だったのに」
和人は冷たい笑みを浮かべながら答えた。
「バロック、お前の申し出は虚偽だった。俺たちは村人のためにお前の横暴な支配は終わりにするためだ」
バロックは怒りの表情を浮かべながらも、和人たちが立ち上がった理由を理解した。
「ならば、私は力で制し、この地を支配する。お前たちには何もできない」
一度は敗北を認めたが、それも演技だった。
バロックは魔法を操り、和人たちに襲いかかった。
しかし、エドワード司教の魔法の力も加わり、和人たちはバロックとの戦いに勝利を収めた。
バロックは敗北を悟り、絶望の表情を浮かべがくりと膝をついた。
「私の夢が・・・」
和人は冷たく言い放った。
「お前の夢はここでついえた。村人たちの幸せを踏みにじるためのものだった。それは許されることじゃない」
バロックは取り押さえられ、村の人々によって正義の裁きを受けることとなった。
村はバロックの支配から解放され、新たな領主はルークとなり、住人たちは自由に暮らすことができるようになった。
バロックが貯めこんだ税金に財宝を元手にルークは貿易を始め、村を豊かにし、村人たちは田畑を耕し、それぞれが新しい生活を送っていった。
「本当にありがとうございます。あなた方のおかげでなんとかバロックを処罰し、これからは私が責任をもって村人たちを守っていきます」
ルークは和人と涼音に深々と頭を下げてお礼を言った。
それとルークから新しい情報を教えられ、それを解明するために次なる地へと向かうことにした。
ルークが記した地図の場所は、デルフィーという名の街だった。
馬での移動だと二日ほどかかるらしいが、デルフィーから少し出たところに、古代の宮殿があるという話だ。
「これでコリン村も安泰だろう。ルーク、情報ありがとな。それと、頑張れよな。俺たちは、そのデルフィーに行ってみるよ。それと、この村も良い方向に行くといいな。じゃあ、またな」
和人と涼音は、荷物をまとめて馬にまたがると、ルークに手を振りながら新たなる地へと出発した。
この宝石が何に利用されるかも疑問に思うところだ。
領主は重税を課し、人々を平気で苦しませるような人物だ。
もしも、この宝石に込められた力が悪用されたら、さらに厄介なことになる事は予想できることから、まずは領主のもとに向かう前に村を回って、この古代の文字を解読できる人を探し当てることを先決した。
村を回って、酒場・武器屋・食堂と色々見て回ると一際大きな屋敷が見えてきた。
和人はその屋敷のドアをノックして声をかけた。
「すいませーん。どなたかいますかー?聞きたいことがあるんですけどー」
するとドアが開き、身なりが住人とは違い高そうな身なりをしている青年が姿を現した。
その青年の話によると、領主よりも下の立場にある貴族だということが分かった。
村に課せられた重税に関しても納得できないということやどうにかしたいとか色々と話し合った。
「ふーん、なるほどね。確かにあのバロックとかいう領主はいけ好かないな。あんたも貴族談でしょ?権力を使って何とかできないのか?あと、それとは別なんだが、この文字を読める人はいないかな?俺たちはバロックのところにいって条件として、この宝石を手に入れてきたんだが、石碑に古代の文字らしいのをメモしてきたんだ。もし解読できれば、宝石に込められた力も解明できるんじゃないかなって」
和人はルークに古代文字を見せて、ルークはそれを見ながら色々と話し始めた。
和人たちもこれまでの経緯と自己紹介をしルークと色々と話した。
古代文字の件も話すとルークが口を開き読めるかもしれない人物を紹介してくれた。
「私も村の人々に何とかしてあげたいと、物資を提供しているのですが、それだけでは賄うのは難しいのです。申し遅れました、私の名前はルークといいます。バロック様よりも権限が下にある身なので直談判ができない立場にあるのです。・・・この文字ですか、解読できるかは分かりませんが、この村には古くからある協会があります。そこの司教様なら、あるいは読めるかもしれませんね」
和人たちもこれまでの経緯と自己紹介をしルークと色々と話した。
古代文字の件も話すとルークが口を開き読めるかもしれない人物を紹介してくれた。
和人たちはルークが教えてくれた協会に向かう中バロックやルークについて話し合っていた。
「あのルークっていう貴族は信用できそうだな。あいつが領主になれば、この村も変わるんだろうけど、どうすればいいと思う?俺はこの状況を見過ごして次の村に行くのはちょっとなー」
「そうね。私もそう思うわ。でもまずはこの文字を解読してもらって、この宝石が何なのか調べたうえでバロックのところに行ってなんとかしてみようか?でも、この宝石はバロックの手には渡せない気がするわ。あの傲慢さを見る限り悪用でもされたらどうなるか分かったもんじゃないわ。魔力が込められてるとか言ってたから使い方次第で悪用も出来たり、良い方向にもできたりするんじゃないかしら」
和人がある建物を指さした。
「あれじゃないかな?いかにも教会だよな。早速向かってみるか」
教会に付き、大聖堂に入ると信者が出迎えてくれたが司教に会うにはお布施が必要だという。
少し腹立たしいものはあったが、合わないことには話が進まないと思い仕方なしに金貨1枚を聖杯のようなものに投げ入れた。
すると信者は階段を上り、司教を呼びに行くと、数名の信者と共に司教と思われる人物が姿を見せた。
司教は和人たちに微笑みかけながら、静かな声で話し始めた。
「ようこそ、私の大聖堂へ。私はエドワード司教と申します。どのようなご用件でしょうか?」
和人は緊張しながら、宝石と古代の文字のことを説明した。
そして、ルークからの紹介であることも伝えた。
エドワード司教は興味津々の表情で古代の文字を見つめ、しばらく考え込んだ後、頷いた。
「これは確かに古代の魔法文字ですね。私は幼い頃から古代の書物に興味を持っており、少しだけ解読の経験があります。もちろん、すべての文字を理解することはできませんが、何かお手伝いできることがあれば喜んでします」
和人たちは安堵の表情を浮かべ、宝石に込められた力を解明するためにエドワード司教と協力することに決めた。
エドワード司教は和人たちを専用の書庫に案内し、古代の書物を取り出した。
彼は丁寧に文字を解読し、宝石についての情報を手に入れた。
「なるほど、この宝石は『永遠の命』という力を持っているようです。宝石の名前は「エタニティー」と書いてありますね。ですが、その力は使い手次第で善にも悪にもなり得ます。バロック領主の手に渡れば、彼の横暴さがさらに増すことでしょう」
和人たちは再び協議を始めた。
「私たちがこの宝石を持ち帰り、バロックに渡さないようにするにはどうすればいいのでしょうか?」
和人がエドワード司教に尋ねた。
エドワード司教は真剣な表情で答えた。
この村の重税、そして協会へのお布施、まだまだありますが、すべてはバロック領主の命令なのだという。
「私の提案ですが、この宝石を秘密裏に保管し、バロックに渡すふりをすることが良いかと。私の協会には私を含めて魔法を使える信者たちがいますが、彼らの力だけでは限界があります。この村の人々に呼びかけ、バロックに立ち向かえる勢力を作り上げましょう」
和人たちはエドワード司教の提案に頷き、決意を固めた。
「では、まずは村の人々にバロックの真の姿を知らせ、共に立ち上がるように呼びかけましょう。俺たちたちの戦いはこれから始まる」
和人たちは結束し、バロック領主に立ち向かうために行動を開始した。次の村に進む前に、この村の人々を組織し、バロックの横暴を許さない決意を固めたのだった。
領主バロックは精鋭ぞろいの部隊がいるという話で、その兵士たちは、デュランダルから派遣されて雇い入れた兵士らしい。
「とりあえず、もう一度ルークのところに行って事情を話してみようと思う。村人に色々と支援しているようだから村人の信頼も厚いんじゃないかな?」
「そうね、バロックを退けて、ルークを領主にするのが、この村にとってもいいと思うわ」
そして二人は再びルークの屋敷へ向かい、屋敷内の客間で3人は話し合う事になった。
ルークは村人のためなら協力したいと申し出て、席を立つと二人を別の部屋へ招き入れた。
そこには色々な武器が壁に飾られており、棚には竜の形をした置物や原石など、色々なものがあり、これはルークの財産で、これらを少しずつ商人に買い取ってもらい村人のために物資を補給して分け与えているという。
ルークは一つの紫色の原石を取り出すと、それを和人に手渡して、魔法の石と見せかけて渡すように提案した。
和人はそれを受け取るなり、早々に置物に目を光らせていた。
「おぉ!フィギュアみてーだな。おい。俺んちにもいっぱいあるぞ?ほら、涼音も俺の部屋でみたことあるだろ?こういうのも欲しいんだよなー」
「あー、はいはい。見たことありますよー。エロいのとか見たわよ・・・それにね、あんた。本棚は本を置くところで合ってエロゲーを置くところじゃないわよ!このヲタク・・・」
涼音は呆れ顔でそういうと、ルークの頭にははてなマークがあるような表情をしていた。
「村人の中には冒険者もいますし、兵士に志願したくて訓練を積んでいる住人も数多くいます。その方たちに声をかけてみましょう。作戦はあなた方にお任せします。この魔法石のある場所は魔物の住処になっていたので、これを持ち帰ることが出来るということは戦いなれているのでしょうね」
数日かけて、司教たちの結束と、ルークの呼びかけに応じた住人が揃った。
作戦は、この偽の宝石を門番にちらつかせ、屋敷に入り込み、内側から門を破壊して一気に突っ切るという単純な作戦をとることにした。
それは村の被害を最大限に抑えることになる。
「まあ。争いごとは最小限に抑えよう。俺たちがバロックと話してみて、無理ならやむを得ないな。無理だと思うけどな・・・」
「そうね、あの傲慢さだとまず無理でしょうね。表立っては良いことを言って、裏では何かもくろんでいそうだしね」
二人はバロックの屋敷へと到着するなり、門番に偽の宝石を見せて中へ通してもらうことになり、バロックと話し合った。
「ほら、魔法の石を手に入れてきたぞ?これを渡すから税を引き下げて、住民に裕福な生活を与えてくれないか?」
バロックは目を輝かせて、まじまじと宝石を見ると手に入れたいがために話し始めた。
「ああ、もちろん約束しよう。税を引き下げて、村人たちのために励もうじゃないか。それから、お前たちにも報奨金を与えよう」
涼音は嘘をついていることをすぐに見抜いた。
欲望にまみれた表情に口から出まかせ。
すでに戦いを始める遂行していて、合図を待つ状態になっていた。
当然、ルークや住人は戦闘経験が薄いせいで不安がよぎっていたが、村を変えるためならばと決意を固めていた。
剣士の部隊と魔法師の部隊の準備は整っていた。
ルークは和人の魔法によって打ち上げられた火球を見て、合図と共に住人たちに攻撃を開始するよう命じた。
剣士たちはバロックの兵士たちに立ち向かい、激しい戦闘が始まった。
一方、魔法師たちは様々な魔法を駆使して敵を攻撃し、仲間を傷から癒しバロックの屋敷内に混乱をもたらした。
和人はエドワード司教と共にバロックの部屋に向かった。バロックは驚きの表情を浮かべながらも、抵抗することなく和人たちに逆らうことを諦めた。
「何故、こんなことをする?私の申し出は本気だったのに」
和人は冷たい笑みを浮かべながら答えた。
「バロック、お前の申し出は虚偽だった。俺たちは村人のためにお前の横暴な支配は終わりにするためだ」
バロックは怒りの表情を浮かべながらも、和人たちが立ち上がった理由を理解した。
「ならば、私は力で制し、この地を支配する。お前たちには何もできない」
一度は敗北を認めたが、それも演技だった。
バロックは魔法を操り、和人たちに襲いかかった。
しかし、エドワード司教の魔法の力も加わり、和人たちはバロックとの戦いに勝利を収めた。
バロックは敗北を悟り、絶望の表情を浮かべがくりと膝をついた。
「私の夢が・・・」
和人は冷たく言い放った。
「お前の夢はここでついえた。村人たちの幸せを踏みにじるためのものだった。それは許されることじゃない」
バロックは取り押さえられ、村の人々によって正義の裁きを受けることとなった。
村はバロックの支配から解放され、新たな領主はルークとなり、住人たちは自由に暮らすことができるようになった。
バロックが貯めこんだ税金に財宝を元手にルークは貿易を始め、村を豊かにし、村人たちは田畑を耕し、それぞれが新しい生活を送っていった。
「本当にありがとうございます。あなた方のおかげでなんとかバロックを処罰し、これからは私が責任をもって村人たちを守っていきます」
ルークは和人と涼音に深々と頭を下げてお礼を言った。
それとルークから新しい情報を教えられ、それを解明するために次なる地へと向かうことにした。
ルークが記した地図の場所は、デルフィーという名の街だった。
馬での移動だと二日ほどかかるらしいが、デルフィーから少し出たところに、古代の宮殿があるという話だ。
「これでコリン村も安泰だろう。ルーク、情報ありがとな。それと、頑張れよな。俺たちは、そのデルフィーに行ってみるよ。それと、この村も良い方向に行くといいな。じゃあ、またな」
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