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第4章 「新たなる冒険」
調査「和人編」
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「異世界召喚の事実。これからどうする?どうやったら元の世界に戻れるんだろうな・・・困ったもんだな。それと気になってたんだが、俺の杖についている宝石と涼音の剣に着いている宝石の関係性。一体何なんだろう?確か、あの時、めっちゃ光ったよな、」
涼音は剣を抜き、宝石を眺めた。薄っすらと柔らかな光を放っている。
和人の杖についている宝石も同様に薄っすらと光っている。
「んー、なんだろうね。私は、力を与えるみたいなことを言われて、身体が軽くなって、素早く動けるようになったのと、なんか魔法みたいな剣のスキルをもらったの。水を操る力と、素早さね。和人は?なんかすごい魔法を使ってたけど、和人も何か力をもらったの?」
「あー、俺の杖ね。光ってる魔法陣の中にいてさ、なんか本が何冊か並んでて、それを手に取ったんだよ。本の種類は炎・水・風・土・闇・光。で、たまたま手に取った本が炎の魔法書だったらしい。で、そこでなんか試練だか受けることになって、魔物と戦ったんだよな。、まぁそのあとは異世界に召喚されたってのを知って、困ったんだよな~。俺、ラノベでその手の本はよく読んでたから、すんなり受け入れたって感じ。金ないし、貼り紙見たら闘技場で勝つと賞金もらえるみたいだから、ノリで参加したら優勝しちゃってさ、優勝後は、なんか国王に会うことになって、事情を聞いたら涼音のいた国と何百年か秘宝を取り合う戦争を
してるとか」
涼音はどうかと聞いて涼音の方も事情を話した。
涼音も同じことを考えてて、ノリでコロシアムでのことや、アリシアのことなんかを和人に話した。
いったい、二つの秘宝が揃うとどうなるのか。まだその意味も解らない。
そして、涼音の剣についている宝石と和人の杖についている宝石との共鳴らしきものもさっぱりわからないでいた。
分からないことだらけの状態だった。
まずは、何をどうしたらいいのか、考えないと先には進めないし、元の世界に戻る手立ても考えなければいけない。
一方、その頃では両国で必死になって二人の捜索をしていた。
その理由は二人が各国の命運を分ける存在となっていたからだ。
それから数日の間はたどり着いた村で滞在することにしていた。
村の中でも両国の争いは広まっていて、最近、激化していると村人たちの間でも騒いでいる。
両国の城からは離れてはいるが、いつ飛び火が来るのか不安に思っている様子だった。
和人と涼音は昼食をとりながら色々と先のことをどうするか話し合っていると食堂にいる村人の会話が耳に入ってきた。
「戦争が激しくなってるのは、なんでも凄腕の魔法の使い手と剣士が表れてからだってよ。あとさ、その剣士と魔法使いが表れてから魔物の数も増えたらしいんだよな。最近、ギルドでもその話題で持ちきりだよ。冒険者たちがギルドに詰め寄って依頼を受けて魔物討伐をして金稼ぎをしてるらしいぜ」
「今の聴いたか?俺の予想だと空間がねじ曲がって魔界との境目に狂いが出たんじゃないか?って俺の良く読んでるラノベにそんな話も合った」
「ラノベって、あれは作り話でしょ。ヲタクが。まぁ、それはおいておいて、色々と情報収集した方が良いんじゃないかな?一つは二つの国にある秘宝について、もう一つは私たちが持ってる宝石について、それと、魔物たちが増えてる原因ってとこかな。和人は試練で魔物と戦ったんでしょ?」
村にも数は少ないが、兵士たちの姿も見受けられている。
恐らくは涼音か和人を探しているのだろう。それとも賞金稼ぎにギルドに来ているのか。
二人は念のために防具屋でフード付きのマントを買って、バレないようにしていた。
あちこち村を回って、何か情報がないか目ぼしいところを当たってはいるが収穫はない。
だが、ギルドの中に入ると冒険者たちがいっぱいいた。
この世界では魔物の存在は珍しいものではなかったらしいのだが、この短期間で大量の魔物の出現は初めてのことらしい。
恐らく二人の異世界に迷い込んだものが原因ではないかと単なる憶測だが二人は思っていた。
「どうする?目ぼしい情報はないけど、一度召喚された国に戻ってみるか?城の中に文献が収められてる場所があったんだよ。そこに秘宝に関しての文献とかあるかもしれないし。涼音のいたデュランダルには、そういう図書館的なものはなかったか?まずは2国間にある秘宝について調べたらいいんじゃないかな?」
「んー、私のいたところにも、そんな場所があったような・・・。アリシアなら秘宝について何か知ってるかもしれない。あ、アリシアって人はコロシアムで私が勝った剣士で厚い信頼をされてる騎士団長なの。英雄的な存在って言った方がわかりやすいかな~。毎回、コロシアムに出場していて、強い剣士を探してたんだ。で、彼女と決勝で戦って、アリシアに勝っちゃったんだよね。それで、私も騎士団長になることになったってわけ」
二人は、とりあえず宿に戻り、国に戻った後、どうやって抜け出すかを話し合い、秘宝について詳しく調べてから、戦の話を持ち掛けてその乱戦に紛れて抜け出す計画を練っていた。
その2つの秘宝が揃うと、一体何が起きるのか?
伝承では2つの秘宝が揃ったとき、強大な力を発するという。
「なぁ涼音、二つの国に納められている秘宝って合わさるとどうなるんだろうな?強力な力を発するって意外はなんもも知らんだよな~。いっそうのこと盗んじまうか?そしたら争いもなくなるんじゃね?」
「奪うなんて無理よ。私、アリシアさんに連れられて秘宝が納められている所にも行ったけど、厳重に保管されていたわ。それに、一人で大勢の兵士と戦うなんて勝ち目はないし、逆に反逆者になって牢獄行きとかになりそうだし、アリシアさんは強いわ。それに強いのはアリシアさんだけじゃないし、私ひとりじゃ無理だわ」
和人も秘宝が納められているところは見ていた。当然、同じように厳重な警備で守られていたのを見ている。
エリスもオルスターも強い。そして二人を敵に回すだけではなく国を敵に回すことになってしまう。
非現実的なことだ。
「じゃあ、やっぱり城にある文献を調べて、その秘宝の力ってやつについて調べてみるか?それと、もう一つ、気になることがあるんだよ。俺が手にした本って炎の魔法の書だろ?他にも本があるから、炎だけじゃなく、他の本もあったから、本をもらった場所に行って、他の魔法書も手にできるのか行ってみるのも一つの手だと思うんだよな。もしも、手に入れることが出来れば、もっと強くなれるんじゃないかな?」
涼音が授かった水の力は、魔法書と違って種類が解かなかった。
力を授かったところに行っても水を操る以外に、他の強さを手に入れられるかどうか。涼音は疑問に思っていた。
二人が立てた計画は、まずは力を授かったところにもう一度行き、他にも力を得られないか確かめに行くこと。
それと一度国に戻って、理由を付けて書庫に入り込み、その秘宝について調べる事。
そして火種を作って戦争を起こし、混乱に乗じて、再び抜け出すこと。
二人はいったん分かれて各国に戻ることにした。
涼音・和人、それそれが自国に着くと丁重に扱われ、和人はオルスターとエリスがとても心配そうに話しかけ、いったんゆっくり休むように気づかいをされ、豪華な食事と入浴をし、一休みしたのち、夜更けを待った。
「裏切る形になるのは気が引けるが、俺たちが元の世界に戻るためには仕方がないな」
夜更けになり、城は静まり返っている中、和人は書庫へと向かい書物をあさり、色々な文献を読んだ。
二つの秘宝が揃うと、世界の崩壊という書物があり、それが何を意味するのかおおよその見当はついたが、眉唾物なのだろうというのは分かった。
中でも役に立ったのは魔法のルーツと召喚の儀式、それと所々に神聖な神殿の遺跡が数々存在しているという文献。
書庫には古びた地図もあり、それを見ると、神殿の場所やら村が多数している。
ヴァリアスが領土としている村や神殿なのだろう。
デュランダルについての書物もあったが、半分は着色されているように書かれていて正確なことは書かれてはいなかった。
とりあえず入手したのは古びた地図のみで、魔法に関するルーツはだいたいわかったので、それほど重要ではなかったが、神殿については調べる価値はある。
地図をもとに多数存在している神殿を調べる必要があると和人は思っていた。
「とりあえず、こんなところか。ヴァリアスにある秘宝の名前は「ディストラ」っていうのか。書庫はこれくらいでいいだろう。炎の魔法をもらったところに行ってみるか。」
城門には兵士がいたが、特に何も言われることなく、和人は「ご苦労さん、夜風にあたってくる」と一言声をかけて最初の地へ向かった。
場所は覚えていたので、すぐにたどり着くことが出来たが、異変に気付いた。
森へ入ると空気の違い?大気の違い?なのだろうか、雰囲気が違う。
更に杖についている宝石がうっすらと光始めていて、近づくにつれて光が強くなっていく。
木々が少し開けたところに着くと、宝石と共鳴して、また非礼な光を放つ魔法陣が徐々に表れてきた。
以前と同様に湖の水面から現れた美しい女性の声が心の中に語り掛けてくるように声が聞こえてきた。
「またお会いしましたね。あなたは魔法の素質がとても高いようですね。あなたから強力な魔力が感じ取れます。今回は、どのようなご用件でしょうか?何か聞きたいことでもあるのかしら?」
「聞きたいことがあってここに来た。俺の魔法は炎しか使えないのか?あの時に何冊か並んでるのを見たが、他の魔法も習得できるのか教えて欲しい」
湖の水面にいる美しい女性は、しばらく沈黙したのに、和人に向けて両手を広げてこう言った。
「ほかの魔法も習得が可能です。ただ、その素質があるもののみが持てるものなのです。素質がなければ精神は崩壊し、自我を失うことになるでしょう。しかし、あなたは以前の時よりも魔力は増しています。耐えられるかはあなた次第。さぁ、選びなさい」
そう告げると魔法陣の中に本が現れた。
和人は、以前にも見てるもので間違いなく魔法の書だと確信していた。
涼音は水を操る剣術を使う。それをもっと強力にするためには水の魔法の習得が好ましいと和人は思っていた。
水色に光る本。恐らくはそれは水の性質を持つ魔法の書だろうと確信していた。
精神が耐えられるかどうか、かなりの不安と葛藤があったが、思い切って本を手にした。
和人は緊張しながらも、不安を抱えながら本を手に取った。
本は彼の手の中で光り輝き、ふわりと開かれた。その瞬間、和人の意識は鮮やかな水の世界へと引き込まれていった。
彼は水の中で自由に泳ぐことができ、身体も心も軽やかに感じられた。
水のエネルギーが彼を包み込むように広がり、まるで新たな力が宿ったかのようだった。
和人は水の中で繰り広げられる幻想的な風景に魅了されながら、水の魔法を身につけるために必要な知識と技術を学んでいった。
彼は水の力を使いこなすために、自らの魔力を徐々に高めていくことを決意した。
そして、彼は水の中で繰り広げられる魔法の実践訓練を始めた。
水の流れを操り、波を創り出し、水の精霊を呼び出すことに成功した。
その美しい水の世界で、和人は自身の可能性を信じるようになっていった。
次第に和人の魔力は強くなり、水の魔法を使いこなす力も増していった。
彼は湖の水面に浮かぶ美しい女性に感謝の気持ちを込めながら、新たな冒険の始まりを迎えたのであった。
「なんとか水の魔法も習得で来たな。涼音に静の加護を与えて、涼音はさらに強くなるだろう。ひとまず城に帰って今日は寝るか。新しい魔法の習得で肉体的に限界が来てて眠い。明日の朝に、エリスとオルスターに話を持ち掛けて戦の算段でも話し合って、うまくいけば涼音ともまた再開できるしな」
そして朝を迎えた。
エリスとオルスターのもとに向かったところ、次の作戦を練るために好都合にも会議が行われていた。
「よぉ!エリスにオルスター。ちらっと聞こえたが、また戦争するのか?実はさ、良い情報があるんだよ。俺がいなくなった理由がそこにあるんだ。実は敵兵に捕まっててな、捕虜になっていたんだよ。まぁ隙を見て逃げることが出来て、こうしてここにいるわけだが、相手の戦力がわかったぞ」
エリスとオルスターに適当なことを言って次の戦の日や兵力について、それらしい感じに話した。
ついでにエリスに秘宝がなんなのかを聞いてみた。
エリスは国王に信頼を置かれているほどの人物だ。
秘宝について聞いてみると、なんでも秘宝は二つ揃わなくても秘宝ディストラの力を使えるという話だ。
だが、その力を使うには大量の魔力が必要だという。
残念ながら、ヴァリアスには、それを扱えるほどの使い手はいないらしい。
「和人は捕虜だったのですか。敵の兵力や作戦とか教えてはもらえないだろうか?それに対応できるようにこちらも作戦を見直す必要があると私は思うのだが」
エリスは地図を広げながら、戦の場所や日時、作戦などを和人に話した。
前回では奇襲に合い、こちらの戦力もかなり毛津られてしまったから、何とか打開策を見出したいらしい。
和人は涼音と話し合った日時と戦場場所と出す兵力をエリスに話し、同時に作戦についても話し始めた。
一方的に攻められても攻めても涼音と合流するのは難しい。互角の戦いになるように和人は作戦を話し始めた。
「んー、前回は奇襲によってかなり押されて退却したよな。そこでだ、俺が思いついた策ってのがあるんだがやってみるか?とりあえず話すから聞いてくれ。
魔法の弱点は詠唱に多少時間がかかってしまうのが欠点だ。そこでだ、鶴翼(かくよく)の陣ってのがあってな。自軍の部隊を、敵に対峙して左右に長く広げた隊形に配置する陣形で、単に横一線に並ぶのではなく、左右が敵方向にせりだした形をとるってやつだ。それを2部隊構成で詠唱の時間を短縮しようと思う。2部隊目には俺が先頭に立つから、エリスとオルスターは魔法氏部隊に指示を出してもらいたい」
エリスとオルスターは、その策に乗り、それぞれの役目についても納得して和人の作戦に乗ることになった。
鶴翼の陣は和人の元居た世界に実在する陣形だ。
当然、エリスもオルスターも初めて聞く作戦だ。
戦の日が訪れるまでエリスとオルスターは兵士を集めて演習を行うことになった。
涼音は剣を抜き、宝石を眺めた。薄っすらと柔らかな光を放っている。
和人の杖についている宝石も同様に薄っすらと光っている。
「んー、なんだろうね。私は、力を与えるみたいなことを言われて、身体が軽くなって、素早く動けるようになったのと、なんか魔法みたいな剣のスキルをもらったの。水を操る力と、素早さね。和人は?なんかすごい魔法を使ってたけど、和人も何か力をもらったの?」
「あー、俺の杖ね。光ってる魔法陣の中にいてさ、なんか本が何冊か並んでて、それを手に取ったんだよ。本の種類は炎・水・風・土・闇・光。で、たまたま手に取った本が炎の魔法書だったらしい。で、そこでなんか試練だか受けることになって、魔物と戦ったんだよな。、まぁそのあとは異世界に召喚されたってのを知って、困ったんだよな~。俺、ラノベでその手の本はよく読んでたから、すんなり受け入れたって感じ。金ないし、貼り紙見たら闘技場で勝つと賞金もらえるみたいだから、ノリで参加したら優勝しちゃってさ、優勝後は、なんか国王に会うことになって、事情を聞いたら涼音のいた国と何百年か秘宝を取り合う戦争を
してるとか」
涼音はどうかと聞いて涼音の方も事情を話した。
涼音も同じことを考えてて、ノリでコロシアムでのことや、アリシアのことなんかを和人に話した。
いったい、二つの秘宝が揃うとどうなるのか。まだその意味も解らない。
そして、涼音の剣についている宝石と和人の杖についている宝石との共鳴らしきものもさっぱりわからないでいた。
分からないことだらけの状態だった。
まずは、何をどうしたらいいのか、考えないと先には進めないし、元の世界に戻る手立ても考えなければいけない。
一方、その頃では両国で必死になって二人の捜索をしていた。
その理由は二人が各国の命運を分ける存在となっていたからだ。
それから数日の間はたどり着いた村で滞在することにしていた。
村の中でも両国の争いは広まっていて、最近、激化していると村人たちの間でも騒いでいる。
両国の城からは離れてはいるが、いつ飛び火が来るのか不安に思っている様子だった。
和人と涼音は昼食をとりながら色々と先のことをどうするか話し合っていると食堂にいる村人の会話が耳に入ってきた。
「戦争が激しくなってるのは、なんでも凄腕の魔法の使い手と剣士が表れてからだってよ。あとさ、その剣士と魔法使いが表れてから魔物の数も増えたらしいんだよな。最近、ギルドでもその話題で持ちきりだよ。冒険者たちがギルドに詰め寄って依頼を受けて魔物討伐をして金稼ぎをしてるらしいぜ」
「今の聴いたか?俺の予想だと空間がねじ曲がって魔界との境目に狂いが出たんじゃないか?って俺の良く読んでるラノベにそんな話も合った」
「ラノベって、あれは作り話でしょ。ヲタクが。まぁ、それはおいておいて、色々と情報収集した方が良いんじゃないかな?一つは二つの国にある秘宝について、もう一つは私たちが持ってる宝石について、それと、魔物たちが増えてる原因ってとこかな。和人は試練で魔物と戦ったんでしょ?」
村にも数は少ないが、兵士たちの姿も見受けられている。
恐らくは涼音か和人を探しているのだろう。それとも賞金稼ぎにギルドに来ているのか。
二人は念のために防具屋でフード付きのマントを買って、バレないようにしていた。
あちこち村を回って、何か情報がないか目ぼしいところを当たってはいるが収穫はない。
だが、ギルドの中に入ると冒険者たちがいっぱいいた。
この世界では魔物の存在は珍しいものではなかったらしいのだが、この短期間で大量の魔物の出現は初めてのことらしい。
恐らく二人の異世界に迷い込んだものが原因ではないかと単なる憶測だが二人は思っていた。
「どうする?目ぼしい情報はないけど、一度召喚された国に戻ってみるか?城の中に文献が収められてる場所があったんだよ。そこに秘宝に関しての文献とかあるかもしれないし。涼音のいたデュランダルには、そういう図書館的なものはなかったか?まずは2国間にある秘宝について調べたらいいんじゃないかな?」
「んー、私のいたところにも、そんな場所があったような・・・。アリシアなら秘宝について何か知ってるかもしれない。あ、アリシアって人はコロシアムで私が勝った剣士で厚い信頼をされてる騎士団長なの。英雄的な存在って言った方がわかりやすいかな~。毎回、コロシアムに出場していて、強い剣士を探してたんだ。で、彼女と決勝で戦って、アリシアに勝っちゃったんだよね。それで、私も騎士団長になることになったってわけ」
二人は、とりあえず宿に戻り、国に戻った後、どうやって抜け出すかを話し合い、秘宝について詳しく調べてから、戦の話を持ち掛けてその乱戦に紛れて抜け出す計画を練っていた。
その2つの秘宝が揃うと、一体何が起きるのか?
伝承では2つの秘宝が揃ったとき、強大な力を発するという。
「なぁ涼音、二つの国に納められている秘宝って合わさるとどうなるんだろうな?強力な力を発するって意外はなんもも知らんだよな~。いっそうのこと盗んじまうか?そしたら争いもなくなるんじゃね?」
「奪うなんて無理よ。私、アリシアさんに連れられて秘宝が納められている所にも行ったけど、厳重に保管されていたわ。それに、一人で大勢の兵士と戦うなんて勝ち目はないし、逆に反逆者になって牢獄行きとかになりそうだし、アリシアさんは強いわ。それに強いのはアリシアさんだけじゃないし、私ひとりじゃ無理だわ」
和人も秘宝が納められているところは見ていた。当然、同じように厳重な警備で守られていたのを見ている。
エリスもオルスターも強い。そして二人を敵に回すだけではなく国を敵に回すことになってしまう。
非現実的なことだ。
「じゃあ、やっぱり城にある文献を調べて、その秘宝の力ってやつについて調べてみるか?それと、もう一つ、気になることがあるんだよ。俺が手にした本って炎の魔法の書だろ?他にも本があるから、炎だけじゃなく、他の本もあったから、本をもらった場所に行って、他の魔法書も手にできるのか行ってみるのも一つの手だと思うんだよな。もしも、手に入れることが出来れば、もっと強くなれるんじゃないかな?」
涼音が授かった水の力は、魔法書と違って種類が解かなかった。
力を授かったところに行っても水を操る以外に、他の強さを手に入れられるかどうか。涼音は疑問に思っていた。
二人が立てた計画は、まずは力を授かったところにもう一度行き、他にも力を得られないか確かめに行くこと。
それと一度国に戻って、理由を付けて書庫に入り込み、その秘宝について調べる事。
そして火種を作って戦争を起こし、混乱に乗じて、再び抜け出すこと。
二人はいったん分かれて各国に戻ることにした。
涼音・和人、それそれが自国に着くと丁重に扱われ、和人はオルスターとエリスがとても心配そうに話しかけ、いったんゆっくり休むように気づかいをされ、豪華な食事と入浴をし、一休みしたのち、夜更けを待った。
「裏切る形になるのは気が引けるが、俺たちが元の世界に戻るためには仕方がないな」
夜更けになり、城は静まり返っている中、和人は書庫へと向かい書物をあさり、色々な文献を読んだ。
二つの秘宝が揃うと、世界の崩壊という書物があり、それが何を意味するのかおおよその見当はついたが、眉唾物なのだろうというのは分かった。
中でも役に立ったのは魔法のルーツと召喚の儀式、それと所々に神聖な神殿の遺跡が数々存在しているという文献。
書庫には古びた地図もあり、それを見ると、神殿の場所やら村が多数している。
ヴァリアスが領土としている村や神殿なのだろう。
デュランダルについての書物もあったが、半分は着色されているように書かれていて正確なことは書かれてはいなかった。
とりあえず入手したのは古びた地図のみで、魔法に関するルーツはだいたいわかったので、それほど重要ではなかったが、神殿については調べる価値はある。
地図をもとに多数存在している神殿を調べる必要があると和人は思っていた。
「とりあえず、こんなところか。ヴァリアスにある秘宝の名前は「ディストラ」っていうのか。書庫はこれくらいでいいだろう。炎の魔法をもらったところに行ってみるか。」
城門には兵士がいたが、特に何も言われることなく、和人は「ご苦労さん、夜風にあたってくる」と一言声をかけて最初の地へ向かった。
場所は覚えていたので、すぐにたどり着くことが出来たが、異変に気付いた。
森へ入ると空気の違い?大気の違い?なのだろうか、雰囲気が違う。
更に杖についている宝石がうっすらと光始めていて、近づくにつれて光が強くなっていく。
木々が少し開けたところに着くと、宝石と共鳴して、また非礼な光を放つ魔法陣が徐々に表れてきた。
以前と同様に湖の水面から現れた美しい女性の声が心の中に語り掛けてくるように声が聞こえてきた。
「またお会いしましたね。あなたは魔法の素質がとても高いようですね。あなたから強力な魔力が感じ取れます。今回は、どのようなご用件でしょうか?何か聞きたいことでもあるのかしら?」
「聞きたいことがあってここに来た。俺の魔法は炎しか使えないのか?あの時に何冊か並んでるのを見たが、他の魔法も習得できるのか教えて欲しい」
湖の水面にいる美しい女性は、しばらく沈黙したのに、和人に向けて両手を広げてこう言った。
「ほかの魔法も習得が可能です。ただ、その素質があるもののみが持てるものなのです。素質がなければ精神は崩壊し、自我を失うことになるでしょう。しかし、あなたは以前の時よりも魔力は増しています。耐えられるかはあなた次第。さぁ、選びなさい」
そう告げると魔法陣の中に本が現れた。
和人は、以前にも見てるもので間違いなく魔法の書だと確信していた。
涼音は水を操る剣術を使う。それをもっと強力にするためには水の魔法の習得が好ましいと和人は思っていた。
水色に光る本。恐らくはそれは水の性質を持つ魔法の書だろうと確信していた。
精神が耐えられるかどうか、かなりの不安と葛藤があったが、思い切って本を手にした。
和人は緊張しながらも、不安を抱えながら本を手に取った。
本は彼の手の中で光り輝き、ふわりと開かれた。その瞬間、和人の意識は鮮やかな水の世界へと引き込まれていった。
彼は水の中で自由に泳ぐことができ、身体も心も軽やかに感じられた。
水のエネルギーが彼を包み込むように広がり、まるで新たな力が宿ったかのようだった。
和人は水の中で繰り広げられる幻想的な風景に魅了されながら、水の魔法を身につけるために必要な知識と技術を学んでいった。
彼は水の力を使いこなすために、自らの魔力を徐々に高めていくことを決意した。
そして、彼は水の中で繰り広げられる魔法の実践訓練を始めた。
水の流れを操り、波を創り出し、水の精霊を呼び出すことに成功した。
その美しい水の世界で、和人は自身の可能性を信じるようになっていった。
次第に和人の魔力は強くなり、水の魔法を使いこなす力も増していった。
彼は湖の水面に浮かぶ美しい女性に感謝の気持ちを込めながら、新たな冒険の始まりを迎えたのであった。
「なんとか水の魔法も習得で来たな。涼音に静の加護を与えて、涼音はさらに強くなるだろう。ひとまず城に帰って今日は寝るか。新しい魔法の習得で肉体的に限界が来てて眠い。明日の朝に、エリスとオルスターに話を持ち掛けて戦の算段でも話し合って、うまくいけば涼音ともまた再開できるしな」
そして朝を迎えた。
エリスとオルスターのもとに向かったところ、次の作戦を練るために好都合にも会議が行われていた。
「よぉ!エリスにオルスター。ちらっと聞こえたが、また戦争するのか?実はさ、良い情報があるんだよ。俺がいなくなった理由がそこにあるんだ。実は敵兵に捕まっててな、捕虜になっていたんだよ。まぁ隙を見て逃げることが出来て、こうしてここにいるわけだが、相手の戦力がわかったぞ」
エリスとオルスターに適当なことを言って次の戦の日や兵力について、それらしい感じに話した。
ついでにエリスに秘宝がなんなのかを聞いてみた。
エリスは国王に信頼を置かれているほどの人物だ。
秘宝について聞いてみると、なんでも秘宝は二つ揃わなくても秘宝ディストラの力を使えるという話だ。
だが、その力を使うには大量の魔力が必要だという。
残念ながら、ヴァリアスには、それを扱えるほどの使い手はいないらしい。
「和人は捕虜だったのですか。敵の兵力や作戦とか教えてはもらえないだろうか?それに対応できるようにこちらも作戦を見直す必要があると私は思うのだが」
エリスは地図を広げながら、戦の場所や日時、作戦などを和人に話した。
前回では奇襲に合い、こちらの戦力もかなり毛津られてしまったから、何とか打開策を見出したいらしい。
和人は涼音と話し合った日時と戦場場所と出す兵力をエリスに話し、同時に作戦についても話し始めた。
一方的に攻められても攻めても涼音と合流するのは難しい。互角の戦いになるように和人は作戦を話し始めた。
「んー、前回は奇襲によってかなり押されて退却したよな。そこでだ、俺が思いついた策ってのがあるんだがやってみるか?とりあえず話すから聞いてくれ。
魔法の弱点は詠唱に多少時間がかかってしまうのが欠点だ。そこでだ、鶴翼(かくよく)の陣ってのがあってな。自軍の部隊を、敵に対峙して左右に長く広げた隊形に配置する陣形で、単に横一線に並ぶのではなく、左右が敵方向にせりだした形をとるってやつだ。それを2部隊構成で詠唱の時間を短縮しようと思う。2部隊目には俺が先頭に立つから、エリスとオルスターは魔法氏部隊に指示を出してもらいたい」
エリスとオルスターは、その策に乗り、それぞれの役目についても納得して和人の作戦に乗ることになった。
鶴翼の陣は和人の元居た世界に実在する陣形だ。
当然、エリスもオルスターも初めて聞く作戦だ。
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元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。
異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
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蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
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とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
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ダンジョンが出現し20年。
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【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
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