二度目の人生ゆったりと⁇

minmi

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できるんだもん……

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 上機嫌でエルたちと狩りにいった筈の娘は、何故か膨れっ面で帰ってきた。
 最初こそエルの背に隠れどうしたのかと驚いたが、苦笑いしながらも狩りが上手くいかなかったのだとエルが教えてくれた。

 「自分だけ捕まえられなかったって拗ねちゃって」

 「それは……愛依にしては珍しいですね。何かあったんですか?」

 繋とは違い狩りに行く時は率先して付いていく愛依は、弓や剣こそ使わないが器用に罠を作り捕まえていた。
 それなのに何故?と首を傾げる縁に……

 「罠にはかかったんだよ。そこから仕留めるまでに暴れて逃げられたんだ。オレがやるって言ったんだけど自分でやるって聞かなくてーーって痛っ!愛依痛いからっ」

 エルの背に隠れ話しを聞いていたらしい愛依がなぜバラすんだとばかりにエルを叩いていた。
 どうやら自分の失敗をバラされたのがかなりご立腹のようだ。

 「こらこら。エルお兄ちゃんが痛がってますから止めてあげなさい。それより帰ってきたら言うことがあるでしょう?」

 「……………………ただいま」

 「はい、おかえりなさい」

 手を伸ばせば抱きついてきた小さかな身体を抱き上げつつ、隣りで褒めてとばかりに自分が捕まえた獲物を見せて来る真の頭を撫でてやる。
 どうやらこちらは上手くいったらしい。

 「初めての狩りはどうでした?」

 「あ、あの、その、この子たちが教えてくれたおかげでなんとか」

 愛依を気遣いながらも両手に仕留めたウサギと鳥をぶら下げながら嬉しそうにそう言う。
 エルを見れば「エニシよりは全然マシだよ」と言われ喜んでいいのか微妙なところだった。
 自分はそもそも罠にかかるのをじっと待っているのが苦手なだけで罠はちゃんと作れるのだと言い訳しておく。

 「まぁ獲れたなら良かったです。みんな~、お兄ちゃんたちがお肉を獲ってきてくれましたよ~」

 まだまだ育ち盛りの子どもたちにお兄ちゃんが頑張ってくれたよと告げれば、本当?とばかりに駆け寄ってきた子どもたちに微笑む。

 「お兄ちゃんが頑張るみんなのために獲ってきてくれました。夜ご飯楽しみにしてて下さいね」

 「「「やった!」」」
 「お肉だ!」
 「兄ちゃんすげー」

 餌付けのようになってしまったが、喜ぶ子どもたちの姿に彼も嬉しそうだ。

 「では今後のためにもエルに捌き方を教わっておいて下さい。イリスさんも一緒に」

 少し離れて話しを聞いていたイリスも呼び寄せると、縁は狩りで汚れてしまった双子を風呂にいれることにする。

 「………………アイだって…できるもん」

 「そうですね。今日は上手くいかなかっただけです。次はパパとママと真の4人で行ってみましょうか。パパは狩りが上手いですから一緒に教えてもらいましょう」

 ママもまだ下手くそだからと言いながら頭を洗ってやる。
 怒ってムキになればムキになるほど何事もいかないからと宥めつつ、同じ双子でも上手いことできた真も褒めておく。

 「シンはおさかなさんつかまえたい」

 「……………」

 このマイペースなところは一体誰に似たのだろうか?
 ジークではないことを考えれば縁しかいないのだが本人にあまり自覚はなかった。
 しかし大切な息子の願いならばと今度魚料理(ちらし寿司)を作る約束をすれば、ご機嫌に身体を洗うのだった。

 「真はママとお魚さんとどっちが好き?」

 「?、ママ」

 あ、よかった。
 思わず尋ねてしまったが、望んだ答えが返ってきてホッとした。

 「アイだってママだいすきだもん!」

 負けないとばかりに叫ぶ愛依にありがとうと抱きしめる。
 いつか反抗期がき、親離れする日が来るとしても今こうして大好きだよと言ってくれる彼らが愛しい。

 「本当に?ママは真と愛依みたいに上手く木登りも出来ませんよ?」

 「アイができるからいいの!」
 「シンも」

 「愛依たちみたいに速くも走れません」

 「アイたちができるもん!」

 「愛依たちみたいに狩りも出来ません」

 「アイがつかまえてくるもん!おっきいのとってくる!」
 「シンはおさかなさんとってくる」

 愛しい愛しい我が子たち。彼らは縁の自慢だ。
 繋とも翔とも違うが優しく逞しく育ってくれている。

 「ありがとう。何でも出来る2人がママは羨ましい。頑張る2人の姿が見れてとっても嬉しい。ありがとう、大好きですよ」

 ギュッと抱きしめれば、やっと笑ってくれた愛依に縁も微笑むのだった。



 
 
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