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第5章 調査「涼音編」

調査2「涼音編」

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一方、涼音は城へたどり着き再びアリシアと再会した。
涼音もヴァリアスで捕虜になっていたと話し、和人と同様にヴァリアスの戦力などを適当に話し始めた。
戦の日時も和人と示し合わせた日をアリシアに話して、陣形についても話した。
和人と同じ鶴翼の陣について話した。
同じ陣形で行けば互角の戦いが見込めると思ったからだ。
アリシアは初めて聞く陣形に耳を傾け聴いていた。
涼音はアリシアから地図を受け取り戦場場所を指で刺して示した。
そして戦の日までヴァリアスと同様に演習を始めた。

「2部隊の構成で行こうと思うのね。1部隊目の指揮官は、アリシアが信頼をおける人を前線に立たせて、私は2部隊目の先頭に立つから、アリシアは兵士に指示を出してほしいの。それでいいかしら?」

そして作戦会議は終えて、涼音は部屋に戻り、夜更けを待った。
ベッドに横になりながら、和人の方もうまくやれているかなどを考え、そして夜が更けてきて城中が静まり返っていた。
涼音は警戒しながら書庫に向かい、部屋に入ると、たくさんの書物が陳列されていた。
まずは秘宝についての文献がないか探し待っていると、古びた地図を見つけた。
広げてみると、最初に入った村以外にも数々あるようだった。
それと気になったのが遺跡やら神殿があることを知ったが、古い地図なので宛てになるかどうかは微妙だった。
念のために地図は持ち帰ることにして、更に文献を探すと秘宝についての文献を見つけた。

「これね。デュランダルの秘宝マダスカスと歴史。なるほど、一応単体でも使うことが出来るのね。でも魔力が必要って、ここは剣の国だから、まず無理ね。協会の魔力だけじゃ使うことはできなさそうね。」

秘宝を使うには魔力を込める必要があるらしい。
だが、この国は剣の国。魔力など持ち合わせてはいない。
つまり単体では使うことはできない。ヴァリアスの秘宝についても書き記されていた。
ヴァリアスの秘宝には魔力が込められているらしい。つまり、二つが揃ったときにしか強大な力は発揮されない。
しかし、デュランダルには協会があり、大聖堂の司教と、その信者は多少の魔法なら使えるらしい。
その秘宝の力は一国を滅ぼすほどの強大な力があるとか、強大な力を持つ魔物を召喚して下部にできるなどという眉唾物まで書かれていた。
数日の間は涼音が立てた作戦の模擬演習を行われていた。

そして、決戦の前夜が訪れた。
アリシアの命により精鋭ぞろいの部隊が結成された。
今回の作戦は城を出た中腹辺り、丁度ヴァリアスとデュランダルの中間あたりだ。
それぞれの国は戦場の地へと向かいつつあった。

「涼音、頼んだわよ。あなたの剣術が道を開くわ。押されるようなら私も前衛に出て加勢するから安心して」

「私なら大丈夫よ。それよりもアリシアは後方で待機していて、1部隊目の攻撃で突破口を開いて、そのあと私が出るから心配はいらないわ」

アリシアは涼音の真の考えには気づかず信頼を置いていた。
涼音にとっては裏切るわけだから気が引けるのも当然。
でも元の世界に変えるためには仕方がないと自分に言いきかせて、進行を始めた。
一方でヴァリアスでも同じような動きをしていた。
涼音と和人は極力死者やケガ人を出さずにこの戦いを収める事と涼音と合流して抜け出すことが目的。
上手く呼吸を合わせられるかが、二人の行く末を大きく変える一戦。

「和人、準備はできてるわね?進行しながら詠唱をみんなで唱えて対応できるように整えておくから」

エリスは、そういうと兵士たちを束ね初め先制の攻撃ができる体制をとった。
そして戦が始まった。
一部隊目はすでに詠唱は済んでいるので、即攻撃を放った。
デュランダルの兵士たちは魔法を盾で防ぎながら勢いよく剣の届く位置まで一気に間を詰めた。
だが、和人のファイヤーウォールで壁を作り前進を難しくしていた。
そして魔法師部隊の第2軍。
詠唱を澄ませていることもあり、一気に魔法を放ってデュランダルの1軍目を退けることに成功した。
そして魔法師部隊の第一軍は下がると同時に詠唱を始めて、すぐに魔法を打てる状態に事を進めていた。
計画通り、涼音との距離も狭まっている。

「アリシア、私が出るから後方は頼んだわよ。押されない限りは前には出てこないで指揮をとって頂戴ね」

和人はすでに前衛にいる状態。これは涼音にもわかっていた。
所々に炎の障壁があるからだ。
涼音は和人が炎を操ることは全開の戦いと和人からも聞いていたからだ。

「和人がすぐ側にいるわ。でもどこかしら?とりあえず、剣に付いてる宝石が光るまで、辺りを動き回るしかないわね。でも敵兵であっても傷付けるわけにはいかないわ。鞘(さや)から抜かずに気絶させて進むのが良さそうね」

涼音は敵兵の陣形の真ん中に進むことを目的に敵、魔法師部隊を気絶させながら中央に向かっていくと、剣に付いている宝石が鈍い光を放ちだした。
これは、以前にも経験したことだ。
理由はまだ謎だが、近づくと杖の宝石と剣の宝石が共鳴し合うように光出す。
和人も宝石が光出しているのに気が付いて、涼音は近くにいると確信していた。

「これは以前にも光ったアレだな。何らかの力で共鳴しているやつだ。敵兵を傷つけるわけにもいかないが、とりあえず樋勝が強くなる方向に進んでみるしかないな。炎の盾を出して、進んでみるか~」

光が一段と強くなっていくのを二人は感じ取っていた。
和人は居場所を知らせるために空に向かっフレイムバレットを放った。フレイムバレットは炎の弾丸。魔力を調整することで、弾速や威力なども買えることが出来る魔法。
極力、弾速を抑えてそれに向かって放つと、涼音はその炎の球が視界をよぎった。
涼音も水の刃を空に向けて放つと和人もそれに気づいて、二人はその方向へを急ぎ足で向かった。

「涼音!俺だ。ひとまず、茂みに身を隠そう。隙を見て、涼音のその水の力だか分からんが、その素早さで一気に駆け抜けよう。向かう場所は最初に行った村がいい。あそこなら、ここからも少し離れてるし身を隠すのにもいいと思う。合図は俺がエクスプロードを放つ。エクスプロードは小爆発だから、ひどい火事にはならないだろうし、みんなの注目を集めるのにも適してると思う」

和人は少し遠目に向けてフレイムバレットを放って両国の視線をそちらに向けることに成功した。
涼音はその隙を逃さず、和人の手を取り、水の力を使って茂みから茂みへと姿を悟られないように村の方向へ一気に駆け抜けた。
戦場からの離脱は見事成功し、兵士たちの姿は見えなくなり、フレイムバレットの光の身が確認されていた。
二人は、村に着くなり、早々に宿屋に向かい、これからの打ち合わせをすることにした。
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